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No.101『ウィッカーマン』

公開年:1973年
監督:ロビン・ハーディ
脚本:アンソニー・シェーファー
ジャンル:悲惨で笑えるエロバカミュージカル

101.jpg

心新たにレビュー101作品目。
風の吹くまま気の向くままー♪にぼちぼち更新しようかと。

ちょっと前だが時事ネタ乗っかり。スコットランドの愛すべきカルトバカ映画。
最初からネタバレするが、この映画といえば「世にも悲惨な死亡シーン」で有名である。
何もかも素晴らしいが特に最高なのが死亡シーンなのです。

「映画史上最も悲惨な死亡シーン」と言われる、『エイリアン』ジョン・ハート船員の「顔にエイリアン貼りついて卵妊娠して腹突き破ってご出産」が東の横綱なら、こちらは西の横綱といえる死にっぷり。
どっちも「こんな死に方絶対したくねえ」のは一緒だが、あちらは正統派SFホラーで凄惨でショッキングに死んでいかれるが、こちらは悲惨だが大いに笑えてちょっと哀しいw
★予告編



ほのぼのゆる~いフォークロアミステリーな予告。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

スコットランドの雄大な自然の中に孤島がぽつん。
ここはのどかなサマーアイル島。名産品はりんご。時は5月(という前提だが撮影風景はどう見ても秋)
そんな島の住民の少女ローワンが行方不明になった。ところが島の誰も警察に通報しない。
ある日「行方不明の少女を探してほしい」と匿名のタレコミがあり、スコットランド警察の童貞中年ハウイー巡査部長(エドワード・ウッドウォード)が1人で島を訪れるところから話は始まる。

ハウイー巡査部長は早速聞き込みを始めるが、島民は曲者揃いで排他的で非協力的。
しかも誰に聞いても「ローワンは半年前に死んだ」と答え、ご丁寧に埋葬したお墓まで見せてくれる。でも棺に死体は無く、かわりにウサギが入ってたw
少女は本当に死んだのか?少女はどこへ消えたのか?

★クリストファー・リーが治めるあやしいエッチな村

さらに信じがたい事にサマーアイル島民はみんなキリスト教じゃなくて、謎のケルト系原始信仰らしきものを信じていた。
病気の子供には口にカエルを突っ込んで治し、小学生はトーテムポールの周りで歌って踊り、墓に小枝にへその緒刺してブラブラぶら下げる。

しかも原始信仰の教えはセックス大好きらしく、島民は大人から子供までエッチづくし。
昼は若い娘がストーンヘンジの周りで裸で踊り、小学校の授業では「あれはなんですか?」「ハイ先生!チンポです!」「よくできました」w夜はパブでエロカラオケで盛り上がり、若者は青カンで乱交にいそしむ。
童貞巡査部長も民宿の看板娘ウィロー(ブリット・エクランド)に、すっぽんぽんでエロい替え歌を歌って踊りながらせまられる

いい村じゃねえかw

そんなヘンな村の謎の鍵を握るのが、領主様の妖しさ満点サマーアイル卿(クリストファー・リー)。
ハウイー巡査部長は彼に捜査協力をお願いするが、「キリストの神は議論負けして死んだ」などと超理論炸裂wで逆に不信感が増す始末。

話にならん!とハウイー巡査部長は島民の協力を当てにせずコツコツ捜査。すると村には『5月祭』と『感謝祭』の2つのお祭りがあり、「りんごが不作の年の『5月祭』では、去年秋の『感謝祭』の主役が生贄に捧げられる」なる迷信を島のみんなが信じている事を突き止める。
ローワンは去年の『感謝祭』の主役だった。
今年はりんごが不作らしい。
って事は彼女は『5月祭』で殺されてしまう!とヤバい予感がしたハウイー巡査部長は、一旦本署に引き返して応援を呼ぼうとするが、ヘリが故障して万事休す。
そこで巡査部長はウィローのパパを倒して成り代わり、『5月祭』に単身乗り込んで少女救出を試みる。

★不気味ゆるキャラ大集合なカーニバルの結末

さてあやしいお祭り『5月祭』。
村が村だけにどんだけ酒池肉林かっ!と思ったら、ほのぼのゆるキャラ祭りでした。
ロン毛女装のクリストファー・リー領主様を先頭に、島民たちがアニマル仮面・巨大人型パン・サーモンヘッド衣装などのコスプレして、♪らんらららん♪と歌いながら島内をだーらだーら練り歩く。
最後は岸壁で酒樽割って海にお神酒を捧げる。
そんだけ。
仮面のデザインセンスがどうにも変なだけで、フツーに田舎の陽気なお祭りである。

