No.123『人魚伝説』

製作年:1984年
原作:宮谷一彦
監督:池田敏春
脚本:西村琢也
ジャンル:海女が殺人モリを片手にキルビル映画

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伊勢志摩サミットおめでとう企画w

昭和カルトムービー業界では王道の人気作。
肩書は一応、社会派ATG映画らしい。
昭和の社会派映画・ドラマでは定番ネタのひとつ、悪の原発建設計画を成敗する話です。

「近畿中京圏住民の憩いのリゾート地、伊勢志摩が舞台♪」
「あわびも伊勢海老もとーれとれピーチピチな海の魅力がたっぷり♪」
「主人公は漁師の夫を一途に愛する新妻の海女ちゃん♪」
なんて設定と『人魚伝説』のタイトルからイメージされるであろう、ちょっとやんちゃなダーリンと健気で明るい嫁さんの、爽やかで健康的なハートウォーミング恋物語♪という固定概念を完膚なきまでに粉砕する、どす黒い情念と血が沸きたぎるキルビル話であります。

蒸し暑い夏にイライラMAXなあまり、「うらぁ!」と腹にドスを握って誰かを刺したくなった時に観ると、カタルシスを覚える映画であります。
★予告編



血染めの白衣とかいうレベルじゃない予告後半。煽り文句の「鬼」の大文字がぴったりはまる。
バイオレンス苦手な方は踏み絵必須。

★あらすじ(青字はネタバレあり

口はぶっきら棒だが根は優しい漁師の佐伯啓介(江藤潤)と嫁・みぎわ(白都真理)は、アワビを採って生計を立てる新婚夫婦。
毎日ちょこちょこ口喧嘩はするものの、心はお互い惚れあって平和に暮らしてた。

ところがある夜啓介が船で仮眠を取ってたら、静かな湾内にプレジャーボートが突っ込んで、ド派手に炎上爆発する。
啓介は驚いて嫁に顛末を話するが、不思議な事に乗員の死体も上がらなければ啓介の他に目撃者も無く、新聞記事にもならない。

こいつは怪しい何かある、と疑った夫婦は、漁に出る振りして爆発の証拠探しを始める。旦那を見張りで船に残し、海女の嫁が潜って海底を捜索していたところ、

モリで串刺し血まみれ旦那が海に落ちて来た。
ひー。

みぎわも襲われ殺されかけたが何とか生還。しかし何故だか旦那殺人犯の濡れ衣を着せられ巡回中の警官にいきなり逮捕されかける。んーなーあーほーなー。
みぎわはとっさに警官を突き飛ばしてダッシュで逃げ、逃亡生活を送る事になる。

★脱ぎ要員シミケンのサービスショット満載

みぎわは旦那友人のアマチュアカメラマン兼カラオケスナック経営者・宮本祥平 (清水健太郎。しっくりくる配役w)にかくまわれ、「渡鹿野島」なる離島に連れて来る。
その島は女だらけのいわゆる「売春島」で、みぎわは売春嬢たちにまぎれてひっそり暮らし始めるが、旦那のいない寂しさと、まぁ世話してくれた恩義もあり祥平が求めるままについ体を許してしまう。

…という流れで2人ががっつり一発やるんだが、
シミケンが白都真理を押し倒し、キスしながらまさぐるATG名物「前衛ですがエロありまっせ」シーンで大股開いて見せたのが
パンティならぬ白いおパンツ。
透けもしなければ食い込みもない、なつかし昭和の極厚生地のおパンツ。
そしてシミケンが服を脱ぎ、黒光りした全裸を見せつけてロマンポルノばりに激しく体位を変えながらガツガツ腰を振るが(激しすぎてボカシあり)、シミケン、服は脱ぐのに白いお靴下だけは履いている。
萎えるし笑うw
なにゆえ白いおパンツとお靴下なのだw監督の趣味かw

さて話に戻ると、祥平は実は地元の土建屋の息子。しかも社長のオヤジ(青木義朗)は地元にレジャーランドを建設すると偽って原発建設の工事請負を進めるという、わっかりやすい悪徳土建屋である。
そしてモリで串刺し血まみれ旦那殺人事件の原因も、原発建設計画のいざこざから派生した…?と匂わせる。
祥平はオヤジの企みとみぎわへの恋の狭間で悩むが、土建屋の跡取りって立場上オヤジ側につかざるをえない「苦悩の二枚目」な役どころなんだが、それにしても土建屋実家(プール付き豪邸)で黒のビキニ海パンで泳ぐサービスショットありってさw

失礼ながらうめめちはシミケンの芸能人全盛期を知らず、せいぜい『ガラスの仮面』の失恋レストランネタと「何年ぶり何度目の逮捕」ネタしか知らなかったので、シミケンって昔は斉藤工ばりのセクシー要員だったんだーと目新しい発見でありました。

★キルビルデビューはがっつりドスで!華麗にプールで!

