No.105『変態家族兄貴の嫁さん』

公開年:1984年
監督:周防正行
脚本:周防正行
ジャンル:ほのぼの崩壊するロマンス家族映画
注記:R-18指定ポルノ映画

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あやしい家族の絆シリーズ。
小津安二郎作品へのオマージュで埋め尽くされた周防正行処女作。ポストモダンなロマンポルノ映画としてプチブームが起きたらしい、なかなか有名な作品だそうだ。

わたくし前衛バカ映画愛好家ですから、小津安二郎なんてご高尚な映画作品などなんか試しに1回観た事があるだけで、いまのところ他のを観る気もレビューする気もございません。
ので、正直言うと『変態家族』のどこのシーンが何の小津作品のオマージュかワケワカメであります。

まぁ小津抜きでも本作は、ほんわかした昔なつかし昭和レトロと80年代アイドル映画系の軽~いチープノリが素敵に融合したバカポルノであります。
お気楽にどうぞ。
★あらすじ(青字はネタバレあり

お茶の間に富士山の絵が掛かっている、サザエさんみたいな昭和レトロな一軒家に住んでる平凡な一家が主人公。

間宮周吉(大杉漣)とOLの長女・秋子(山地美貴)、高校生の次男・和夫(首藤啓)は淡々と困っていた。
銀行員の長男・幸一(下元史朗)が結婚して若妻の百合子(風かおる)と同居してくれてるんだが、2階の寝室で毎晩セックスするんである。
昔の日本家屋だから音とかお茶の間に筒抜けで、お年頃の弟妹とほのぼの団欒もしづらい日々。
周吉父さんは気まずさから、つい家を抜け出して馴染みのバーのママ(麻生うさぎ)と飲んでしまう。

でも夜中の物音を除けば兄貴の嫁さんは理想の嫁。
白ワンピふりふり白エプロンで家事をこなし、義理の父の世話もかいがいしくしてくれる。
80年代アイドル風なあどけない笑顔とむちむちプリンないいカラダで旦那に尽くしてる可愛い大和撫子だ。
夜の方も前から後ろから騎乗位から尽くします
梱包ビニールひもでほのぼの緊縛もいたします

★後半あっという間に崩壊する小津的家族

平凡だが幸せに暮らしてた間宮一家だが、意外にもほのぼのしながら家庭崩壊する。

まずこーんないい嫁が居ながら幸一が浮気する。なんと相手は周吉父さんの想い女・バーのママ。
幸一は嫁を捨ててママと同棲し、茶の間にビニールシート敷いて蝋燭プレイ小便プレイにいそしむ日々を送る。
秋子は「平凡な日常に飽きた」とソープ嬢に転職し、ソープ支配人と結婚して家を出る。
和夫は本屋でソープガイドを万引きして補導されるが、若い青少年のたぎった性欲をどうにか鎮めようと、百合子は若妻の体を与えて一発おやりになる

そんな風にほんわか激動する間宮一家の中でひとり小津的スタンスを崩さず、静かにみんなを見守ってた周吉父さんと2人きりになったうららかな昼下がり、百合子は心のうちを語る。
「夫が帰るまで、この家で待ちます」と。
父さんは「そうか…」とつぶやいて、小津的態度で静かに受け止めるのだった。

こうして義父と嫁は再びほのぼの~な日常に戻ったが、ある日百合子が2階を掃除してると、部屋の隅から思い出の梱包ビニールひもが出てきた。

在りし日に、あの人が縛ってくれたひも…

「ああ…」
平凡で幸せだった新婚生活を想い、なんか感極まってきた百合子は、ひもをネタに涙のひとりエッチに耽るのだった。


★感想

暑くも寒くもなく穏やかに晴れた日に、事件も諍いも無い平和で平凡な町で、お茶の間縁側がある昭和な一軒家に住んでいる平凡な一家。
口を開けば「ん」「あー」「そうか…」ばかりの無口で飄々とした父さん。
誠実な男たち、気立ての良い女たち。ご近所トラブルも無縁な善き人々のお隣さん。
みんなあさっての方向を見上げて微笑んでる。
庭先でホーホケキョとうぐいすが鳴く。

小津安二郎な日本の家族の風景って、こんな感じでよろしゅうございましょうか。間違ってたらすみません。
そんなザ・昭和日本家族がエッチしたらどんな感じ?と、映画好きの物好きなら誰もが頭によぎるw思いを素直に映像にした作品。サザエさん同人本に近いテイストがあるかも。

普通な良い夫と普通に可愛い気立ての良い若妻が、ほんわか棒読みで日常会話を語るのと同じノリで、ほんわか穏やかに規則正しく腰を振るw
SMプレイも規則乱さずほのぼのとw
そういう物好き方面の好奇心は満足できます。ポルノとしてはオイオイ!なレベルだけどw
『変態家族兄貴の嫁さん』と素晴らしいセンスのタイトルつけるほどの変態じゃないですが。

★しかし残念ながら聖域は守られた

しかしだな。
物好きならもひとつ頭によぎりませんか。小津作品知らない人も、まず思い出すあのひとが。
日本人の心のおじいちゃん、笠智衆様。
大杉漣が笠智衆役だと知って私てっきり、ラストは兄貴の嫁さんと平凡一家(父さん含む)がほのぼの仲良く乱交プレイすると思ってたんだが。
だって見たいじゃないですか!笠智衆様が一発やってるお姿を

日本人の心の聖域「枯れ爺さま」と変態ポルノ。究極の折り合いをどーやって落とし前つけるのか?と割と興味津々で観たわけですが、でも小津安二郎を敬愛する周防監督は、敬愛ゆえにそっちの変態に手は付けれなかった。
周吉父さんと百合子は最後までエッチせず、日本人の心の聖域は守られた。
うーん残念w

★80年代アイドルバカポルノってなんか好きだ

さて小津作品を忠実にオマージュしてはいますが、1984年製作の低予算ポルノ映画なので、80年代の空気がだだ漏れです。
特に主演の風かおるのルックスがもろアイドル。美人じゃないがぽわ~んと可愛く、ふっくらバディ。昭和新妻必須の白いふりふりエプロンwが似合ってる。

本作や前にレビューした『濡れて打つ』みたいな、軽くポップでキャピキャピ☆しててエロス薄めで「ちょっとエッチなアイドルドラマ」ノリの気楽にいい気持ちになれるバカポルノが、私は大好きだ
情念濃厚な70年代ロマンポルノの名作は確かに良い作品なんけど観てて疲れるし、女優だって平成世代ほどあか抜けてないけど、可愛くていじらしいんですよね。

なかでもアイドル的いじらしさが際立ってたのが、ラストのビニールひもシーン。
まっ昼間の2階で堂々と窓を全開にしておやりになるw
晴れた空。和室をやわらかく照らす午後の光。ローアングルで見える窓の外のノンビリした日常風景。
外は晴れやかなのにひとり哀しく、静かに悶える新妻のいじらしい姿に思わずキュンとなる。
いいわー。
他のシーンは「小津っぽくしてます!」な頑張りが小津系部外者は鼻に付く感じもしないでもないですがwここは良かったです。

ああ、明るく軽いバカポルノがもっと見たい!と常々思ってますがなかなか発見できない。
どこかにいいバカ無いでしょうか。あったら誰か教えてほしい。

★おまけの駄話

古き良き名画をよく観ている実家の親が「『晩春』はお前にもちょっと面白いかもよ?」と教えてくれました。
「原節子がいき遅れの潔癖症のファザコンで上品な美女だがそこはことなく気持ち悪い」らしい。
気持ち悪いのか…
気が向いたら観ることにする。

(了)
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