No.117『闇のバイブル 聖少女の詩』

製作年:1969年
原作:ヴィーチェスラフ・ネズヴァル『少女ヴァレリエと不思議な一週間』
監督:ヤロミール・イレシュ
脚本:ヤロミール・イレシュ
ジャンル:ゴシック耽美ガーリーファンタジー

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お前ロリショタじゃねーかと言われようが別にいい。
少年少女の春のめざめがテーマの青春映画が好きなんだあ!!

いきなり心の叫びから始めてみましたが、今回のお題は春だから春のめざめ。
思春期の美少年・美少女が主人公の前衛お芸術ゴスロリ映画業界で大傑作とうたわれる、『闇のバイブル 聖少女の詩』であります。
製作は前衛カルトガーリー映画の聖地、冷戦時代のチェコスロバキア共和国。
さすがのクオリティです。

だがなにせチェコのヌーヴェルヴァーグ映画。前衛の歯ごたえはありまっせー。
セリフ少ない。状況説明もほぼ無い。耽美だが思わせぶりな抽象ショットだらけ。冒頭からわけわかめの嵐であります。

ただ原作が長年未邦訳だったので、それがわけわかめの主な原因でしたが、昨年暮れに念願の邦訳が出た!!
わーいと発売日に即購入。わけわかめポイントが解消されてスッキリー。


少女ヴァレリエと不思議な一週間少女ヴァレリエと不思議な一週間
(2014/11/20)
ヴィーチェスラフ ネズヴァル、黒坂 圭太 他

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原作もゴシック風味盛りだくさんでおすすめですが、個人的には映画を観てから読んだ方が良いと思う。
★予告編



かわいいーと百回叫びたくなる予告編。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

生理の始まるお年頃の美少女ヴァレリエ(ヤロスラバ・シャレロバ)は金持ちお嬢様。
両親は亡く、躾に厳しい祖母エルサおばあさま(ヘレナ・アニェゾヴァ)と2人で窮屈に暮らしてる。
そんな彼女がある晩眠ってる最中、謎の黒マント白塗り怪人「イタチ」とメガネ青年・オルリーク(ペトル・コプリヴァ)の2人組に真珠のピアスを盗まれたのがきっかけで、次々と不思議な出来事に巻き込まれる。
おおまかにはそういう話です。

ヴァレリエの住む町は一見のどかで平和な昔のヨーロッパにありがちな田舎町。
広場では地主のおっさんと美女ヘドヴィカがステキな婚礼パレードをやっていて、仮面紳士や花売り娘がうかれて歩いてたり、川で若い娘たちが水浴びしながら軽くレズったり、空き地の草陰で男女がやってたりする
いい町じゃないですかw

けれどヴァレリエは平和な風景にまぎれてイタチ怪人が暗躍してるのを見てしまう。
婚礼パーティーでは仮面紳士の群れに混じって魚の仮面かぶって忍び込んでるし、教会に行けば黒司祭が怪しいミサやってて娘たちが興奮状態で祈りを捧げる傍らに、でかい扇子持った怪人がニンマリ。
う~んダークゴシックの香りプンプンでいい感じ。

★怪人・おばあさま・エロ伝道師の妖しい因縁

ピアスは程無くオルリークから返されるが、どうもピアスにはヒミツのお薬が入ってるらしく、ヴァレリエはオルリークから届いた鳩手紙でそれを知る。

入ってるからにはヒミツのお薬が活躍するイベントがあるって事でした、期待通りに怪しい訪問者がやって来る。
伝道師グラツィアン様、おばあさまの元カレ。
ご高名な伝道師様が田舎町に来られたので、一家は仔豚のケツから串を刺してくるくるグリルする豪快な丸焼きパーティーでおもてなしする。
どうもおばあさまは今も恋心ありありな様子。ヴァレリエはおばあさまのオンナ部分を垣間見てしまうが、ところが伝道師様の関心はおばあさまに無く、孫のヴァレリエにやらしい視線を送ってる。

という事はお待ちかね!
ロリショタ映画の定番シーン登場!ヴァレリエが伝道師様に襲われる
キャミがはだけてうっすい胸があらわに!おおおマジロリ。

処女喪失の危機でヴァレリエはとっさにピアスからヒミツのお薬を取り出して飲む。
するとヴァレリエは仮死状態になっちゃう。
だめじゃん!ここで倒れちゃやられ放題だろ!とひやりとしたが、伝道師様は「あわわ、殺してもーた」と誤解してあわてて逃げる。

