No.086『気狂いピエロ』

製作年:1965年
監督:ジャン=リュック・ゴダール
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
ジャンル:おフランスわけわかめ前衛映画

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はた迷惑でうざいカップルの行き当たりばったりクライムムービー。

まぁクライムムービーの主人公なんて、はた迷惑でうざいものと相場が決まってますが。
おフランス産インテリ・ゴダール先生のお芸術映画の主人公ですから、うざい奴らが輪をかけてうざいw

ちなみにうっかり検索で迷い込むかもしれない映画論者の皆様へ。
当方バカレビューブログですので、ジャン=リュック・ゴダール先生の映画に背後霊のごとくぞろぞろついてくる難しい映画論は全く興味ないです。
万が一そういう語り口を求められる方はよそを当たられた方が賢明です。
★予告編



海辺で車に網かけるシーンが『お笑いウルトラクイズ』の罰ゲームに見えてしょうがない予告編。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

主人公の通称「気狂いピエロ」ことフェルディナン(ジャン・ポール・ベルモンド)は元テレビ業界人。
今はイタリア人の金持ちの嫁に養われてぶらぶら遊んだりセレブパーティーしたり、風呂場で小難しい本を朗読してたりする。
要するにフランスの高等遊民だ。

ある夜、フェルディナンがいつものようにスノッブな仲間と哲学っぽい会話をダルく交わし、最後は巨大ケーキを手づかみで投げてしめる(アメリカのバカガキかよおまえら)ぐだぐだ頽廃したパーティーで遊んでたら、偶然元カノのマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と再会。
なんとなく流れで彼女の家に行き一発やる。

が、しかし。

翌朝目覚めたら部屋で別の男が死んでいた。

なんだこれ!!と驚いてると、さらに第3の男登場。
誰これ?旦那?もしかして俺、修羅場?

フェルディナンが矢口真理の旦那乱入事件現場に居合わせたモデルのお兄さん並みにうろたえてたら、なんとマリアンヌは第3の男もビール瓶で撲殺。
可愛いふりっふりの女子力120%白ワンピ着てるのに、やってる事が相当えげつないwギャップがすごい。

「訳は後で話すからとにかく南仏へ逃げよう」と誘われたフェルディナンはいい歳して厨二病を発症し、「腐った世界から逃げ出すいいチャンス♪」と金づる嫁と子供をあっさり捨てて駆け落ちする。

★夢見男と訳あり女の南仏おしゃれ逃避行

この世界の警察はそこそこ優秀らしく、速攻2人は指名手配される(らしい。警察出てこないが)
2人はガソリンスタンドの店員殴ってタダで給油して事故を装って車燃やし、誰かの服盗って変装を繰り返し、ずぶ濡れで川を渡り森を歩き、誰かの車奪って逃げ、海に車突っ込んでw
なんて調子でサバイバル逃避行を繰り広げ、警察の手から逃れて南仏に到着。

で、逃避行の間に「訳は後で話すから」の中身をマリアンヌから教えてもらったフェルディナン。
死んだ男は「武器の密輸やってるワルの男」で、南仏行きは「マリアンヌの兄さんにかくまってもらうため」らしい。

あっやっしー。

女がせっぱつまった状況で言うところの兄さんって、大体血がつながってませんよねー。
とりあえず自称兄さんとやらが見つかるまでの間、2人は行き当たりばったりで海辺の無人小屋に勝手に住み晴耕雨読の日々を送ることにする。
手作りの弓で狩りしたり、畑の農耕機で遊んだり、砂山に埋まって遊んだり、日なたでのんびり本読んだり。
マリアンヌはどこからかカワイイ服を調達してとっかえひっかえおしゃれしてるしw
都会に疲れたインテリが大好きそうな「南仏でオーガニックなロハスライフ」ってやつですか。
指名手配犯の癖にいい暮らしじゃねえか。

腐ったスノッブ世界から逃げ出したフェルディナンには「これぞ俺の理想郷♪」といたく大満足だったんだが、マリアンヌはすぐ飽きる。
で、揉めはじめる。
大体理屈っぽいインテリ男と本能でタフに生きてそうな訳あり女がロハスなハッピーエンドになる訳無いんである。

やがて金に困ってきた2人は観光客相手にひっでーアメリカ野郎&ベトナム娘のコスプレして、「運命線が短いの♪」ってシュールな小芝居で小銭を儲けて工面するが、まぁ限界も来る。

ある日マリアンヌは謎のちっさいおっさんギャングに頭に銃を突きつけられて脅されたかと思うと、反撃でおっさんにハサミぶっ刺して殺し、姿を消す。
そしてフェルディナンはおっさんの手下に捕まり「お前の女がおっさんから5万ドルパクって逃げた。居場所を教えろ」と拷問される。でも居場所なんか本当に知らなくて解放されるんだが。

★夢がさめたら現実はつらいよ

マリアンヌはいないし、金も何もなくなったし、理想のロハスライフがあっけなく終わっちゃって「なんで南仏来たの俺?」と意気消沈するフェルディナン。
自殺しようとしてもヘタレでできないし。
ニッチもサッチもいかないってやつですね。
しょーがないのでマリアンヌを探したら、彼女はとっとと自称兄さんと再会してた。フェルディナンは「2人で兄さんの商売を手伝って仲良くきままに暮らそうぜー」と意気投合する。

しかしそれはもちろん真っ赤な嘘。
「兄」の正体はマリアンヌのオトコであり、ギャングのボスで武器の密輸の黒幕だった。やっぱりえげつない女でしたマリアンヌ。
だましたなー!と逆上したフェルディナンは武器持って2人を殺しにレツゴー。

