No.030『宇宙からのメッセージ』

製作年:1978年
原案:石ノ森章太郎
監督:深作欣二
脚本:松田寛夫
ジャンル:日本版スターウォーズなスペースオペラ

030.jpg

おバカな感想をちまちま書いて30作目。
わーい目標まであと70作品だ。気ままなペースでがんばるぜ!
おめでた指数が高そうな東映時代劇で祝ってみる。

本作は『スターウォーズ』大ヒットの翌年公開された、当時世界各地で山ほど作られただろうパチモンSF映画のひとつだ。

あからさまにレイア姫な「メイア様」も出てくるし、R2-D2激似の執事ロボット「ベバ2号」もいる。ライトセーバーでのチャンバラもあり、パチモン指数は相当高い。
『柳生一族の陰謀』と同じ深作欣二監督なので、柳生風味のする東映宇宙チャンバラ時代劇仕上げ。JAC軍団を始めとするキャストも使い回し感がする。
さすがに萬屋錦之介や山田五十鈴は出てこないが。

物語は「南総里見八犬伝の宇宙バージョン」だが本家スターウォーズほど壮大なサーガがある訳でもなく、東映時代劇らしいぬるさ満開の脚本である。
特撮4億円という当時破格の製作費をかけた映像も、21世紀の今から見ればもちろんしょぼい。
といえフルCG映画では再現しがたい懐味わいがあり、東映時代劇らしい見どころ(笑いどころ)もちゃんとあります。
バカ映画ファンなら観ないと一生損するレベルの傑作ですw
★予告編



まんま宇宙チャンバラな予告。
スペースサウンド4って何奴?

★まずは圧倒的No.1キャラをご紹介

『柳生一族の陰謀』に烏丸少将があらせられるならば、『宇宙からのメッセージ』には悪の皇帝、ガバナス帝国ロクセイア12世がいらっしゃる。
演じるのはもちろん我らが成田三樹夫様だ。

mfs2.jpg

ダースベイダーをどうやってパクったら銀のかに道楽になるんだよ!なんてつっこみ必至な奇天烈かぶり物。
唇の両脇のちっこいカニ脚がエクボみたいでチャームポイント。
けれど、たとえ銀のかに道楽であっても一目で成田三樹夫と識別できる顔相も素晴らしい。
ちなみにかに道楽の下はテカテカの赤いマントと昭和のお子様漫画まんまなデザインの宇宙軍服だ。
見逃せないのがズボンの裾!中途半端に丈が短い。
出てくるだけで笑いが止まらない衝撃の御姿。どうだ皆の衆。これが東映時代劇の宇宙悪代官の世界観だ。

ロクセイア皇帝陛下とセットで出てくる悪のお母様、太公母ダーク(天本英世)も必見。

mfs3.jpg

天本英世が成田三樹夫を産むのかよとか余計な事を想像してはなりません!
宇宙の悪は性別など簡単に超えるのです!

★あらすじ(青字はネタバレあり

さてあらすじ。
悪のかに道楽ことロクセイア皇帝陛下は宇宙を征服すべく日々侵略に励んでいるが、悪の空母が欲しいなと思って惑星ジルーシアを侵略し、星を丸ごと空母にリフォームした。
星を乗っ取られたジルーシア人ギド長老(織本順吉)は星の奪還を画策して、遥か彼方の太陽系連邦に向けて南部紀州梅のような「リアベの実」8個を放つ。そして孫娘・エメラリーダ(志穂美悦子)と配下の勇者ウロッコ(佐藤允)に命じて、リアベの実に導かれし8人の勇者探しの旅にだす。

そんな旅で見つけた勇者さん1人目は、金髪ミニスカお嬢のメイア様(ペギー・リー・ブレナン)。
勇者さん2人目。メイア様とはダチのイケメン宇宙暴走族アロン(フィリップ・カズノフ)。
勇者さん3人目。アロンの宇宙暴走族の相方シロー(真田広之)。
こいつらは宇宙船を改造して暴走したり、宇宙白パトと追っかけっこするのが趣味な、イマドキの若者だけど正義感はあるぜ!な役どころ。
彼等はジルーシア人が語る勇者うんぬん話に最初は半信半疑だったが、アロンがエメラリーダに惚れたりとか恋がらみのエピソードを経て勇者になる。あからさまにルークでレイアなキャラ設定ですな。

