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No.076『あさき夢みし』

製作年:1974年
原作:後深草院二条『とはずがたり』
監督:実相寺昭雄
脚本:大岡信
ジャンル:あまりに暗くて眠い宮廷文芸映画

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ご贔屓の実相寺昭雄監督作品。
古典文学『とはずがたり』の映画化。でも豪華絢爛で雅な宮中物語ではありません。
実相寺昭雄でATGですから、何の時代だろうがバリバリ前衛アングルだ。

学校の授業で古典を習ってた元高校生にとって、『とはずがたり』は正直「いやらしいらしい」で有名ですがw
あらかじめ警告します。エロを期待して見ちゃいけません。
エロシーンはある。ATGですから。
でも一般向けじゃない。実相寺ですからw

なんと脚本が大岡信だったとは知らなかった。
あまりにも…アレな脚本なんで…
ご高名な方の作と気づきませんでした…

DVDまだ持ってないが買おうかな。
いつか来る更年期って不眠症になるらしいし、これを観りゃ寝れる鉄板アイテムとして役立てるかもしれないしw

★あらすじ(青字はネタバレあり

雅な女声歌唱が朗々~♪と響くタイトルロール。
格調高いがのっけから爆睡必至である。

舞台は鎌倉時代の京の都。
統治権はとうに北条氏の鎌倉幕府に移り、都の実権は後嵯峨院が長らく握ってる時代。
帝様や貴族達は生臭い権力闘争から離れて浮世離れた雅な日々を送っておりました。

後嵯峨院皇子である後深草院こと「御所様」(花ノ本寿)は幼少時に即位されたが、10代で弟の亀山帝に帝位を譲らされ、上皇という名のプー太郎として詩歌や女遊びで暇潰しをなさってました。

そんな御所様の寵愛を一身に浴びる愛人は、巷で美女と名高い「四条」(ジャネット八田)。
しかし四条はすげーキラキラなニックネームの貴族様「霧の暁の大納言」(寺田農)ともデキていた。
そして表向きは御所様のお子で実は不義の子をお腹に宿してたのであります。
んまあ、いきなりドロドロですね

人の顔もロクに見えやしねえ暗視ゴーグル必須な暗ーいお屋敷の産室で、汗にまみれて絶叫してやっと出産するも、産まれた途端に赤子はどこかへ連れ去られる。
どこへいったのアタシの子ー!と嘆く四条。
しかも追い打ちを掛けるように宮中では、先に生まれた(本物の)御所様との間の皇子が2歳で早逝される悲報が届く。

★ご主人様がみずから愛人にパパあっせん

辛い運命の四条だが悲しむ暇もなく、美女ゆえに次の間男アタックを受ける。
貴族のオヤジ近衛大殿(東野孝彦)だ。

霧の暁の大納言とちょっとデキちゃったけど、本心はずっと御所様ラブな四条はアタックを断るが、なんと不思議というか不可解なことに御所様本人から「寝ろ」と言われ渋々ヤる。
は?なんでやねん?な話だが御所様は、若い頃に父母を亡くし頼りない身の上の四条に、そこそこ金と身分がある後見人(つまりパパ)を御みずから選んであてがったのだ。

ご主人がみずから愛人にパパを斡旋してあげてる不思議な愛欲世界。
身を乗り出したくなるビッチな下ネタスキャンダルなんだが、あまりに文学的に処理しすぎてるせいか、話にメリハリが無くパッとしない。
しかも映像は実相寺アングル絶好調。つまり、逆光!暗闇!ピンボケ!だらけ。
おかげでますます眠くなるばかり…

★だが眠気を覚ます救世主登場!

しかし美女の四条の所へは、またまた間男アタックが来てしまうのだ。
しかも相手は御所様の異母兄弟の宮様。

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スーパーエキセントリック童貞坊主、阿闍梨様(岸田森)がキターーーーー!

阿闍梨様は僧職にありながら、四条を一目見ただけで煩悩がフルスロットル状態、瞳はランランと輝きあからさまに挙動不審。
だめだファーストインプレッションから笑えるw

少年時代から出家して修行に励んだ阿闍梨様は、御所様の病気も祈祷で直す凄腕の高僧だ。密教の祈祷シーンがいい声~♪で迫力ある。
だが修行漬けで女を知らない。
そんな生真面目な弟が初めて抱いた恋心を憐れんだんだか何なんだか、御所様はまたも四条に「一発やってやれ」とおすすめする。
(多分)兄様の配慮で寝所へ潜入した阿闍梨様は褥に横たわる四条のエロエロバディに童貞魂バクハツ
すげー勢いでしゃべって歩き回ってうろたえてw
お数珠は握り締めすぎてバラバラになるしw
おちつけ!阿闍梨様!!!
怒涛の岸田森エキセントリック煩悩ショーに根負けした四条は、しょーがなく一発抱かれてあげる。

筆おろしパワーのせいか四条はまたも一発妊娠。御所様名義の子を出産するが、速攻養子に出される。さらに追い打ちをかけて阿闍梨様が突然死。
四条はショックでヨダレだらだら流して号泣…
きっきたねー!あんた天下の美女のくせに!
度重なる間男アタック(しかも手引きは御所様)で宮廷界きってのビッチだと都中の噂ネタにもなり、自分のせいじゃないのにビッチ呼ばわりなんて、こんな腐った世の中未練ねーよ!な心境の四条は御所様と破局。憧れの西行法師のように、出家して侍女(原知佐子)ひとりお供に巡礼の旅に出る。