しかし「何も怪しいところが無いのが逆に怪しい」とにらんだ巡査部長が岸壁を捜索したら、洞窟に隠されていたローワン発見!
「さあ逃げるんだ!」
巡査部長がローワンを救出して、さあみんなを逮捕するぞ!となったところで、洞窟の外で領主様と村人みんながお出迎え♪

実はローワン行方不明っつうのは狂言だった。
この後始まる「真のお祭り」の為に仕組まれた罠だった。

「りんごが不作の年の『5月祭』は生贄を捧げる」は本当だが、例年はフツーに家畜動物を捧げてたらしい。
ところが今年は極端な大不作。
いつもの牛豚鶏羊さん達じゃパワーが弱い。不作の呪いを払うにはスペシャル生贄が必要だ。しかもとびきり純潔で信仰深く高潔なブツが良い。
それで少女?いやいや子供ごときじゃパワー不足。

つまり信仰深く、職務に忠実で高潔な、とびきり純潔なアラフォー警官(童貞)であるハウイー巡査部長を真の生贄にするために、少女行方不明事件をでっちあげてサマーアイル島に招いたのだ。
ハウイーさんありがとう。君こそ島を救う勇者だ。
さて儀式を始めよう。


という訳で真のお祭り会場には、ドーン!と木と藁で作った巨大ハリボテ人形・ウィッカーマンがご登場!
村人達が♪らんらららん♪と輪になって歌うなか、哀れ巡査部長は牛豚鶏羊さんとご一緒に、ハリボテ人形の中に閉じ込められ、藁に火を放たれて、
生きたまま燃やされるのでありました。


★感想

ひでえwww
こんな死に方絶対したくねえwww

しかし「ド田舎の閉鎖環境と密な人間関係が産んだ土着カルト宗教が起こした猟奇犯罪」という、ホラー系でありふれたネタだがありふれてるだけに、色々デリケートな諸問題を避けつついかに他と差別化するか、表現の落としどころが難しい問題でありながら、
ゆる~いお笑いブラックミュージカルに仕立てた製作チームの腕の良さにびっくりします。
ネタの展開、キャスティング、ロケーション、美術、どこをとっても絶妙のさじ加減。
B級ネタ映画の教科書であります。
特に村を飾り立ててるゆるキャラのデザインが欧米らしく生々しくリアルで可愛くねえのがいい。

可愛いキルトファッションできめたクリストファー・リー領主様を筆頭に、村人はどいつもこいつも味のある曲者だらけ。
そいつらと相対するクソ真面目警官(童貞)を演じるエドワード・ウッドウォードが、上手いんだけどうっすら吉田照雄の匂いがしていいw

スコットランドの古い民謡を歌いまくったフォークロアミュージカルはどれも曲が良かった。
ラストの♪らんらららん♪な合唱曲『夏はきたりぬ』の雄大な響きは格別として、他にはサビがヘイホー♪な『willow's song』が、童貞おっさんを誘惑するストリップソングの癖にw何故か物悲しい音色で、秋空にしみじみ似合います。

★予算の都合が生んだ奇蹟のラストシーン

あとラストシーンはほんとにいい。
伝説のラストというだけある。

合唱曲『夏は来たりぬ』を熱唱する歌声が力強くて底抜けに楽しそうでw素晴らしい。
ちなみに「時は5月(という前提だが撮影風景はどう見ても秋)」は予算の工面が厳しくて早撮りしなきゃいけなかったかららしいが(証拠に森は紅葉してるし草は枯れてるし)、あの絶望的で笑えて物哀しい最期には、断然秋の夕暮れが似合う。
旧約聖書の詩編を涙声で絶叫する姿にも、BGMの太鼓の音と歌のメロディにぴったり合う。
枯野に『夏は来たりぬ』なんて鮮やかな皮肉も効く。
何といっても焚き火の炎は秋が映えるw

最初の構想通りに5月に撮影してたら、情感は3割くらい減るだろうなあ。
奇蹟であります。
個人的には、水平線に沈む夕陽をバックにハリボテ人形の頭がメキメキと崩れ落ちるシーンは、かのテレンス・マリック『天国の日々』に劣らない素晴らしい夕暮れだと思います。いやネタじゃなく。

★おまけ

ちなみにこの1973年バージョンを愛する人は、リメイク版は絶対観ちゃいけません。

と今更私が言わなくても駄作で有名なんだが、リメイクするにしても改悪はなはだしい。
ニコラス・ケイジ主演な所から、ほのぼのカルト映画の味わいなど期待してなかったが、まーひどい。なんであんな設定にする意味があったんだ。
ハウイー巡査部長が童貞じゃないなんて映画の肝が腑抜けじゃねーか。

映画界には「ヨーロッパのカルト映画をハリウッドがリメイクするとことごとくダメ化する」という定説がありますが、いい脚本・監督・役者が湯水にいながら、なんであそこまで映画の肝をことごとくダメにするのか理解できん。
ハリウッドって不思議。

(了)
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