No.153 『カラヴァッジオ』

公開年:1987年
監督:デレク・ジャーマン
脚本:デレク・ジャーマン
ジャンル:ゲイと成り上がり美女と脱ぐショーン・ビーンのお芸術ドロドロ映画

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秋のお芸術特集第2回。
芸術といえばやっぱ絵画だねー。って事で1年ぶりにデレク・ジャーマン監督作品がご登場。
去年の『エドワードⅡ』は実に私好みのげっすいドロドロ愛憎関係でしたが、今回の『カラヴァッジオ』も主人公がゲイの絵描きですから愛憎ドロドロです。
映像・音楽も凝ってるしサンディ・パウエルの衣装もきれいですし、カラヴァッジオやバロック映画が好きだともちろん至福ですが、あんまり興味無くても楽しめます。

カラヴァッジオ役は『エドワードⅡ』にも出てたナイジェル・テリー。
同じく王妃役のティルダ・スウィントンがファムファタルな美女を演じますが、そんなことより今作の目玉は
ショーン・ビーンの映画初出演作。イケメンモデル役で脱ぎまくり
でありますよ。

それがもう想像以上に若い!イケメン!金髪ヤンチャ系!いい筋肉!
男も女も翻弄するセクシーな役どころでたまりませんわー。
昔レビューした『愛の悪魔』のダニエル・クレイグ裸祭りとかこういうの観ると、「若いイケメン俳優は全員お芸術監督作品で脱いでおくべきだ」と鼻息荒く主張したいですね。いやまじで。
★予告編


ショーン・ビーンはじめモデルの裸がてっかてかの筋肉祭りw
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

イタリアのどこかの港町に瀕死のカラヴァッジオ(ナイジェル・テリー)が流れ着き、耳の聞こえない弟子のエルサレム君(スペンサー・レイ)に看取られてる。
息も絶え絶えな状況で、頭に思い浮かぶのはエルサレム君を拾って弟子にした頃のアトリエ。道具の使い方とかを教えながら怪物メドゥーサの首を描いてます。モデルの蛇をエルサレム君の首に這わせたりして、何気に扱いがひどいw
そこからカラヴァッジオは死の痛み苦しみでのたうちつつ、少年時代、青年時代、と走馬灯のように自分の人生を思い返す。伝記映画らしい手堅い作りである。

カラヴァッジオはイタリアの田舎で親友パスカローネ君と一緒に羊を追う素朴な少年だったが、実は陰でパスカローネ君をネタにヌイてたせいか、またはアナーキーなアーティスト気質ゆえか、グレて家出する。
ミック・ジャガーにちょい似な緑の瞳の美少年のカラヴァッジオ(デクスター・フレッチャー)は、ローマの道端で絵描きしながら、バッカス気取りでツタの葉っぱ頭にかぶって酒飲んだり、ゲイのおっさんにナンパされたりジャックナイフで金を脅し取ったりして、なんか渋谷のチャラ男みたいなその日暮らしな日々を送っていた。
でもチャラ男生活がたたって病気になるが、入院先でデル・モンテ枢機卿(マイケル・ガウ)なる偉い坊さんに気に入られて援助交際スタート
カラヴァッジオ君はベッドルームで学問を教えてもらったり、耳に白いお花飾られたりして、坊さんのいいオモチャになり(しかし頭に花って坊さん発想がギャルっぽい…)、チャラ男絵描きから「パトロンつきの有望な若手画家」にランクアップ。たっぷり小遣いもらいながら好き勝手に絵を描いていい暮らしをする。

★ゲイの芸術家はやんちゃな兄貴がお好き

カラヴァッジオはすくすく成長してローマの教会から絵の依頼が来るご身分になるが、ところが絵の方はデクスター・フレッチャーからナイジェル・テリーに代替わりした途端スランプに陥る。
アトリエにふんどし姿のメンズモデルを並べてみても、なんだか思うように描けない。腐ったカラヴァッジオは酒飲んでメンズモデルとバカ遊びして憂さ晴らしするが、その遊び場で賭博師兼ボクサー(要はチンピラ)のラヌッチオ(ショーン・ビーン)と運命の出会いをする。

おおぅショーン・ビーン、まじでやんちゃなオラオラ兄貴系パツキンイケメーン!
しかも脱いだらいい肉っ!


