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No.138『サンタ・サングレ聖なる血』

公開年:1989年
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー、ロベルト・レオーニ
ジャンル:血と情念とサ…な息子の前衛メロドラマ

138.jpg

12月はお仕事人間のうめめちプレゼンツ
メリクリ嫌がらせ企画第4回。

第1回 花火で生首おかーさーん
第2回 バケツにドサドサ戦場スプラッター
第3回 ベッドに処女の青い血が!
さて今年は?

この企画用に温めときましたよ!意外にも初登場のホドロフスキー監督作品。
ラテンの血の池カーニバルで乾杯だー。

しかしメリクリ企画も4年目か。
丸3年もこんなバカ映画レビュー書いてんだな。
3年以上も聖なる夜も愛も家族団らんも無縁な哀愁のお仕事クリスマスを送ってんだなー。
今年もめでたく出張先でメリクリだよ。コンビニのり弁に柊ピック刺して食ってやるー。
チッ。
★予告編



ちょっとキモの場面見せすぎじゃね?と心配になるほど、惜しげなく名場面を見せてくれるラテンのりのりモードな予告編。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

病院の独房で全裸のお兄さんが枝にのぼってたり奇声上げて生魚食ったりする、気合十分!前衛難解アングラ上等!シーンから話は始まる。

精神病院の長期入院患者の全裸イケメン兄さんフェニックス(アクセル・ホドロフスキー)が主人公。
彼が精神に異常をきたした理由は何か?って事でさっそく物語は少年時代にさかのぼる。

★青少年の育成環境悪すぎな濃厚サーカス団

舞台は中米の修羅の国・メキシコシティ。
ド派手なサーカス一座の団長の息子フェニックス(アダン・ホドロフスキー)は手品が得意な美少年。
曲芸修行中の白塗り少女アルマちゃん(ファビオラ・エレンカ・タピア)に恋してて、手品で姫リンゴを出してあげるのが可愛い

で済めばただの甘酸っぱい初恋話だが
そこはホドロフスキー作品なので少年を取り巻く周囲の人々が猛烈に濃いw

パパ団長(ガイ・ストックウェル)は化物じみた巨漢デブでドSのナイフ投げ師。
母親コンチャ(ブランカ・グエッラ)は毛髪芸人。(っていうの?自分の髪で宙吊りになる芸をする)
アルマちゃんママ(セルマ・ティゾー)は団長の愛人でシングルマザーの軟体芸人、衣装は裸同然のお下品ビキニ、全身が極彩色の極悪趣味タトゥーのバカエロ女。

パパ団長を巡りコンチャと軟体芸人ママはいつも三角関係で派手にもめている。
パパ団長が愛人をナイフ芸の的にしてうっふんSMプレイに励んでたら、コンチャが発狂して乱入してナイフかざして大暴れ。するとパパ団長は嫁をテントの奥に連れて行き、絶叫SMセックスで欲求不満をなだめるいきなりドロドロ愛欲ですわ。

コンチャは三角関係の嫉妬を紛らわせようと、イカサマ新興宗教にどっぷりはまってる。
その宗教は「悪者にレイプされ腕を切り落とされて血の海に沈んで死んだ少女」なるクソ怪しい聖女像と、トタンでできたボロい聖堂、赤い絵の具を溶かした自称・聖なる血の海を作って毎日拝んでおり、視察に来たお偉いカトリックの司祭様が「カルトじゃねえかこんなもん」と激怒してブルドーザーでぶっ潰す代物だw

両親はダメ人間。仲間はフリークスとはぐれ者。
青少年の育成環境に著しく悪い濃厚空間だが、見るからに神経細かそうなフェニックスは一応まっとうに育つ。しかしある事件がきっかけで心を病むようになる。

★夫婦喧嘩は痛み分け!血と硫酸の惨劇

ある日サーカス団の老ゾウが血吐いて死んで、団員はデカいゾウの棺桶作って葬式パレードする。
アルマちゃんの黒バニーガール衣装は可愛いが、葬式の後はなんと棺桶をそのままスラム街のゴミ捨て場へドッサー。すると無数のスラム街住人がドカドカ押し寄せてゾウの死体に群がり解体して食用にお持ち帰りw
なんという地獄絵図。さすが修羅の国。

