No.114『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』

公開年:1968年
監督:和田嘉訓
脚本:田波靖男
ジャンル:しおらしいジュリーさんのキラキラ☆アイドル映画

114.jpg

微妙にワイドショーのっかりネタ。
毒蝮三太夫ばりにツンデレなファンいじりが話題のジュリー沢田研二さんが主役。

今の御姿から100万光年は遠く、猫を3枚被ったしおらしい態度のジュリーさんが、ファンの女子軍団の力を借りてアンドロメダ星行きの危機一髪を脱するというお話で、「てめー誰のせいで地球に戻って来れたんだよ」と当時女子軍団の一員だった奥様がステージに野次のひとつでも飛ばしたくなるw

アイドル映画ですからレベルはまぁお察しだが、
故・五代目三遊亭圓楽師匠の王子様
天本英世のペイズリー全身タイツ
岸部一徳官房長のビミョーな女装

というものすごいもんが登場しますし、昭和男子アイドルのメケメケファッションもたっぷり見れる、実にステキぃな娯楽映画です。
★あらすじ

遠い宇宙の彼方にあるらしいアンドロメダ星のシルヴィ王女様(久美かおり)は悩んでいた。
婚約者のナルシス殿下(三遊亭圓楽師匠)が

bokura.jpg

結婚相手にするはちょっと考えてしまう金のエリマキトカゲなルックスなんである。
しかも耳の取れたブラックデビルみてーなかぶりもんの天辺にキラキラお星さまもついてるw
ひでーなw
『宇宙からのメッセージ』の銀のかに道楽・ガバナス帝国ロクセイア12世陛下とタメを張る、昭和SF映画の素晴らしきクオリティが垣間見える衣装デザインだ。

王女は憂さ晴らしに、何故かロココドレス着たおばちゃま侍女・べス(浦島千歌子)と銀のペイズリー柄の全身タイツ姿の下男ヘラクレス(天本英世)を連れて、フリスビーの上下にやかんのフタつけたようなこれまた素晴らしいクオリティのUFOに乗って宇宙をドライブしてたが、地球上空で怪電波にやられて日本の九十九里浜らしき海岸に不時着する。

関東平野をさまようシルヴィ王女様は途中で侍女下男とはぐれてしまい、間違ってザ・タイガースのライブ楽屋に迷い込む。
そこでジュリーと出会ってひとめぼれって段取りだ。

★赤い秘密警察や女子軍団の追っかけバトル

ザ・タイガースにかくまわれたシルヴィ王女様はナルシス殿下直属の秘密警察に追われるんだが、こいつらが全身タイツの中年ロボット三人組。
全身タイツがアンドロメダ星の制服かよw真っ赤な馬車に乗ってやってくるし、もはやSFじゃねえw

さらにザ・タイガースはアイドルバンドですから敵は秘密警察だけじゃない。
若さとヒマに物を言わせた熱狂的女子高生軍団がバイオハザードのゾンビばりに追っかけてくる。出待ち入り待ち自宅待ち、金の続く限りタク追走、とやらかすんでメンバーはファンを撒くのも一苦労。
時には女装で目くらまししようと試みるが、よりによって岸部一徳官房長が真っ赤なサリー姿でドスドス歩いてしまい速攻ばれる始末w
そりゃかえって目立つだろうよwww
岸辺サリーだからってなんて安直なw

しかも朝っぱらからマンションの窓全開でエレキギターで演奏して自宅バレ!な馬鹿展開あり、
王女様の眠るベッドが猛スピードで一般道路を走りザ・タイガースの所へたどり着くオカルト展開あり、
UFOの運転システムを狂わせた怪電波の正体が女子軍団の黄色い声援だっつういいかげんな設定あり、
謎のメケメケ館でルネッサンスお小姓衣装のメンバーが全身タイツ秘密警察とフェンシングで戦う、ここは一体何の国やねん!なバトルシーンあり、
昭和アイドル映画らしい馬鹿エピソードだらけで、観てるこちらの腰は砕けっぱなしであります。