ラヌッチオの試合を見て「彼こそ俺のミューズ」と惚れたカラヴァッジオは、早速彼をメンズモデル軍団の一員に入れて製作再開。イケメンの筋肉に筆がはずんでスランプ解消!名作を次々描いていく。
ちなみにラヌッチオには少年みたいなルックスの嫁・ラナ(ティルダ・スウィントン)がいたが、カラヴァッジオは嫁も「おう!お前も気に入ったぜ!仲間になれや!」とモデル軍団に入れ、坊さんからのお手当金を惜しげなくあげまくる(時には口移しプレイであげている)。おかげで貧乏チンピラ夫婦の懐はうっはうは。毎晩金貨プレイでイチャイチャするw

ネタが欲しい画家と金が欲しい貧乏人夫婦。
お互い利害関係が上手くいってた彼らだが、カラヴァッジオさんはゲイですから当然そっち方面の感情が芽生えてくる。

ある日バクチがきっかけでカラヴァッジオとラヌッチオが剣闘士ごっこしてたら、なんとラヌッチオはわざと脇腹を刺し「俺とお前の血の契りだよ」とのたまいキスをする
目の前で見てたラナが「ちょ、あんた!男にマジ惚れかよ!」と嫉妬メラメラになり、カラヴァッジオは『金で言う事聞かせてたドライな関係』と自分では思ってただけに、急に愛情を向けられて心ぐらぐらw
うろたえる余りエルサレム君に、「なあ。あいつって、俺を愛してるのかな?」と尋ねる始末w
一方でカラヴァッジオはラナも気に入ってる訳で、金持ちパーティーに行こうとして「服が無い」と困るラナにドレスを買ってあげたりする。そんな調子で「どっちも愛してるよ」な八方美人なスタンスだから、夫婦はお互いにカラヴァッジオの愛情を巡り嫉妬するようになる。
そしてエルサレム君も従順に助手を務めつつ、静かに嫉妬の炎を燃やし始める。

★貧乏嫁、玉の輿宣言して自滅する

カラヴァッジオは銀行家ジュスティアーニ(ナイジェル・ダヴェンポート。金の電卓がトレードマークw)から坊さん経由で「天使エロスの絵を描け」と注文を受け、モデル軍団の曲芸師のねーちゃんをモデルにして(あんまり絵に似てないが)描きあげる。
で、『愛の勝利』って名前のその絵の除幕式パーティーが開かれて、カラヴァッジオはラヌッチオ夫婦を連れて出掛けるが、バチカンの教皇様もいらっしゃる格式高い宴の癖に雰囲気くそあやしいwオカマはいるしサックス吹いてるし、パーティー会場の裏がカタコンベで妖しげな連中がうろついてるし、どこのソーホーのゲイパーティーかとwデレク・ジャーマンやりたい放題ですな。

しかもラヌッチオがカタコンベで迷ってる隙に、教皇様の甥のボルゲーゼ枢機卿(ロビー・コルトレーン)がラナに一目惚れ
一発やって「愛人にならないか」と枢機卿に誘われ、しかも一発で子供まで孕んでしまってうかれたラナは「あたし旦那捨てて玉の輿に乗るわ」宣言をかます。
ラヌッチオは「何を調子乗ってんだクソアマ!」と荒れるが、嫁は馬耳東風で「うふふ~wこの子は金持ちになるわよ~www」と腹をさすってにっこり勝利宣言w
ああ女は怖い。こないだまでドレス買ってもらってはしゃいでた貧乏女が、金持ちにちやほやされた途端にこれですか。カラヴァッジオさんはちょっとうんざり。

だが浮かれちゃったのも束の間、ラナはある日水死体で発見される。
生き人形のように美しいラナの亡骸を見て嘆くカラヴァッジオと仲間達だが、今度はラヌッチオが嫁殺害犯としてでっちあげ逮捕される。
「うそやろ枢機卿がめんどくさくなって始末したんやろ!」と怒りやるかたないカラヴァッジオは、怒りと悲しみを創作に向け、ラナをモデルに名画『悔悛するマグダラのマリア』を誕生させる。
一方でカラヴァッジオはお気にのラヌッチオが無罪にしようと絵画コネクションで得たツテを頼って奔走するんだが、ボルゲーゼ枢機卿から「俺の後ろめたいアレコレを詮索しなきゃ、教皇様にラヌッチオ釈放を嘆願させるチャンスを与えてやっていいぜー」と恐喝気味に持ちかけられ承諾する。

