No.080『黒蜥蜴』

製作年:1968年
原作:江戸川乱歩/三島由紀夫
監督:深作欣二
脚本::成沢昌茂、深作欣二
ジャンル:元祖メケメケ美輪様のゴージャス映画

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今回は江戸川乱歩作品ってより三島由紀夫ロマニズムな『黒蜥蜴』。

美輪明宏様の当たり役といえば『毛皮のマリー』と『黒蜥蜴』。
『毛皮のマリー』は映画にならなかったが、こちらはゴージャスドレスをまとった美輪様のオーラ爛漫な(スピリチュアルな方じゃないよw)輝く美貌を映像で拝めます。
B級バカクライム映画の香りもするがw昭和のメケメケ美をお楽しみください。
★あらすじ(青字はネタバレあり

壁にビアズリーのサロメの絵をペイントした暗く怪しいゴージャス秘密クラブで、ゴーゴーダンスを狂ったように踊る男と女。
そいつらを横目で見ながらバーで酔いつぶれる男・雨宮潤一(川津裕介)の元へ、驚異的美貌の麗人(美輪明宏)が近づく。
バーカウンターに突っ伏した潤一の鼻筋を撫で、愛おしい視線を送って一言。
「死にたいのね…貴方」

うぉぉ!たまんないわー!
つかみからメケメケロマン全開!

★でもなんだかへっぽこクライム映画の香り

…ってな謎の麗人と雨宮の出会いから月日が経ち。

宝石商で資産家の岩瀬庄兵衛(宇佐美淳也)は時価1億円の高級ダイヤ「エジプトの星」を手に入れたが、犯罪業界ではルパン三世並みに有名な女盗賊「黒蜥蜴」に、愛娘・早苗(松岡きっこ)&「エジプトの星」強奪を予告される。
困った岩瀬は名探偵明智小五郎(木村功)に警護を依頼。さらに父娘で大阪のホテルに籠る。

そこへ現れたのが冒頭の謎の麗人・緑川夫人と雨宮潤一。
緑川夫人は宝石商の得意客で父娘と顔見知りの仲。早苗に雨宮とデキるようけしかける。そして早苗が雨宮に気を許した隙を狙って誘拐する。
わざわざ全裸でトランクに詰めて東京へ運ぶんだが、生きてる人が入れるデカサイズのトランクで新幹線、しかも3列普通席の座席に置いて運んだら目立ちまくりだろ。
ツメが激甘へっぽこクライムの香りがします!先生!

早苗とダミー人形をすり替えた緑川夫人は雨宮が逃げる時間稼ぎに、明智とホテルで美麗な三島文学台詞がビシバシ飛び交う会話をする。
その後いい頃合でダミーがばれて岩瀬は大騒ぎ。
しかし明智は動ぜず、直ちに早苗を連れ戻してみせた。
実は最初から緑川夫人と雨宮をマークしてた明智は(まぁ普通そうだよねー)、警察に雨宮を尾行させて奪還してたのだ。
鮮やかに一敗目を喰らった緑川夫人こと「黒蜥蜴」は黒スーツで男装wしてホテルから姿を消した。

第2ラウンドは半月後。
黒蜥蜴が再び岩瀬に誘拐予告したんで、元刑事・的場(西村晃)率いるガードマンチームが岩瀬邸をがっちり固めていたが、屋敷にはお手伝いの「ひな」(小林トシ子)など黒蜥蜴の手下がすでに入ってた。
的場はひなが誰かにやたらポエムな伝令を送る現場を発見するが、実はひなの必殺技はヘビつかい。ヘビを首に巻かれ手首切り落とされて的場死亡。
その隙に早苗は人間椅子ならぬ特製人間ソファーに詰められ、また誘拐される。

今度は作戦を成功させた雨宮だが、腹心(兼オトコ)への美輪様の態度がなんかつれない。
第1ラウンドで文学の香りがビシバシ飛び交う会話を交わして以来、黒蜥蜴は明智に恋しちゃったのだ。

★三島文学な名セリフの応酬にしびれるぅ

誘拐犯と探偵の敵対関係なんだが、三島文学がビシバシ香る心と心の会話で互いの世界に入り込むふたり。
ケレンたっぷりの演技合戦にしびれます。

「法律が私の恋文になり」
「牢屋が私の贈り物になる」
「そして最後に勝つのはこっちさ」

『黒蜥蜴』屈指の名台詞の掛け合いで麗しく見栄を切る美輪様が素敵ぃ!神々しいまでに美しい!
そんなメロメロ明智ラブな黒蜥蜴の姿を見て、明智に嫉妬の炎を燃やす雨宮だった。

さて早苗と引き換えに「エジプトの星」を要求して取引現場で岩瀬から宝石を奪い、警察とのカーチェイスを華麗に振り切って、クルーザーで秘密のアジトへ逃走した黒蜥蜴。
さすが手際良いじゃん、と思ったもののやはりツメが甘い。実はクルーザーの自室のソファーに明智が入ってました。
恋する美輪様だがそこは女盗賊のプライドが勝ち、ソファごと剣をグサグサ刺して明智殺害。血がしたたるソファを海に投げ捨てる。

★クライマックスで遂に先生ご登場www

一味が戻ったアジトは丸ごと戦利品の美術館。黒蜥蜴が選び抜いて盗ったコレクションの数々、そして若く美しい姿のまま剥製にされた美男美女の裸人形が飾られていた。

ってところで三島由紀夫映画なら、もうお分かりですね。
出るぞ出るぞと期待で胸ドキな私にお待ちかねー!

