No.131『アンディ・ウォーホルのトラッシュ』

公開年:1970年
監修:アンディ・ウォーホル
監督:ポール・モリセイ
脚本:ポール・モリセイ
ジャンル:イケメンジョーの行き当たりばったりだよ人生は映画

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レトロおしゃれな映画特集その2。
アンディ・ウォーホルプロデュースでもう1本。
監督は『処女の生血』と同じポール・モリセイ。
主役はジョー・ダレッサンドロ。

『処女の生血』は一応吸血鬼ものという物語がありましたが、こちらはちゃんとした物語すらない。NYの片隅で暮らす怪しい人々がわらわら出てきて、一方的にしゃべって脱いで痴話喧嘩するだけw
どいつもこいつも素晴らしくバカのロクデナシだが、どこか憎めない奴らのバカコメディ味に仕上げるのが、ポール・モリセイ監督作品の良いところ。ラストの靴のくだりなど、私のようなファッション馬鹿は共感してしまうところがあります。
★あらすじ(青字はネタバレあり

主人公のジョー(ジョー・ダレッサンドロ)はヘロイン漬けのニートで女を渡り歩いて食わせてもらう典型的な馬鹿ヒモ兄ちゃん。
顔と体がいいのでとにかく女にもてるが、薬のせいでチンチン勃たないという悲しい設定だ。

映画は初っ端からゴーゴーガールのねーちゃん(ジェリ・ミラー)がジョーの息子をくわえてご奮闘。セックスしてよーとせがみながら、能天気な声でくだらない自分話をしゃべるしゃべりながら、何とか息子をものにしようとストリップショーまでしだす始末w
裸で踊るねーちゃんをボケーと見てるジョー。
チンチン丸出しでw
結局チンチンは勃たず、情けなく女に追い出される。

★金は無くてもおしゃれはしたい乙女心

そんなジョーにも一応恋人がいる。
シェールみたいなこわい見た目のトランスジェンダーの姐さん、ホリー(ホリー・ウッドローン)だ。
2人は無職で生活保護も受けれず金が無く、汚ねえ暖房無しアパートに転がりこんで、ゴミ捨て場から家具や服を拾って暮らしてる。リアルでボヘミアンですな。
でもまじで汚いくさいジョーと違って、ホリーは金は無くともおしゃれは忘れないファッションフリークなオカマ、いや乙女だった。
ゴミ捨て場セレクトのいい趣味の服や靴をいい感じに着こなすのがご自慢。
そしてホリーも自分話をしゃべるしゃべる人だった。長ーい話の最中にジョーは薬が回って気を失い、怒ったホリーに家を追い出される。

寒いNYの街を愛犬と一緒にうろつくジョーだが、寒さに耐えかねてナンパした女の家に転がり込む。
女はやたら金もってるが見るからにラリってるバカギャル(アンドレア・フェルドマン)。こいつもやっぱりしゃべるしゃべる。
バカギャルのラリった支離滅裂な自分話を右から左へ受け流しながら黙々とヘロイン打つジョー。やがて薬が効いていい気分になったら一発エッチ。
…でも勃たない。
不完全燃焼なバカギャルに次のヤクの金までせびり、ジョーはまた追い出されるように女の家を去る。

★やるじゃんホリー!メガネ高校生を餌食にする

そろそろ怒りも冷めた頃合いでジョーが家に帰り殊勝な心がけでお掃除などしていると、今度はホリーがメガネっ子な若い男を連れて来る。
なんとお坊ちゃん学校の高校生。
薬買いに来たらしい。
うぶな高校生を楳図かずおのへび女ばりの形相で舌舐めずりして口説くホリーにジョーも半笑いw結局高校生はホリーにムリヤリ尻に薬打たれて意識朦朧とした隙に脱がされがっつり食われるw
メガネ取ったら結構イケメン。やるじゃんホリー。

ホリーが高校生をご賞味中に家を出たジョーは、薬資金稼ぎにアッパーなお宅の空き巣に入るが、住人の奥様(ジェーン・フォース)と鉢合わせ。
さすがアッパーな奥様、これまでの人々と段違いに小奇麗ファッションだしインテリアも小奇麗だが意外にもこいつが映画最強のバカ女なのだった。

