No.110『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』

公開年:1973年
原作:凡天太郎
監督:石井輝男
脚本:掛札昌裕 、 関本郁夫 、 石井輝男
ジャンル:痛快!ヌード活劇
注記:18禁ポルノ映画

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お正月もパーティー!パーティー!第2弾。
アメリカン70sバカエロに対抗するは、タイトルの通り昭和メケメケ女ヤクザ映画です。

いかにもタランティーノが好きそうなケレン味たっぷりの色鮮やかな神戸の街で、池玲子とビッチ軍団がカッコよく暴れます。
おっぱいはてんこ盛り
石井輝男監督作品といえばエログロ奇形ですが、今作は若干控え目で意外と女子でも楽しめます。
「ご家庭でも」はさすがに無理だがw
★予告編&はじめに



予告編は無かったがダイジェストがありました。
踏み絵にどうぞ。

ちなみに本作は『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』に続く池玲子の女渡世人「猪の鹿お蝶」シリーズ第2作。
父を何者かに惨殺されたお蝶が、仇を討つため花札や剣や女体で闘いまくるストーリー。
『不良』は鈴木則文監督でテイストは違いますが、こちらもおすすめ。

★あらすじ

まず首に赤いストール巻いた池玲子が、着物はだけて乳もタトゥーもモロ出しで、雨の中番傘片手に大立ち回りのタイトルバック。
いかすぅ。

明治末期の大正あたりのレトロな神戸が舞台。
いずこからフラリと現れたお蝶は、宿へ着いた途端にチンピラ一味にとっ捕まる。
逆さ吊り&女の観音様まさぐり拷問を受け、さらに遊女連続殺人犯の濡れ衣を着せられ警察の追われ者になってしまう。
なんだかアウェーなはじまりですな。

自分をハメた奴らぁーいてこますぞワレ!と、追手を撒きつつ神戸の街を彷徨うお蝶。
すると序盤からギンギラでメケメケでノワールで何でもアリな妖しいワールドにつっこまれる。
白スーツの渋~いイケメンヤクザの「ムショ帰りのジョージ」(内田良平)だの、黒帽子・スリットワンピ&ニーハイブーツの「キリストの好美」(愛川まこと)だの明治大正と思えないw謎の人物が助太刀に来ます。
香港みたいな不夜城の街でチェイスするわ、街の元締ババア(根岸明美)&女スリ師軍団とキャットファイトするわ、偽アラビアンナイトな内装の淫売宿でねーちゃんがお股に特大コケシ突っ込まれるわ、やりたい放題。うーん楽しい。

そんな感じで妖しいワールドで遊んでるうちに、ハメたチンピラの正体が下っ端ヤクザの浅吉(安部徹)一味だと判明する。
彼らは女スリ師軍団と妖しい商売をやっており、取引担当者の目印が赤いマフラーだったので、お蝶は間違えられて拷問された訳だ。

★親分、先に切れてますよ

さて舞台は一転して神戸の大物ヤクザ屋敷。
お蝶が過去に義理のある扇組へ挨拶に行ったら、ムショ帰りのジョージも一緒に来るではないか。
なんとジョージはなんと扇組の若き幹部だったのだ。
って少女漫画みたいな再会シーンですなw

でも2人は別に恋バナにはならず、お蝶はいかにもコテコテギトギトな黒幕顔の悪役ヤクザ・剛田組長(遠藤辰雄)から
「実は博打で胴元ヤクザの『デカ虎』(凡天太郎)に多額の借金を作ってしもたんや。死んだおやっさんのご恩もあるだろうし、あんたの腕でひとつ助けてくれんかね」と頼まれる。
そこでお蝶は扇組の前組長だった、おやっさん(嵐寛寿郎)の思い出に耽る。

お蝶は女子高生時代に(そんな時代が一応あったらしい)花札博打で身を立ててたが、デカ虎との勝負で下手打ってイカサマがバレて指詰めろやゴルァ!と脅されピンチ。
するとおやっさんが止めに入り、「お嬢の代わりにワシが詰めたらぁ」と身代わりに自分の小指に刃を立てるんだが、
あら、刃入れる前から指が切れてるの丸わかりw
アバウトやなw

