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No.020『無理心中 日本の夏』

製作年:1967年
監督:大島渚
脚本:田村孟・佐々木守・大島渚
ジャンル:ギャルと危ない男達の不条理前衛映画

020.jpg

大島渚監督追悼企画。
松竹ヌーベルヴァーグ時代の作品であります。

松竹ヌーベルヴァーグか。
革命とか解放とか政治寓話な話が出てきて登場人物が滔々と議論するみたいな映画?
似ているようでちょっと違う。

18歳の娘が主人公でタイトル『無理心中』か。
『青春残酷物語』系のタッチで、フーテンぽい若い男女がリアルなエロの果てに心中する青春映画?
似ているようでやっぱり違う。

娘と8人の男の「社会に潜む暴力衝動」か。
無人島に監禁された男達が1人の娘を取り合い殺し合う映画?
監禁される&殺し合うは正解だが残りは違う。

じゃあどういう映画やねん?といいますと、とってもヘンテコシュールな映画であります
鑑賞後に脱力すること間違いなし。
★予告編



この予告編好きだw煽り文句のオチのつけ方がむちゃくちゃでw踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

主人公はバスト102㎝・ヒップ95㎝のバディが自慢なダイナマイト★ブスのギャル、ネジ子(桜井啓子)。
頭のネジがゆるんでるから名前はネジ子。
ルックスからしてヤリマンのズベ公なネジ子はいつも男に飢えている。
18歳の性欲を満たしてくれる男を探して今日も働きもせず街をぶらぶら歩いたら、ひょんな事からタイプの男(佐藤慶)にフォーリンラブというかフォーリンエロ。

…という導入部が10分程度あるんだが、それが何が何だかもう謎だらけ。

ネジ子が公衆トイレに行くと謎の男達がいて白ペンキで落書きを消している。地下鉄入口で謎の男達が白ペンキで落書きを消している。
なぜかネジ子が高速道路を歩いている。いきなりブラジャーとパンツを脱いで橋から落とす。ブラジャーが川で遠泳中の若者たちの近くに落ちる。若者たちはなぜか日の丸を掲げながら遠泳してる。
日の丸マーチングバンドが高速道路を通る。高速道路の上で謎の宗教団体が輪になって立っている。輪の中に迷彩服を着た若いオトコが座ってる。

えっと、どう理解しろと…?
こんなワケワカメなシチュエーションでネジ子が迷彩服のオトコに一目ぼれするのですよ。

下着も脱いでるしやる気満々のネジ子。近場の人気のない干潟へオトコを連れ込み、自慢の爆乳で猛攻アタック★
でもオトコは無口な無気力な自殺志願者だった。
それでもめげずに爆乳アタック続けてたら、愚連隊がいきなりやって来てどかされる。
ネジ子とオトコが座ってた場所は、なんと偶然にかれらの武器の隠し場所だったらしい。

図らずも秘密を知っちゃったネジ子とオトコは、口封じのため愚連隊のアジトに監禁される。
しかし監禁場所のアジト倉庫には、正体不明なあぶない男達が集っていた。

★曲者揃いのバトル傭兵と一夜を過ごす

ライフルで人殺し希望のカプリパンツの17歳バカ坊ちゃん、通称『少年』(田村正和!!)。
ヤクザアロハのハゲヤクザ『オモチャ』(殿山泰司)。
坊ちゃん刈りの変態男『テレビ』(戸浦六宏)。
白フンドシの自称殺人鬼『鬼』(小松方正)。
ほかにSMパンク風、裸エプロン、学生服だの衣装からして怪しい面々総勢7名。

見張り役だという片肌脱ぎのデブ男、通称『おにいさん』(観世栄夫)によると、かれらはイッポンドッコという者らしい。
イッポンドッコって何やねん?
調べてみたらフリーのバトル傭兵だそうだ。
愚連隊の連中とイッポンドッコはどうやら明日の朝にデカい暴動を起こすらしく、ネジ子&オトコはイッポンドッコ連中と一緒に明日の朝まで監禁される事になった。

殺る気満々の変態曲者役者たちと別の意味でやる気満々の爆乳淫乱娘の即席バトルパーティー。
さぞかしやばいバトルが起こりそう!と期待したがそこは全共闘映画世代の大島渚監督作品。
どうでもいいことでグダグダ揉めるんである。

誰かを殺すだの殺さないだの。
ネジ子とやるだのやらないだの。
テレビで「白人殺人鬼が逃走中」ニュースが流れ、男たちは最新情報がが出るたびテレビに釘づけ。
エログロおあずけでじりじりする状態が延々と続き、もう議論なんかどーでもいい!早く夜明けになれ!と観てるこっちがイライラする。

ところが夜明けになったら愚連隊のアジトはイッポンドッコを残してもぬけの殻になっていた。
暴動計画が警察に見つかって愚連隊リーダーが逮捕、他のメンバーはすでに全員逃亡した後の祭り。
で、傭兵どもは身代りに警察が来たら捕まる役だと。
うっそー。

