スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

No.126『惑星大戦争』

公開年:1977年
監督:福田純
脚本:中西隆三
ジャンル:ある意味日本人すげえ!パネエ!なSF映画

126.jpg

東宝DVD名作セレクション化おめでとう企画。

ここ数年テレビ業界で一大トレンドの『日本人すごい!日本の技術パネエ!』な日本ほめほめ番組を見ていると、いや日本の技術や人柄ををほめるの自体は別に良い事じゃないかと単純に思ってますが、ただなんとなーくこの映画の池部良がうっすら浮かんでちょっと困りますw

話はまぁ…
日本人は凄い!
日本の英知は凄い!
日本魂は宇宙レベル!
日本は地球を救う!
って感じだが、にしても映画の日本人描写は、大風呂敷を広げるにも限界があるだろと正直思いますです。
★予告編



これが昭和の特撮映画だ!な王道の予告編。
タイトルの大文字Sのフォントが何気に変。

★あらすじ(青字はネタバレあり

冒頭から昭和レトロ感が半端無いが、舞台は一応1988年だそうだ。
浅野ゆう子も出てくるし、まあっトレンディーw

1980年代の地球は謎の宇宙組織によるUFO襲来や電波妨害に悩まされていた。
今日も宇宙ステーションと「国連宇宙局」の日本支部との交信が妨害されてんやわんや。
そんな最中アメリカ帰りの多分レッド隊員(森田健作)が、「やあみんな久しぶり!」と顔を出す。
メンバーは非常時にのこのこ挨拶に来やがって空気読めねえなとハブる訳でもなく歓迎して仕事もそこそこに飲み会に行っちゃう。
昭和の仕事風景はお気楽でいいねw

飲み会で森田健作や宮内洋らの濃いメンバーが熱いトークを交わしたり、推定ブルー隊員(沖雅也)とピンク隊員(浅野ゆう子)が婚約を報告したりして盛り上がってたらまたまた緊急事態発生。
なんと宇宙ステーションが謎の宇宙船とぶつかって行方不明になっちゃったのである。

★わたしの博士は左利き♪って普通間違えるか?

こいつはえらいこっちゃ!
森田レッド隊員は浅野ゆう子のパパで天才科学者の滝川博士(池部良)に会いに行き、「開発中止になってる宇宙防衛艦『轟天』を完成させてすぐに出撃できませんか」とお願いに行く。
でも池部パパ博士は「それは出来ない」と断固拒否。
そりゃ地球の危機だ国連の要請だ言っても、日本政府が作るんだから予算とか官庁の許可とか色々ありますやんかーと大人な感想を述べてみる。

すごすご帰った森田隊員達と入れ違いに国連から多分大物科学者のシュミット博士が来て、「日本政府が造れないなら『轟天』は国連が造る。だから設計図をちょーだい」と迫る。
すると池部パパはニヒルな面持ちで「お前は偽物シュミット博士だから渡せん」と拒否。
キィーばれたか!と池部パパを襲う偽博士だが、戻ってきた森田隊員達に成敗される。

その正体は宇宙人エージェントなんだが、しかしバレた原因が右きき左ききの違いって、どんだけベタな初歩的ミスを犯すねん宇宙人w
映画の行く末を暗示するような雑でお子ちゃまなプロットである。

★日本の技術は高いんだがデザインがアレなんだな

池部パパが殺されかけた事でやっと本気出した政府は対策本部を設置。「敵は金星にいる」といきなり的確に解析し、「直ちに『轟天』を完成させ金星へ出撃せよ!」と緊急指示を下す。
やたら手際がいいじゃんか日本政府。
いつもの予算とか法律とか閣議とか国会決議とか野党対策とかアメリカ様のご機嫌伺いとか、いつも諸般の事情でぐだぐだ揉め倒すプロセスはどうしたよw

ともあれ晴れて政府指示を受けた池部パパはいきなりスイッチ入っちゃって「3日で完成させる」と言い出し(無茶なぁ)、日本のどこかの島の地下に建設されたすんごい巨大な秘密基地で技術者をこきつかい、宇宙空間の航行も金星のクソ暑さにも耐えて未知の宇宙人と交戦可能な巨大高性能戦艦を、本当に3日で完成させる。
すごーい!日本の技術パネエ!だが、

機能はともかくプロダクトデザインが激しくダサいという日本の家電製品の伝統的な欠陥を露出する。

うーんださい。
「最終兵器はドリルだ」と力を込めて訴えんばかりに、マナティが掘削ドリルをくわえてる風にしか見えないネタバレ全開仕様である。

しかし日本の技術者が頑張ってる3日間に、敵も本気出して地球を襲っていた。
世界中に釜飯みたいなUFOが大量に飛来し、東京はじめ世界の大都市を片っ端から破壊しまくりレーザービームで人類を大量虐殺する。
ここだけは壮大なスペクタクル映像が満載で、、おぉハリウッド並みだ!と一瞬わくわくするけど、この映像は全部他の映画からの借りパクだそうだ。
ええー!アリかよそれ!

