No.115『華魁』

公開年:1983年
原作:谷崎潤一郎『人面疽』
監督:武智鉄二
脚本:武智鉄二
ジャンル:トンデモだらけな遊郭エロス流れ旅
注記:18禁ポルノ映画。いろんな意味で

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私だって時たま思うんである。
限りある人生の貴重な1時間を潰して、なんだってこんなもん観てるんだろうと。

この世の中には観る前から最中から観た後まで激しく後悔に駆られ悶えてしまう映画がある。
そのひとつが『華魁』であります。

谷崎文学映画の中でもとびきりの異端児で、どーしよーもなくどうしようもない話である。
何がってあらすじ読めばわかる。
未見の方はまずあらすじを読んでから、視聴するか否かじっくり考えてほしいw
こんな映画も世界のどこかにあるんだねーと頭の片隅に入れていただけるだけで十分です。
アメイジング・ディスカバリー・ジャパンムービー。
★あらすじ(青字はネタバレあり

舞台は明治時代の長崎の遊郭。
桜の下をしゃなりしゃなりと花魁道中するは、人気No.1の菖蒲太夫(親王塚貴子)。
今夜のお客は八兵衛ジジイ(殿山泰司)。お得意さんだがなにせジジイなので、テキトーに相手してとっとと下がる。

実は彼女には絵描きの貧乏青年・喜助さん(真柴さとし)というラブラブ盛りの恋人がいて、お座敷の合間に忍んで逢引きしてやりまくり
上になったり下になったり立ちバックしたり、北斎の春画見て変な体位にチャレンジしたり、いれてる個所を手鏡でうつしてコーフンしたり、バカップルなエッチ三昧でいらっしゃる。

一方で下位ランク女郎と貧乏客・一見客は個室を与えられず、廊下に並んだ花魁タコ部屋でお仕事中。
外人客も坊さんもどいつもこいつもやりまくり。ずらりと並ぶ裸とボカシの嵐。壮観である。
売る方も買う方もおシモの沙汰は金次第。女の色道は下剋上の世界なのであります。

★地獄のタトゥーはイタい愛なのよ

そんなタコ部屋女郎の美代野(夕崎碧)の所へ、一見客の彫物師(伊藤高)がやってきた。
しかしこいつの目的はエッチじゃなくて超美肌女の背中に女郎蜘蛛の彫物をすること。

だまされた美代野は3日3晩クロロホルムを嗅がせられ(クロロホルムって3日ももつんか?)、でっけーキモい蜘蛛を彫られた挙句、お風呂で色だしのため熱湯をぶっかけられ、痛みで風呂場を絶叫ゴロゴロするハメになる。
ひっでー。
しかし意外にも美代野は女郎蜘蛛タトゥーを気に入って彫物師にベタ惚れしてしまい、「痛い!痛ぁーい!でもぉ愛してるぅー」と絶叫エッチする始末。
痛い、いろんな意味で。

その現場に菖蒲太夫がバッタリ出くわしてしまい、地獄タトゥーとイタいエッチに正直ドン引き。
ところが彫物師は菖蒲太夫を一目見た途端、「俺が真に求めてたのはこの肌だぁぁ」とあっさり乗り換えるw
ひでーひどすぎる。

早速彫物師は金積んで菖蒲太夫にアタックするが、脱げと言われて肌見せNG主義の菖蒲太夫は怒って退室する。
するとライバルの揚羽太夫が叱りに来て、「男は寂しいから遊郭に来るの」とか商売の心得的なものを語る。するとたちまち菖蒲太夫は改心し、座敷に戻って御開帳
するとクロロホルムで眠らされ彫られそうになる。
そこへ美代野から事情を聞いた喜助さん登場!お座敷で大暴れして恋人を魔の手から救出する。

★エッチ中に英語で交渉。花魁も国際化でありんす

掘られて客奪われて踏んだり蹴ったりな美代野だが、破れかぶれに遊郭の入口で蜘蛛の彫物見せたら男にバカ受け!旦那殺到!夢のトップ昇格!
で、源氏名を変えたんだが名前が「地獄大夫」
いーんかそんなキワモノ丸出し芸名で。

