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No.111『鍵』

公開年:1959年
原作:谷崎潤一郎
監督:市川崑
脚本:長谷部慶治、和田夏十、市川崑
ジャンル:地味にドロドロ家族サスペンス

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パーティパーティな正月気分も終わり、いつものドロドロエロス映画の世界に戻ります。

ドロドロと言えば谷崎潤一郎!
エロスと言えば谷崎潤一郎!
変態倒錯と言えば谷崎潤一郎!
私のブログと非情に相性が良いはずだがwなんでか未レビューだった谷崎文学の映画作品。

格調は高いがじめーっと陰湿。昭和モダンな渋い美学を貫く映像だけど、やってる事は下賤なおやじ変態プレイw
曇天の京都のように真綿でじわじわ首絞める系の、イヤーな感じに寒々しいサスペンス劇場であります。
★予告編



仰々しく変態エロスを煽りまくる予告編。
公開当時はまるで18禁ポルノ扱いだったらしい。映画本編はそこまでエロ裸!じゃないですがね。

★あらすじ(青字はネタバレあり

映画はいきなり仲代達矢のアップ。
謎の白塗りで血色悪いしネクタイ太い仲代達矢が、映画のテーマであろう「人の老化」についてひとくだり解説してくれる。
古い映画によくある演劇がかった導入部だが、この時点でもう画面の空気が澱んでてイヤーン。

そんな仲代達矢演じる京都帝大のインターン医者・木村医師は、患者の古美術商(いかにも京都やね)の剣持じいさん(二代目中村鴈治郎)に見込まれて、娘の敏子(叶順子)の婿にと言われてる。
まぁ名士の一家と親戚になるのはいい事だ。将来白い巨塔するにしても、開業するにしても、何かと援助が必要になりますしねー。だけど剣持家にはちょっとした秘密があった。

それは、

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敏子の眉毛がコントのようなゲジゲジ眉
じゃーなくて

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剣持じいさんの嫁・郁子(京マチ子)の眉毛も、ヤンキーがメンチ切ってる状態な鬼剃り眉毛だ
でもなくて

上品な名士の剣持じいさんが実は色ボケジジイで、色気満開な年下嫁とのセックスを維持するために内緒でバイアグラなホルモン注射を打っている、って事だった。

★京マチ子の湯上りエロバディに煽られて

ある晩木村医師が剣持家の夕食に招かれた時の出来事。
晩酌の席でじいさんが嫁に「一杯飲みなさい」と勧め、奥様クイッと一気飲み。いける口かと思ったら入浴中に湯船で倒れてしまう。
介抱しようと浴室に入った木村医師が見たものは京マチ子の一糸まとわぬダイナマイトエロバディ

その場は医者らしくエロ裸身など動ぜぬ!な態度でじいさんと一緒にテキパキ介抱した木村さんだが、オトコなら…ぐらっときますわね。

しかし不思議な事に、それから夕食に呼ばれる度に、じいさんは嫁にしつこく酒を勧めて飲ませる。嫁は風呂場で酔っぱらって寝てしまう。
ていうか、じいさんは何かと都合をつけて嫁と木村医師をしきりと2人きりにさせたがる。
ある日じいさんがカメラを一晩貸せと言う。
返す時に「中のフィルムを現像してくれ」と頼まれて木村医師が現像したところ、中身はなんと!嫁のダイナマイト☆ヘアヌードだった。

なにこれ介抱したお礼?
それとも策略?
ヤバい匂いがするが、やっぱオトコですから!エロい欲望がむっくりお沸きになって、結局嫁とデキる訳です。

★欲望と打算と嫌悪はあるが愛は無い一家

さて木村医師が母娘丼にせっせといそしむ間に、お上品一家のボロが段々とほころびていく。

まずじいさんの言う事をよく聞く貞淑な嫁はやっぱり旦那の遺産目当てで良嫁を偽装してた。
本性は野良猫を首ねっこつかんでポイ捨てする冷酷な根性してて、足もアッチも弱いじいさんを陰では馬鹿にしてて嫌ってた。
娘の敏子は元々エロくて冷酷な母を嫌ってたが、うっかりじいさんのヘアヌード撮影を覗き見して嫌悪のあまり家を飛び出し独り暮らしを始める。

