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No.140『日本春歌考』

公開年:1967年
監督:大島渚
脚本:田村孟、田島敏男、佐々木守、大島渚
ジャンル:受験生男子のエロ妄想ミュージカル

140.jpg

年初め2発目もミュージカル。

ミュージカル映画をブログでぼちぼち紹介してるので、もしかしてそっち系が好きな人と思われてるかもしれないが、実はミュージカルに全く興味が無い。
TDNやUSJはパレードスルーで帰る主義だ。
劇団四季や宝塚やアニーなど観た事もねえし、この先一生観に行く事もないだろう。

あーすっきり。
意外と会社で言えない事ですよね。
善男善女はミュージカル好きが多いもんで、パレード行かねえとか人でなしと非難されそうで。

でも普通のミュージカルに興味は無いが、「前衛」「変態」「バカエロ」「能天気」がつくと俄然観たくなるマイメケメケハートは困ったもんですw
まぁ季節柄ですし、受験生がんばれの応援も込めて『日本春歌考』にしてみました。

さて本作は「若い男子の脳味噌成分は100%エロだらけ」を映像化した青春バカエロ前衛映画。
話はわけわかめで過激かつバカバカしく、戸田重昌美術はいつものようにエッジがききまくってて、名物の黒い日の丸がめちゃかっこいい。
大島監督作品マニアなら納得の一本です。

★予告編



60年代大島監督作品にありがちな
命令調のデカデカ煽り文句攻撃が素敵。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

東京の大学を受験ツアーしに来た、田舎の高校3年生の男女7人御一行のお話。
本命校の試験が無事に終わって、主人公のバカ男子・中村君(荒木一郎)が口に煙草4本突っ込んでふかしまくってたら、受験番号469番の見知らぬ女子生徒(田島和子)とすれ違って即一目惚れ。

時は1960年代の学生運動最盛期。
469番の女子生徒がベトナム戦争反対活動の署名してたり、帰り道に黒日の丸掲げた建国記念日反対デモに遭遇したりするが、受験勉強から解放された高3男子の頭の中はそんなことよりセックスセックス

中村君とクラスメートのバカ男子4人組は「469番って処女だろうか」と詮索したり、謎の黒ワンピ美女(小山明子)を目撃しては跡をつけて、彼女が引率教師の大竹先生(伊丹一三)の彼女だと知るともう興奮w先生と美女のエッチをゲスく妄想しまくる。
男子ってバカですねー。

★ホラー居酒屋で先生オンステージ

夜は大竹先生と女子組と合流して打ち上げコンパ。
引率教師と制服姿の生徒が居酒屋で堂々酒飲んでる。描写がおおらかな昭和時代ならではだなw
でも何故か先生が女子に囲まれハーレム状態。美人彼女といい、あらまあ伊丹十三もってもてー。先生は調子こいて春歌(エロ替え歌)を即興カラオケ無知な女生徒に歌わせてニンマリご満悦w
2次会に移っても先生のボルテージは上がる一方で、壁にホラー絵描いてるおどろおどろしい居酒屋で説教・ダジャレ・エロ歌のオヤジ3点セットを繰り出す大竹先生オンステージになっちゃった。

置いてけぼり男子は当然面白くない訳で、くやしいからお開き後に宿で夜這い計画を立てるが、何の駆け引きも無く直球で女子部屋にやらせろーと押しかけちゃって冷たくあしあわれる始末。
元凶の先生はすっかり出来上がってしまい、ガスストーブ蹴り倒して熟睡してるし、やり場のない性欲を持て余す男子たちは中村君を脱がして憂さ晴らし。バカスw

★バカコンパが一夜明けてなんと悲劇に

ところが翌朝、意外な顛末が待っていた。
大竹先生がガスストーブ蹴り倒したせいで一酸化炭素中毒になり即死してた。
えええー。
なんておバカな死に方なんだ。
受験旅行は悲劇の事件現場に早変わり、女子は号泣、警察の事情聴取で大騒ぎ。

