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No.092『丑三つの村』

製作年:1983年
原作:西村望
監督:田中登
脚本:西岡琢也
ジャンル:昭和じめじめ凄惨皆殺しホラー
注記:R-18指定バイオレンス映画

092.jpg

夏だ!ホラーだ!
昭和じめじめホラーの季節だ!

ジャパニーズ・ホラー界ではウルトラメジャーな頭に懐中電灯巻いた殺人鬼、「津山三十人殺し事件」を題材にした映画。
同じ元ネタの『八つ墓村』もいいですが、昭和のネチっこい貧乏陰湿陰惨な描写を味わうならこちらがおすすめ。

『江戸川乱歩猟奇館・屋根裏の散歩者』と同じ田中登監督作品。
ホラーはもちろんじめじめエロスもぬかりなし。
★予告編



殺人鬼ストロングスタイルに心震える予告編。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

舞台は戦時中、岡山のド田舎の山村。
村でずばぬけて背が高い犬丸継男(古尾谷雅人)は村一番の秀才で、清く正しい18歳。教師検定を受けるために猛勉強中の彼は、唯一の肉親のおばあちゃん(原泉)自慢の孫だ。
頭が良すぎるゆえに村人の輪からビミョーに外れているが、なんとなく尊敬はされていた。

継男は幼なじみの美少女やすよ(田中美佐子)に惚れられてて、自分もまぁ悪くは思ってないけど、村の男女は皆親戚同士で血が濃すぎるから結婚は考えてない。
でも青春真っ盛りなお年頃ですので、初体験なら彼女と…って雰囲気。

そんなお年頃の清貧エリート青少年の生活が、ある日から一変する。
日本昔ばなしに出てきそうなのどかな山村に見えますが、実は夜の顔が凄かった。
「親戚同士で夜這いしまくり!エロエロ村」だったのである。

★ドロドロの愛憎関係が潜む小さな村

道端で村の子供が遊んでる。
よく見ると腰をふりふりセックスごっこしてる。

夜中に散歩すると人妻えり子(池波志乃)が村の青年団長・赤木勇造(夏八木勲)と、興奮で障子をビリビリ破るくらい激しくやっている。
別の人妻・ミオコ(五月みどり。いかにもw)が犬丸家に金の無心にやってくる。ついでにあんたも一発どうかしらと誘われる。

この村の人妻どもは旦那が出征とかで居なくなり欲求不満になると、当たり前のように村の若い男を夜這いさせては一発二発やりまくる、エロエロハーレムな風習があったのだ。

清く正しい優等生の継男だって18歳の若い男子だから、エロ人妻軍団にがっつり食われます。
えり子に押し倒され股間を揉まれて昇天し、ミオコに騎乗位でガンガン腰を振られて脱童貞
しかもミオコの子供が寝てる横で大胆な!んまぁー。
これじゃ子供もセックスごっこに精を出すよね。
で、毎晩夜這いしてりゃ子供もボコボコ孕むんだが、そういう血筋の近い不義の子は良くない子だととっとと川に流して始末するらしい。

さらに村には「愛」もあれば「憎」もある。
閉鎖的なド田舎にありがちだが、村には他の地域から越してきた「よそ者」一族がいて、親戚同士の生粋の村人たちに徹底的に村八分にされていた。
おかげで一族の息子は立派なハズレ者になり、ニワトリをいじめ殺したりして悪事を働いてた。
そういう困ったハズレ者はどうするかというと、なんと青年団が殺して山に埋めちゃえ~な計画を立てていた。

ヤバい暗部は川に流し山に埋めて始末して、昼はのどかな顔して暮らす恐怖のド田舎村生活。
さすがに「こんな悪い風習は健全な村の育成に害悪だ!」と思った青年団は、「ストップ夜這い&悪ガキ自警団」を組んで毎晩自主パトロールしてるんだが、団長が赤木勇造だから何の効力も無いw

★優等生からスケープゴートへ転落

さて夜這いで女の味に目覚めちゃった継男は、たぎる性欲で気が散ったのか教師検定試験に落ちる。
代わりに村人の憧れである兵隊さんを目指すが、徴兵検査でなんと肺結核が見つかり不合格。

