No.074『セクレタリー』

製作年:2002年
原作:メアリー・ゲイツキル『Bad Behavior』
監督:スティーヴン・シャインバーグ
脚本:スティーヴン・シャインバーグ
ジャンル:ちょいエロ変態アメリカンラブコメ

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デブのみならず、ついにハゲ!
演技はともかく、ルックスは年を取るごとに過去の面影をことごとく裏切り続けるwアメリカ屈指の怪優ジェームズ・スペイダー。

演じる役柄の幅はおそろしく狭い。
ひと昔前は「女にもてるアメリカンエグゼクティブ」役者のスペシャリストである。ルックスがアレになったら幅広になりましたがw
幅は狭いがその世界はおそろしく豊穣で、何より得意役が「セックス面でド変態」なのが怪優たるゆえんであります。

今回の映画の役柄も定番のエリート弁護士。当然「セックス面がでド変態」。
でありながら見事なまでに強引にアメリカンラブコメヒーローに着地させる
よく考えたら凄い手腕のお馬鹿ファンタジーラブコメです。
★予告編



ジェームズ・スペイダーの変態ワールドへいらっしゃいませな予告編。
インテリアの色使いセンスがアメリカンだなあと思う。

★あらすじ(青字はネタバレあり

主人公は自傷癖のある冴えないニート処女、リー・ホロウェイ(マギー・ギレンホール)。
妹の結婚式に出席するため精神病院から退院してきた。
妹が自分の幸せを見せつけてると思いこんだり、晴れの舞台でアル中の父親が酔っぱらったり、仲悪い両親が喧嘩をはじめる度にストレスを感じて部屋に籠り自傷行為にふける。

…と書くといきなり重い話だが、そこはアメリカンラブコメ。
ピンク&紫のすげー柄の壁紙が目にチカチカする典型的なアメリカンハウスの2階にあるレースやキラキラで飾り立てた自室に入り、可愛くデコったヒミツの小箱を開けるとお気に入りの自傷グッズがこんにちわ☆
やたらポップだ。

でもポップといえ自傷は自傷、ニートはニート。
このままでいちゃアタシは一生ダメ人間だぁ!とリーは職業訓練校で習ったタイピングの腕を頼りに、秘書募集中の法律事務所の面接を受ける。

がしかし、着いてみると泣きながら事務所を後にする女発見。
石人形が飾られてるあやしげな廊下。
謎の東洋趣味な調度品をあしらったマスタールーム。趣味の胡蝶蘭の活け花スペースつきwww
そんなあやしい雰囲気満点な弁護士事務所の敏腕ボスが、エドワード・グレイ(ジェームズ・スペイダー)なのだ。
見るからにエリートでクールで変態そうな嫌な奴だが、彼は見るからに無職ダメ人間臭プンプンなリーを「今までで最高だ」と気に入って採用する。

★あっさり秘書ゲット。だが虫のいい話は裏がある

仕事は受付お茶くみ雑用全般。加えて書類のタイプ清書。
時代はパソコンなのにタイプライターにこだわりがあり、エリートなのに色々変な癖がありすぎる雇い主に、秘書どころか社会人経験も乏しいリーは四苦八苦。
リーのヘマの数々を最初はグレイも黙って許してたが、とある場面を偶然見かけてから態度が急変する。

実はリーはニートの癖に彼氏がいた。
妹の結婚式で知り合った青年で、容姿もスペックも非モテダメ人間にお似合いなピーター(ジェレミー・デイヴィス)と交際スタートしてた。そして平凡でささやかなデート現場をグレイに目撃されてたのだ。

翌日、リーは突然グレイのダメ出しの嵐に襲われる。
服がだらしない!ださい!仕事がどんくさい!タイプ書類が誤字脱字ミスだらけ!と姑のごとくちまちまヘマを責め立てる。
タイプなんかミスった個所を一々赤ペン添削する始末。どんだけ熱心な鬼教官だよグレイ。
まぁリーも一目瞭然なダメ社会人だからしょうがないが、余りに責められてストレス感じた彼女はつい自傷に走る。
職場にヒミツの小箱を持ち込み、ピンで太股ブッ刺したところをグレイに見られて大ピンチ。