一応生前最後の姿を見てた中村君は訃報を聞いて駆け付けた美人彼女に、先生が最後に歌った歌を口ずさんであげる。
泣き崩れる彼女ですが、でもそれ
♪ひっとり娘とヤルときゃホイ♪
バリバリのバカエロ替え歌なんですけど…

しかし大騒ぎの渦中でも男子4人組の頭の中はそんなことよりセックスセックス
一足先に故郷へ帰る女子組を駅で見送りながら、女子達や469番の妄想レイープにふけり、「俺の考えるセックスプレイ」をあーしようこーしようとギトギトに妄想し、「俺の想像する469番への告白シチュ」を受験勉強の10倍くらい真剣に考える。
妄想の中で469番どんだけお嬢様やねんw
英国式庭園に囲まれた石造りの豪邸で、中では日の丸絨毯吊るしてるってどんな和洋折衷のお屋敷なんだw

さて駅から戻った4人組が大竹先生の通夜会場へ行くと、先生の大学時代の仲間たちが昔話の花を咲かせ、プロレタリアがどーとかいう左巻き歌を合唱していた。なんかムカついた中村君は♪ヨサホイでホイ♪と春歌でディスって乱闘騒ぎになる。
歌でディスるって気分はエミネムかよw
だーめだこいつらwバカすぎるw

お通夜の後で中村君は美人彼女とちゃっかり2人切りになり、「実は俺、先生がガスストーブ蹴り倒してるの見たけどガスの元栓止めなかったんです」と「俺が見殺しにしたんだぜ」的に厨二病告白。
どうして助けなかったの?と彼女になじられ、やっぱ訳も無くムラムラしたんでホイホイ♪歌いながら押し倒す
大島監督、ほんとに葬式エッチ好きですねえw

で、事後に2人は街歩きしながら身の上話。
どうも複雑な事情があり、先生と彼女は結婚しない身の上だと分かる。意味深ですな。

★謎のお庭でフォークソングvs春歌勝負

ここから中村君と彼女の仲が深まっていった…と普通の青春映画なら展開するが、逆にとんでもない妄想大会へ話が暴走する。
前衛ファンの皆様お待たせしました。ここから先はヌーヴェルヴァーグ名物の前衛わけわかめタイムですw

中村君を除く男子3名は469番の家を突き止めて訪問すると、お金持ちっぽい庭園のため池で469番と金持ちっぽい若い男女が反戦フォークソング祭りをやっていた。「金持ちボンボンが何をのほほ~んとアメリカンフォークソングを歌ってんだコラ」と意味なくむかついた男子達は春歌でディスるが、フォーク大合唱の勢いに負けるw

春歌男子ーズ危うし!
ってところへ、家へ帰ったはずだが何故か戻って来ていた女子組の金田さん(吉田日出子)がマイクを奪い取り、雨がしょぼしょぼ降る晩に~♪と満鉄小唄を渋く熱唱する。
歌を止めて聞き入るフォーク軍団。
女子強えwと思いきや、なんと歌い終わった途端、金田さんはフォーク男子に連行され、セーラー服脱がされ謎ドレス姿で泣いている。…はぁ?

金田さんのピンチに中村君と先生彼女が加勢に来るが、469番が突然演説しだすわソロで歌うたうわ金田さんと衣装チェンジするわ暴走開始。その横でエロ男子が「469番、俺達バカどもはお前を犯したんだー!」と詰め寄り(なんで?いつの間に?)フォーク男子と乱闘する。

で、意味も無くグダグダ揉めた末の結論が
「エロ男子が妄想したレイープ会場へ行って妄想通りのシチュエーションでヤってみよう」
なんでやねん。

★そして赤と黒のわけわかめエクスタシー

バカ男子と3人の女はどこかの大学へ行き、赤と黒の日の丸でデコられた大講義室で妄想通りのおバカシチュエーションで、再現ドラマみたいに一発やろうとする。すると先生彼女が何故か壇上に立ち、いきなり古事記の話を熱く講義しはじめる。
……はぁ?