とか色々あって滅亡寸前な地球の危機を救うべく、池部パパ館長と国連宇宙局日本支部の精鋭達とNASAから応援に来た外人助っ人ジミーちゃん(デビット・ペーレン)をお供に乗せて、宇宙戦艦『轟天』はいざ出撃する。

★銀河帝国の方も微妙なパクリゆるキャラ仕様

地球を後にして、宇宙戦艦建造時の作業服から戦闘服に着替えた森田レッド隊員御一行。
ジャーン!ださい。
黄色と黒の警戒標識カラーのウェットスーツにベルトバックルのイナズママークがチャチさ倍増w
冷静に考えればキルビルと全く同配色なのに天と地のごときダサダサぶりは、図らずも東京五輪のおもてなし制服の壊滅的センスを思い起こさせる。

さて金星到着までのアイドルタイムはせっせと伏線回収。
ブルーがレッドに「俺に何かあったらジュンを頼む」と死亡フラグを立てたり、行方不明の宇宙ステーションを宇宙空間で回収したり、その途中でジュン隊員がさらわれ、ガンダムのシャアのパチもんっぽい感じの悪の銀河帝国ヨミ惑星司令官ヘル(睦五郎)が「人質を取ってやったぜ」と脅しを掛けてきたりする。

ここでおそらく製作者は頭の中では「むくつけきキングコング用心棒に羽交い絞めされる、『コブラ』ばりの悩殺ボンデージビキニに身を包んだ浅野ゆう子」の姿が浮かんだと思うんだが、
観客が見たのはチューバッカの劣悪なパチもんにひこにゃんのツノつけた超ゆるバカキャラに囚われた、黒のホットパンツ程度でお茶を濁した浅野ゆう子だった。
えーがっかりだよ!
ゆるバカはともかくせめて色気は頑張れよ!

★内側から開けられる牢屋は牢屋じゃないし

という事で地球征服に来た銀河帝国と自称する割に脇の甘さが見え見えな連中との戦いが始まった。

国連宇宙軍は沖雅也ブルー率いる爆撃機チームが釜飯UFOと派手にドッグファイトを繰り広げる間に、レッド隊員率いる地上隊チームが敵母艦に潜入してジュン隊員を奪還する作戦だ。
爆撃機チームは颯爽と釜飯UFOを攻撃し、「メインチームで最初に死ぬのは外人部隊」の国際派日本映画にありがちなお約束通り、ジミー隊員が神風アタックで敵レーダーを破壊する。

一方地上隊は敵母艦に張り巡らされたトラップをソリッドスネークばりにかわして潜入する。
…はずだったが、トラップがしょぼいくせに4人中3人あっさり死亡。
しかも森田レッドはあっさり見捨てて先に進むw
いや潜入中だから死体を背負えとか言わないが、形見の物を持ち帰るとかさぁ、少しはリアクションしようよ…
割と薄情である。

そして(予想よりあっさり)司令官室に到着したが、速攻偽チューバッカに捕まり牢屋に入れられる。
でも司令官ヘルがプッシュボタン式牢屋錠を操作してたのをジュン隊員が近くで観てたので、内側から掛かった錠を開錠して無事脱出。
そーんーなーアーホーなー。
内側から開けられる牢屋は牢屋じゃないし!
司令官様戦艦の造りが杜撰過ぎます。
偽チューバッカもナイフでさっくり倒れて弱すぎます。
外が頑丈なら中の警備はどーでもいいんでしょうか。

こうしてレッドとジュン隊員が脱出したのを空の上から見届けた沖雅也ブルー隊員は、ネタ振り通り華々しく撃墜されるのだった。

★さて、問題のラストです

娘を取り戻した池部パパは、満を持して敵母艦と最期のタイマン勝負に打って出る。
宇宙の未知の敵の攻撃にそこそこ耐えれるだけの戦艦を造っただけでも日本の技術すげー!だが、銀河帝国自慢の最終兵器・スーパービームを食らいさすがに撃沈する。
絶体絶命のピンチに陥った池部パパは、他の隊員全員を残してひとり秘密の操縦室に籠り、いよいよ「轟天に隠されていた真の最終兵器」を発動させる。

