No.142『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』

公開年:1976年
監督:セルジュ・ゲンスブール
脚本:セルジュ・ゲンスブール
ジャンル:結局は穴の問題なのか?ため息恋愛映画

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今回はバレンタインなのでテーマは愛。
おしゃれ女子w永遠の見果てぬ夢、セルジュ&ジェーンのきらめく恋愛映画だ。

関西の田舎でCUTIE読んでた厨房の頃、私は痛い不思議ちゃんファッションしてたんだが、自分の中では「ジェーン・バーキン☆フレンチシックロリータ☆」のつもりだったなw
前髪パッツンヘアを真似てた。ああ痛い。

それはともかく、昨年から何故だかジョー・ダレッサンドロがマイブームでして、その流れでかなり久しぶりに観たんですが、画面は昔に観た印象と変わらずキラキラきらめいてんだが
脚本が破壊力抜群すぎる。
永遠のフレンチダメおやじ、セルジュ・ゲンズブールが自分の女主演で撮ったワンマン映画でなきゃ到底世間様に許されないだろうと思われる、ある種の男ドリーム満載な設定の数々に唖然茫然w

エンドロールが流れた瞬間に
ラブストーリーの余韻にうっとり~☆どころか
「結局はアレかよ!アレの問題なのかよ!それでいいのかよ!」
とツッコミ炸裂間違いなしの怪作です。
★予告編



予告はただのおしゃれ恋愛映画だ。
主題歌も歌詞を聞かなきゃオールディーズな恋愛音楽だ(歌詞は映画同様色々とドリームでひでえw)
踏み絵にならないがどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

舞台は70年代フランスのなーんにも無いド田舎町。
流しのトラック野郎クラスキー(ジョー・ダレッサンドロ)はイタリア人相方パドヴァン(ユーグ・ケステル)と共に、街から街へ愛車に産廃ゴミをわんさか乗せて、成り行き任せの旅をしている。

と書けばまるで菅原文太の一番星桃次郎だがw相方は子沢山の愛川欣也じゃなく、トラックを降りた実生活でも女房役。
2人はヒミツのゲイカップルなのだ。
服は裸タンクトップ&ぴっちりジーンズ。
ジョー・ダレッサンドロには正装とも言えるw

そんなトラック野郎がふと立ち寄った、地平線がよく見える荒野のガソスタ隣のシケた食堂で、少年みたいな見た目のウェイトレスの女、ジョニー(ジェーン・バーキン)と出会い、ひと夏の淡い恋をする。という話である。

★こなれシックな田舎娘なんているもんか

ジョニーは父親(ルネ・コルデホフ)経営の食堂のバイト。つまりほぼニートな境遇の僕女。閉鎖的な田舎コミュニティから一歩も出れず、親父と飼い犬だけが話相手な男日照りの処女。そんな世間知らずの目に流しのイケメンは魅力的に映るのか、会った瞬間一目惚れしてしまう。

しかし「田舎の自営業手伝いの色気を知らん田舎娘」であるジョニーの格好といえばどうだろう。
金髪のショートカットで普段着は白タンク&スキニージーンズ&白ハイカットスニーカー。お出かけする時は上から紺ブレやミリタリージャケットをさらりと羽織る。
めちゃめちゃおしゃれやんかw
こーんなこなれシックな田舎娘がいるかよ!
田舎者の正装はなあ、ジャージの上下又はしまむら一式又はベルメゾン系通販一式、にバッグだけヴィトンかコーチだろ!他の村人も老若男女誰もが妙にオールディーズシックでこなれファッションしてるって、あーるもんかー!
所詮都会人の考えた「田舎」である。

クラスキーもジョニーに魅かれるが、理由は「女だけどまぁ許せる範囲」だったりする。
ジェーン・バーキン手足は棒っきれで胸は貧乳だし。リアル洗濯板に豆2つの人を初めて見たよw自分の事は言えないがw

田舎町にちょっと長居すると決めたクラスキーは、ジョニーのおつかい(馬肉3㎏。スタミナ食堂かよ)に声かけてトラックに乗せて連れて行ってあげたり、ゴミ処理場で拾ったぬいぐるみをプレゼントしたり、売店でつけ鼻メガネを買ってあげるなど、あまり懐を痛めないグッズをプレゼントして距離を縮める。