そして一番上品でまともそうに見えるが谷崎文学キャラらしくw一番変態色ボケ親父な剣持じいさんは、嫁が間男に抱かれると萌える、いわゆる寝取られフェチだった。
木村医師と嫁がデキると「してやったり」とニンマリ。
恋人を盗まれて母嫌いに拍車のかかった敏子が「お母様が木村さんと会って不潔なことをー」と訴えても取り合わない。
だって不潔なドロドロになるほど勃つんだもの
逆に母娘丼の泥沼三角関係を煽るがごとく、木村医師と敏子の結婚の日取りを決める始末だ。

★じいさん、ある意味予想通りの結末を迎える

そんなこんなでもめてる最中の夜中、じいさんが嫁とエッチで「うっ」と出した瞬間に興奮で脳の血管がパーンとなっちゃって昏睡状態になる腹上死未遂事件発生。
高血圧持ちなのにバイアグラな注射するから…

自業自得なんだだがともかく、木村医師はじいさんの診察にかこつけて嫁から女中部屋の合鍵をもらい、ひとつ屋根の下で不倫エッチを始めちゃう。
じいさんは相当弱ってる。もうそろそろ…だよね。
そしたら遺産を元手にこの家で開業してー、娘と3人で暮らせばいいじゃなーい?なんて嫁の甘い囁きにムフーンと鼻の下伸ばす木村医師。

一方台所では家政婦のハナばーさん(北林谷栄)が、農薬を入れた缶に「どく」とわっかりやすく書いたり、農薬とミガキ粉の缶をわざわざ入れ替えたり、せっせと物語のフラグ立てにいそしんでいた。

とか何とか不倫や企みをゴニョゴニョやってる間に、嫁と間男の秘め事の匂いに興奮するのか、じいさんたら弱るどころかどんどん意識回復wやっぱエロは男の生命の源だw
ヤバい!元気になっちゃ困るし!と焦った嫁はじいさんのエロパワーを逆手に取り、「アタシが一発で引導渡したらぁ」と強引な手に出る。

ある夜、じいさんが「お前の裸を見せてくれ」と頼んだら、「オラァ!冥途の土産に見やがれ色ボケジジイ!」とばかりに目の前でバッ!とエロバディ御開帳。
じいさんは「おお」と興奮したショックで
今度は本当に心肺停止になる。
どんだけ殺人兵器なんだよ京マチ子の裸w
ともあれ目的を達した嫁は旦那の遺体を見詰めて「しんだ…w」とニヤ~リほくそ笑む。

★煮物顔のオババがサラダなんか作るから

ある意味本望の死に様を晒してじいさんが逝き、嫁は遂に遺産を手に入れるはずだったんだが、実はじいさんの古美術商売は火の車で遺産は全然残っちゃなかったのが今さらバレる。
予想外の事実に嫁ポカーン。
挙動不審な母親に敏子は怨みの視線を向け、目論見が外れた木村医師は「ヤバい、この母娘から手を引かなきゃ」と焦る。

心は葬儀そっちのけで邪念悶々な3人は、互いが互いの今後の思惑を窺いながら、とりあえずハナばーさんの作ったご飯を食べる。
食後に敏子が淹れた紅茶を口にする一同。
嫁の様子を密かに窺う敏子。実は嫁の分だけ台所の農薬を仕込んだのだ。
「死ねクソババァ」と腹の中で暗黒微笑する敏子。
しかし嫁は何事も無く紅茶を飲む。ハナばーさんが缶を入れ替えたからな。残念。

と思ったらハナばーさんがサラダを持ってきた。
なぜ唐突にサラダ?
メインの付け合せでなくオンリーサラダ?
しかも紅茶の後?
煮物顔のオババだからサラダの出し方も知らねーのかよ、とツッコまず3人は食べる。
そしてバタバタと倒れる。

農薬にサラダふりかけ殺人犯・ハナばーさんは、主人の剣持じーさんを愛しちゃいなかかった腹黒い遺族どもに嫌気がさして殺りました。
と自白するが、警察に「はいはい殺人ねww」と鼻であしらわれて無罪放免、完全犯罪成立w
みんな死んでめでたしめでたしなお話でした。


★感想

という事で去年の暮れに話題になった、お天気業界寝取られフェチスキャンダルの時事ネタに乗っかってみました。
あれはグッとくるネタだった。
「お天気お兄さんが寝取られフェチ」ってのがいいねwしかも寝取られ指令を出すドSのご主人様w
変態の世界も色々ですね。

