No.016『多摩川少女戦争』

製作年:2002年
監督:及川中
脚本:及川中
ジャンル:美少女アイドルのバトルアクション映画

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世田谷ベルベット団vs川崎ライオネス会の抗争!
多摩川河川敷でアイドル100人が大乱闘!
マカロニウェスタンのテイストを盛り込んだイマドキ美少女バトル映画!

「スケバン刑事」「花のあすか組」なんかのバトルアイドルドラマ全盛期に育った世代には、心そそられるタイトルじゃないですか
イマドキ風俗を入れてどんだけ進化してるか気になって、ちょっと見てみるかー?と手を出してみました。
でもそういう意味ではまぁなんだ、少し裏切られた気持ちになる作品である。

★あらすじ(青字はネタバレあり

多摩川にかかる橋の境界線でガンを飛ばし合うギャルチーム2組。

黒組、世田谷ベルベット団。
リーダーは黒髪美少女ヨーコ(山口あゆみ)。得意技はドラッグ売りさばき。
紅組、川崎ライオネス会。
リーダーは中国残留孤児リン(柳明日香)。得意技はロリコンキャバクラ経営。
地元警察も手を焼くやり手ギャルな彼女達は数年来多摩川を挟んで抗争を繰り広げていた。

しかし世田谷ベルベット団を倒して多摩川一帯をシメたい川崎ライオネス会のリンには難敵がいた。
ドラッグを扱うヨーコのバックには、地元ヤクザで少女大好きな苫米地(松重豊)がついてるのだ。
そこでリンは苫米地のロリコン趣味を逆手に取り、チームきっての美少女刺客を送ってヤクザの籠絡に打って出る。

ロリコン!キャバクラ!ドラッグ&ハードバトルかー!めっちゃ面白そう!
とわくわくしたのに観てるとがっかり。
なんと世田谷vs川崎のチーム抗争話はサイドストーリーだったりする。

★本筋はあらまぁ昭和すぎる復讐譚

実は2つのチームは元々同じチーム仲間同士だった。
その元チームを率いてたのは、孤児院上がりで「伝説のリーダー」と呼ばれメンバーから慕われていた少女ナオ(小野麻里矢)。実は映画の主人公はナオなのだ。

ナオはロリコンベッチの魔の手から親友ユカリ(平岩紙)を救うため、ベッチを刺して少年鑑別所に送られていた。
出所後ナオは行方不明になったユカリを探すが、元仲間からは「結局ベッチの女になった」とか「ドラッグ漬けで廃人同然」とかいい話が聞こえない。
それでもナオは偶然知り合ったフリーの半端ギャル、ヒロミ・トッポ・カオルの三人組や、河川敷に住むレゲエのエミリーさんたちの協力を得て、ユカリ探しを続ける。

さらに青森ヤクザ義父と上京した不思議少女ケロッピ(青山朱里)が義父のピストルを奪って撃ち殺し、ヤクザ資金を奪って逃げる途中、ナオ達と知り合いかくまわれるサイドストーリーも絡んでくる。
2時間弱の映画にちょっと詰め込みすぎじゃね?ってくらい話盛りだくさん。

ナオはケロッピから二丁拳銃をゲット。そいつでベルベット団のヨーコを脅してユカリの消息を聞きだすが、ユカリは噂通りヤク中の末期患者、そして場末の娼婦にまで堕ちていた。
ていうか平岩紙が白塗りで明後日を向いてふわふわ話す姿が東電OLを連想させて予想以上にホラーである。
ユカリの姿を見て失意したナオは、ますます親友をひどい目に遭わせたベッチへの復讐を誓う。
うーん何だかなぁ、平成ギャルは匂いだけで古典的なズベ公映画を観てるような展開にw

一方ケロッピが奪った青森ヤクザ資金は悪い奴らの争奪戦になり、ケロッピはベッチに捕まってしまう。
ロリコンの魔の手がケロッピを襲う!
はずが何故かベッチがケロッピに強要したのは謎のハーモニカプレイ
ハーモニカ吹かせてほのぼのじゃねーよwなんでまたハーモニカなんだw

さてナオはケロッピを救うため、ヤクザの金を渡すと言ってベッチを河川敷へ呼び出す。
同じ頃ベルベット団vsライオネス会の抗争もタイマン勝負へと話が進み、遂に多摩川河川敷で2つの大勝負が展開される。

ひとつは目玉のベルベット団vsライオネス会の美少女100人バトル。
多摩川の土手でギャル同士が殴る蹴るのキャットファイト。
しかしこちらはバトルの途中で裏切りあり、警察の介入あり、で引き分けに終わる。