それだけでも幼い心は猛烈ダメージ喰らったのに、パパ団長は突然「お前を男にしてやる」と言ってフェニックスを椅子に縛り付け、曲芸用ナイフで少年の胸の皮膚を切り刻みワシ模様の手彫りタトゥーをおつくりになる。
痛えー!せめて専用の器具でやれよ!
少年もそりゃ号泣するよ!
痛みと流血のショックで落ち込むフェニックスを見守り、ワシのパントマイムで慰めるアルマちゃん。
可愛いなあ。

さて男になる儀式を済ませたフェニックスは、コンチャ&アルマちゃんと一緒にサーカスデビューする。
ところが3人芸の最中にコンチャが毛髪宙吊り芸をやってたら、テントの陰でパパ団長と軟体芸人ママの浮気してるのを発見。コンチャはキィィー!と発狂して、ド派手なハイレグビキニ衣装で浮気現場に乗り込む。

そして股おっぴろげーな軟体芸人ママと合体せんとバッチリ臨戦態勢なパパ団長のなんとかに
濃硫酸をジャーッと。


あっ熱う!いっ痛ああ!
普通は失神すると思うがwパパ団長は怒髪天で立ちあがり、返り討ちでコンチャを手持ちのナイフでぶっ刺し
両腕バッサリ血の海に。


おおうこっちも痛ああ!
硫酸の海vs血の海で両者痛み分けw
じゃなくて。
その後パパ団長は自分の喉をナイフで切り自殺。団長を失ったサーカス団は解散。軟体芸人ママはどさくさに紛れ娘を連れて逃亡し、フェニックスとアルマは離れ離れになってしまう。

★アルマちゃんはちょっと残念な結果に

惨劇のショックで精神を病んだフェニックスは精神病院で生魚食う日々を送っていたんだが、ある晩病院のレクリエーションで「映画館で映画鑑賞と見せかけて実はあやしいお薬体験&童貞卒業ツアー」に行った時、売春宿で軟体芸人ママとばったり再会する。

おっとアルマちゃんと涙の再会?と思ったら、翌日病院に両腕の無い母親コンチャが迎えに来た。
フェニックスはサーカスで鍛えた運動神経を活かして独房の窓から脱走し、母親共々行方をくらませる。

メロドラマらしく嗚呼初恋の彼女とすれ違い。だがまぁ普通に再会しない方が良かったかもねー。
だって成長したアルマ(サブリナ・デニソン)はエマ・ワトソンをごつくしたようなビミョーなルックス…つまり、ぶちゃいく…になってたからだw
こいつはちょっと残念な結果にw

売春婦になった軟体芸人ママと2人暮らしのアルマはママに勝手に売り飛ばされそうになって家を飛び出し、街で変態耳そぎオヤジに襲われかけて逃げ回り、翌朝家に帰るとメッタ刺しで血みどろ死体のママを発見するという可哀想な目に遭っていた。

★ベサメムーチョで脱ぐ40代制服の処女

一方でフェニックスとコンチャは、元サーカス団員の小人さんのアラディン君(ヘスス・フアレス)と3人で共同生活を始め、「親子二人羽織で前衛アート芝居を演じる」という若干説明が難しいマニアック芸人として場末の芝居小屋を拠点に活動し生計を立てていた。
しかし芝居小屋の演目はなかなか節操無いなー。
前衛二人羽織芸のお次が「制服の処女ルビー」
見るからに40代の貫禄たっぷりドスコイおばはんが三つ編み&セーラー服で登場してベサメムーチョ~♪をBGMにストリップするw
何というベタな場末芸だよw

でもフェニックスはルビーおばはんに近づき「2人で組んでナイフ芸やらない?」と誘惑する。
おっとママ捨てて新コンビ結成?
するとすぐにコンチャが登場して、あたしの息子をキィィー!とヒスりはしないが息子に「この女を殺せ!」と殺害指令。
フェニックスは命令されるままにルビーを殺す。

彼等の正体は親子二人羽織の連続殺人犯。
軟体芸人ママを殺したのも、浮気事件の復讐でコンチャがフェニックスに殺害指令を出したから。精神病院から逃げ出してからこれまでに女性、特にコンチャが憎む商売女を何人も殺してる。

