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No.157『マジック・ランタン・サイクル』

監督:ケネス・アンガー
脚本:多分ケネス・アンガー
ジャンル:クラシックお芸術から電波ゆんゆんまで。アングラカルチャーてんこ盛りな前衛ショートムービー

majick.jpg

『ルシファー・ライジング』を取り上げたんで、ついでにその他の作品もざっくり紹介。

『マジック・ランタン・サイクル』はサブカル好きなら名前くらいは聞いた事あると思いますが、アメリカンカルトムービーの帝王ケネス・アンガー監督が自主制作した3分~30分程度のインディーズショートフィルムの寄せ集めです。
ちなみに私うめめちの偏見ですが、この手の製作者の趣味丸出しなアングラショートムービーは、寝転がってだーらだーら観るのが正しい鑑賞方法です。決して映像の意味を理解しようとまじまじと鑑賞するもんじゃない(ひどいw)
じゃあ何で観るのか?といいますと、癒される為に観るんであります。

世間が帰省やおせち作りや大掃除に勤しんでる年の瀬に、社会的に何の生産性も無い行為をして、極めてムダに時間を費やしてみる。
まずおいしいケーキを買ってくる。帰ったら風呂に湯と入浴剤を入れる(「ツムラ日本の名湯登別カルルス」がマイベスト)。だーらだーら湯に浸かる。そして風呂上りにケーキ食う。食後は人をダメにするふかふかクッションに寝転がり、足のむくみを取りパックで肌の潤い取り戻しつつ、爪手入れして眉毛抜く。
って感じで自分の体を甘々にほぐしながら、意味もオチも無い前衛映像をだーらだーら見る。

前衛バカにとってこんなに贅沢な至福の時間が他にあるでしょうか。
あー癒される
無駄の塊なゆとりタイムで自分を徹底的に甘やかしてこそ、地獄の師走仕事で燃え尽きて枯れ木みたいな魂に来年への活力がわいてくるってもんですw

という事でハッキリ言い切ってしまいますとこれ観て頭に残るものなんか何もありませんが、是非ごゆるりと観て癒されてください。
★作品紹介

作品は『ルシファー・ライジング』と同じくセリフ・テロップ・ナレーション無し。
物語は基本無いがツッコミ必至なオチがたまについてくる。
つまり作風はミュージックビデオと同じです。ケネス・アンガー監督は「世界で一番初めにミュージックビデオを作った人」とも評されてるようです。

★『花火』

ケネス・アンガー監督が17歳で作った処女作。ジャン・コクトーの『詩人の血』に触発されて作ったらしい。
両親が泊まりでお出かけした間にこっそり自宅で撮影したそうで、それらしき小道具の貧乏臭さとホームメイド感が微笑ましいw
映像も『マジック・ランタン・サイクル』の中で一番趣味丸出しでツッコミどころ満載。バカバカしくて楽しいw

ゲイの兄ちゃん(角刈りでいいカラダ)と水兵さん(ボディビル自慢)が自宅にいる。
水兵さんたらいきなり兄ちゃんをお姫様だっこすると、とっとと服脱いでナイスバディ自慢を始める。
まず謎の像を股間に立ててちんちんおっきいアピールwさらに筋肉ムキムキアピールwさらに逆立ちwとひたすら俺のカラダを見ろ!見ろ!と兄ちゃんに誇示しまくる。
しかし兄ちゃんが「そんな肉体自慢よりさー、煙草に火つけてよ」と言うと、キレた水兵は突然兄ちゃんをビンタしてシメて「こいつでどうだー」と暖炉の炎で煙草に火をつける。
で、兄ちゃんが一服してると水兵がお仲間呼んで鎖振り回しプレイ開始。兄ちゃんは鼻の穴に指突っ込まれて鼻血プッシャー!お口はミルクぶっかけ!で血と白いものまみれになって要するにマワされます。

ひどいわ水兵!と兄ちゃんがぐったりしてる間、水兵はご機嫌でトイレに生き、社会の窓を開けてちんちんに火を付けたら、なんとワインボトルが勃起するwww
ワインボトルてwそいつは余りにベタなw
すると兄ちゃんは急にクリスマスツリーを被り暖炉の火をファイアー!どうした兄ちゃん自暴自棄か!