今度はどんだけ怒られる?はたまた解雇?
不安でビクビクする彼女だが、グレイは意外にも「自傷をしちゃダメだ」と至って真面目かつ誠実に説得する。
あら、クールそうで実は優しいヒト?
うっかり胸キュンしたのも束の間、グレイは彼女を恐怖のドツボにはめる。

★そして皆様お待ちかねの変態プレイ登場

という訳で全世界の変態ジェームズ・スペイダー好きのかた、お待たせしました。
実はドSの変態だったグレイによる秘書調教タイムです。

ヘマをするたびにお手製の調教器具で拘束プレイ
四つん這いで廊下を歩かせる犬プレイ
馬の鞍つけてお尻ペンペンプレイまでwww

理不尽なお仕置きを受けてリーのダメ人間性格はマゾ属性へと開花し、倒錯愛に目覚めてしまう。
ピーターとヤッて脱処女するも、普通のセックスじゃ物足りない。
もっといじめて!お仕置きして!サドなあなたを愛してるっ!
リーの欲望は、勤務中にトイレでプレイを想像してオナり、わざと仕事をミスって調教を誘うまでにエスカレート。

ところがサド男とマゾ女の蜜月はいきなり終わる。
ある日わざとミスをやらかしたリーに、グレイはいつも通り「机によつんばいになれ」と命じる。
もしかしてこれは調教最後の一手の予感
お尻突き出した彼女の背後に回り、スカートを捲りあげ!パンツを下げ!自分のズボンも下ろしてっ!
バックからっ!

なんと「あとはいれるだけ」ポーズまで取りながら、下半身もろ出しの彼女に突っ込まず
自分1人でちんちんしごいてオシマイって・・・
どんだけ変態だよスペイダーさんwwwww


あまりに屈辱なプレイに落ち込むリー。
しかも、お仕置きが終わるとすぐに秘書の仕事をクビになる。
アタシは用済みなの?と悲しむ彼女だが、実はグレイが本気で愛しちゃった故のことだった。

グレイはサドフェチな性癖を世間から隠すうちに、本物の恋愛にひどく臆病になっちゃった男。
1回結婚したものの臆病が原因で振られてバツイチ。好みのタイプの秘書を雇って調教しても、性癖は満足しても心は満たされず。
本当はSMプレイを理解してくれる彼女と恋したい…
でもいざ秘書の恋する視線は自分に向けられたら、恋のアクセル踏みきれないで逃げてしまう。

ああ両想いのすれ違い!
が判明したところで話はすんごいアメリカンな力技で急展開します。

★さすがアメリカンロマコメ!怒涛の大団円

マゾをひきずるリーは新聞広告でSM相手を募り、見知らぬ男とプレイしてみるが満たされない。
諦め気分な時にピーターからプロポーズされて「しょーがねーな年貢の納め時かー」と承諾する。ちょっと前までニートだった癖に随分な態度だなw

でも結婚式直前でやっぱりグレイを諦めきれず脱走。
ウェディングドレスで走った先はグレイ法律事務所。かつて調教プレイを繰り広げたデスクに陣取り、彼が迎えに来るのを待ち続ける。

リーの暴走に周りはビックリ。
ピーターから家族から事務所同僚から神父さんまでやって来て「こんなバカな事はやめろ」と説得する。
でも本当の愛を求めるリーは動かない。

周りの人々の差し入れのみで食いつなぎ、トイレ行けずにオシッコ漏らしても(きたねぇw)「あの人が来るまでデスクから一歩も動きません!」とウェディングドレスのまま居座り続ける。
とんだクレイジー女の出現に警察も出動するわ、テレビクルーまで実況中継おっぱじめて、「私と彼の愛とSMプレイの日々」をぶっちゃける独占インタビューを放映する始末w