しかしその裏には実は驚きの真実が!
なんてオチを迎える前に、話は一旦瀕死のカラヴァッジオに戻る。
自分の人生走馬灯中に容態が急変したカラヴァッジオの許へ町の神父が駆けつける。それはもちろんイケメン神父
ゲイ監督って「俺の最期の傍にはやっぱイケメンがいてほしい」妄想を素直に出す所が自分に正直だなーw
でも神父がご臨終の懺悔をさせようとしたら、「アウトロー芸術家の最後の意地だぁぁ!」とばかりにカラヴァッジオさんが覚醒し、力技で懺悔の十字架を拒否る。
ていうか元気じゃねーかwあと5年は生きれそうだw

★いまわの際でまぶたに浮かんだ最愛の人の名を呼び

さてオチ。
教皇様(佐藤慶ばりに悪面であるw)の肖像画を1枚描くかわりにラヌッチオを釈放してもらったカラヴァッジオは、いそいそと拘置所へ愛する彼氏を出迎えに行くが、無実の人というには不敵なチンピラすぎる顔した彼本人から真実を聞かされる。

「ラナを殺したのは俺だ。あんたとの愛のために殺った」
なんと犯人はチンピラ夫婦に腹を据えかねたエルサレム君じゃなく(内心期待してたんだがw)、予想通りにラヌッチオで、しかも意外に原因は金持ちに走った嫁にむかついたからじゃなくw、カラヴァッジオへの愛と嫉妬のせいであった。
ともあれ色々頑張ったのに裏切られて激高したカラヴァッジオは、愛用のナイフでラヌッチオを殺す。


殺人犯になり流行画家人生から転落してイタリア各地を放浪したカラヴァッジオは、エルサレム君に見守られながら死んだのでありました。
ラストはカラヴァッジオの時代のバロック絵画好きには予想通りといいますか、メンズモデルやお仲間軍団が仮装してカラヴァッジオの代表作『キリストの埋葬』を実演する幻想シーンで締める。もちろんカラヴァッジオさんはキリスト役で
お芸術映画らしいですね。ジ・エンド。

…ときれいに終わりたかったがオチはもう1個あった。

イケメン神父の懺悔の十字架を拒否したカラヴァッジオは、我が人生の象徴と言うべきナイフを握りしめて、いまわの際でまぶたに浮かんだ最愛の人の名を呼ぶ。
その人は殺すほど愛してたラヌッチオでもドレス買ってあげたラナでも、師匠に一途に付き添ったエルサレム君でも心の広い援交パトロン坊さんでも無かった。

その人はなんと親友パスカローネ君だったwww
「初恋の人が一生忘れられない」つうか初めてヌイた男の名前をご臨終で叫ぶのかよw

人生走馬灯の結果がそれかよ!何の意図で実は純情アピだよ!っていうかそういうアピり方するキャラだったのかよカラヴァッジオさんは!それに一緒に居るエルサレム君の身にもなれよ!耳聞こえないから何言ってもOKじゃねーだろ!「あ、自分じゃないんだー…」くらいの空気読めるわ!
と一応突っ込んで本当にジ・エンド。


★感想

おいおいおいおいおいおいw
久しぶりに画面に向かってずっこけました。どさくさまぎれに何言うてんねん。
これまでの愛憎関係をくつがえす、『犬神の悪霊』の「俺の可愛い磨子ー!」並みのおまぬけセリフであった。

★そもそもカラヴァッジオってこういうキャラだったんだろうか

本作は一応「画家・カラヴァッジオの伝記」らしいが史実に全然忠実ではないらしい。
カラヴァッジオがラヌッチオを殺したのは史実だがラナはオリキャラだし、三角関係とか無かったそうだ。
ゲイだという証拠すら無いらしい!
えー意外。さすがにカラヴァッジオ=ゲイは史実だろうとずっと信じてたんだが。
つうかどう見てもカラヴァッジオの絵画芸術の世界を映像で表現するのが目的で、脚本は単に添え物、しかもデレク・ジャーマンの妄想が半分入ってるようなw
しかし半分オリジナル設定といえ、肝心の主人公の人物像が何だか気になる木。