そして週末。
クラスキーとパドヴァンが誘われて週末ダンパに行くと、倉庫で慎ましく踊る田舎っぺ若者に交じるジョニー発見。
ジョニー父プレゼンツのババアストリッパーショーにも負けず(何故ダンパにストリッパーが…)、周りの寒い空気もゲイ彼氏の嫉妬光線も振り切り、クラスキー&ジョニーは熱いラブラブチークタイム突入
そしてファーストキス

一気に恋が炎上しまくったジョニーは、「オカマとつきあうんじゃねえ。最後はてめえが泣くぞ」と親父にどつかれてもへこたれず、自室のベッドでキスの味を反芻しながら「ああっ彼とやりたいい」と1人おやりになるのだった。

★一方彼氏はボコボコにされて「俺イタリア帰るぅー!」

燃える2人の傍らで彼氏パドヴァンは絶望どん底。
元々の関係が俺様クラスキーに尽くす嫁パドヴァンの図式のようで、2人組で仕事してんのにゴミ収集の力作業は主にパドヴァン。クラスキーは「俺運転手だし」ってパドヴァンの横でゴミで遊んでばかり。昼も夜も尽くしてんのに、よりによって草むらで野ションするガサツな洗濯板女に浮気されるとはw
助手席も奪われ、お前荷台に座れよなんて言われるし、目の前でチークダンス踊られキスされるなんて、おかまには屈辱よキー!

傷心のパドヴァンがラブラブチークに目を背けて外へ出ると、田舎チンピラ軍団が待っていた。
原因は映画の冒頭、道端で横転するチンピラ車を助けたら、感謝されるどころかホモをディスされたんで、むかついたクラスキーがトラックの荷台から垂直すべり落としの刑にしたもんだから、報復しに来たのだ。
で、クラスキーの代わりにボコボコに殴られるパドヴァン。
ひでえw
最後はクラスキーが助けに来てシメるも、半殺しにされるまで迎えに来なかった彼氏に絶望し、「俺もうやだイタリアに帰るぅー!」とパドヴァンはベッドでブチギレるのだった。

★女じゃ勃たねえ。でも後ろがあるじゃないか

さてラブラブチークの翌日は待望の初デート。
ローラースケートプロレス?なる女格闘技を観て闘志を高め、ディナーでアスパラ一気食いして精力をたくわえ、やっすいラブホにご一泊。すると部屋に入るや「さあアタシを抱いて!!」とジェーン・バーキンが全裸でお股ご開帳
どんだけやる気鼻息満々だよw

そんでしばし裸でからみ合う。
若く美しい男女のラブシーンはいいねー。
とうっとりしかけたが、あら残念。
クラスキーのちんちんは勃たなかった…

「パパの言うとおりあなたホモだったのねー!」となじられてカッときたクラスキーは、ジョニーをベッドから蹴り出す。
だけど恋、いや発情ではっちゃけた彼女は床に突っ伏した姿勢で男にケツを見せ

「私はオトコよ」

なんと女のプライドをかなぐり捨てて、「女の穴がダメでも、後ろがあるじゃないか」作戦でゲイちんちんを勃たせるのに成功www
するとしかし!なんとクラスキーは興奮したクラスキーのクラスキーを、バックポジションからそのままずばりお挿しになるw

「ひああああ!あああ!ひあああ!」
ラブホ中に響き渡る断末魔の絶叫を上げてシャワーカーテンも引きちぎり痛みに悶える!
痛え!これは痛え!
最後はラブホのオーナーが部屋に乱入して「乱暴系変態セックスするなら出てけ」とつまみ出される。

とんでもない結末でロストバージン?したジョニーだが、初めての恋心は簡単に鎮まらず、わが身(というかケツ)を犠牲にして交際続行。
彼のトラックに乗ってゴミ捨て場でデート
川に廃タイヤ浮かべてマッパで川遊び
貧乏カップル極まりないが、きらきら輝く裸体が美しい。
ヒルズ族に見せてあげたい青春の恋wって感じだが、夜は「ひああああ!あああ!ひあああ!」と叫んでばかり。立ちバックとか色々試してみるが、やはり地獄の激痛は止まらず、身体(というかケツの穴)の相性は愛の力でも、どーにも乗り越えられない壁らしいのだった。

