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No.096『血を吸う薔薇』

製作年:1974年
監督:山本迪夫
脚本:小川英、武末勝
ジャンル:吸血ゴシックホラー愛の劇場

096.jpg

真夏の納涼・岸田森まつり
血色が悪くていかにも納涼ホラー風情の漂うお顔であります。
はまり役のドラキュラシリーズより。

おそらく今日びこの映画を観る人は9割9分岸田森目当てでしょうが、主役は一応黒沢年男であります。
しかしドラキュラ映画のドラキュラ役でパッケージの映りも断トツデカいのに、クレジットが主役じゃないってさー!
そんなのアリかしら。

★あらすじ(青字はネタバレあり

駅員は超感じ悪く、道端には事故車を放置。
明らかに不穏な村の八ヶ岳山麓魔ヶ里村にある由緒正しき私立高校・聖明学園に、新任教師の白木(黒沢年男)が赴任してきた。

着任のご挨拶に学長の館を訪問すると(バイオハザードばりのクラシック洋館である)、出迎えた学長様(もちろん岸田森)は
君を学長の後継者にする
と赴任早々「おいおい聞いてねーよ」な話を唐突にぶちかます。

しかも学長様のご好意で館に一泊したところ、夜中に怪しい謎の女に遭うわ、隠し扉の向こうに怪しい地下室を発見するわ、棺桶入りの学長夫人(桂木美加)の遺体を見つけるわ、不吉な出来事の始まりとしか思えない体験をする。
あーやーしー。
しかしほぼ初対面の人ん家の地下室に入り棺桶の蓋開ける教師ってどうよ?と思うが。

さて謎の学長様の館は一旦忘れて、白木は教師生活をスタートさせる。
が、いきなり保健室担当の下村校医(という役名であるいつもと同じ田中邦衛)から、「学園の生徒が1人消えた」とサラッと言われる。
深刻な話をサラッというなよ。軽っw
聖明学園は由緒正しき名門高校の癖に、フツーに年に1~2人生徒が蒸発するらしい。
実に管理不行き届きな話だが、サラッと消えた生徒の資料を調べたところ、なんと学長の館で見た謎の女と瓜ふたつだった。

興味を抱いた白木は、学校寮の美少女生徒・西条久美(望月真理子)を呼び出し話を聞く。
ところが話聞いてる最中に、久美の友達・杏子(荒牧啓子)が、昼間はいないが夜は学内を徘徊してるばりばり不審者の学長様に遭遇!
襲われて血を吸われて誰かに体を乗っ取られたような催眠状態になる。
久美ともう1人の友達・雪子(太田美緒)が看病するが、吸血鬼になっちゃった杏子は雪子に魔の手を伸ばす。

★少々無茶設定の日本版吸血鬼伝説

という吸血鬼映画らしいエピソードと並行して、白木と田中邦衛が学長の謎を解き明かすんだが、何故か話は江戸時代にさかのぼる。

昔むかし、飢饉中の日本にキリシタン外人が漂着した事があった。
外国人が漂着という事は海辺である。でもなんでわざわざ八ヶ岳くんだりまで行き助けを求めたのか謎だが、まあいい。
彼は飢えた農民に袋叩きにされて転びバテレンになった。
八ヶ岳山麓のはずがなぜか砂漠の荒野を歩き、水のかわりに少女の血を吸ってたので、農民は叩き殺して棺に埋めたという。
その転びバテレン&少女吸血鬼が200年後の現代に蘇ったのでは…?という訳だ。

さて高校では雪子が襲われ行方不明、杏子が転落死、田中邦衛は殺され底なし沼に埋められる、な惨劇が続き、やっと地元警察がやって来る。
遅いわ!
しかし学長様の手先の国語教師(佐々木勝彦)が学長様のアリバイを証言したからか、刑事が伊藤雄之助だからかw
捜査はテキトーに事故死と片づけて終わる。

★生気なさそな学長夫妻まさかの大暴れ

孤立無援の白木だが色々調べた結果、現代に蘇った転びバテレン&少女吸血鬼は学長夫妻となり聖明学園を運営(どこからそんな金が…)。
旦那は青年教師を雇い入れては「次期学長候補」と称して体を乗っ取り、夫人は手ごろな女子学生の体を乗っ取りながら生きながらえているとわかった。