一方喜助さんはお座敷を荒らした報復で、ご禁制の絵を描いてるのをチクられ逮捕のピンチ。菖蒲太夫に「一緒にアメリカへ逃げよう」と言いだす。
でも貧乏絵描きにアメリカ行きの金もツテも無いから、しょーがーねーなと菖蒲太夫は客のアメリカ人船長にお座敷で舐められてサービスで悶えながらアイハブアペン程度のカタコト英語で渡航の交渉w
すげーなw遊郭も国際化の時代でありんすw

で、交渉成立して夜逃げする途中で彫物師登場!
喜助さんは殺され、菖蒲太夫はマワされる。
そこへアメリカ人船長が来て華麗に彫物師を射殺。漁夫の利で菖蒲太夫をゲットした船長は、太夫を貨物室の木箱に隠して密航させる。

念願のアメリカ行きだが肝心の恋人を失うとは、と太夫が思いのままならぬ運命に泣いてたら、
なんと!自分の膝に喜助さんの人面疽が!
亡霊が膝に乗り移ったらしいよw
菖蒲太夫は膝なめプレイして愛を確かめ合う。

★愛の人面疽かセレブゲットか。華麗なる洋館編

そんなこんなの苦労の末、船はアメリカに到着した。
はずだが着いた所は横浜の租界。
まんまとだまされた訳だが、ワルい船長は菖蒲太夫と一発やろうとして膝の人面疽を見て逃げるw
太夫は見知らぬ土地に1人置いてけぼり。

こんなキモい膝じゃ体も売れやしないので、太夫は泣く泣く霊を説得して、一生結婚しないで喜助さんをひと筋に想い続ける代わりに膝の人面疽を消してもらう。
そして租界の高級売春宿に住み込んで外人相手に体を売って生計を立てるが、遊郭仕込みの美貌とテクで人気嬢になる。

そこへある晩やって来たのがなんと、大財閥モルガン一族のご子息ジョージ様。
失恋して傷心旅行中のジョージは一夜の戯れでゲイシャを買いに来て、菖蒲太夫と一目合った瞬間に

キラキラ☆キラキラリーン☆と月9ドラマ並みに鳴るシズル音。
2人はベタに宿命の恋に落ちる。
ジョージは毎日通い詰めてはエッチにふけり、心づくしのご奉仕のおかげで心も癒えたので、「僕と一緒にNYへ行こう」とプロポーズ。菖蒲太夫はもちろんOKする。

っておいおい!
あんたさっき『一生結婚しない』と誓ったはずだろ!
って観客のツッコミに気付いた菖蒲太夫は迷い悩み、NY行き前夜の土壇場で夜逃げする。
ところがなんと夜道でジョージが待ちぶせしてた。
「僕は人の心が読めるんだ…」
「Oh…ジョージ…アイラブユー…」
ヒシッと抱き合いキラキラリーン☆
完全に心通じた2人は本当に結婚してしまう。

ここまで来ればオチは読める。
読めるがしかし、「まさか」って思いが頭をよぎる。
だって映画だよ?あんなの映像にできねーだろ?まさかねえ。あるわけないよね。

★そのまさかのまさかなオチなのです

さて挙式もそこそこに初夜を迎えた2人。
すでにバコバコやりまくってたけど初夜
でも花嫁姿コスプレって事でいつも以上に燃えまくり、満を持して挿入なさったその時!
腰に激痛を覚えて絶叫するジョージ!

「おまえのなんとかが僕のなんとかを噛んでいる!」

なんとそこに映っていたのは顔。
股の中心部で光るキラキラオーラの合間から、喜助さんの顔がもや~んと出てましたw
そして喜助さんはモザイクかけすぎてもはやライトセイバー状の光る物体にしか見えないあれを、がっつり口にくわえておりましたwww

ジョージの絶叫で神父が呼ばれて悪魔祓いが始まった。
神父、十字架をなんとかに叩きつけて人面祖を怯ませ、まずはジョージのなんとかの救出に成功。
神父は菖蒲太夫のなんとかを十字架でバシバシ攻撃!
すると喜助さんは口から白い液体を発射して応戦!
神父は負けずに十字架をなんとかに打ちつけ続ける!
うなる人面祖!焦る神父!
「この霊は異教徒だから十字架はきかないわ」と合間で冷静にアドバイスする菖蒲太夫ご本人w
どういうバトルだよwww

すると神父は作戦変更。日本式に手を合わせて拝みはじめ、人面祖の荒ぶる魂を鎮める戦法に変更。
菖蒲太夫は喜助さんに自分がすまなかったと謝り、切々と永遠の想いを訴える。
どこに訴えるって、自分の股にだが…
すると納得した喜助さんは成仏して股は元通りになり、聖戦で折れた十字架も元に戻る。
イッツアミラクル!