カラヴァッジオは絵は天才だけど、私生活は金遣い荒いパリピで西洋絵画史上最凶クラスの粗暴ぶっぷりで、ラヌッチオ殺害の前も障害の前科数犯で刑務所にぶち込まれた真のアウトローアーティスト、ってのが史実のキャラ。現代で言うとフィル・スペクターみたいな感じ?話に聞くのは面白そうだが親戚には絶対いてほしくないタイプだw
映画でもナイフをモチーフに「一生涯アウトローな俺」シーンを入れてましたが、その割にナイジェル・テリーのカラヴァッジオて普通に「繊細な芸術家で愛されモテるいい人」じゃね?
モデル軍団や弟子や芸術の協力者が周りにいて、そいつらの面倒をマメに見て慕われたりして、え、カラヴァッジオってこういうキャラ?史実からすると柄じゃなくないか?と思った。
デレク・ジャーマンって「孤高のゲイ」への描写が思い入れたっぷりで、「心無い世間に嫌われても理解者に慕われ愛に正直に生きる僕」なドリーミーでどことなく乙女wなゲイ像を入れてくるんで、観ててこっぱずかしくて困るw
もっと史実通りにギラギラしたドSの暴れん坊カラヴァッジオが観たかったなあ。

むしろ少年時代を演じたデクスター・フレッチャーが、外道でロックな美少年を好演してて、こっちの方がイメージ通りでイイ!
映画観てる間は、あのもしゃ毛の曲者俳優デクスター・フレッチャーと同一人物だと気付かなかったくらいだw妖しげな香りのするナルシスティックでワルいバロック美少年に化けてます。
嘘だと思う人は一度観てほしいです。

★衣装と美術とショーン・ビーンの筋肉はパーフェクト

さて主人公の設定はともかく、ついでにもうちょい愛憎関係を下種にしてほしかったと文句をたれつつ、メインのショーン・ビーン筋肉祭りはもう釘付け
カラヴァッジオの絵画世界を再現した深ーい陰影の効いた画面に映えるテカテカの若い筋肉は、いやまあもう
しかしこちらの想像を超えるイケメン俳優だったけど、ショーン・ビーンを見る時にいつも感じる「ジャージの上下着てヴェルファイア転がすのが似合いそうな面構えをしてらっしゃる」イメージは若い頃でもさして変わらなかったwなんでイギリス人なのにとめどない南大阪のヤンキー臭がするのだろうw

ティルダ・スウィントンは本作でスクリーンデビューしたそうで、いつもは年齢不詳すぎて何歳の時の映画なのかパッと見判別できない人ですが、さすがに若かったです。貧乏時代の質素な服も(バンダナの柄と巻き方がかわいい!)、可憐なドレスも、美しく着こなしてました。
この人はヤンキー臭のかけらも無いが、意外とショーン・ビーンとお似合い夫婦してました。

デレク・ジャーマンが初めて手掛けた長編ドラマ映画とあって、映像・衣装・音楽チームは気合を入れて凝りまくってました。
お前衛現代ミックスは『エドワードⅡ』よりバロック時代寄りで、現代アイテムも出過ぎてなくていい塩梅でした。
とりわけゴージャスな貴族衣装に絶妙にマッチする金の電卓が素晴らしいw
風呂場でタイプライターの絵面も、構図・風合いともに最高w
イギリスの映画美術は本格歴史映画より、こういうエッジを効かせて解釈した歴史映画のセンスの方に大英帝国の底力を実感しました。ケン・ラッセルやアレキサンダー・マックイーンやジョン・ガリアーノを生んだ国はすごいわー。

★ショーン・ビーンの気になる足首太もも男の世界

最後はこの映画と全然関係ない木。
「実は死んだ役より死んでない役の方が多い」トリビアにびっくりした記憶があるwくらい「暴れて殺される悪たれオヤジ」のイメージが強固なショーン・ビーンですが、昔に実家で『トロイ』をチラ見しながら仕事してたとき、ふと画面が目に入ってびっくりした。まじまじと凝視しちゃいました。
ショーン・ビーンがパンチラ寸前ミニスカ姿
まさかのむっちり色白美ふともも
まぁミニスカってもギリシャの戦士姿なんだが、なんつーか女子高生ばりに萌える丈のミニスカふともも(絶対領域付き)で眼の保養でした。ほんときれいだった、ふともも比較ならブラピより断然きれいw
後に50過ぎて本気のミニスカ女装を披露されてたが、『トロイ』より年食って若干ふとももは衰えてたがやはり美脚だった。
顔と上半身は悪たれヤンキーオヤジだが下半身は美脚って萌える
もちろん『カラヴァッジオ』も美脚全開シーンがありますんで、ぜひ堪能してみてください。

(了)
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