肺結核の診断がたちまち村中に知れ渡り、失意どころか一転村八分の目に遭う犬丸家。
家は誰も来ず、街を歩けば避けられ、青年団に嫌われ、人妻に夜這いを断られ、やすよも別の男と結婚すると知らされる。

継男は生卵飲んだり犬と吠え比べしたりして自力で結核直そうとするが無駄無駄ァ。そんなまじないみたいな戦前の医療レベルじゃ病状進行を止めようがない。
窮地の継男は通りすがりの村娘(大場久美子)が少し親切にしただけで脳内恋人認定するが、娘は村の先輩の彼女だったので速攻失恋。なんかむかついたのでえりこ・ミオコ家に乗り込み無理やり夜這いかけようとして失敗。逆にボロクソに罵倒されて追い出される。

とどめにその晩継男は、青年団がハズレ者息子をリンチ殺人する現場を目撃してしまう。
翌朝死体が発見されて一応警察も捜査する。でも原因は自殺だとテキトーに片づける。
継男は「俺は殺人現場を見た」と証言するが、村の駐在も村人も誰も話を信じない。
「こいつ勉強しすぎで頭おかしくなったんや」
夏八木勲のふてぶてしくドスの効いた冷笑で自分を嘲る様子を見て、「次は俺がスケープゴートだ…」と継男は恐怖に駆られ、キチモードに突入します。

★俺、復讐してやるんだ。ヒヒヒ

継男は家の金を持ち出し自衛用の銃を買う。
「俺をバカにしやがった」村の女の名前を藁人形に書いてバンバン撃ちまくる。
村の地図にターゲット村民を書き込んだ「犬丸継男の戦場マップ」を作りニヤニヤ笑い。
嫌がらせに人ん家のヤギの乳を搾りまくる。
鉄砲でミオコを脅してレイプしようとする。
(でもミオコの旦那が事もあろうに石橋蓮司だったので逆にボッコボコにしばかれるw)
おばあちゃんに毒薬飲ませようとして、唯一の味方のおばあちゃんも家出する。

順調にキチ化する継男を目の当たりにして、村人たちも手をこまねいてる訳にいきません。
おばあちゃんの通報で警察が捜査に入り、銃や弾薬を没収する。
五月みどり&石橋蓮司一家は夜逃げする。
青年団長が継男の始末に動き出す。
でも彼等が対抗するほど継男もキチ化が加速。

「皆様方よ、今に見ておれで御座居ますよ」
夕暮れの村を眺めて宣戦布告する継男。
さあ全面戦争の始まりです。

…の前に、最後にちょっとだけ思い出作り。
初恋の人やすよが離縁されて出戻ってきたのを知り、継男は「お前も俺を裏切りやがって!」と入浴中に襲いかかるが吐血して失敗。
しかしやすよは血で染まった風呂の湯を頭からかぶり、変わらぬ愛を証明する。
結核がうつるかもしれないのに…俺の為に頭から湯を被るなんて…と感動した継男は、遂にやすよと結ばれる。

★丑三つ時の皆殺し劇場

悔いなくエッチもいたしたし、いよいよお待ちかねの三十人殺しの本番だ。

日本男子の最重要アイテム「新品の白ふんどし」を締め
上に学生服・ゲートル・足袋をまとい
銃に日本刀に斧にショートナイフと武器フルセット
両こめかみに懐中電灯をセットして
日本一有名な殺人鬼ストロングスタイルの感性です。
188㎝の古尾谷雅人がこの出で立ちだからまじ怖い。リアルで遭遇したらショック死しそう。

戦闘態勢が整った継男の初戦はVSおばあちゃん。
ご老人を斧で一発首チョンパ。
次に意地悪な隣家夫婦をさっくり惨殺。

途中でヤギ乳飲んでHP回復しつつ村中を走り回り、大場久美子も青年団も、自分をバカにした村の女達も老若男女問わず撃って斬って殺りまくる。
夏八木勲だけは激しく抵抗されて仕留め損なったが、最後に夜這いの元凶・人妻えり子の股を開き、
「ここがいかんのやーー!!!」
と弾撃ち込んで血しぶきエンド。