★何というかまぁ、一応おめでとう…

この時点ですでにツッコミ放題だが
目玉ドコーな恋バナはまだ続く。

彼氏を寝取られてしまったパドヴァンはハードブレイクを癒そうと、通りすがりの白馬に乗った王子様ならぬ白馬イケメン(ジェラール・ドパルデュー)をナンパするが

「俺のモノじゃケガするぜ」

ととんでもねえ捨て台詞残してふられるw
ていうかこれだけのためにジェラール・ドパルデュー特別出演って何だよw豪華なんだか何なんだか。

お次にパドヴァンは親父の食堂に乗り込みジョニーとタイメン勝負に出るが、居合わせた客にいなされブチギレ逃走。とことんひどい目に遭う彼氏wだが、こいつを放置して愛し合う2人は、遠くの街のラブホ遠征を計画した。
喜んだジョニーは一張羅の勝負服を着てご登場したが、こともあろうに勝負服がまずかった。
ピンクのギンガムチェックのワンピに白ソックスw
なぜに勝負所でガチのロリータw

「ああ…こいつもやっぱ女…」
と萎えかけな彼氏の態度に気付かず、ジョニーは前より豪華なラブホ部屋に大はしゃぎして、今度こそ!と気合入れて脱いでやってみるも、やはり結果は「ひああああ!」であった。

でもどうしても結ばれたいんだー!な気持ちで心ひとつの2人は廃車場にトラック止めて、荷台の上でアオカンにチャレンジ!
誰もいない荒野で見てるのは青空だけ☆な大自然の中でパンツをおろし、ピンクワンピに白ソックスで絶叫プレイというマニアックなシチュエーションで腰を振りつつ本当の愛についてクラスキーは御託を述べ、ジョニーは「少しでもあたしを愛してる…?」と切なく問いながら、最後まで完遂されるのでした。

つうか、ド田舎なんだから最初から外でやればよかったのでは…
と思わなくもないが、まぁおめでとう。

女の一大事を終えて帰宅したジョニーは「やったわあたし…」とひとっ風呂浴びながら余韻に浸ってると、浴室の扉が開き、切羽詰まったパドヴァン登場。ジョニーの顔にビニール袋を被せてクソアマ死んでしまえーと窒息殺人を試みる。
すると都合よくクラスキーが登場し、呼吸困難で悶えるマッパのジョニーを助け出すが、パドヴァンは神経イッちゃって恨み節をわめくばかり。
おお!修羅場だー!
とワクワクした瞬間、クラスキーは毅然と速断を下す。

なんと大逆転でパドヴァンと復縁

「ひどいわ!このホモ!」
クラスキーを平手打ちするが後の祭り。食堂を出る2人をマッパで追いかけるジョニーだが、サッサと走り去るトラックを追い切れず、力なく荒野に倒れるジェーン・バーキンの裸体が空しい、ああ無情なジ・エンド。


★感想

おらぁセルジュ!
ちょっと出て来い!
なんだてめーのケツの穴観は!


と男塾塾長・江田島平八ばりにクワッと説教したくなるダメダメ映画であります。

皆様ご存じの通りセルジュ・ゲンズブールは稀代の女にだらしない男(そしてロリコン)。本人いわく「俺の性嗜好はゲイと無縁だけどゲイの人にあこがれてる」とか。なんか腐女子みたいな事言う人だったらしい。

しかしなぁ、ゲイ絡みの映画で何でもかんでもリアリティ出せばいいってものじゃないが、いくらなんでも描写が雑じゃなかろうか。昭和のいわゆるBL黎明期の漫画とタメ張るくらい、無知とドリームがてんこ盛りなんですが。

★クラスキーさんのクラスキー問題を考える

何と言っても一番理解不能なのが、肝心の「クラスキーさんのセックス観が支離滅裂」なところである。

クラスキーさんはガチゲイである。
でもボーイッシュな女に惹かれちゃった。
「もしかすると俺、これくらい男っぽいならデキるかも?」と思い試しにやってみたが、ジョニーは脱いだらやっぱり体は女だからちんちん勃たなかった。まぁ、ゲイならそういう経験もあるかもしれないが、そこからなんで「クラスキーさんのクラスキーを後ろから突っ込むだけの絶叫鬼畜プレイを試しては失敗するばかり」の行為に至るの?意味わからん。

彼氏と二股なんだから、普段彼氏にしてる痛いの和らげるグッズやテクとかあるだろうに、なんでジョニーにはやってあげないの?何故少しなりとスキンシップしないのか?学習しないの?したらダメになるの?どうしてもケツ以外じゃダメなの?彼女が「ひあああ!」なら他の方法試さないの?満足する方法は他にあるだろ色々と。
あくまでもケツに突っ込み果てるまでいかないとお前いわく「本物の愛」は満足しないの?
バカなの?

