No.107『ブルークリスマスBLOOD TYPE:BLUE』

公開年:1978年
監督:岡本喜八
脚本:倉本聰
ジャンル:聖夜気分を盛り下げるオカルト娯楽映画

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早すぎるけどメリークリスマス☆
今年のクリスマスも仕事ひとすじ☆うめめちのメリクリ嫌がらせ企画。

おととしは『恐怖奇形人間』でエログロ気分。
去年は『赤い天使』で戦場スプラッター気分。
今年はベタに青い血で乾杯だ。
ブログも3回目のクリスマスなんですねえ。しみじみ。

ちなみに本作は鬱系暗い映画特集で名前がよく挙がってますが、正直鬱になるほどのめりこむ話じゃない。
暗いってより、なんだかなあ。ただただ脱力するばかりです。
★予告編

Dailymotionの予告編。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

1978年、著名な科学者の兵藤教授(岡田英次)が「UFOと宇宙人と青い血人間の研究報告」を演説して、京都国際科学者会議は大騒ぎ。ほどなく教授は失踪し、日本国営放送の南記者(仲代達矢)は局長命令で失踪事件の行方を追う。

同じ頃。世界各地でUFO目撃情報が相次ぎ、目撃後に血が青くなった人間が出現する。
ソルボンヌ大学生が!人気ロックバンドのメンバーが!ソ連の田舎で生まれた赤ん坊が!大河ヒロインに抜擢された新人女優が!スクランブル出撃中にUFOを見た自衛隊員が!どんどん青い血人間になっていく。

未知の現象に危惧を抱いた政府の指令を受け、国防庁特殊部隊の角刈り自慢男・沖隊員(勝野・テキサス・洋)はゴルゴ13系の有能さで「青い血人間を摘発する」秘密任務を粛々とこなす。
仕事は有能でも私生活は「不器用ですから」タイプの沖隊員。でも任務の合間に訪れた角刈り御用達理容室で、清純美女・冴子(竹下景子)と出会ってデキる。
しかし彼女もまた青い血人間になっていた…

というスケールのでかいオカルトパニック物語を、『北の国から』の名脚本家・倉本聰先生がヒューマニズムたっぷりに展開します!
とほめたいところだが、…残念ながら序盤からもう『幻の湖』的ダメ映画の香りが漂ってきます。

★倉本聰先生、チープなベタネタ連発です

まず世界のヤングに大人気☆おフランス出身のロックバンド『ヒューマノイド』の設定がひどい。
ジョルジュ・ジャン・リノ・アランのビートルズ編成4人組。
大ヒット曲『ブルークリスマス』を引っ提げ初来日!したはいいが、来日会見でヘラヘラ笑って麻薬を吸うし、夜はグルーピーと脱いで踊って乱交パーティーw
最後は「クリスマスイブに何かが起こるっ!」とご丁寧にライブでぶっちゃけ、政府の秘密指令で自家用機を爆発させられあっさり即死。

やっすい。

ヒューマノイドの乱交パーティーに事務所命令で参加した青い血新人女優は、麻薬不法所持疑惑で濡れ衣を着せられ逮捕。大河ドラマのヒロイン降板。しかも彼女の恋人は政府に「青い血は敵」と洗脳されており、
「異常に顔が青い…青い血のせいで」
と怖がられたので、彼女は絶望して自殺する。

いや、そこかよ!
顔が青い原因が青い血のせいだったら、もっと前から異常に顔が青かったはずじゃん?とか、そもそもただの貧血じゃねーか?とか考えねーのかよ!
ていうか、青い血人間の発見方法が雑である。
青い血人間はパッと見区別がつかないが(こいつ最近顔色悪い?程度に青白い)、青い血が特徴的に出る器官もあるようだ。

たとえば。

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こんだけベロが青くちゃ日常生活でも普通にわかるだろーよ!