吸血鬼が体を乗っ取る方法がなかなか荒業。
学長夫人は雪子をハサミでザックリ刺し!顔の皮を剥ぎ!自分の顔に貼りつければ、たちまち乗っ取り完了。
若いエキスを吸うとかそんなんじゃないのか。顔さえ若返ればいいらしいw
さらに学長夫人の魔の手は久美にまで伸びようとしていた。

白木は久美を助けるべく、洋館に潜入して吸血鬼夫妻と決死のバトルを繰り広げるが、
顔色は今にも死にそうなのに岸田森が謎のアクションキレキレ!
顔をわしづかみして体振り飛ばして大暴れ!
吸血鬼ってよりフランケンシュタインだよ。

さらに女子高生の肉体を乗っ取りパワーアップした学長夫人が旦那にタメ張る大暴れ!
さすがのハングマン黒沢年男も苦労する。

でも最後はお約束通り吸血鬼の体に杭を打ち、夫婦仲良く骸骨になってジ・エンド。
助かった久美と白木がひしっと抱き合うとか、聖明学園は平和になってあー晴れ晴れとか、そういうアフターエピローグなどなーんにもなく、吸血鬼が骨になったらさっさと終わるのでありました。


★感想

いやー話はまぁ普通だが面白いです。

欧米的重厚ゴージャス演出が絶望的に弱い日本で、ヨーロピアンゴシックベースの物語を映画ドラマ化する時にもわもわと匂ってくる、特有の薄っぺらさ貧乏臭さパチもん臭さや、セットの書き割り臭さいわゆる赤毛芝居臭さ。
思い出すだけで溜息が出る作品が多いなかで、この映画は比較的見やすい。
そりゃ本場に比べるとチープですが、B級なりに所どころ画面作りが凝っていて、ゴシック風味はまあまあ満足な仕上がりです。

洋館のからくり硝子部屋の朽ちた風合いとか、学長夫人の死体を愛でる国語教師の佇まい、棺に横たわる夫人を照らす冷たくほの暗い光。
あらすてきぃ。
あと吸血鬼映画の被害者の全寮制女子高生徒はふんわり白ネグリジェはマストアイテムですね。
ゴシックホラーとして押さえるポイントをきっちり押さえてます。

★ナチュラル・ボーン・ゴシック役者、岸田森

でもやっぱり日本映画にしてはゴシック度数が高い一番の要因は、「岸田森がいるから」でしょう!

吸血鬼役者に必須な要素は「血色悪さ・品の良さ・高身長」と言われますが、
さすが岸田森。背の高さ以外はパーフェクト。
背の高さだって独特の「幻の長身感」(実相寺昭雄監督作品『曼荼羅』レビュー参照)のおかげで違和感ゼロ。
歯茎から牙が生えてても、唇の端から血がこぼれても違和感まるでゼロw
黒マントに白のロングマフラーを普段着のごとくゴシックかつナチュラルに着こなせる役者は日本で天本英世ただひとりと思ってましたが、岸田森も全然負けちゃいない。
何を着せても面妖頽廃がキマりますなぁ~。
ナチュラル・ボーン・ゴシック指数の高さに今回も恐れ入りました。

★やっぱり気になるラストの木

と、うっとり堪能しつつも岸田森のヅラ加減には毎度ながらツッコミ心がうずうずしますが、
同様にツッコミ心がうずく「映画の見どころ」が吸血鬼伝説を日本の風土に落とし込む脚本演出の、相当苦しいこじつけっぷりwww
八ヶ岳山麓が砂漠化、キリシタン外人が蘇ると何故か岸田森、水のかわりに血を吸いますって話も突拍子無いが、笑ったのがラストの学長夫妻骸骨化シーン。

吸血鬼の欧風ゴシックホラー世界を壊さぬように、また「江戸時代に日本に漂着したキリシタンと血を吸われて吸血鬼となった日本人少女」なんて無茶な設定までして作り上げた「200年の時を経た吸血鬼の哀しい愛の劇場」というセンチメンタルな物語が、ものの見事に水の泡。

なんで洋館で吸血鬼が死ぬシーンのBGMが「いよぉ~ポン!」な能楽ミュージックなんだよwww

演出が突飛すぎるもほどがあるだろw
なんという強引な和洋折衷wなんかおめでたい感すらするしw
あまりに予想の斜め上なガラガラポンぶりに、カタルシスさえ覚えたうめめちなのでした。

(了)

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