しかしママの命令といえ実際手を汚すのは自分。
フェニックスは罪の意識に悩むあまりに、大蛇に体を締め付けられたり、ニワトリに囲まれ磔刑されたり、殺された女達が墓から蘇ったり、軟体芸人ママのタトゥー柄の馬が…する幻覚にうなされたりするし、罪の意識が昂じて「透明人間になりたい」と本気で思い立ち、あやしいお薬を買って謎実験に没頭したりする。

でも薬屋行ったらガーリーコスプレ中年女に惚れられるw
病んでもさすがイケメン。もてもてねー。

★おかまレスラーvs腕無しママvs黒バニーガール

とかする内に街に女プロレス興行がやって来たので、女レスラーを次の殺人ターゲットに狙い定め、フェニックスはタキシードに薔薇一輪wなんてわっかりやっすい結婚詐欺師衣装で会いに行く。

すると女レスラーは巨漢おかまレスラーだったw
すげえ筋肉wこれで女装とはチャレンジャーなw
それでもフェニックスはおかまレスラーを自宅に招き、ミニシアター(いつの間にこんなものを)で芸を見せる。
すると大道具のお棺の蓋が開いてコンチャ登場。「殺せ!殺せ!」の指令通りに殺害を試みるが、さすがおかまレスラーは強かったwwwフェニックスはボコボコにシメられながらも、最後は何故か置いてあった日本刀でバッサリ斬る。

おかまレスラーの巨体を墓に埋めて自宅に戻ると、なんと黒バニーガール衣装のアルマが待っていた。芝居小屋に貼られた二人羽織ポスターからフェニックスの居場所を探し出したのだ。
ああ、初恋のあの子が僕を助けに来てくれたー!
2人は抱きしめ合い念願のファーストキス

アルマに促され家出しかけたフェニックスの前にもちろん立ちはだかるラスボスはコンチャ。
何故か手際よく用意されたナイフを使って母子は二人羽織でフェニックスを操り殺そうとするが、アルマも負けじとナイフの刃にも一歩も動じずフェニックスの良心に訴える。
母が勝つか初恋の女が勝つか。

途中でガーリーコスプレ薬屋女がやって来て現場見てキャー!と逃げる茶々も入ったものの、この手のサスペンスメロドラマのセオリー通り最後は必ず愛が勝つもんだ。
フェニックスは殺人指令にはじめて背き、アルマではなくコンチャの胸を刺す。

★まるでサ…なメロドラマオチです

しかし致命傷を負ったはずのコンチャは死にも倒れもせず仁王立ちで高笑い。
えっなんで?って事で
一行でネタバレ全開の素敵なwikipedia解説ページ
で示される通りのオチになる。

実は硫酸の海vs血の海夫婦バトルで両腕をバッサリ斬られたコンチャは即死してました。
そりゃまあ普通は死ぬよねー。
フェニックスは母親の死体をバッチリ目撃してたんだが、精神が惨劇のトラウマに囚われてしまって自分の心の中に幻の母親を作り出してしまった。

精神病院を脱走したフェニックスは両腕の無いマネキン人形を作り母親代わりにして、昼は二人羽織の人形芸をして生計を立て、
女性、特に商売女への嫌悪とトラウマを夜な夜な惨殺して晴らしてたと。そんで、己の殺人欲を幻の母親のせいにしてたと。

初恋の彼氏を救いに来たアルマと突然沸いてきた元サーカス団の仲間達に促され、フェニックスはマネキン人形を壊し幻を消す。
仲間達は「よくやった!」とやんや喝采。
と思ったら仲間達ハイ消えた。
母親と暮らしてた住まいも消えた。
アラディン君も消えちゃった。
アルマ以外はみんな頭の中のまぼろしだった。

かつて家だった廃墟の外へ出ると、ガーリーコスプレ薬屋女が呼んだ警察がお待ちかね。
ホールドアップを促され、フェニックスは腕を上げる。
何者にもトラウマにも囚われず自分の意志で動かせる自分の手に、「ああ…僕の手だ」という実感に浸りながら。
じんわりと哀しみに覆われてジ・エンド。