★そして海と溶け合う太陽へ

この後はいよいよお待ちかね?「映画史に残る衝撃のバッドエンディング」へと突入するのですが、だらだら逃避行が続いた割にオチは5分でさっくりカタつける。

どこかの島で突然銃撃戦になりマリアンヌ即死。
フェルディナンも顔に青いペンキ塗って気合を入れ?顔にダイナマイトぐるぐる巻きにして自殺を図る。
が、やっぱり自殺やめよっかなーと最後で迷う。

自殺しよっかーやめよっかー、うーん僕ちんわかんないー、
とりあえず一服するかと煙草をくわえて

どっかーん

やべぇ俺!本気で死ぬ気無かったのに!と慌てる暇もなくフェルディナンはさっくり爆死。
煙が上がる海をバックに、ランボーの詩の一節「見つかった。何を?永遠が。海と溶け合う太陽が」が詠まれてジ・エンド。


★感想

いつもよりあらすじテキトーに語ってないか。
だって映画テキトーな話ですから。
ホントに行き当たりばったりでいい加減なんである。

なんとなく逃避行
文学哲学芸術をぐだぐだ語る
ステキな南フランス紀行
アンナ・カリーナのファッションショー
しかねーぞこの映画。

もちろんゴダール先生ですから、どこかで観たようなクライムムービーの場面をテキトーにつなぎあわせたチープなバカ話をわざと作ってるのであります。
なぜって?それがポップアートだからw
細かい事は難しい映画論読んでください。

という訳で『気狂いピエロ』には、ゴダールセレクトの「俺様流にちょっとハズした」おしゃれなポップアートアイコンが大量に出てきます。
それを楽しむ映画です。
ノリがガールズムービーに近いかも。

★ファッションは女性誌じゃ嫌になるほどド定番

せっかくの南フランスですからー、ってことでフレンチマリンアイテムてんこ盛り。
ド定番といえどさすがに元祖マリン、今観ても可愛い。
清楚な甘々ワンピをアンニュイな女が着こなすゴダール先生の萌えポイントもばっちりだ。可愛いダックスフントのぬいぐるみも持ってるし。

★ヌーヴェルバーグ前衛小ネタもたっぷりあるよ

そして、ここぞというシーンで背後の壁に裏読みしてくれ!と言わんばかりに名画登場。ゴッホやピカソ、モディリアーニなどの色鮮やかな絵が絶妙なバランスで映像を飾ります。
冒頭でベラスケスの論を延々読み語りますし、チョイスがメジャー作品だらけなのもポップwアンディ・ウォーホルにおけるマリリン・モンローやキャンベルの缶みたいなもんでしょうか。
ガソリンスタンド強盗でESSOの看板から「SS」の文字だけ抜き出しナチスをちゃかしたり、小ネタもたっぷり仕込んでます。

もちろんヌーヴェルヴァーグの代表作ですから、当サイトでおなじみの60年代前衛演出もたっぷり。
「ストーリーをぶったぎり詩や文学の一節が映る」「赤だの緑だの極端に偏ったライティング」「登場人物が観客に語りかける劇中劇な演出」「政治や芸術を語りまくる会話シーン」など一通り出てきます。

ただ、おしゃれに決まりすぎてメケメケ成分少なめです。
「遠近パースききまくりな建物や室内」ショットが少ないからかな。それが好きだから残念。
南仏の自然シーンはキラキラして良かったですが。

★しゃべりすぎるがヤマなしオチなしコントな会話

ラストのランボーの詩は個人的にはあまりぐっときませんでしたが、セリフは結構面白い。
フランスインテリだからか、登場人物の男がどいつもこいつも俺のうんちく語りたがりで会話シーンのうざさも200%アップw
おフランス芸術男に寡黙という言葉は無いらしい。

しかし端々に、なぜか南国っぽいゆるい味がある。
特に60年代風シュールコントな会話ネタが好きだ。
通りすがりのチョイ役の男が昔の知り合いで、
「お前に10万フラン貸した」
「俺の嫁と寝ただろ」
と唐突にディープな修羅場を語り出したと思ったら、「元気か?じゃ!」と何事も無く去っていくwww
「じゃ!」の一言で片づける問題かよwなにがしたいんだおまえw

★気になる俳優ジャン・ポール・ベルモンド

最後に個人的にとても気になる木。
ジャン・ポール・ベルモンド問題について。
うめめちの中では10年以上も心の片隅にくすぶる大問題なのだ。

レビューをお読みの方はお気づきだろうが、私はお子様からジジイ、薄い系から濃い系まで「好きな男のタイプ」の振り幅が大きい。だがどうしても越えられない壁がある。
「ジャン・ポール・ベルモンドの壁」である。

でかい鼻。
モアイ像並みにくどい顔の輪郭。
生まれながらに年寄のような深すぎるシワ。
どこがいいのか一向に理解できん。

カッコイイ、セクシーと感じた事が一度も無い。
チャーミングかな?と一瞬思えるショットもあるが、次のショットでジミー大西ばりにゆるゆるなタラコ唇が映るともうダメなのだ。
「朝起きて隣にこいつの顔が寝ていたら」と考えるだけでグッタリする。

どうすれば克服できるのだろう。
少女の頃に嫌いだった〆サバをいつの間にか食べれていたように、石橋蓮司のようなタイプの男を好きになったように、今はまだダメでも後20年ほど映画観続けたらいつか彼をセクシーと思える日が来るのだろうか。
まあ別に克服しなくてもいいんだけれども。

(了)
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