★「新しいペット」ってレトロで新鮮で妙にやらしいわ

さてシルヴィ王女様は諸々の追っ手を逃れるため、男装してバンドボーイの仕事をやってたり、東京を離れて箱根PVロケ撮影に同行したりして、要は紅一点のモテポジションでいい気に遊んでた。
そこへ赤い秘密警察の(バカ単純な)罠が!
あっさり罠にかかったメンバーは、ジュリーと王女様を逃がして4人vs秘密警察トリオのバトル突入。
だが秘密警察ロボ、直轄部隊の癖にあっけなく負ける。
簡単に足とれる腕とれる首もげるw弱えw
一方ジュリーと王女様は夕暮れの河原でいい雰囲気

ここでソロ全盛期のセクシージュリーなら頬を一発張り倒してキスで唇をふさぐところだが、まだアイドルだからおとなしくフォークダンスを歌って踊る。
すると岩陰から残りのメンバーが現れ、みんなで♪ランラララン♪星のプリンセス♪
健全すぎて泣けてくるぜw

とかやってる頃東京では王女様の男装がバレる。「ザ・タイガースの新しいペット!」って見出しで報道され、女子軍団から総スカンの大ピンチ。
しかし「新しい」恋人でも愛人でもプロ彼女でもなく「ペット」って昭和の少女漫画な響きが凄い。
なんか妙にやらしいわー。白いベッドに鎖で縛られてそうw
なのはともかく、アイドル生命の危機にシルヴィ王女様は自ら身を引いて宇宙船へ戻るが、べスと天本英世ヘラクレスは王女様の恋心に同情して、ある作戦を実行する。

★レッツシング!さあ皆様もご一緒に!

起死回生の武道館ライブの開幕直前、ジュリーがベスとヘラクレスに頼まれて宇宙船へ行くと、姫ドレス姿の王女様が待っていた。
「お願い!私と一緒にアンドロメダ星へ来て!」
するとヘラクレスが即座にUFO発射。あららジュリーは地球の外へ拉致られちゃいました。
その頃サリー官房長はジュリー抜きで開演を決断。熱いライブ演奏で武道館はいつも以上に盛り上がっていた。
絶体絶命のジュリーが取る方法はただひとつ。
女子軍団で怪電波を発生させてUFO再墜落作戦w
ジュリーはUFOのマイク越しにファンに呼びかけ、宇宙と武道館の二元中継で女子を煽る。

「さあ映画館でご覧の皆様もご一緒に!」

三波春夫「お客様は神様です」ばりにしおらしい笑顔で呼びかけたジュリーの一言で、武道館のみならず街ゆくリーマンもOLの皆様も、日本中の皆様が踊り狂い怪電波発生。UFOは無事(って言い方も何だが)墜落する。
ジュリーはザ・タイガースとファンの皆様の元へ戻り、シルヴィ王女様はアンドロメダ星へ戻りました。
めでたしめでたしジ・エンド。

★感想

さあブログをご覧の皆様もご一緒に!

ジュリーてめー誰のせいで地球に戻って来れたんだよ!
てめーのきらいな黄色い声援のおかげじゃねーか!
嫌ならアンドロメダ星へ帰れ!

といじりたくなる、40余年越しの見事なオチでしたw
いやー、面白れーw

ジュリーネタはさて置きその他の感想。
話はテキトーの極みだがセンスが所々突き抜けてる。特に圓楽師匠のナルシス殿下がw
登場時間ほんのわずかなのにウルトラインパクト。しかも後半は口からレーザー光線の火を吹くしwwwちなみに画面に映らないが殿下自身も金のエリマキトカゲの下は全身タイツらしい。
どうだい。何だか観たくなっただろうw

★昭和アイドルロックの麗しきPV世界観

ナルシス殿下や天本英世全身タイツや赤い秘密警察、デビ夫人みたいなロココ侍女べスとチープ宇宙船等々、SF設定シーンはゆるーい馬鹿ネタのパラダイスでついそちらばかり書いてしまいますが、そう言えば映画の本筋はアイドルロックミュージカル。
話の合間にザ・タイガースの名曲がPV状態で楽しめます。
…と言いたいところだが、正直グループサウンズ系はうめめち好みじゃなかった。
昭和ムード歌謡曲とか好きなんですがコレはどーも。「さあ皆様ご一緒に!」の曲『シーサイド・バウンス』くらいしかピンと来ませんでした。