…という夢を見た兄ちゃんが目覚めると、ベッドの隣で水兵さんがおとなしく寝てましたとさ。
なんだ夢オチか、あーよかった。でジ・エンド。

しかし暖炉の火燃やし過ぎじゃね?思い切り外にはみ出てますぜ。自宅が燃えなくて良かったですね。

★『プース・モーメント』

お金持ちの服バカ姉さんが犬のお散歩の服をキメる様子を撮った映像。
服バカならそうだよこの感覚だよ!分かる!分かるぅぅ!と共感必至。

スパンコール、ラメ、フリンジで彩られた可愛い布がチャラチャラと現れます。
服バカ姉さんは布を手に取るとうっとり。布を頭から被ってうっとり。ドレスを着てうっとり。パンプスはいてうっとり。化粧台からお気にの香水をひと振りして、あーうっとり
いちいちうっとりしながらなのでお着替えがなかなか進みませんw
で、キラキラアールデコ(可愛い)ドレスにお召し替えすると、姉さんは疲れちゃってソファに寝転びます。するとソファーが自動で動いて外まで連れてってくれるwいいなーこんなソファ欲しい。
最後は姉さんがようやっと犬の散歩に出かけてジ・エンド。

★『人造の水』

ロココドレスにサングラスかけたお姉さんが、噴水がきれいなロココ庭園を歩き回る。
寺山修司のセピア映像をさらにもやーんとさせた偽古典風な画面で、お芸術らしいっちゃらしいが今いちグッとくる所が無い。フェチ度とゲイ趣味度が足りないからだろうか。
BGMはわかりやすくチェンバロ&バイオリンでクラシック音楽。

★『快楽園の創造』

きれいなもの、美しいものにうっとりしたいならこの映像!
クラシックドレスが一杯出てきて服バカうっとり。総レースの部屋まであって可愛さにうっとり。ヤマもオチも何にも無い癖に30分以上あるし長すぎるのが難点。

まずは登場人物をご紹介。誰が何者かさっぱり分かんないけど。
東洋風の部屋でだらだら鼻毛をカットしてメイクするゲイのおっさん。アクセサリーコレクションがキラキラして可愛いが、ネックレス丸のみ芸はやめてほしいw
夢見るように美しいロングガウンを着たお姉さんが、モンキーメイクの下僕を従え優雅にご登場。ガウンも素敵だがヘッドドレスもキラキラして可愛い!きれい!欲しすぎる!
マリリンモンロー風の白いドレスの姉さん、クレオパトラな姉さん、ファラオな兄さん、パツキンイケメン、ピンナップグラマーな水着姉さん、など他のケネス・アンガー好みの頽廃した面々が気怠そうに現れる。どれもこれも衣装がきれいで溜息出ます。
とりわけ斬新なのがブルーのドレスに鳥籠ヘッドの姉さん。髪が鳥籠じゃなくて、頭にまんま球体の鳥籠かぶってるw足は網タイツにヒールで毛皮を踏みしめて歩きます。文章じゃギャグだが絵面は美麗です。

しかし謎のキャラが現れるたびに何故かゲイのおっさんが七変化する。盛り盛りのロココヘアになったり、体を小さくされて呑み込まれたり、羽が生えたり、ドラゴンボールのピッコロ魔王化したりする。
そしてやたら何かを呑みこんでいる。ぶどうとかネズミとか宝石とか。悪魔崇拝的シンボルな意味があるかもしれませんが、まあ意味はどうでもいいです。

で、妖しい面々がそろったところで何やるかというと悪魔のコンパw
ドブロクっぽい酒でカンパーイ★して、謎のお面や変装メイクしてはしゃぎます。
ピンナップグラマーは脚持って踊り、クレオパトラは片乳出すし、パツキンイケメンは予想通り脱がされるw
そして画面は延々と飲んだくれの幻覚コラージュで埋め尽くされる。みんなの顔が分裂したり重なったり、赤や黄色や緑になったりする。ロングガウン姉さんの笑顔が久本雅美に似てるような。