★後半はまじで映画見ながら舟こげます

という訳で、後半は延々と諸国漫遊記になる。
暗闇宮廷を離れて景色はちっとは明るくなったが、
前半に増して眠い…

厳島神社で阿闍梨様との忘れ形見を流産したり、熊野で踊念仏一行と魂の交流?したり、主人に夜這いされるが断固拒否したり、それなりにイベントはあるがメリハリも無くオチも無く…

眠い…
眠い…

ハッと我に返ると、侍女は旅先で男とデキており、1人で京の都に帰った四条は偶然にも御所様お隠れの一報を聞き門前で倒れる。
走馬灯となって甦る(ホントです)愛欲の思い出。
彼女は幻想の世界にトリップする。

気が付けばすっかりジジイになったかつての男、霧の暁の大納言様の屋敷を訪ねていた四条。
彼から「あの時産んだ不義の子は女の子。今は帝の后に出世して都でブイブイいわせてる」と教えられ、娘に献上してほしい…と自筆の絵巻物を差し出す。
美しい絵巻物をしげしげ見入る大納言様。
ふと目を上げると、四条は眼前から消えていた。
四条は今日もひとり、どこかを放浪しているかもしれない…
ってご定番の煙の巻き方でジ・エンド。


★感想

眠い…
眠い…
眠すぎるわこのやろうー!

なんでこんなに眠いのか。
前衛に興味が無ければ眠気抜群な実相寺作品の中でも、断トツNo.1眠いのだ。
格調高いGBMが眠気をいざなう、清水紘治のナレーションがいい声~♪すぎて眠い、等々の理由もあるが、まず理由としてあげられるのはこれ。
画面があまりに闇鍋すぎる。

人工照明を使わずロウソクの光で撮影した『バリー・リンドン』と同じ手法を使い、鎌倉時代の都の「中世の闇」を再現するのが狙いだろうが、限界っつうもんがあるだろうよ。
画面の9割が暗闇とかざらにある。
画面のどこかで誰かが蠢いているようだが、誰が誰で何やってるか判別できない。アップでしゃべってるシーンすら暗闇でかろうじて目や鼻や口がまだらに見えるとか。

闇鍋じゃなきゃ逆光。

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まばゆい光で透け透け烏帽子がゆらめくシーン。実相寺らしいモダン映像美だが役者の顔は見えず。

逆光じゃなきゃピンボケ。

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雅な貴族の宴で白塗り白拍子の前衛ペアダンス。画面のあちこちミョ~ンとボケまくり。
こんなのが延々と続くのですぞ。眠くならずにいられるかー!

とか言っても寝殿造の窓格子の影が歪みながら屋敷の奥へ広がるシーンなど、日本家屋を撮るのが上手いなぁーシミジミ…と私の目には至福なところも一杯ありますが。

だが映像の眠さはまだいい。
一番の元凶はやっぱりストーリーだ。

★大岡信先生の脚本がアレすぎて眠い

といっても実相寺作品はたいがい映像はともかく話はアレなんだが、
アレはアレでも石堂淑朗脚本みたいに斜め上空にぶっとぶ話なら面白いんだが、それと比べても脚本の出来が残念すぎる。

よくもまあ『とはずがたり』のスノッブ下ネタスキャンダルてんこ盛り☆なワクワク話をつまんなく改変したものです。
流暢な宮中お言葉セリフは詩的かもしれないけど、タメなし伏線なしオチゆるゆるテーマボケボケじゃ、ステキなお言葉も上っ面をつるつる滑るだけ。

しかも宮中話の合間に大岡信先生オリジナルエピソードの「元寇に怯えて堕落頽廃し、踊念仏なる新興宗教パワーに狂う都の庶民」シーンが入るんだが、これがまたトンデモにしょぼい演出で、肩ガックシ話に拍車をかけている。
ATG低予算映画って制約があるのは承知だが、余りにもしょぼい。(これは実相寺監督にも原因はあるんだが)
山ん中のロケ地は道路もねえ(あぜ道です)
人家もねえ(バラック小屋が数軒)
人もいねえ(MAX30人くらい?)
これを都と言い張るのは強引にもほどがある。
まして都の堕落や頽廃や庶民の宗教革命など読み取れというのが無理レベル。
先生、入れない方が良かったです…

トンデモ話でもブッ飛びすぎてて笑えるならまだいいが、
笑いさえできません…寒いだけ…
これが一番辛いか。

とまぁ実相寺アングルマニアか不眠症の方しかおすすめしづらい作品でありますが、暗闇逆光づくしの役者殺しな環境でも俳優の見どころはありました。

岸田森阿闍梨様の怪演は言うに及ばず、ジャネット八田が意外と意外とはまってました。
あの顔は中性日本じゃありえないこってり洋風顔ですが、、宮中風俗からの異次元の浮きっぷりとおどおどした目線とたどたどしいセリフ回しが、雅な男達に弄ばれいたぶられる役柄と絶妙にフィット。
前にレビューした『徳川セックス禁止令色情大名』のエロ人形サンドラ・ジュリアンにも似た可哀想っぷりで、虐げられ系異邦美女好きはそそられるでしょう。

丹阿弥谷津子はたおやかで素敵。
あと寺田農大納言が思いのほかセクシーだった。
元々ワル目のオヤジなひとですし、声を聴けばムスカ、顔を見れば尾台あけみが頭をちらついて役柄に集中して見れないですが、横顔やななめ向きのシルエットがセクシー。
さすが実相寺作品の常連だなと感心しました。

(了)
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