先生彼女の熱弁は古事記の話からいつの間にか日本人騎馬民族説に変化していき
「日本人のふるさとは朝鮮ですっ!」
と啖呵を切る。
なんで??こーなる。

感極まったんだか何なんだか「469番のかわりに私を犯して!」と脱いで泣く先生彼女。
傍では金田さんが無言でやっているw
赤と黒のエクスタシー(by天と地と。お懐かしい)でも感じたのか?唐突にああんと盛り出す女達。
なぜなんだー!!

最後は「空想でやった事を現実でやってみてよ」と469番にアジられた中村君が、♪ヨサホイでホイ♪と歌いながら、469番を教壇の上に横たえて服を脱がして

何故か首を絞める。

完。

いや何が完よ?って、
ホントに首絞めて映画終わります。
いや~、さては何コレわけわけめ~♪
と小唄のひとつも歌いたくなるエンディングでした。


★感想

グダグダあらすじ書いてる最中に、野坂昭如先生に続いてなんとデヴィッド・ボウイさんが宇宙へご帰還されてしまわれました。
いやーショックー。
でも追悼映像が戦メリばっかりだ。
『地球に落ちて来た男』も少しは流してください。

話はそれたが『日本春歌考』の感想。
あらすじはご覧の通りわけわけめですがw10代童貞男子のどうしようもなくおバカで厨二病で暴走気質な性的衝動の世界を、極めてリアルに描いたブラックコメディです。一度観たら猛烈なインパクトに残ります。

とりわけミュージカルは強烈。ド素人歌唱で上手くないけどなんか危険な魔力がある曲ばかりです。
特にヨサホイ春歌は脳味噌インプット度高い。映画観た次の日は1日中♪ヨサホイのホイ♪が頭の中でぐーるぐる回ります。
余談ですけど、この手の脳味噌インプット系統曲で最強曲は軍艦マーチ春歌だと思いますがいかがでしょうか。地域により何種類かバージョンがあるそうですが、私の出身地では「直径2センチ金の玉♪中から黄色いお茶が出る」で男子小学生の立ちションソングとして定着してましたw
ほんとどーでもいいですが。

★お花畑な左巻きへのディスり半端ない

大島監督はご存じの通りバリバリの反権力で、問題作・問題発言で度々世間を炎上させてましたがw
本作でも他の60年代の作品と同様に、建国記念日反対デモの黒い日の丸パレードや「日本人のふるさとは朝鮮」発言など、いかにも炎上狙いな過激シーンが登場するけど…

あれ?過激・反権力っちゃそうですけど、
左巻きな人々へのディスりが半端ない。

思想が右だろうが左だろうが関係なく、世間の奴らを冷めた目で見たいお年頃の厨二病童貞君が主人公だからでしょうか、反権力運動側に居る469番やフォーク男子も大竹先生も仲間達も先生彼女ですら、一律にバカにする目線で描かれててグッド。
まぁ主義主張の中身が良い事かどうかはともかく、意識高い系のお花畑な人達が醸し出す空気って、神経にピンポイントでイラッときますからねw
アメリカンフォークvs春歌の日米対抗歌合戦のところはバカバカしくて笑ってしましました。大島監督も結構イラッときてたんだなーと親近感が沸くディスりぶりでした。

★リアルに地味な高校生役者軍団

役者は今回ド素人枠が無く、スターは主演・中村君役の荒木一郎のみ。
自由劇場や文学座の若手俳優が抜擢されてて、高校大学生役でワラワラ出てきます。串田和美も吉田日出子も宮本信子もいます。
しかしみんなルックスがすげー地味軍団だ。
良く言えばリアルな昭和の若者。いや男子は今でもあんな感じの4人組いるかも。女子はさすがにちょっといないけど。