★感想

という訳で実にわかりやすく
『サイコ』のパクリでした。

私は寺山修司好きですので、パクリリメイクオマージュだろうがそれがどうかしたのかよと開き直りますが、ラテンアメリカ版『田園に死す』とも言えるフォークロア系前衛メケメケ情念アングラと『サイコ』のドッキングは強引すぎるwでも好きだ。
バリバリわかりやすいラテン系の土俗感とヌーヴェルヴァーグ系無国籍モダンな映像美のミスマッチなようでバランス取れてる感覚といい、濃厚アングラとロマンチックの程よい塩梅といい、美少年美青年の虐げられぶりと脱がしっぷりといい
寺山修司好きなら間違いなくはまるでしょう。
おすすめ。

★グロ控え目&ダークラテン映像美で目に優しい

でも「あの」ホドロフスキーでしょー?グロはちょっときっついねー。と躊躇する女子も多かろうと思われますが、
『エル・トポ』や『ホーリーマウンテン』はきついけど『サンタ・サングレ』はかなり描写控え目。フリークス系に耐性があるなら全然大丈夫。実のところグロスプラッター苦手なうめめちでも、映画観た後にミートスパが食べれる程度の爽やかさだw

むしろ本作ではエログロ奇想天外度が少ない分、ダークラテン&ゴシックな映像美が楽しめます。
にぎにぎしい露悪趣味と交互に挟まれる物哀しさを誘うセピアな色彩処理やロマンチックな小道具&演出がたまりません。
その辺も寺山修司とよく似てます。

お気に入りは象の葬式のブラックパレード。
戦艦みたいなデカい棺桶のヴィジュアルとアルマちゃんの頭飾りが可愛い。あれ欲しい。どういうシチュエーションでかぶればいいか日本人には見当もつかないが。法事とか?w
『サイコ』のオマージュをちりばめた、B級サスペンスムードたっぷりな殺しシーンもステキぃ。やたらサンバでノリノリなのが良い。

★前衛映画的美形の教科書、ホドロフスキー4兄弟

さて映画最大の見どころですが、そりゃもうずばりホドロフスキー監督名物の息子4兄弟でしょう。

今作は当時23歳次男と9歳四男がダブル主役。
26歳長男と17歳三男はちょい役出演ですが、全員一瞬で判別可能な親父そっくり顔。
年齢差があるため、まるで親父の子供時代から大人になるまでの成長アルバムを見るようだw

芸術家が同性の子供を作品に出す理由なんて「親バカ」「予算とブッキング事情」「ナルシスト」に違いないと勝手に決めつけてますが、ホドロフスキー4兄弟はそんな親の欲目にも前衛アングラな映像嗜好にもジャストフィットする絶妙なルックスが素晴らしい。

・顔立ち整ってるが癖のある、少々キモい美貌
・不幸な未来しか待ってなさそうな儚い雰囲気
・色気だだ漏れだが妙に植物性なセクシー加減
・虐げられる少年のいたいけな哀しみに満ちたうるうる瞳
・眼力強い割にどこ見てるのかわからないさまよう視線
・見るからに繊細で非体育会系アーティスト風だが、実はいつ何時でも脱げるようメンテナンスされた肉体
・無精ひげモシャ毛に汚ねえボヘミアンスタイルもタキシードに薔薇一輪スタイルもリアルにはまる、摩訶不思議なコスプレ対応センス

前衛アートサブカル映画の美少年美青年役の必須要素を全部備えた教科書のような佇まいです。

17歳でオッと驚く色気のあった三男テオは残念ながら早逝されてしまいましたが、
四男がフランス版オダギリジョーみたいな色気だだ漏れロックアーティストに成長しまして



当然のごとくPVで全裸になっとります。
繊細な燕尾服の美少年はどこいったんだーwとつっこみたい公然わいせつ罪っぷりはともかく、3人とも親父のお芸術への理解力もばっちりで映画製作をみんな手伝うし何かと脱ぎまくり孝行息子じゃないですか。うらやましい。

と思うが直近作『リアリティのダンス』では主人公の美少年がホドロフスキー孫じゃないのは将来に若干ネタ切れの不安を感じるw
前衛アートサブカル美少年の血を絶やさぬよう、3兄弟には是非美貌の息子作りをがんばっていただきたいです。

(了)
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