と裸で正座させて問い詰めたいくらいクラスキーさんのセックスがバカすぎる訳だが、なんでこいつは平然とバカのままで人生来ちゃったのか考えてみた。

「経験した男がパドヴァンひとりで、かつ彼がケツの始末からすべて自分で処理してくださってひたすらご奉仕して下さるゆえに、いれるプレイしかした事ない棒専門男」である仮説と、
「経験した男がパドヴァンひとりで、かつパドヴァンには昼はオラオラご主人様だが、夜は乙女の方だったりするので、実は男としてのやり方がわからない童貞男」である仮説、2個くらいしか思い浮かばなかったんだが…
………。

意外とありかもしれないクラスキー乙女説…。
ともあれ棒男か乙女男かどちらにしても、クラスキーさんはガチゲイ以前に、極めて頭の痛い未熟なセックス観をお持ちの脳内中坊なダメ男だという結論しか出ない。なところが最大のダメポイントです。

他にも「この薄汚い世界で2人の愛だけが本物だった」と言いたげな、わざときったねえ産廃業者やジョニーの下品な親父設定、パドヴァンのまるでコントなオカマの嫉妬、勿論トドメは「廃車場の中心でアオカンで愛を叫ぶ」ってさー。
ああ痛い。
バリバリ厨二病ではないか。
ジェーン・バーキンのアイドル映画なら別に構わないが、一応大人の愛の経験豊富な大人の男が考えた愛の映画のはずだが…。セルジュ・ゲンズブールのご都合主義満開で青臭いドリームが炸裂する設定だらけでげんなりします。

★ジェーン・バーキンは英国女優です

長々文句を言ってる訳ですが、イタいのは脚本(つまりケツの穴観)とセルジュ・ゲンズブールであって、音消して流し見すれば以外と結構いい映画だったりしますw

70年代ヌーヴェルヴァーグから前衛の選民お気取り感と小難しさを抜いて、90年代以降のUSインディ系映画の繊細なゆるさをふりかけたような、きれいな映像が楽しめる。主演のジェーン・バーキンとジョー・ダレッサンドロもぴっちぴちに目映く輝いてます。

ジェーンはいつもの小悪魔フレンチロリータの王道の前髪パッツンストレートとかなり趣きが違いますが、有無を言わせずおっしゃれー。ジャケット&デニム&スニーカーの着こなしは春夏ファッションの参考になりまくりですよ。しかも惜しみなくがっちり脱いでますが、肉がなさすぎで色気は期待できませんw

ところで
ジェーン・バーキンは英国女優ですが

「そんなの当り前じゃねーか」派と「ええっ!うそー!イギリス人?知らなかった!」派に見事にクッキリ分かれる。
私も昔は「うそーイギリス人?」派でしたwジェーンもバーキンもフランス人の名前と思ってたwバカですね自分w

ファッションから入ると判断できないんですよ。
ジェーン・バーキンといえばエルメス。
ジェーン・バーキンといえばフレンチロリータ。
ジェーン・バーキンといえばゲンズブール父娘。
という固定観念が頭に植えつけられますから。あとUKファッションとイメージが合わないし。
だけど、昔の(主に前衛)映画をよく観るようになってから、「あーこの人、特徴的な英国女優だわ」と別の意味で理解するようになりました。

英国女優は独特の魅力があって、正統派美人率なら他国の方が高いと思うが、英国女優はワン・アンド・オンリーな迫力があり、
美人の基準を自分の方へ曲げてやる!な圧倒的なオーラを持ってる人が多い気がする。
つまり力技の美人が多い。
いやいやほめてますw
そしてよく見れば雄々しい顔立ちが多い割に不思議とロリータ率が高い。

でも顔と体はロリータだろうが、プロフェッショナルとして仕事じゃ脱ぎ役も汚れ役もがっちり演る。
スターの地位とかパブリックイメージとかそんなものどうでもいいから、ヘアヌードでも発情クソアマビッチでも役に必要なら何でもするわ!だってあたしはプロの女優よ!の意識が高い。
さすが演劇大国の魂を持つ女。中身は雄々しく気高い(そして少々偏屈者w)なんです。
ロリータの陰には棘がある。いいじゃないですか。英国女優大好き。

(了)
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