で、映画に戻るがこの映画は別に
「嫁が間男に抱かれるのを覗き見してハァハァ」
「あずかったフィルムに映る人様の嫁の局部!」
系統の直接的なシーンは無い。
身も蓋も無い下世話なあらすじに思えるのは、単に私の説明が下品なだけでwいつものATGやロマンポルノの脱いで脱ぎまくり!とは違うおもむきの、お上品~な描写です。

エロだけじゃなく、画面もとってもお上品~。
日本映画の巨匠・宮川一夫撮影監督が映し出すクラシックな昭和モダンの世界を堪能できます。
表は上品ぶって内面寒々しい家族関係を強調する青白く薄暗く冷ややかなライティング、ストップモーションの後の唐突な場面転換など、凝った画面でじわじわと観る心を逆なでします。
でも、あくまでお上品~。

映画オリジナルのサラダの悲劇wもネタ自体は土曜ワイド劇場並みなんだけど、何事に置いてもお上品~さを失わない描写は、前衛エログロ好きには正直食い足りないかも?

唯一「おお、これはこっちフィールドな描写!」と思ったのが木村医師と敏子が遭ってて色香をにじませるやりとりになった直後の、電車の連結がガチャガチャ突いてるシーンw
げっひーんw
セックスに雪崩れこむより逆に下品で良いw
しかし普段どんだけ下品な映画ばっかり観てるんだ、って話ですがね。

★ああ美女も無残、根性悪メイクマジック

そんな下品大好きうめめちは、映画の中で中村鴈治郎の腹上死未遂シーンも好きだが
京マチ子・叶順子の眉毛メイクが一番好きだ。

京マチ子はまだエロい不倫人妻役ですから、般若面の鬼嫁と言えどまだ美人仕様になっている。アイラインの切れ味が昭和女優らしくて好きだ。
こめかみのほつれ毛まで細心の注意を払ってエロく、綺麗に作られてますけど、しかしすげー角度の眉毛だ。
至近距離でメンチ切られたら震え上がるわ。
しかし、眉毛だけ見るとやりすぎホラーメイクでも、むちむちダイナマイトエロバディに絶妙なバランスで合ってるんだよなあ…。

叶順子はもっと凄いよ。
美人女優をメイクやファッションで「ビン底メガネのブサイク喪女」に見せるのはよくある手だけど、叶順子のこれは質が違う。
極端なのにリアルにいそうなブサイク。
イモトじゃないんだからさ!なコント眉毛の破壊力も凄いが、顔の下ぶくれを強調する前髪ザン切りの後ろ一本しばりとか、ファンデ塗っただけの喪女メイクの割に、じっとり陰険な目つきを際立たせる絶妙なアイメイクの入れ具合とか、根性悪いオーラをびんびん感じます。
しかも普通の映画なら、ビン底メガネ喪女はドレスアップすると多少可愛くなるお約束なのに、敏子、ドレスアップしたらもっと怖いw
ノーマルモードよりさらに白浮きしたファンデで眉毛そのまま、タラコ唇の輪郭はみ出す勢いでぐりっと真っ赤なルージュを塗りたくる。
こえー。
「化粧下手な喪女が男できて色気づいてとりあえずメイクデビューしようかなっと思って昔の化粧部員が勧めるままに買って塗ってみた」痛々しさを、コント風でもなくリアルに突くイヤーなくらいの完成度の高さ。
ひでー。
私が叶順子さんならお蔵入りにしたい出来w
極端だけど、いい塩梅でリアル、なんですなぁ。

メイクが単なる美人エロ鬼嫁vs地味な美人娘なら、「エロ話もお上品な昭和の名作だねー」でサラッと見流して終わりだったかもしれない。
逆にやりすぎ加減が過ぎて、見るからに変顔なら「なにこれwすげーシュールメイクw」で笑って済ませたかもしれない。
(たとえば前にレビューした『鉄輪』の乙羽信子の五色ヤマンバヘア大変身みたいにw)
しかし『鍵』のヘアメイクが企んだ根性悪さは、平成27年の私の心をざわつかせる。

メイク担当は野村吉毅という人らしいが、中々の腕前、そして曲者だとお見受けしました。
つい語りたくなるくらい高レベルの仕事師ぶりがあちらこちらに見れる昭和の日本名作映画って、やっぱり素晴らしいですわね。
と珍しく柄になくお上品に締めてみます。

(了)
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