荒木一郎すら出演当時は紅白に出るくらいに一番旬の人気者の時だったはずだが、恐ろしくリアルなモテないルックスの地味男子でした。埃とイカスメルがする制服の匂いが画面から漂ってきそうw
10代男子特有のふてぶてしくも冷めた態度がリアル厨二病で良かったです。2年後に女子高生暴行スキャンダル起こしたのもそーだろーなーと頷ける不穏さがありました。荒木一郎の演技は好きだなあ。
469番役の田島和子も美人だけど地味だ。優等生ぽい険のある表情が大島渚好みと思うが。

私がチェックしがちな前衛映画の脇役は天井桟敷や状況劇場系役者が多いもので(あの人たちはモブでも目立つセクシー系)、今回の脇役さん達の地に足着いた地味っぷりは新鮮っちゃ新鮮w
ただし大島作品名物の美少年美少女セクシー枠を希望する方は、今作は期待外れですwご注意ください。
伊丹十三と宮本信子は今作の競演がきっかけで結婚したそうですが、正直うーん…あのJK姿のどこがダンディ伊丹のお眼鏡にかなったのか首傾げるくらいモサモサで地味い…
小山明子とツーショットの方がお似合いですけど…

主役若者勢の見た目がリアル素人な分、逆に伊丹十三と小山明子コンビのちゃんと俳優女優してる佇まいが浮いてて面白い。
小山明子お約束の喪服押し倒されシーンは、今回は洋服&黒ストッキングのインテリ女エロスでした。初登場時の黒ワンピ&グレーファーがザ・女優モードファッションできれい
渡辺文雄・小松方正・観世栄夫等々の曲者陣は今回は全然目立たない超モブ役で悲しかったw

★戸田重昌美術のイキっぷりはNo.1

役者が地味な分美術はハデー。
妄想が半分ごちゃ混ぜな脚本だから、雪の黒い日の丸デモに始まり、ホラー居酒屋とか謎の豪邸庭に池とか、雪の学習院ピラミッド校舎とかmラストの赤と黒のエクスタシー講義室まで、思いっきり前衛でイッちゃってます
黒い日の丸の旗と位牌、思想はさて置き、素直にヴィジュアルがかっこいい。

しかしゴリゴリの前衛ヴィジュアルに突っ走り過ぎて、リアリティゼロの亜空間も全開w
やたら豪華な大竹先生の下宿先とかw誰があんなゴージャスなお寺の大座敷に、ちっこいガスストーブ置いて布団敷いて寝るんだよ!むちゃくちゃやw面白いけど。

★おまけ

大島監督はタイトルの付け方が上手いと思う。
上手い・きれい・しゃれてるとかじゃなく、短い題字の間にみんなが一言ツッコミたくなる釣りワードをぶっこむのが上手い。

『日本春歌考』は何のどこが「日本」やねん。『愛のコリーダ』の「コリーダ」って何やねん。と映画公開当時にツッコんだ方は多かったと思われます。
ちなみに「コリーダ」ってどこの国の言葉なのか、昔親に聞いたが知らなかった。闘牛の意味だそうですコリーダって。
へー。なるほどー。
かといって『愛のマタドール』じゃベタだしなあw

なかでも個人的に好きなのは、エッセイの題名の『わが封殺せしリリシズム』であります。
「封殺」ってのがかっこいいじゃないですか。「封印」とか普通の言葉より、ガチでリリシズムの息の根止める気満々で。
「僕はベタなセンチメンタリズムってらしくないしみっともないし使いたくなかってん」程度な気がしますけどエッセイの内容から察するにw

寸鉄釘を刺す風に短くズバッと一言で釣りワードを操れる人は、方向性の善悪はともかく才能はうらやましいですね。
2文字で日本中をイラッとさせた「卒論」とかねーw
微妙に時事ネタでした。

追記。
とか書いてたらさらに強烈なセンテンススプリングがご登場。
頭のチューリップがパッカーン全開!した能天気っぷりが卒論のイラッと感に勝っているw
ちょっと使ってみたいかも。

(了)
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