★俺はヤルぜ俺はヤルぜと正和ヒャッハー

拍子抜けな結末に、一晩かけてたぎらせた殺人衝動をどこへぶつけたらいいか分かんない男達は、まず腹いせに見張りの『おにいさん』をブチ殺し、特に理由なく仲間で殺し合いを始める。

そんな場末の膠着状態を打破したのが田村正和坊ちゃん。
暴動に使うはずだったライフルをゲットして、「俺はヤルぜ★誰でもいいから★」とヒャッハーしてキラキラした黒目がちの瞳でうれしそうに無邪気に無差別人殺しを敢行する田村正和って、すごいものをみた感があるw
でも「人殺したけど案外面白くなかったー」ってまたアジトに帰ってきちゃった。飽きっぽいのね。

一層行き場が無くなったイッポンドッコご一行は、「そうだ!白人殺人鬼を殺りに行こう!」と提案し、やっとバトルパーティーを結成するが、外に出た途端に先頭歩いてたフンドシ小松方正を殺害する。
「こいつが真っ先に殺人鬼殺りそう。お手柄取られてヤだからなぁ」っつう理由で。
そんなぁあんまりだ。

★もう誰が味方で誰が敵だか

機動隊の警戒態勢を突破して、白人殺人鬼の立て籠もり現場へ着いたバトルパーティー。
だが相手は殺人鬼つっても玄人が一発撃ったら即死しそうな20才のひょろい青年だった。
殺人鬼とハートが通じて友達になるネジ子&オトコ。なんでだ。

ここで「俺は殺人鬼と一緒に警察倒すぜ!」派と、「いや俺は殺人鬼を殺るぜ」派に仲間割れ。
警察倒すぜ派のハゲヤクザ殿山泰司は殺人鬼殺る派の変態テレビ戸浦六宏に撃たれて死亡。
なんでもいいから殺りたい田村正和バカ坊ちゃんは機動隊と撃ち合いになって死亡。
変態テレビは銃撃戦のどさくさに紛れ殺人鬼を射殺。
殺人鬼殺る派の勝利かと思われたが、彼も機動隊の目の前でオトコに撃たれる。

残ったのは結局ネジ子&オトコだったのだが、機動隊に包囲されて命は風前の灯状態。
「無理心中だねアタシたち」と陶酔するネジ子は、なんと銃弾飛び交うバトルフィールドでオトコと一発公開セックスをやりまくる。
死と隣り合わせのエロスを楽しむネジ子の姿で嗚呼、脱力のエンディング。


★感想

堂々たる全編ツッコミどころだらけだろ!映画。

まず特にツッコミたいのが登場人物の変態ファッション。
ネジ子を筆頭に方向性バラバラかつアナーキーなのだ。

上から見たら三ツ矢マークにブリーチしたネジ子の珍妙ヘアスタイル。服はズベ公スタイルだがラメパンプスが何気に可愛い。
裸にノーカラージャケットを羽織り、ツーブロックぽい坊ちゃん刈り風ヘアで変態150%増しの戸浦六宏。
芦田鉄雄のシースルー&ブラックパンツのなぜかロンドンパンク風ファッション。
このセンス、たまらねえー。

一番笑ったのが観世栄夫。
片肌脱ぎのステテコ風に黒革ベルト巻いたSM拘禁テイストあふれるトップス。
何のつもりでアレなんだ。

昭和ヌーヴェルヴァーグな映像が大好きなので、パースきかせたキテるショットが多くて面白かった。
戸田重昌美術監督の愚連隊アジトのセットも骨太でかっこよかった。竪穴式住居っぽいですが。

★驚きの田村正和坊ちゃんキャラ

そして何より驚いたのが、大島渚好みの美少年枠で登場した田村正和。
役は17歳だが当時24歳。
「古畑任三郎」「パパはニュースキャスター」などコミカル系な役も演じてはいますが、田村正和といえばデビューから今までずっと永遠の二枚目な人だと思ってた。

確かに顔は整っている。何も演技してなきゃ二枚目だ。
周り変態だらけなのにひとりだけカプリパンツの当時流行のVANファッションだ。お育ちよさそう。
しかしながら本作ではまぎれも無くバカに見える。
この頃は「癖のあるニヒルな二枚目演技」をまだ確立出来てなかったせいもあるが、殺人衝動に駆られてヒャッハー状態で舌なめずりする鬼畜少年の役柄に引きずられて、憂愁の貴公子と呼ばれた二枚目が崩壊してる。

笑顔がバカ。
しぐさがバカ。
もう何をやってもバカ坊ちゃん。
チュートリアル徳井がエロネタの時、わざと鼻の下を伸ばしたバカ面に似てる。
渋くて素敵な田村正和様を期待する人は見ない方がいいかもなあ。

でもね、この映画じゃそこが良かった。
社会に潜む暴力衝動なんかに煽られて歓び勇んで人殺しに駆け出す少年殺人犯の顔なんて、瞳をキラキラさせた無邪気なバカ面に違いないとさえ思えてしまうほどインパクトがあった。
田村正和ご本人はどう思うか知らないが、なかなかのナイス配役でした。

(了)
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