でもその後清いヤクザのおやっさんは急死して、跡継ぎ娘は謎の組織にさらわれ行方不明になっていた。だからジョージは娘さんを探してるという訳だ。

★アングラ館で観音様に突っ込まれる女たち

色々雑多に広がった謎を追うお蝶&ジョージが、お次に暴くのはあやしいアングラ宿『翡翠館』。
女スリ団のケバいビッチどもが次々入っていく妖しいお宿だが、天井裏から覗くと中はもちろん浅吉一味のアジト。
ずらりと並んだビッチが着物をはだけ股開いて観音様にクスリの小瓶を入れられてます
彼女達はクスリ売りの女運び屋で、ご褒美で乳にブスリと注射打たれて立派なヤク中になってるご様子。わっかりやすく悪の館であります。

浅吉一味にコキ使われる女スリ団も、内心不満だけど実は元締めババアに内緒で運び屋やってるので「逆らえばババアにばらすぞ」と脅されやめれない。
でも一味に抵抗して殺された運び屋もいて、それが冒頭の遊女連続殺人事件。
さらに被害者の中にはババアの手下スリ団の他にスベ公チームもいたんだが(明治大正にズベ公ってw)、キリストの好美は実はチームの元リーダー。鑑別所行ってた間にチームが浅吉一味の手に落ちてて、好美は仲間を殺した一味への復讐を狙っていた。
もちろん、一味の背後にいる親玉は剛田組長。おやっさんを殺し娘を誘拐したのもやっぱりこいつ。
という訳で、お蝶・ジョージ・好美&元締めババアは悪の麻薬組織に立ち向かおう!と一致団結する。
東映映画らしくベタな勧善懲悪でまとまる。

そして話はクライマックス三番勝負へなだれ込む。
…の前に途中でちょっとなんだか気になる木。
池玲子のエロシーンがないじゃねえか!
立ち回りの他にまさかの絡みなし?と心配になるが、剛田組長を油断させる為にわざと惚れた振りして抱かれる、ととってつけたようなシーンがあってひと安心です。

★石井輝男の香り高い奇形人間病院

さて三番勝負の一本目は「VSデカ虎・花札勝負!」

剛田組長の借金棒引きを賭けた博打。
まぁ普通に勝つ。そしてイカサマ疑惑を掛けられる。
「裸になってイカサマじゃ無いと証明しろや。潔白ならワシが指詰めたる」と脅すデカ虎だが、デカ虎奥方がやおら脱ぎ始め(何故?)堪忍してくださいと頼んでお開き。
あっさりカタついて物足りないかも。

二本目「キ○ガイ病院で娘さん救出作戦!」

『脳病院』とストレートすぎるネーミングの病院におやっさん娘が監禁されてるとの情報を知り、救出に向かうお蝶&ジョージ。
だがそこはもちろん『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』のセットと役者の使い回し疑惑さえ浮かぶ、石井輝男テイスト全開な恐怖のアングラ白塗りキ○ガイさん大集合でした。
さすがに女装小池朝雄はいないがw

そして時すでに遅し。娘さんは電気ショックの拷問で死んじゃってた。
無念でガックリなジョージは、娘さんの恨み晴らさでおくものかー!と浅吉一味の悪の本丸に乗り込む。

★メケメケ空間で乳房が揺れる!華麗なるヌードバトル

三本目の舞台はクスリ取引現場。
セットがそのままキルビルの青葉屋。金のかかり具合が若干違うがキルビル。
2階に廻り廊下もヤバい色した埋め込み水槽もちゃんとある、ギンギラな和風マカロニウェスタン空間で、私のメケメケハートはもうワクテカです。

剛田組長&浅吉一味がデカ虎と取引を終えて「てめーらはもう用無しだ」と女スリ団を殺そうとしたら、「ちょっと待ちな!」お蝶が颯爽とご登場。これまでの悪事のおさらい口上をひとくさり。
窮地の剛田組長達が「やっちまえ!」となったところで、廻り廊下にずらりと並んで助太刀現る。元締めババア手下&ズベ公チームのビッチ連合軍だ。
片っ端からパッ!パッ!パッ!パッ!と宝塚の大階段フィナーレのごとく誇らしげに、服脱ぎ乳丸出しするじゃあーりませんか
こうして皆さんお待ちかね!数十人の全裸女子がヤクザ相手にキャットファイトを繰り広げる。