そんな悩める祥平が土建屋の接待スケジュールをうっかり漏らしたために、復讐導火線が点火したみぎわは島の売春嬢にまぎれてキルビルの機会を狙う。
そうと知らず自家用船でウキウキ島に来た土建屋御一行は宴ありカラオケありアフターありで盛り上がり、みぎわも社長側近のフンドシ姿のヤクザと一発やる。
だがフンドシヤクザは社長が雇った殺し屋だった。

海女ちゃんキルビルデビューどころか逆に殺される危機!
のはずがフンドシヤクザがおしゃべり野郎で、
「プレジャーボート殺人は原発に反対した社長部下」
「旦那は殺人現場を見たので、社長が口封じに始末した」
と腰振りながらべらべらしゃべってくれるw

って事で恨み爆発のみぎわはフンドシヤクザと大乱闘。
つい先日までカタギの人妻が、本物のヤクザ相手に局部ボカシまくりの全裸大股開きでドスを振り回す!
鮮血プッシャー!の返り血をマッパの全身に浴びながら、何度も何度もヤクザの体にドスを突き立てる!
こえええー!
凄いキルビルデビューである。

殺し屋を始末して土建屋御一行に追われるみぎわは、海に身を投げて渡鹿野島から脱出する。
海女といえ泳いで島を渡るだけでもすごいのに、なんと次に現れた場所は社長の豪邸のプール!
驚いた社長と取っ組み合い、ガラス扉をバリバリ割る勢いでプールに突き飛ばし、水中で羽交い絞めして溺死させる。
ひいー!
戦慄するくらい見事な殺しっぷり。
ど素人の割になんという優秀過ぎる女殺し屋w
しかし愛する旦那を殺された嫁の怨念キルビルパワーは、これでもまだ序の口の腕前なのだった。

★鼓笛隊にミスパールの水着パレードってw

父親を殺されてさすがに味方も出来ない祥平は、ヤクザ手下を使ってみぎわを捕獲し、漁網でぐるぐる巻きにして断崖から突き落とす。だが不死身のみぎわは奇跡的に網を破り泳いで脱出。
ついでに旦那のドザエモン死体も発見する。
ちょっと白くなってたけど、腐ってなくて良かったねw
みぎわは浜辺で廃船を燃やして旦那をセルフ火葬し、自分は人里離れた青の洞窟で身をお浄めして、アワビ漁に使うモリを殺人モリに改造していた。

一方で社長は死んだが原発建設計画は進んでたらしく、「原発誘致に成功したぞー」プレスリリースを行い、地元でおめでとうパレードまでやる始末。
小中学生の鼓笛隊に先導されて現れたのは、レインボー柄の水着を着た『ミス・パール』嬢(ださっ)と政治家のおっさんがお手振りするオープンカーw
何ですかこれw平成じゃ考えられない能天気w

で、大半の地元民は心の中はともかく表向きは「ワシらも原発マネーで大金持ちじゃあ」と喜び、もともとレジャーランド予定地だった岬の展望台で祝賀会を催すことになった。

★片っ端から殺人モリでどつきまくりの鮮血祭り

そこへ招かれざる客が殴り込みに来たー!!
白いワンピースを着たみぎわが手に殺人モリを握りしめ、挨拶代わりに警備員を瞬殺。眼前に立ちはだかる祥平を返り刀でブッ刺し海に突き落とす。さらに全身に祥平の返り血を浴びながら警備員2名を殺害。
会場入口でもう4名殺ってます。

会場に入れば阿鼻叫喚の群衆相手に本格的キルビルスタート。
議員の先生も電力会社社員も土建屋ヤクザ軍団もコンパニオンのねーちゃんもミス・パール嬢も、
ヤリでずぶっと刺す!
どつく!
殺りまくる!
たったひとりで赤穂浪士47浪人分くらい働く。

殺人ヤリを水平に構えて腰に力を溜め、白いワンピも鮮血プシャーで真っ赤に染め、鬼の形相で誰彼構わず突進しヤリでどつきまくる様は、
♪俺は地獄のテロリスト
♪思い出を血に染めてやれ
なデトロイト・メタル・シティの『SATUGAIせよ』の歌詞すら生ぬるく感じる地獄の殺戮マシンです。

こうして軽く2,、30人はどつき殺した頃にようやく三重県警の機動隊が到着する。
おせーよ!
でも「何人殺したらおわるんやー、あんたを殺したんはほんまは誰やー」と旦那に向けて独り言をつぶやきながら、警察すら潰す気満々のリアル鬼嫁の気合に押される始末。
しかし警察もプロの意地で包囲網を敷、みぎわをじりじり追い詰める。

するとにわかに空模様が悪化して、いきなり岬が台風並みの暴風雨に襲われるw
次々倒れる機動隊、なぎ倒される原発誘致の看板。
いやいや、直前まで小雨も降ってませんでしたやんw最後は旦那が嵐を呼んだのかw