もうひとつはナオvsベッチのケロッピ奪還戦。
元リーダーといえ少女1人でプロのヤクザ相手に挑むが、やはり相手はプロですから反撃されてナオ絶対絶命!
でも隠し持った二丁拳銃で反撃してベッチを殺害する。
だがケロッピがヤクザ最後の反撃で撃たれ負傷し、ナオは懸命に介抱する。

するとナオの前に、最後の引導を渡されたくてヤク中のユカリがやって来る。
最後の決闘はもちろんガンマンの定番、ナオとユカリが互いに銃を突き付け同時にバキューン。

ユカリの死を見届けたナオは、連続殺人犯の重みを背中に負って、またどこかへ旅立つのだった。とシメもズベ公・女渡世人映画のお約束通りにジ・エンド。


★感想

どうですか。裏切られた感しませんか。
そりゃないよー感しませんか。

クールなイマドキ美少女バトル目当てだったのに、ふたをあけたら昔ながらの義理と人情の不良少女映画でした、ってか。
孤児院の親友とか三人組の名前と立ち位置とか、河川敷の自由人とか、もろ昭和テイストじゃないですか。

まぁあえて昭和のベタなフォーマットを組み込んだ監督の意図は分からなくない。
女囚さそりとかの女渡世人ものやズベ公もの、ヤンキー少女ものへのオマージュはふんだんに散りばめてありますし、アクションはマカロニウェスタンを踏襲してるし。
それがイマドキハードなチーム抗争と融合できなくて、流れる空気がふたつに別れちゃったのが残念。

★売りの「美少女100人バトル」が残念すぎる

やっぱり一番の残念ポイントはこれ。
肝心要の100人バトルが一番ひどいってどうよ…

女の子集団がワーワーともみくちゃになって戦いごっこしてるるだけにしか見えん。
鉄砲玉どころの女子のアクションを鍛えるとか、カメラワークを工夫するとかないのか。
大将のヨーコとリンは後方で怒鳴るだけって。しかも途中で側近が寝返ってボコられ、戦いに加わらないまま警察に捕まるだけって。
バトルもので大将戦が無いって萎えるし、側近が寝返る設定を入れるなら、もっとチーム内のドラマを入れて伏線張っとけと!
せっかく美でも少女でもないが存在感抜群の年齢不詳怪女優・播田美保(当時30歳)を側近役に使ってるのに!
ああもったいねえ。

でもメインはダメダメだが良い味わいも見える映画でした。
援交、ドラッグ、残留孤児、ロリコンキャバクラと00年代ぽいキーワードを押さえてるし、ドラッグ持ってないのを見せるため脱いで下着になるサービスシーンもある。
「オメーはチンコの奴隷か!?」なんて少女が挑発したセリフも言いますし。

チームカラーも一応決まってるけど、全員私服だし色のトーンもバラバラ。
今のワルは揃いの特攻服なんて着ないしスカートの丈とかそろえたりしない。ニコイチするポイントはそこじゃないのだ、なるほどねー。
何よりそれぞれの少女チームのスタンスが、ちゃんとイマドキに進化してる。経済ヤクザばりにスマートなやりくちで本人もダーティな資金源稼ぎやってる自覚があり、確かにあたしワルい事してるけど、それが何?って開き直ってるところがいい。
もっと彼女達を観たかったなあ。ベルベット団&ライオネス会メンバーの描写を増やしてほしかった。

★気になる俳優、ロリコンヤクザのベッチ松重豊

さて脇役俳優気になる木。今回一番良かったのはワルだけど憎み切れない味のキャラ、ベッチ。
松前漬けマニアでスルメイカの切り方にこだわりがあるんだよね。自慢の松前漬けを青森ヤクザに食べさせ悦に入る顔はよっ!孤独のグルメ!とつっこみたい。
あと強制ハーモニカプレイでロマンチックな別の顔を見せるのも良かった。ロリコンのくせに(ロリコンだからか?)どこか女の扱いに不器用で純情な、昔かたぎの70年代アウトロー風情もある男なのだ。
苫米地のニックネームの『ベッチ』って語感も平成で良かった。80年代ヤンキーなら『トマちゃん』だと思う。

女優陣は平岩紙のホラーぶりと、播田美保のヤンキー姿wあのインパクトをもっと活かせてたらなあ。
あと主人公の小野麻里矢は根性据わった眼光があり、鑑別所上がりの一匹狼な雰囲気が出せてる。青山朱里は顔はあどけない童顔だけど体はムチムチなヴィジュアルでいい。

80年代バトルアイドルファンならにやっと来る小ネタがあったのは満足です。
ヨーコは「花のあすか組!」のトルエン密売少女からオマージュしてますよね
うめめちはマカロニウェスタンはあまり見ないが、そちら方面に詳しい方なら、もしかしてもうちょっと楽しみが増えるかもしれないですね。

(了)
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