これじゃグレイも出るに出れねえよと同情しますが、変態といえど立派なアメリカンヒーロー。
ちゃんと愛する女を迎えに来ます。
オシッコ漏らしてる彼女をお姫様だっこで連れ帰り、お風呂できれいに洗い上げ、遂にゴールイン
こうして最後は本当の愛を貫いたリーは、弁護士の妻の座と愛情と変態SM趣味に満たされたラブラブハッピーエンドを迎えるのでした。


★感想

目玉のSMプレイシーン数は思ったより少ないし、「変態映画」目当てで観ると物足りない。
むしろ自傷、緊縛SM、失禁プレイという昭和エログロ前衛映画でも通用するハードな内容を、「ちょっとエッチでスタイリッシュな女子向けアメリカンラブコメディ」として強引に成立させた脚本演出の腕前が光ります。

「(女子受けする)オシャレ」と「(女子受けする)刺激的なちょいエロ」
両方を美味しい所取りしようとして匙加減に失敗した、オシャレもエロも薄っぺらいだっせー恋愛映画ドラマは世の中に結構多いですが、その辺は薄っぺらくならぬよう丹念に作り込まれてる。
ブラウス&タイトスカートの秘書ファッションはエロ可愛いし、法律事務所のインテリアも凝ってる。お上品で知的でクソ怪しいw
趣味の東洋風蘭の活け花コーナーと、、何気に受付の壁紙がヴィーナスの誕生なのが笑えた。

★マギー・ギレンホールが意外といいカラダ

「ダサい処女ニートがエロ秘書に大変身!」なシンデレラストーリーの王道スタイルでありながら、「自傷癖が転じたSM関係でありながら純愛」なる「そんなあ、ムチャなあ」なキャラ設定を、マギー・ギレンホールが芸達者で細やかに演じてます。
時々おばちゃんに見えるおへちゃなルックスなのえ、処女ニートはともかくエロ秘書スタイルって大丈夫?となるが、そこはさすがプロの女優だ。綺麗に着こなしてます。
ゴールインシーンではフルヘアヌードも披露してますが、いいカラダでした。顔とイメージに似合わず、スレンダーでありながらエロいところはエロいです。

★十八番のジェームズ・スペイダー、文句なしに変態

さてお目当てのこのひとは
弁護士役も変態役も、さすが盤石の自在感。「変態と純愛で心揺れる不器用で純情な中年男」の役どころを悠々と演じてます。
蘭の花を愛でる姿が目の保養かつ変態的にこれほど似合う俳優もそういないでしょうw
中年体型を気にして夜にこっそりランニングマシンで走ってる所へリーが急に現れて、驚いてずっこける姿とか、お仕置き目当てのリーに書類にミミズを挟まれて書類開いてブツを見て静かに驚く表情とか、コメディの効かせどころも上手い。

そして彼が「セックス面がド変態」な曲者役者としてぬきんでて素晴らしいのは、セクシーかつ清潔感あるエグゼクティブという典型的イケメン役を粛々とこなしながら(昔はなw)、同時並行で人の道を外れたエロも演じれること。

「変態」演技が上手い役者は他にもいるが、「イケメン」演技と両立させるって難しい。
例えば月9ドラマでヒロインを亀甲縛りにして鞭で打ちながら最後は「そんな君が好きだよ」と薔薇の花束持ってニッコリ微笑めるか?
そんな月9ドラマあるかよって前提はともかくwもしかして昔のジェームズ・スペイダーなら演じれたかもしれないですねw

ただ脚本と演技で緩急は上手くつけているが中盤がダレる。
ラブコメ系やちょっとイイ小話系の映画で上映2時間は長い。90分でまとめてほしかった。それだけが不満。

(了)
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