曲よりもむしろ、彼等が歌うミュージックビデオシーンの世界観に良くも悪くも釘付けです。

昭和アイドルロックの王道なヴィジュアルセンスを言葉で説明すると、
ビートルズのサージェントペパーズのパクリから前衛トリッピーでいかがわしい成分を抜き、60年代のレトロカラフルなポップセンスと昭和の少女向け雑誌漫画のオトメチックガーリーと北朝鮮センスをぶち込んだ感じ。
女をオトすキメのバラードが♪星のプリンセス♪でお分かりの通り、基本は当時未婚の昭和女子をうっとりさせる、白馬に乗った麗しい王子様の世界です。

まぁ世界観自体はミッチー王子様で慣れてますけど、ルネッサンスお小姓衣装は度肝を抜かれたw
さらに『花の首飾り』のPVセンスは腰も抜けたw
アルプスの湖畔に白鳥がいてチューリップ咲いてる北朝鮮センスな書き割りをバックに、メンバーがハムレットみたいな服着てひなぎくの首飾り持って、♪愛のしるし花の首飾り~♪とか歌いながらお子ちゃまバレリーナをくるくるリフトして踊ってる。
どこがロックだと百万回つっこみたい。
ど清純アイドル路線である。

黒スーツにマッシュルームカットの公式フォトから、もっとビートルズまんまで仄かに危険な香りのする元祖ヴィジュアル系ロックバンドと思ってましたが、翳りの無い健全さは結構意外。
ジュリーがしおらしく演じてるのも意外でしたw

もっともメンバーが住んでるポップなアパートとか追っかけ女子の服が昭和レトロかわいい。
昭和アイドル映画ならではのお約束もてんこ盛りで、女子軍団のメインメンバーはおてんば3人組だし、ライバルお嬢はお付きの運転手と一緒に現れるし、貧乏アパートの食卓にカップラーメンがのってて豪華マンションにクラスチェンジしたら、カップラーメンがバナナに変わるwなど、ベタな昭和映画好きな人にはたまんないです。

★やっぱり気になる岸部一徳サリー官房長

銀のペイズリーが妙に似合う天本英世や、おてんば3人組のパパのダメ刑事(小沢昭一)、謎のメケメケおばはんデザイナー(武智豊子)などインパクトある怪脇役も大いに気になりますが、さて肝心の主役のザ・タイガースはどうよ。
まー見事に大根、立派な棒であります。
セリフを間違えずに言えただけ上出来レベルの棒大根ぞろいでした。
ジュリーも岸部一徳も棒でびっくり。

ジュリーは確かにメンバーの中でもスターな感じ。
顔は基本キムタクで松坂桃李が若干入ってる。
他の皆さんもよく知らないですがカワイイ系男子で、女子にさぞかし人気あったんだろうなーと思って眺めてると岸部一徳でオチが来るw

映画の中ではしっかり者でオチ担当という、わかりやすくイノッチポジションなサリーさんですが、当時21歳のはずだがすでに青春アイドル特有のキラキラ感が抜けきってて、若年寄な佇まいだ。
年齢を超越する不思議な落ち着きとはんなり感、何を考えてるか底が読めないヌエのような面妖さ。そして世間の京都=古都日本イメージを裏切る謎にモダンなスタイルの良さw
私の中で京都人ってこういう人だなあ。

私は『ドクターX』も『相棒』もあまり好きじゃ無いが、(水戸黄門的な刑事医療連続ドラマが苦手だ)、岸部一徳登場シーンだけ抜粋して観たいw
だって「紫の風呂敷に包まれた箱入りメロン」を、その存在が醸し出す一見さんお断りな高級感とうさんくささをひっくるめていい塩梅にお持ちできる俳優が今時どれほどいるんだろう。
と考えると貴重な存在感でありますね。

(了)
関連記事
スポンサーサイト
テーマ: 映画感想 | ジャンル: 映画
No.115『華魁』 | Home | No.113『卍』