でもそれ以上の展開は無く、みんなで楽しく酔っぱらいましたー★な幻覚のまま、尻切れとんぼでジ・エンド。
オチが極めて適当なところがいかにもアングラ自主制作ですね。

★『スコルピオ・ライジング』

アメリカンゲイと言えば筋肉、タトゥー、革ジャン、ぴっちぴちのスキニージーンズ、大型バイク!
なんだこれ。バリバリの偏見丸出しでごめんなさいw
しかし本作はデコトラ改造バイクとバイカー兄ちゃんにひたすら萌えるフェチ映画。このての兄ちゃんにうっとりしたいなら何を置いても必見な、ケネス・アンガー監督の代表作。

古き良き50年代オールディーズソングをBGMに、革ジャン&スタッズで映像は始まる。
幼い頃からバイク馬鹿の兄ちゃんは、自宅のガレージで毎日くわえ煙草でバイクを愛おしくいじる日々。壁にはバイクグッズコレクションを飾り、壁にはジェームズ・ディーンのピンナップ、テレビはマーロン・ブランドの姿が映り、隅にはドクロが鎮座する。バイクのボディーはもちろんパープル
しかし男臭いバイカー野郎にしては飾り方が可愛い過ぎないか?壁の鎖はチャラチャラきれいに吊ってるし、ベッド周りの物の配置やピンナップの貼り方もアートなゲイ丸出しじゃねーかw
監督はどうしても可愛いデコ趣味だけは譲れないようであるw

で、バイクをいじり終えたら次はお着替え。もちろんサービスショットはたっぷりと、丹念に舐めるように萌え萌えで撮ってます。
黒タンクにジーンズ、スタッズたっぷりの革ジャンとお帽子、そして仕上げに革のリストバンド、グラサン、ドクロ指輪の厨二病な俺趣味アクセ3点セット。
「うーん俺、今日もばっちりいい感じー★」と自分にうっとりした兄ちゃんは、最後にヤクを一発キメてお出掛けする。
ちなみに兄ちゃんのお支度シーンだけで15分。長っw

さて兄ちゃんのお出掛け先は同好のバイクマニアの溜まり場。今日はパーティーの日のようだ。
といっても所詮おバカ男子の集まりなので、とりあえず仲間の1人を脱がして腹にソースぶちまけていじめる。
ただ遊んでるだけのシーンでも、何故かバイクのレースシーンやヒトラーやキリストがコラージュされててあらー不思議。何だか聖なる儀式に見えてしまう。ただのバカ遊びなのにw
で、最後にようやくバイクに乗り夜の遊園地でドリフトしまくる。
いかにもUSインディーズな手持ちブレブレカメラ映像で臨場感たっぷりにバイクを撮るうち、バイカー馬鹿はテンションMAX。スーパーめくるめくコラージュ映像が怒涛の勢いではじけまくる!
オチは警察が来てあっさりジ・エンド。

途中はダラダラしますが最後のめくるめくバイクシーンは凄いです。コラージュ映像のめくるめく指数は『赤い影』のオチシーンに劣らないクオリティだと思います。前衛映画マニアならラストだけでも観るべし。

★『K.K.K』

タイトルは物騒だがただのDAIGO式当て字だw
こちらは車フェチ(といいケツのお兄ちゃんフェチ)大喜びなフェチ映像。

アメリカンオールディーズの甘~いバラードをBGMにして、車フェチの兄ちゃん(ぴっちりジーンズ穿き)がピカピカに磨き上げた改造車を愛でる。
ふわふわポンポンでボンネットや機械を愛おしく撫でて、真っ赤な唇座席シートに座り車を発進させる。
まぁ観る人はついでに兄ちゃんのぴちぴちジーンズのケツや股間もちらっと愛でられますw

ちなみに「兄ちゃんと車」を「姉ちゃんと工具」に置き換えると、まんまベニー・ベナッシー『サティスファクション』のミュージックビデオになるw
こちらもうめめちは大好きです。




★『わが悪魔の兄弟の呪文』

『ルシファー・ライジング』の兄弟編。
というか『ルシファー・ライジング』製作中にボビー・ボーソレイユがフィルム盗んで砂漠のどこかに埋めたんで、ケネス・アンガー監督が泣く泣く残りのフィルムの切れ端を寄せ集めて作った映像だそうだ。