めでたしめでたし、と2人は初夜の続きにいそしむが(まだやるか)、なんとさっき噛まれたトラウマでジョージがEDになっちゃった(そりゃなるよ…)
モルガン家子孫繁栄の危機だが、菖蒲太夫はひらめいた。
かつて喜助さんと試した北斎春画の閨房テクをジョージに試してみよう!と遊郭のテクを尽くしてご奉仕すると、ジョージのなんとかも無事回復
晴れて初夜合体を達成した菖蒲太夫は、腰を振りつつ「ありがとう、喜助さん…」とそっとつぶやいた。

すると一転、『ベルサイユのばら』ばりの昭和ドラマチックなイントロが流れて、歌付きエンディング曲(作曲・猪俣公章)が始まり
大股開いて腰振りながらエンドロールw
そのまま2人がやり続けるシーンをバックにして一曲歌い切り果てたところでジ・エンド。
前代未聞バトルの後は堂々の大団円なのでした。


★感想

いやーむちゃくちゃな話でした。
初めて観た後は3分くらい頭の中が白くなった。リアルに顎が外れるかと思ったw

花魁が主役の18禁ポルノといえ、本番比率が多くて長い映画であります。
もや~んとボカシの霧が入りまくりで画面の大半が白くて桃色いw
とどめは画面一杯どーん!と大股開きの中から未知の物体Xばりに人面祖がこんにちわw
喜助さん役の真柴さとしは偉いと思う。よくこんな扱いの役を了承したなw

★武智鉄二の俺美学を除けば意外と話は面白い?

こんな映画を作った武智鉄二監督は大阪生まれ芦屋育ちの裕福なぼんぼんで京大卒インテリ。
顔は舞妓の母譲りの美形、前衛映画を作る一方で古典芸術に造詣が深く、能や歌舞伎界の前衛的?パトロンだったらしい。
すごいですな。
金も頭脳もあるスーパーイケメンが古典と前衛がせめぎあう究極のエロス美学として世に出した作品がこんなんでいいのか?と正直思っちゃいますが。

別にイケメンやインテリも変な映画作る権利はあるし、増村保造や大島渚も東大京大だよって話ですが、さすがに人面祖こんにちわは次元が違うと思う。
しかも人面祖は一番極端な例ですが、映画全編こんな感じの武智監督作品独特の俺美学(主に凌辱悶え美学と山ほどのもろ出しぼかし)がこれでもかーと仕掛けてあって胸焼けしますw
これにうっとりする度胸は私にはありません。
面白いけどさw

でも俺美学シーンだらけでうんざりするのを除けば、菖蒲太夫の落ちぶれ→逆転玉の輿展開はご都合良すぎるハーレクインだけど妙に面白い。菖蒲太夫が運命に流されても純粋で前向きで、自分の努力(エロテクと英語力だが)で道を開く所が「深夜の朝ドラ」って感じがします。
ちなみに谷崎潤一郎の原作は菖蒲太夫の設定だけ同じで全然違います。膝に人面疽ができておちぶれる役どころで、もちろんバトルシーンも無いwバリバリ改変しすぎだろw
まぁでもこちらも、お花畑展開すぎますがハッピーエンドでも悪くないと思いました。
親王塚貴子が古典的な顔立ちの色白美人さんで、花魁衣装も良く似合って、儚げだが健気な雰囲気でハマリ役でした。

★おまけ

ジョージの役は王子様ポジションなのに、尻に堂々と毛が生えてるのがどうも…
感動の初夜合体で腰振るシーンで笑ってしまったではないかw
本当にどうでもいいおまけでした。

(了)
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