このようにヴァレリエが怪人とか誰かに襲われ危機一髪に陥るとオルリークが助け舟を出す。
けれどヴァレリエを助ける度にオルリークはイタチ怪人にお仕置きされるのだ。
お庭の噴水に緊縛され、鞭野郎どもにしばかれ、小川のせせらぎで緊縛され水責めされたりする。なかなかハードなドMプレイですな。
で、ヴァレリエが逆にオルリークを助けたりして、2人はいい雰囲気の仲良しになる。

一方、伝道師様ラブが再燃したおばあさまはなんとイタチ怪人に若返りの相談をする。
実はイタチ怪人もおばあさまの元カレだった。おばあさま、堅物に見えて昔はイケイケの恋多き女だったのね…
怪人とおばあさまはあやしい契約書を交わす。

所変わって夜の地主のお屋敷。
うっかりお屋敷に迷い込んだヴァレリエは、おっさん&ヘドヴィカ夫妻の初夜を覗き見。
するといきなり怪人&おばあさまが現れてヘドヴィカを襲い、血を吸ってるじゃないですか。
なんとおばあさまがヴァンパイヤになっちゃった!とヴァレリエが驚いて逃げると、お庭の噴水はニワトリの死体だらけで伝道師様も首吊って死んでいた。

★若さを取り戻したエルサおばあさまが暴走

吸血で昔のイケイケ時代のお姿に戻ったヴァンパイヤおばあさまは、「いとこのエルサ」と名乗って家に押しかけ、ヴァレリエを襲って血を吸おうとしたり、どこかの男とエッチして噛み殺して吸血したり、オルリークにまでエロい魔の手を伸ばす。
エルサおばあさま!暴走しすぎです!
でもヴァレリエに恋しちゃったオルリークは魔の手をキッパリ拒否してヴァレリエの元へ行く。ギター弾き語りして甘~くアピールタイムするが、ヴァレリエが引いちゃって失敗w

さて、おばあさま伝道師怪人の経緯を知ってヴァレリエは「イタチ怪人は実は私のパパじゃないかしら」と思いはじめたらしい。
花売り娘の花占いに従ってニワトリを盗んだヴァレリエは、怪人の棲む館へ行き、なんか弱ってる怪人にトリの生き血を飲ませる。すると怪人はみるみるヒゲイケメンに若返り
やはり怪人もヴァンパイヤだったのです。
「パパー!」と喜びの再会をしようとした瞬間、怪人はみるみる白塗りジジイに元通りwおまえは飛んで火にいる夏の虫だー!とばかりに襲われたヴァレリエはお薬飲んで仮死状態になり、地下室の棺桶に入れられる。
隣の棺桶には伝道師の死体があった。
…はずだがなんと伝道師が生き返るw
さらにヴァンパイヤおばあさまも棺桶に寝てるし、なんかヴァレリエ状況が悪くなってないか。

なんだかピンチなのでオルリークを頼るが、「怪人を助けるなんてひどい!僕への裏切りだ」とオルリークは手紙を寄越して姿を消す。そりゃさー、ドMプレイの刑に遭いながら何度もヴァレリエを助けてあげたのに、あんたが敵を助けてどうするよ。
ヴァレリエ、肝心なところがヌケている。

★レズプレイ!魔女裁判!火炙り!乱交!

唯一の味方を失ったヴァレリエはヴァンパイアになったヘドヴィカを訪ねる。
1人弱ってベッドに伏せていたヘドヴィカだが、ヴァレリエと打ち解けて親密になり…そのままベッドでキャッキャウフフとソフトなレズプレイになだれこむ
なぜいきなりw
しかも次の日朝チュンしたらなんでか十字架パワーが効いて吸血鬼治ってるしw
意味わかんねえ。画面がきれいだからいいけど。

その頃町はニワトリが疫病でバタバタ死んで大騒ぎになり、人心が乱れていた。
そこへ生き返った伝道師様が自分のロリコンを棚に上げて「ヴァレリエは魔女だー!魔女裁判にかけろ」と大声で触れ回る。
ヴァレリエは町人に捕えられて広場へ連行され、即席魔女裁判で火炙りの刑を宣告される。町人達が見守る中でヴァレリエは棒に縛られマジで火をつけられ炎に包まれる…

後日、ヴァレリエが処刑された焼け跡に、花売り娘がお花を捧げていましたとさ。
ジ・エンド。

な訳無く、お薬飲んで脱出したヴァレリエは、町人の追っ手を逃れてあやしい酒場に隠れる。
するとそこは若者の乱交パーティー会場だったここの若者って発情してばかりだなw
イタチ怪人も居て若者を煽ってるしもうカオス。
しかしピンチが続いてる事に変わりは無いヴァレリエが、怪人の飲んでるワインにピアスを入れると、怪人はリアルイタチに変身して姿を消す。