それに消えた教授を追う仲代達矢記者の取材方法もひどい。
NASAの広報に「秘密組織はどこだ」と直球で詰問して笑われ、ニューヨークの街角で通行人の一般人を捕まえて「日本人科学者のプロフェッサー兵藤を知らないか」と直球で聞きまくっては「知らねー」と返されまくり、ブチきれてゴミ置き場のごみ箱を蹴る始末。
どんだけ直球攻めが好きなんだw
NASAの広報が秘密組織を答える訳ねーだろ!アメリカの一般市民が日本人教授の名前聞いて即答できるわけねーだろ!
ずさんな取材力にも程があるwと笑う所だが、なんと!こんな直球取材でさっくり教授発見。
うそぉーw

教授は仲代達矢記者に青い血のメカニズムを教える。
UFOが光線を発して血を銅に変えるんだそうだ。すでに1億人以上の血が青になってるらしい。
で、教授は訴える。
「青い血は人類の敵という噂が一方的に流されてる」
「青い血に恐怖を持つよう指導者が仕向けている」

…血が青かったら指導者が仕向けなくても普通に怖くね?

ニューヨークの共同墓地で堂々取材に答えてる追われてる身なのに無防備すぎる教授は、案の定『指導者』の手下に連れ去られる。

★脱力。ベッタベタ処女コント

さて日本では政府が全国民に血液総点検を実施。発見された青い血人間は特殊部隊に捕まえられ、米軍のミッドウェイでシベリア収容所送りになり、ロボトミー手術されたり人体実験されたりする世界連携プレーで処理されていた。
青い血の陰謀を知った者達も次々消されていた。
ニューヨークで連れ去られた後、パリで再登場した教授が帽子を取ると、頭に明らさまな手術の傷跡。
「あっ!ロボトミー手術の痕!」
昭和だなーw

そんな青い血掃討作戦を政府の命令通りこなしてたテキサス沖隊員だが、恋の方は冴子と同居するシスコンタクシー運転手の兄(って設定の田中邦衛)に阻まれて先へ進めなかった。
でもある日ドライブデートしてたら、冴子がポツリと「今日はお兄ちゃんいないの
不器用な男もよっしゃあ!といきり立ちまして、そのままラブホへGO!
遂に念願の初セックスを果たす。

事後、冴子がシャワー浴びてる間に煙草ふかしてムフフフ~とむっつりスケベな顔で余韻に浸ってたら、
あら。中指の先に青い血が。
すると沖隊員は指先見つめてフッと微笑い、

処女だったのか…

そこ!?
まず、そこかぁ!?
血の色がどうとか気付くより先に処女判定かよ!!
まぁ次の瞬間「む、これは?」と気付いた沖が布団をめくるとシーツに青い血がっ
ベッタベタやな。
鈴木則文監督作品ばりのエロバカ処女コントを、一応シリアスらしい映画の「ヒロインが青い血人間だと恋人にばれる」最重要なシーンで真顔で展開するとは…
倉本聰先生の天然演出恐るべし。観てるこちらは脱力するしかありません。

さて大量のUFOが飛来するらしい、との極秘情報をキャッチした各国政府は、地球を守るためクリスマスに青い血人間粛清計画を実行する。

12月25日の朝、世界各地で大量殺戮が行われるなか、沖隊員は冴子だけは逃がそうとするが努力空しく、特殊部隊は冴子の家を包囲していた。
沖隊員は冴子手作りのラブラブクリスマスケーキに銃を撃ち込むと、「他人にに殺されるなら俺の手で!」と冴子を銃殺。
自暴自棄になり仲間の部隊を乱射するが、もちろん反撃に遭い殺される。
沖隊員の赤い血と冴子の青い血は雪の上を流れてひとつに混じり合うのでした。
なんてベタなお涙テイストで締めくくってジ・エンド。

ちなみに結局UFOは大量に来ないし宇宙人の目的は一切わかりませんでした。
青い血が大量に死んで終わり。つまりオチなし。
うわあ。


★感想

ダメダメっすねー。
伝説のZ級『幻の湖』ほどの破壊力はありませんが、どこから見ても溜息ばかり出るZなクオリティ。

人気俳優だらけの豪華キャスト!
ニューヨーク・パリロケ敢行の国際的スケール!
って昭和映画らしい無駄な壮大さ自慢はともかく、無駄に壮大なパニック映画に求められる資質と倉本聰作品の資質が全然合ってませんw
『北の国から』宮沢りえのAV女優の回しか見た事無いのに断言するのもアレですが、本気でUFOオカルトパニックな倉本脚本作品を作るなら『バイオハザード』のラクーンシティみたいに、富良野市限定にされた方がよろしかったのではw