★アッパー夫婦はガン見と喧嘩がお好き

警察に突き出されちゃかなわんと、ジョーは奥様をなだめつつ場を逃れようとするが、逆に欲求不満の奥様にレイプしてとせがまれる。
困ったジョーだが、お約束のタイミングで旦那が帰宅。
奥様に「高校時代の友達の振りして」と言われ、ムリヤリそれっぽい風を装ってやり過ごす。

ところが旦那の前でトーンダウンと思ったら奥様のキチとしゃべりは逆にますます暴走。
ジョーに風呂入って体洗えと命じて

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「おっきいのねー」と至近距離でチンチンガン見w
そして臭えだのロン毛はダメだの毛穴の黒ずみだの次々ダメ出しするわ、大声で下ネタ連発するわ、果ては「旦那と3Pしましょうよ」と持ちかけるw旦那はアタシの下僕だから何でもやるのよー、だからご一緒にと豪語するキチ奥様。

そして妻が連れ込んだ不審な男に疑いを抱きもせず、やたらフレンドリーで心が広い旦那。
ジョーがヘロイン中毒と知ると何故か興味津々になり、「僕達の前で薬打ってくれ」とお願いしてくる。
で、ジョーが裸で注射する様子を至近距離でガン見w
なんなんだこいつら。
ところがジョー薬打つ最中に2人は子細な事から言いあいが始まり、次第にジョーそっちのけで大喧嘩。
最後は旦那がブチギレて、「俺はお前なんか嫌いだバカだしキチだし!このヤク中がお前の間男だってのも知ってるんだぞ!だれが3Pなんかするかコノヤロー出てけ!」と薬をキメて無抵抗のマッパなジョーを家から追い出す。
ひでえwほんとなんなんだこいつらw

★ひょんな事から生活保護ゲットにチャレンジするも

その頃ホリーは自分の妹から「妊娠して子供育てられないけど堕ろせない」とDQNまっしぐらな相談を受けていた。
ホリーは考えた末にジョーに相談する。
「妹の子を引き取って3人で生活保護受けて暮らさない?」
おっと、はじめて建設的な話になりました。
ベッドでチンチン手コキしながらだけどなwでも勃たないから結局ビール瓶使って1人でなさるホリーw
悪魔が憑いたような表情(正直怖い)でよがるホリーを「すまねぇな…」とそっと手を握ってやるジョーw優しい奴じゃねえかw

ところが妹は姉の予想以上にだらしないDQNだった。
姉が妹用の家具をゴミ捨て場で選んでる間に、妹は勝手に家来てジョーに「一発やろう」と迫る。
ジョーがやり始めたところでお約束通りホリー帰宅。「2人とも出てけー!」と激高される。そりゃ怒るわ。
ジョーとホリーは喧嘩するが(ってよりホリーが一方的になじりまくる)、結局妹は出て行き2人は元サヤに納まる。
ホリーは妹抜きで生活保護ゲット作戦を決行。「薬をやめてメタドン治療中の夫と妊娠中の妻」を装いお役人の審査にパスしようとするが、お役人は「旦那さんは薬物治療の更生プログラムを正式に受けてないので認められない」とお役所回答。
「そこをなんとか」と粘るホリーだが、お役人がホリーの靴を見て言った言葉に困惑する。

「あんたの靴をくれたら審査通してもいいよん」
なんとお役人はハイヒールフェチだったw

でもファッションフリークなホリーは「これはお気に入りの靴なのよ!」と断固拒否。
靴をくれ!ダメあげない!と身も蓋もなく大喧嘩して仁王立ちしたホリーの腹から詰め物がボトッと落ち、妊娠偽装がバレて生活保護作戦は失敗に終わる。


最後はベッドで意気消沈するジョーとホリーがやっぱり生活保護なんていらない自由に生きるぜ!と締めくくるが、ホリーがオチで「ねえしゃぶらせて」とこれまた身も蓋も無く呟いてジ・エンド。

★感想

バカがだらだらしゃべってサカってばかり。
アメリカインディーズ映画特有のゆる~い空気に包まれたバカ映画ですが、くだらないのに妙に面白い。
真面目に観ると何かこんな映画をだらだら観て時間を損していいのかと思いますし、作業しながらついでに観ると女のしゃべりが
うるせー!と思いますがwつい見続けてしまう。