世界はどこがリアルでどこが妄想かわけわかめ。
でも何だかひどく疲れたよママン、な心境でヴァレリエは、とぼとぼ家に帰りベッドで爆睡する。

★強引すぎる!まさかのハッピーエンドオチ

次の朝。
ヴァレリエが目覚めると、町もおばあさまも映画の冒頭の平和な風景に巻き戻ってた。
私、夢を見てたかな?と不思議がるヴァレリエにオルリークがあぶり出し手紙を渡す。(毎回凝った手紙の出し方するやつだw)

とんでもない事が起こる、との手紙の予言通り、リアルイタチが町人に撃たれ怪人あっさり死亡。次にエルサおばあさまが倒れ、ヴァレリエに出生の秘密を明かしてこれまた死亡。
イタチ怪人、おばあさまは共にヴァレリエと同じお薬入りピアスをしてたと判明する。
そして死んだはずの母親が馬車に乗って現れ、ヴァレリエ母娘感動のご対面を果たす。

すると舞台が一転、秋の森の中。
登場人物がみんなで楽しくピクニック♪
ヴァレリエ&オルリーク、怪人&おばあさま、母親とその恋人、みんなラブラブ大団円。籠に入れられたエロ伝道師様を除けばヘドヴィカも花売り娘も町娘も若者も森のあちらこちらでキャッキャウフフ♪

なにこれ。なんつう脈絡も無く強引なハッピーエンド。
ヴァンパイヤはどーした。火炙りはどーした。今までの話は全部何だったんだ。
ヴァレリアは森の中のベッドに横たわり、他のみんなは輪になって♪かーごめかごめ♪
ハッピーな雰囲気でヴァレリアは眠りにつく。

つまり、まさかまさかの夢オチ。
ヴァレリアのちょいエロな不思議冒険譚はみんなお年頃な彼女の夢妄想だったのです。
ちゃんちゃん♪
で本当のジ・エンドになるのでした。


★これだけじゃ何なので原作による補足の解説

その昔エルサおばあさまは夫に先立たれて娘と2人で暮らしてたが、リハルトという謎の男(のちのイタチ怪人)と恋に落ちる。
だがリハルトは、なんと娘と二股かけていた。いわゆる母娘丼であります。

娘は二卵性双生児の子供を産む。それがヴァレリエとオルリーク。
自分に似てるがより若くピチピチの娘に男を取られ子供までこさえたのにブチギレたエルサおばあさまは、娘を修道院に閉じ込める。
おばあさまは「ママは死んだ」と嘘ついてヴァレリエを育て、オルリークはリハルトに「お前は俺の甥」と嘘つかれて引き取られ、双子は互いの存在を知らぬまま離れ離れになる。
娘ことヴァレリエママは後に森の猟場番とデキて駆け落ち。ひっそり森の中で暮らしていた。

ヴァンパイヤイタチ怪人になったリハルトは息子オルリークをいたぶって育てたが、やっぱ娘は可愛いらしく、娘目当てに再び町に来る。
しかし自分の出生事情を知らないオルリークは「やばい!かわいい娘さんが怪人の餌食に!」と必死で守る。
同時にロリコン伝道師様に恋をしたエルサおばあさまは、もう一度若さを手に入れたくなってヴァンパイヤリハルトと契約を交わし、若返る代償に家を渡すと約束する。
あとはまあ大体あらすじの通り。

ちなみに原作の最後は「あー夢オチ?」じゃなく、ママと猟場番夫妻はヴァレリエとオルリークと老女に戻ったおばあさまを引き取って、みんなで森で仲良く暮らすという、普通のエンディングだった。
ちなみにロリコン伝道師様は勝手に魔女裁判した悪行がバレて上司様に左遷されたらしいw


★感想

さて映画の感想&原作を読んだ驚き。

「同じ原作を映画化したはずなのに『ミネハハ』と『エコール』は全然別の世界観だった」
なる感想を昔に書いた事がありますが、その手の話。
とはいえ意外にも映画は原作をおおむね忠実に再現してました。もっと前衛風にアレンジされてたかと思ってた。

でも監督は一点だけ大きく設定を変えてた。

原作のヴァレリエは17歳

え”ーーーーっ!!!
17歳て。そんなのありかよう。

だって映画でヴァレリエ役に抜擢されたヤロスラバ・シャレロバちゃんは

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当時13歳のガチロリータ美少女です。
この差はでかいでかすぎる。

★たかが4歳差じゃんと言うなかれ

ヨーロッパ女子の発達具合からすると、17歳とはこの映画で言うと「空き地で男とやってる娘さん」の肉体年齢だ。
17歳がエロ妄想しようがエロ親父に襲われようがドラマ上は禁断でもなく成り立つ年齢じゃねーか。