★大体フランス人学生がソルボンヌってさ

無駄に壮大なパニック映画って「わー!キャー!すげー!」とドキドキするために観るもんですが、この作品は「世界中の人間が原因不明で次々青い血になる」という素晴らしいパニック設定の割に、見事に盛り上がりません。

たまーに(岡本喜八監督の意地か?)キレの良い編集がちょこっと顔を出すだけで、スピーディーに欠ける湿り気たっぷりな脚本、
善も悪も全然カッコよくもリアルも無い演出や衣装、昭和ベタだらけの設定にコントレベルの作り込み。

大体フランス人若者が出てきてソルボンヌ大学、って何?
パリジェンヌがフランスパン持ってる位のベタだろ。
ニューヨークのダウンタウンで出遭う危ない通行人は、ヨレたコートにフィッシャーマンキャップかぶってウォッカの瓶持った酔っ払いwわっかりやっすー。
とどめに12月23日の粛清計画実行直前の自衛隊緊急司令室のディスプレイ。
クリスマスツリーを飾るなよwクリスマス祝う気満々やないかw
ダメづくしで観れば観るほど萎えるw

これがUFO襲来でもなく「ある日突然日本各地で原因不明の青い血人間が発生!国民総パニック!」って設定でガンガン押して、脚本からベタと湿り気をスカッと取り払い、謎の組織から来た天本英世&岸田森が大暴れ、ついでに青い血レジスタンスグループリーダーの草野大悟も大暴れしてくれれば(この人達、映画に出るこた出るがほんの一瞬で残念。そこだけ異様に妖気むんむんだったのにw)『太陽を盗んだ男』ばりの歴史的怪作になっただろうに。結構惜しい。

ともあれ強引にまとめると、『ブルークリスマス』の面白がれるところはB級映画のダメさ加減を愉しむモンドな部分にあるんだが、そこから半歩深みにはまるというか、「あーあそこをもーちょっとあーしてこーして役者をこう使ってあそこを省いてテンポ良くすれば『太陽を盗んだ男』みたいになるのになー」と『俺がブルークリスマスのプロットを練ったら』妄想をかきたてられる、不思議にダメな魅力があります。
まるでペシミスティックな年季入った阪神ファンが、負け試合を観ながら俺のベターなダメ虎再生論をぐちぐち語るのに似てるw
おわかりいただけますでしょうかw何かどうにかしたいと思うんだよねw

★顔色悪い清純娘・竹下景子のちょっと気になる趣味?

ヒロイン竹下景子は予想通り薄幸系の清らかな娘。
青い血人間ってことで血色悪いメイクをしてますが、健康体メイクより似合ってて萌える。
役どころはもちろんバリバリ清純派。いや珍しく「お兄ちゃんいないの」と自分から誘ってたか。
でも濡れ場(処女コント)もあるが出すのは肩だけ。胸から下はがっちりガードしてます。
さすがお嫁さんにしたい女優No.1だ。残念。

とか思いながらダラダラ観てたんだが、ラスト前の12月25日朝の風景を見て考えを改めた。

生まれて初めてオトコと過ごすクリスマス。
クリスマスプレゼントとクリスマスケーキとワインとディナーを用意して、クリスマス仕様の自宅でうきうきと沖隊員の帰りを待つ冴子さん。もちろん直後に蜂の巣になる訳だが、何でもないワンシーンがすごく気になる木。
沖隊員へのプレゼントはネクタイなんだが柄がすげー。サイケなシマウマ柄というか、白黒ときどき赤が蠢くえぐい模様なんである。
そして昭和らしくバタークリームの2段ケーキの天辺に、ローソクが束状?にグサグサ林立して刺さってる。
実は激しい素性なんじゃないかしら冴子さん。

他に天本英世&岸田森の背景にたたずむマリア像とか、社長室に飾ってある変なしまうまリトグラフとか、謎で不穏な仕掛けが見え隠れするところがあって、それがダメだがどこか惹かれる原因かも?とふと思った。

(了)
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