★おしゃれだが日本人は真似したら危険

まずお目当てのファッションですが、ジョーを取り巻く女達の服はみんなわが道を行く70年代ボヘミアンテイストだらけ。面白いし色の使い方も可愛いけど、日本人には見事に参考にならねえのばかり。
毛皮&紫のニットワンピ&銀のハイヒールなんてNYおしゃれブロガーが着てそうなセンスだけど、ミニワンピの間から黒下着が堂々と出てましてw
日本人は真似したら危険レベルのゆるさです。
人生一度はやってみたいですがねー。
ひとりでこっそりw

しいて真似できるのは奥様ファッションだが、あれはあれで日本人体型がやると貧相になるだけだし難しいところ。

★イケメンジョーに学ぶヒモ男の勘所

ジョー・ダレッサンドロはヤク中だが病的じゃ無く安定のイケメン。顔も体もピチピチです。
尻にできものあったけど。
ヘロインの注射針ぶっ刺したりNYでマッパなのに、普通にしれっと元気。女達も普通に生脚生胸さらしてるし、アメリカンは体力あるねえ。

顔と体以上に感心するのがジョーのヒモぶり。
やはりもてるヒモは女の話を聞くのが上手い。
適当に合いの手入れながら見事に聞き流す。
特に喧嘩になった時の処理は参考になります。最初から平謝りじゃなくシラは切るし、「おまえだって高校生連れ込んだじゃねーか」と適度に反論はするものの、ホリーに言いたいだけしゃべらせ切る。そして頃合いを見て仲直りにもっていく。
あしらいが上手いねえ。
ホリーが1人でやってる間に黙って傍にいてそっと手を握ってやる繊細な心遣いも見せるし、そりゃホリーも手放せないわと感心しました。
知らない女の後をほっつき回ってホリーをあきれさせ、やきもきさせるけど、完全に冷める手前で帰ってくる距離感もいい。
その昔、実家で大型犬飼ってたうめめちの母が何かの拍子にうめめち父を評して「男はロングリードにつながれた犬」とぼやいてましたがwまことにそんな感じだw
立ち回りの賢い犬はヤンチャしても、叱られる一歩手前の絶妙のタイミングで戻ってきやがるからなw

★ファッション馬鹿うめめち靴を騙る

そんな立ち回りの賢いヒモのジョーでさえ、ラストの靴のくだりでホリーが抵抗したんで途中からつい「靴ぐらいあげちまえ」とお役人側についたのはうかつだったと思うw
あれだけは「靴はねーだろ!靴は!」と思う。うめめちはホリーに全面賛成します。ファッション馬鹿の靴への執着をなめちゃいかん。

靴って探すの難しいんですよ。
自分の好みのデザイン質感で自分の足型に合って、自分のワードローブ計画にすんなり馴染んでくれて、他の手持ちの靴と守備範囲がかぶらない靴なんて、そう簡単に巡り合えるものじゃないですよ。
だから毎シーズン始めは靴から抑える。いい靴に巡り合ったら即買い。ぼやぼや迷ってたら他の靴買いに取られるから。靴が決まってからの話ですよ服やアクセは。靴はコーディネートの中心ですから。
そんな選びに選んだ靴の中でも超お気に入りの貴重な一足を、なんでよそ様にあげなきゃいけないんですか。自分の毎日のワードローブの中心にがっちりはまってる靴が無ければ、明日からのコーディネートどうするよ!

というくらいファッション馬鹿にとって靴は何にも代えがたいアイテムなのである。
ホリーの心情をご理解いただけたでしょうか。
分かる訳無いかと自分でも薄々思いますけど。

それにしても、さすがご自慢だけあってあの銀のハイヒール可愛かったなあ。欲しい。

★なんだか気になるキチ奥様の木

さて最後に気になる脇役の木。
どいつもおしゃれでバカでいい味出してましたが、キチ奥様役のジェーン・フォースは驚きました。眉毛が特徴的な70年代の個性派モデルさんですが、wiki見たらなんと撮影当時17歳と書いてあったw
腕組んでチンチンガン見する17歳!
これが映画デビュー作だったらしいですが、いいテンションのキチっぷりでした。

(了)
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