三島由紀夫先生の日本男児裸ふんどし人形ご登場!!
美輪様との伝説のキスシーンを披露される。


スポットライト浴びた大先生の裸ふんどしを前にして、「あなたも人形になるのよ」と聞かされ早苗発狂。
うるさい!おだまり!な美輪様の前に、なんと雨宮が助太刀に入り、2人で逃げようとする。

だけどアジトは海の孤島。逃げても逃れられず、2人は剥製になる運命を覚悟する。
そのとき早苗が「実は私、明智に雇われた替え玉なの」とネタをばらす。
そっくりすぎる替え玉こと桜山葉子(松岡きっこ二役)を相手に、雨宮もなぜ彼女を助けたのか打ち明ける。
「明智ラブな黒蜥蜴様につれなくされる運命ならいっそ、自分も剥製になって毎日キスされたい…!」
って自ら剥製志願かよ!あんたマゾすぎるよ雨宮!

さて宝石も美女剥製も手に入れた黒蜥蜴だったが、二度あるツメ甘は三度ある。

海に流した人間ソファは替え玉。すべてお見通しの明智はまんまと盗賊仲間に変装しており、一味はお縄、追い詰められた黒蜥蜴は毒を飲む。
こうして伝説の女盗賊黒蜥蜴は、宿敵かつ心の恋人の明智小五郎に想いを告白して、美しくお亡くなりになるのでした。


★感想

美輪明宏様(当時33歳)、圧巻の美貌である。
男の娘とさえ呼ぶのもはばかられる。美貌は男女の種のジャンル分けすら軽々と超える。
マライヒだって子供産んだしな。違うか。

ひたすら美輪様の美のパワーにひれ伏す映画です。
なにせ登場するとたちまち紫ラメのオーラが輝き、60年代デザインのゴージャスなメケメケドレスをレディガガばりに次から次へと着替えてくださり、あの独特の声で美麗な三島調の決め台詞をバシバシ決める。
すげえ。こんな33歳がかつて世に存在してたんだー。
男装スーツ姿が前田美波里に似てるのはご愛嬌。

しかし美輪様があまりにゴージャスすぎるゆえ、本来は黒蜥蜴vs明智小五郎の演技合戦で魅せる場面がワンマンショー化しちゃったのもまた事実。
なんで世界の美を体現した大盗賊・黒蜥蜴様ともあろう人が、「小秀才のお役人」程度にしか見えない明智にラブなのか、画面の辻褄が合わなくなっている。
木村功さんすみません。名優なのに。
ここは丹波哲郎(チョイ役で友情出演)を明智役にして、ゴージャスvsゴージャスバトルでこそ話が活きたのに。

深作欣二の演出は、ビアズリーをあしらったりダークゴージャスな耽美色に頑張って染めてました。
しかし首にヘビ巻き攻撃や手首切られた断面見せるなど、深作欣二映画おなじみのエグいシーンも出て来て、耽美トーンと温度感が異なるところもある。
何より肝心の「エジプトの星」のデザインがださい。
宝石がださいと一気にラグジュアリー感がガタガタ。
日本の映画ドラマ界はもうちょっとラグジュアリー・ジュエリーデザインを研究してください。日本映画の欠陥である「ゴージャス演出のツメが甘い」を思い切り露呈してて残念。

あと三島文学の映画化作品で流れる血が、もろ血糊色ってのはどうなんだろう。
出演するならカメラチェックもしてよ三島先生!

★三島先生は今回も安心の棒&露出クオリティ

剥製にしたくなるくらい耽美な美男役ですか…
しかも生前はチンピラですか…
そして死後は裸ふんどしですか…

原作者の特権をフル活用して、今回も三島先生は自分に萌え萌えナルシスト全開の役どころでした。
もちろん演技力は相変わらずの破壊力w
映画前半で松岡きっこのきれいな裸はともかく演技の棒っぷりにツッコミまくってたのが(棒すぎて逆に二役演じてる伏線に気付かないくらいだ)、先生の登場後は一気に棒が目立たなくなるくらいだ。

曲者役者チェックでは、川津裕介が安定のクオリティ。
恋するあまり剥製になって愛でられたい!というドMすぎる下僕がはまってました。
冒頭のゴーゴーバーで酔いつぶれたシーンで鼻筋を美輪様に指でツーッとなぞられた時に、あ、いい鼻筋してる人なんだなーと予想外の色気にドキッとしました。

(了)
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