ピストルもドスも持ってる男達に飛びかかり、がっつり殴って斬って金玉を蹴る!
観音様に仕込んだ爆薬を投げつける!
エロ!鮮血!そして放尿!
かーっこいい!楽しい!
全裸になる必要は100%無いがw

ジョージも助太刀して最後は悪人全員を成敗完了。
最後は裸のまんまのお蝶にジョージが「観音様が風邪ひいちまうぜ」と粋なひと言をかけて大団円で終わるのでした。

★感想

いやー、普通に楽しいです。
題名が『総括リンチ』なんて連合赤軍な言葉なので、思想的ネタとか凄惨リンチとかあるのかな?と思われがちですが、全然関係ない娯楽活劇です。

裸は盛り盛りでも皆さん気前よくパッパカ脱ぎすぎて、逆にエロス度は目減りしてます。
特大こけしなどエロの前に笑っちゃう場面も多い。エログロポルノを期待して観ると肩すかしするかも。

★メケメケカオスな街&ファッションが好きだ

前半の話がよくわかんない上に時々間延びするという大きな欠点も無くはないですが、神戸の街をぐるぐる巡るシーンのワクワク感を前にしたら、欠点なんかどうでもよくなってしまう。
いくら港町だからって、ドヤ街と不夜城香港とアラビアンナイトを混ぜるって無国籍すぎるだろw時代考証ゼロすぎて何時代の話かわかんないwけどとにかく過剰にメケメケで楽しい。

建物セットもクライマックスのキルビル館はもちろん、アングラ宿『翡翠館』の壁は70年代全共闘風に字・字・字の洪水で埋め尽くされるし(昭和アングラって文字大好きですねえ)、モンドリアンの抽象画みたいな床でエロシーン、お蝶様が剛田組長に抱かれる高級ラブホ?はギンギラ天然色で床はガラス張り、下ではウナギが泳いでるスーパーメケメケセット目白押しw
唯一の不満はキルビル館のヤバい色した水槽の謎の液体がただの水だったことw
あれは硫酸の池であってほしいw色からして。
まぁとりあえず種田陽平美術作品が好きな人は気に入ると思います。

ファッションも着物に赤マフラーだし、チンピラはホームベース型サングラスかけてるし、ニーハイブーツは履くしやりたい放題。
粋な悪趣味の使い方がたまりません。好きだ。

★女子高生がグラドルコスプレに見える18歳

しかし昭和メケメケ仕様に興奮するのは個人的な趣味だけど、こいつは男も女も誰でもびっくりしますよね。

池玲子、撮影当時18歳

え”え”え”ーーー
『花と蛇』の谷ナオミ26歳も相当驚くけどさ、
18歳って!AKBに入れるよ!!

いや、しっかり見れば顔も体もピチピチですけど。おばちゃん顔の女子高生や、18歳と思えない熟れた色気のキャバ嬢だって世の中探せばいますけど。
でも18歳で全裸でヤクザ相手に立ち回りして全然違和感無いドスの効き加減はどこから?眼光鋭く肚の据わったキメ顔はどうやって?姐御の貫禄あふれる和服姿はどこが18歳?

何と言っても女子高生時代の回想シーン。年季入ったグラドルのコスプレにしか見えない。
ちなみに16歳の初主演作『温泉みみず芸者』でも、ロリータはおろかギャルにさえ見えません。「16歳で芸者でヌード」なのに違和感ゼロすぎる。
演技が上手くないんで、素で貫禄あるんでしょう。
生まれながらにして姐御で女番長。アメイジング青少年ですね。

★なんだか気になる凡天太郎

脇役も善悪問わずキャラが立っていて、特に悪役は毒々しい奴大集合で面白いですが、ひときわ気になる人がデカ虎・凡天太郎。
減量時の力石徹みたいな強烈なルックスでてっきり悪役紹介の人だと思ってましたが、原作者の人だったとはおどろき。

作風は予想通りのコテコテ昭和劇画でしたがwikiに載ってるエピソードが興味深い。
笑ったのが本名・きよみちゃんで、売れっ子少女漫画家だったことw
魔夜峰央以上にうさんくさいルックスの少女漫画家がこの世にいたとは。こいつもおどろき。

(了)
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