上映時間11分のサイケでドラッギーな映像コラージュ。電波マジキチ度は『ルシファー』と同じだが、『ルシファー』は電波ながら妙にのんびりピースフルな空気すらあったのに対して、こっちはよりドス黒くいかれてます。
マッパの兄さんが肌にナイフ突き立てたり、ヒッピーがちっこい骸骨吸引具でマリファナ回し吸いしたり、魔術師が悪魔な儀式をやったりしてますが、意味はやっぱりどうでもいいです。
使われてるモチーフがヘルスエンジェルス、ナチス、ヒンズーぽいの、密教ぽいの、とわっかりやっすく70年代アングラヒッピーです。英国プログレ好きとしては「うーん、もうちょいひねっても」と思わなくもないが、映像コラージュの編集センスが抜群に良くて好みだ。

この映画の能書きは「ミック・ジャガーが出演&音楽担当」と必ず書かれるが、出演たってミックはほんの一瞬しか出てないじゃねーか。
でも音楽はすごーくいい!ムーグ音をピッピー鳴らしてるだけなんだが、ミニマムでクール!映像とリズムがぴったり合ってるし、EDM好きにはたまらんものがある。

★『ラビッツ・ムーン』

最後はオチがせつない寓話。
BGMはミスドで掛かってそうなドゥーワップなラブソング。

主人公は森に住んでる白塗りピエロ。お月様が好きで「月にはうさちゃんが住んでいる」と本気で信じており、毎晩夜空に向けて飛び跳ねてうさちゃんを捕まえようとしたり、叶わぬ恋心をパントマイムでアピールしまくったりする。でもお月様は振り向いてくれません。
すると見かねて子供2人が「これでアピールしてはどう?」と鏡と楽器を渡す。するとBGMが急にケチャダンスに変わり熱烈アピールタイム
でもピエロはあくまでストイックだった。楽器の力には頼らねえ!と、己の身振り手振りでひたすら恋を表現する。

そしたらお次は淀川長治ばりな眉毛のモテメンピエロが登場し、エアチャンバラやエア綱渡り、エアお手玉の芸を披露する。
するとあやしい鳥籠が現れて、謎の悪魔マークとともにバレリーナ美女がご登場。どうやらお月様の化身らしい。
白塗りピエロは美女とダンスして夢心地になる。このシーンは舞台装置もファンタジックでうっとりしますが、次の瞬間美女はピエロの求愛を断る。なんとお月様はモテメンピエロとデキてたのでした。

ファンタジーな夢が消えちゃって、ショックで倒れる白塗りピエロ。すると子供2人が寄って来て「ほら、うさちゃんがいるよ!」となぐさめる。
しかしうさちゃんを追って森の中をついて行くと、そこにはモテメンピエロが美女をお姫様だっこしてくるくる回る姿があるばかりでした。何だよお姫様だっこなんて生意気な!淀川長治眉毛の癖にw
なんつうひどいオチだwって事で何の救いも無く、ピエロは失恋したまま暗闇に消えてジ・エンド。

★感想

作品を作った年代も作品の出来もまちまちですが、ケネス・アンガー監督のショートフィルムに対する結構姿勢が好きだ。
『ルシファー・ライジング』でも「この人割と正直かも」と書きましたが、短編集はさらに正直度アップ。小学生男子が自分なりの宝物がぎっしり入った秘密のおもちゃ箱を一生懸命説明してるような、自分の感性に素直なところが見えてていい。
ただしセンスは「文科系アメリカンゲイ男子の好きなアイコン」または「アングラオカルトマニア男子の好きなアイコン」で埋め尽くされてるんで、好みが分かれると思いますが。
前衛ショートフィルムでは他に寺山修司の実験映像集をよく観ますが、寺山修司に比べると理屈っぽさとか全然無くてひねてませんw寺山修司で挫折した人も、こちらはすっと観れるかも?

ただし自主制作映画にありがちだが、上映時間が短い割にだらだら長いっちゃ長い。
センスの良さに「おおっ!」と興奮するシーンはあるが、自分の好きなものをそのまんま起伏が無いのでたれ流してるだけです。映画にはストーリーテーリングがすごく重要なんだなあとしみじみ思う始末だ。
あと『わが悪魔の兄弟の呪文』だけは毒電波系わけわかめだから、意味を深読みしないように、意識して流し見してくださいw

とりあえず私のメケメケハートは癒されました
1年分の疲れのデトックスはこれにて完了。2017年もテキトーにがんばります。

(了)
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No.158『妖星ゴラス』 | Home | No.156『ルシファー・ライジング』
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