こうして2時間で30人殺した実録事件通りに殺戮ショーをやり終えた継男は、やすよの制止も聞かず自分で自分を撃って短い生涯を終えたのでありました。


★感想

暗えなぁ。

物語は日本人なら忠臣蔵の頃からおなじみの「理不尽な耐えて恨んで最後に仇討ち血ドバー」だし
惨殺シーンはアクションもキレ良く、爽快感すらあるし、女優達のヌードもエロも惜しみなく見せまっせーな、普通にサービス満点な昭和エロサスペンスなんですが
観終えた感想は一言しか出ない。
暗ぇ。

ほんとに暗い。
鳥肌が立つほど暗い。
画面に陰鬱な感情のブラックホールが渦巻いていて、スクリーンの対岸に居るこちらまで呑み込まれそうなドス黒いエネルギーを感じます。

狭く特殊な人間関係と性欲に足を取られ、蟻地獄へ堕ちる蟻状態の犬丸青年の虚ろな姿は、ひたすらに息苦しく気味が悪い。
初恋の女と結ばれる、ほんの少しの救いもあるけれど、それすら傍から見ると「出戻り女と病気もち男が村外れでアオカン」だ。
未来の無い2人のセックスの淫靡な後ろめたさに圧されて、「念願が叶って良かったねえ」って気に到底なれない。

陰惨をことさらに掻き立てる演出も怖い。
昭和初期の貧乏村を緻密に作り込んだセット。
赤と言うより紫色にどよーんと染まる夕暮れ空。
村を取り囲む森でそよめく樹々のどす黒いシルエット。
とどめに村外れにぶらーんと垂れ下がる首吊り死体。
いつ子供が神隠しに遭ってもおかしくない、いつ村の誰かが大量殺戮に走ってもおかしくない、プリミティブに恐怖な空気作りが上手いです。

しかも画面は暗くても、決めの恐怖シーンでオーケストラがジャジャン!ジャジャン!と鳴る仰々しい映画音楽だったらまだ救いはあるが、70年代だからフュージョン音楽なんですよ…
盛り上がりも無くだらだら流れるヘタレBGMがダウナーモードに拍車をかけます。
ほんと、サゲ気分の時に絶対観ちゃいけません。
鬱のぬかるみにはまりそう。

★古尾谷雅人188㎝の哀しみ

さて役者の感想。

185㎝越えの長身俳優とは、「3高(古いな)イケメン王子様」な役どころでキャーキャー言われてもてはやされる割に、絵的に使い勝手悪いし実力以上に棒演技に見えるし、長身すぎるゆえに壁にぶち当たる哀しい存在です。
阿部寛もそれで1回は消えましたし。
はまれば最高にカッコイイんですがねえ。

古尾谷雅人もまた、映画やドラマの中でどこか居心地の良くなさそうな役がはまる人でした。
演技は棒じゃないし華もあり顔も悪くないけど、だからゆえ松重豊のように、曲者脇役専門怪優に徹するだけの屹立したキャラも無いような…という主役畑長身俳優特有の哀しみを背負った人に見えました。

そんな彼自身の哀しみが役に活かされてます。
映画の序盤で継男が村人に混じって村の表通りを歩くシーンがありますが、小柄な昭和田舎人の群れの中で、常に頭ひとつ出ているガリバー状態。そんな彼を表面上は優等生だと褒めながら何となく理由無く敬遠する村人達との、ビミョーな距離の開きが素晴らしく効果的です。
「他の人より身長が高い」程度の小さな距離感が、ド田舎村の濃い人間関係の間で日々積み重なり、大量殺人へ至る深い怨念を産んじゃうのです。
こんなにナイーブに怖いシーンってあるかな。
哀しいくらいハマリ役です。

★おまけのお楽しみチェック

さてこの映画公開当時の売りと言えば「4女優の脱いでエロエロ競艶」ですが、実際のエロ度はどうだったかというと

田中美佐子はまじお宝。
池波志乃は熟女エロエロ全開。
五月みどりはまぁ予想通り。

しかし大場久美子は「脱いでエロエロ」の範疇に入るのか?
エロエロをうたうなら…他の3人はがっつり脱いでがんばってんだから、もうちょいサービスしてもさぁ…
そこだけが疑問。

(了)

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