ぶっちゃけると原作の小説版は箱入り娘だがピチピチ若い女の17歳女子が、誘惑されてババアに嫉妬されて魔女扱いされて仮死状態になる薬飲んでスキありとかするうちに、同じ17歳で子供産んだママの代から続く因縁の母娘丼物語に決着をつける、ちょいエロゴシックな青春冒険小説なんですが。

という事で小説版で「17歳」ってのはとても重要なキーワードになってるんだけど、肝心の「17歳女子のピチピチ若い性」を持たない幼くあどけない表情でうっすい胸した13歳ヤロスラバちゃんが演じるのはどだいムリだろw
どう見てもオルリークと同い年に見えないしw
たかが4歳差じゃんというなかれ。女体の発達面じゃ13歳と17歳は深い溝がある。

なんで監督が原作の肝の設定をねじ曲げて13歳が17歳を演じる事にこだわったのか、ヤロスラバちゃん主演が先に決まってたからか、監督がガチロリだったからか知りませんが、17歳じゃない主人公が原因で実は破綻してる物語(だから映画版は話がわけわかめだ)を取り繕うために、ヤロミール・イレシュ監督は物語全体を「生理が始まって女の階段の爪先は踏んだがまだ何も知らない少女ヴァレリエによる禁断の脳内妄想、かもしれない」と上手いことすり替えたんである。

それが妄想ならいくら話がわけわかめでも結果が夢オチでもオッケーオッケー。
おかげでハイレベルに前衛耽美かつ萌え萌えなガーリーゴシックロリータ映画ができたわけです。
結果オーライですな。すばらしい。

★ヤロスラバ・シャレロバに見る理想の前衛サブカル美少女の要件

なにせこの映画は前衛アングラサブカルゴシックロリータガーリームービーを愛するうめめちの好きなもんばかりで出来ている
舞台装置!衣装!配役!ゴシックエロス!どれもいいねいいねの嵐であります。
鞭でしばいたら炎が上がる泉とか(石油の泉かよw)、イタチ怪人がマルチーズ抱いて扇子さばく姿とか、いちいちすてきぃ!かっこいい!
昔感想書いた『ひなぎく』の衣装やってた方がこの映画も参加してたたそうで、似たテイストを感じる。どうりでワンピースが可愛すぎると思った。
世の中にゴスロリ趣味作品はあまたあって、中には結構製作費を掛けてそうなのもあるのに、それほど金掛けてなさそうな本作品が段違いで可愛く妖しくアヴァンギャルドかつ重厚で品がある。やっぱ本場の東欧ゴスロリは格が違う。

なかでも絶賛いいねなのが主人公のヤロスラバちゃん。
かわいい
演出が上手いからもあるが、本当かわいい
「そりゃこんな理想の美少女が映画に出てくれてしかも脱いでくれるなら、17歳設定無視してロリータ全開にしたくなる気持ちはよく分かる」と全力で納得するくらい前衛ゴスロリ映画にどんぴしゃなルックスです。

と書いたところで最近懐かしの90年代CUTIEクロニクル本を読みまして


CUTiE CHRONICLE 1989-1999CUTiE CHRONICLE 1989-1999
(2014/10/23)
CUTiE編集部

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思うに前衛アングラ映画の時代から現在まで「サブカル業界の理想の美少年美少女」の定義って、顔の流行は多少あるけど基本のテイストはあんまり変わらないのではないかと。
ヤロスラバちゃんも今すぐ装苑専属モデルになれそうなルックスですし。

顔は整ってるし憂いも小悪魔な魅力もあるが、アイドル的なお商売的媚びの無い顔。
眼力強いがどこかあさって向いてそうな瞳。
子役やプロ美少女じゃないナチュラル素人ぽさ。
あどけないがエアリーで神秘的な、花と果物と豆とか食って生きてそうなたたずまい。

こんなとこですかね。
要件書いてみると、これはこれでいかにもサブカル受けって感じであざといかw
でもたまんないんですわー。CUTIEで育ったサブカル世代ですんで。

こんなサブカル美少女好きが世界に大勢いるのか、映画は今でもカルトに愛好されてまして、今年の夏にブルーレイまで出るらしいです。日本版出たら、あーやっぱり買っちゃうなーw

★どうでもいいが気になるマー君の木

ぐだぐだ書き過ぎて自分の感想もわけわかめ化しちゃってきたので、一言だけ書いてもう終わりにする。
ヤロスラバちゃん、すごくカワイイんだがたまに田中マー君に激似な時があってwそこだけ萌え止まるんでちょっと困るw
本当どうでもいいネタですね。

(了)
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