それは皆様ご存じの通り掘削ドリル。
見た目ださいが性能抜群なドリルは、突進してドリルで敵艦のどてっ腹に穴開けて宇宙戦艦を真っ二つに裂くという、見た目まんまな地味な攻撃で敵を撃破し、司令官ヘルを道連れにして金星火山の火口へ突っ込んでいきました。

池部パパの自爆行為に悲しむ暇もあまりなく、森田レッドとジュン、母艦で生き乗った隊員達は轟天を修理して(すぐに直るんかいw)金星を脱出。地球は危機から守られましたジ・エンド。
と思いきや、実は轟天の秘密兵器ドリルには、とんでもない物質を満タンで積んでた事実が発覚する。

なんと!池部パパ博士は轟天開発中にうっかり「宇宙の生成物質エーテルを破壊する事で銀河系さえ吹っ飛ばせる驚異の暗黒物質」を作ってしまい、こっそりドリルに詰めてたんである。

火口に突っ込んだドリルの中の暗黒物質はマグマと反応して恐るべきパワーを生み出し、金星をこっぱみじんに破壊しちゃいました。
轟天は「実は暗黒物質狙いで地球を襲ってきた」銀河帝国の司令官を倒しただけでなく、宇宙を乱す暗黒物質そのものを自ら始末したので、地球いや宇宙の平和は守られましたとさ。

かくして、金星から飛び散った暗黒物質が他の誰かに利用される事はねーのか?とか
金星ぶっとばして太陽とか彗星とかそんなに離れてない地球に影響ないの?とか
森田レッド隊員達が地球に帰っても釜飯UFOにあんだけボコボコにやられてて人類滅亡してんじゃないの?とか
まぁそういう様々な疑問を全部棚上げにして、とりあえずジ・エンド。


★感想

地球はおろか金星はおろか太陽系さえおろか銀河系さえどうにかできるブツを開発するなんて、
日本人すげー!
日本の技術パネエ!
日本人はうちゅういちー!
………

そんななわけあるかあああー!
とツッコミ千万なザル設定の宇宙映画でした。

『スターウォーズ』大ヒットにあやかって作られたパチモンSF映画らしい、素晴らしくやっつけ仕事なB級大法螺ワールドが展開されてます。
まぁライバル東映の『宇宙からのメッセージ』だって「星のケツから噴射装置が出て星が丸ごと発進」なんて無謀な事をやらかしてますんで、ディテールのいい加減さはドッコイドッコイですがw

個人的には『宇宙から~』の方が笑えて好きだ。
成田三樹夫の銀のかに道楽のように突き抜けたバカバカセンスが『惑星大戦争』には不足かな。
でも銀河系レベルまで広げまくった大風呂敷は、かのオカルト雑誌『ムー』の香りがして面白かったです。

★トメ俳優の空気感に左右される映画のトーン

もうひとつ『宇宙から』と比較して気になったのが、バカ映画の割に画面に流れるペシミスティックなトーン。

実のところ『惑星大戦争』のラストは、「地球近くで星が丸ごと自爆して滅びる」という点で『宇宙から』とそんなに変わらないんだが、『惑星~』に比べると『宇宙から~』はバカ明るいw
「悲劇は悲劇だけど、とりあえず地球は救われた!」と郎らかに言い切るポジティブな空気が流れている。
しかし金星自爆の方は空気が重くて悲壮を感じる。

この原因は色々要素があるけれど、トメ俳優が丹波哲郎か池部良かってのも大きいと思う。
丹波様が地球の運命を背負う立場だと「理屈は分からないが何とかなりそう」と思えるが、池部良が地球の運命を背負って決断を下す顔は憂いが前面に出るからねぇ…
「何とか最悪は逃れるかもしれないが…後に残されたものは相当大変かも…」と下向きに想像してしまいそうだ。

リアルで地球の運命を託すなら丹波様だがw
池部良のペシミスティックな雰囲気も悪くない。

大物トメ俳優の醸し出す空気感ってちょっと顔見せする程度の出演時間で、役柄上「うむわかった。私が責任を持とう」くらいしか言ってない気もするんだが、でも結構映画のトーンを決めてるんだなーと思った。

★そして最後に気になる、まぁ時事ネタの木

「機能はともかくプロダクトデザインが激しくダサい」問題は本当に何とかならないですかね。パクリとかいう以前にさ。
日本にだって日本伝統デザインの特徴を活かしたグッドデザインなんて沢山あるのに、なんでここでキメなきゃ大一番!というシチュエーションのデザインがダメなのか。
前の東京のは斬新だったし再使用すれば?

(了)
関連記事
スポンサーサイト
テーマ: 映画感想 | ジャンル: 映画
No.127『エスパイ』 | Home | No.124『処刑の島』
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。