ふと気づくと辺りはみぎわの他に誰ひとり無く、死体も警察も血の海も消えていた。
復讐を果たしたみぎわは海へ飛び込む。
すると海中から幻の旦那が出てきて、みぎわは(何故か)全裸になり水中遊泳を始める。

まぁ最後は旦那の所へ逝きました。なシメですが、さっきまで血みどろのキルビルでしたのに、なんで唐突にファンタジー?と首をひねるものの、伸び伸びと海と戯れるみぎわの美脚ヌードになんか心洗われた気になる余韻を残してジ・エンド。


★感想

アートシアターギルド提携作品と言いますと「ATGかぁ」と敬遠する方は相当多いと思いますがw
『人魚伝説』はATG系映画にしては話もわかりやすいし、エロもバイオレンスもサービスたっぷり。真っ赤な血が豪快に噴き出すし流れまくります。
前半は社会派ATGテイストが強めでダレますし、ラストはファンタジーだけど面白い。
『丑三つの村』みたいな昭和猟奇サスペンスを好きな方にはもちろん全力でおすすめですが、実録ヤクザ映画とかズベ公番長系の昭和映画や若干表現エグめなバイオレンス映画、海外ドラマを楽しめたらおおむね大丈夫です。

★売りの潜水シーンは確かにきれい

この映画の「殺人モリでキルビル」以外の売り(というか本来の売りはこちらだったんだろう)は、きれいで躍動感ある潜水シーン。
確かにきれい。上手い。
そりゃ美しい海っても所詮伊勢志摩ですから、透明度100%青い海!白い砂!熱帯魚!じゃないけど、リアルな海の匂いや水の流れを感じられる。海に白い命綱を投げ入れて、海女が凄い速さでサーッと一直線に潜るのがきれいです。
かつてニュースステーションの水中実況中継でおなじみだった中村征夫が撮影してます。

海だけじゃなく、全体てきに目に焼き付く画が多いです。
プール殺人シーンも迫真だったし(長いけど)、白装束で傘さした地元の葬式シーンも神秘的できれい。廃港に捨てられた船の残骸とか、渡鹿野島の物寂しい街並みの描写も味がある。
まぁラストシーンは物語には必然性ゼロで単に全裸遊泳撮りたかっただけじゃんwと思うが。

★キルビル女優の必須条件はガタイがいいこと

そして体を張りまくった主演・白都真理。
昔アラーキー撮影の随分エロいヘアヌード写真集(秘密のお宿で訳あり和服美人としっぽり)をお出しになってたのが印象深い。

しっかりした男顔美人&ガタイがいいので、武器(しかもヤリ)をガッチリ握る姿がかっこいい。
ユマ・サーマンやシャーリーズ・セロンほど身長は無いけれど(165㎝らしい)、肩と二の腕、そして太股がたくましくて素晴らしい。やっぱりキルビル女優はガタイが良くてナンボ!
可愛い顔で華奢な女優が血まみれでヤリ持ってどついてもコスプレ感見え見えで迫力無くて興ざめする。これくらいがっちりした体の方が、カタルシスが深くていいですね。

★セックスシーンの体位に関するささやかな疑問

しかし殺戮シーンは抜群にいいけれど白いおパンツとお靴下のエロシーンがなー…
全裸でシミケンとガシガシやってるんだが、白都真理のガタイ良い肉体と運動神経の良さとAVばりにハードでねちっこいセックス演出が仇になってるような…

何が言いたいのかというと、「AVのセックスシーンの体位を次々変えるプレイはATGといえ一般映画には馴染まない」という事です。
しっかりストーリーが構築された映画の中で、突然体位だけ「よっ!次!はっ!次!」って具合に変えては腰振るシーンを挿入されてもなー、物語の流れが途切れる気がしてぶち壊しw
器械体操にしか見えないし萎えるわw
あれはストーリー性の薄いAV空間でしか楽しめないファンタジーではなかろうか?と思いますが殿方の皆様いかがでしょう?

思えば過激セックスシーンが有名な映画は、「過激」でもAVそのものズバリな印象が薄い。特に「体位を変える」表現を和らげている。物語の流れを壊さない程度に、カット割りや演出で体位変換の気まずさを上手くぼかしてたんだなー、と勉強になりました。(何がだ)

★なんだか気になるネクタイの柄

さて最後に気になったファッションネタ。
悪徳土建屋社長のシミケンパパが締めてたネクタイの柄が、ザ・昭和悪趣味デカダンスな「人の横顔パターン」で実によろしいw
どこで売ってたんだこんなものw
昭和映画の悪役ネクタイは極太サイケ大胆柄のわっかりやすーい成金悪趣味でわくわくする。
自分の旦那には一生締めさせたくないけれどなw

(了)
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