しかし若者3人で機動力は確保できるが司令塔不足ってことで勇者さん4人目。ゼネラル・ガルダ(ビック・モロー)がご登場。
連邦軍の腐敗した内紛に嫌気がさして軍人を辞めて放浪しているゼネラル・ガルダは、リアベの実の誘いを一度は断ったが、元々ドンキホーテと呼ばれた熱き魂の持ち主。なんだかんだいって宇宙の危機を救うため参加する。

★だんだんチョイスがあやしくなる勇者達

そしてこの人がいなきゃね!な勇者さん5人目。ガバナス帝国の王子・ハンス(千葉真一)。
彼こそガバナス帝国の正当な後継者だったが、かに道楽ロクセイアのクーデターにより帝国を追放された。
しかし千葉真一皇帝率いる宇宙帝国ってのもとんでもないフリーダムな国になりそうだが大丈夫?

でも上の5人はかろうじて勇者っぽい。
だが後の2人はやっつけ仕事すぎないか。

6人目は関西弁のチンピラ、ジャック(岡部正純)。
嫁募集中のキモい化物カメササ婆さん(なんで三谷昇の女装やねん)と宇宙ニートなヒキロク(成瀬正)の母子にエメラリーダを売り飛ばす悪い小者。後に改心するが活躍はしないぞ。
7人目はなんとR2-D2のパクリロボット・ベバ2号。
ゼネラル・ガルダの執事役兼マスコットだが、戦闘力皆無どころか明らかに足手まといじゃねーか。
他に人材いないのか太陽系連邦は?それとも紀州梅リアベの実の探査能力が悪いのか。

それはともかくチンピラジャックに売り飛ばされて化物母子の嫁にされかけたエメラリーダだが、カメササ婆さんともどもガバナス帝国軍に捕まってしまう。
カメササ婆さんはロクセイア皇帝陛下の御前に連れてこられて脳波ビジョン装置にかけられる。
ビジョンに映ったのは美しい故郷、地球の姿だった。
「なんと美しい星であろう!地球こそ我が宮殿にふさわしい星ではないか!」
陛下は婆さんの脳内風景見ただけで地球侵略を決意。結構いきあたりばったりだが一度決めたら行動早い。
さっそくジルーシア中心部の動力炉を動かすと、
なんと星のケツから噴射装置が出て星が丸ごと発進!
そそそんな!星が凄いスピードで飛んでるなんて!住んでる人達死なないのかよ!

なんて観てるこちらが心配する間も無く、ジルーシアはさくっと地球までやってくる。
宇宙戦艦を出してきた我らが地球軍と戦闘してさくっと撃破。さすが悪の帝国は強かった。
絶体絶命の地球軍。どうする地球!

って危機で登場するのが皆様お馴染みの連邦評議会議長アーネスト・ノグチ(という役名の丹波哲郎)。
ノグチはゼネラル・ガルダを全権大使に任命し、ロクセイア皇帝陛下の許へ派遣する。
皇帝陛下の要求はもちろん地球の全面降伏で、戦力を見せつけるためゼネラル・ガルダの目の前で挨拶代わりにさくっと月を爆破。
「明日までに降伏せねば地球も月と同じ運命ぞ!」と高笑い。

★地球の危機目前で遂に勇者勢揃い!なんだが

地球の運命あと1日!起死回生の策はあるか!って大詰めで、勇者達はやっとこさジルーシア人と合流する。
「動力炉に突っ込んで破壊しよう」と提案するギド長老。
「それじゃ我らの星が無くなっちまう」とうろたえるウロッコ。そりゃ正論だが長老は「お前の留守の間に、我らで星を葬ろうと決めたのだ」と、とんでもない方向で結論づける。
そんなあ!ひどい!俺らの故郷なのに!と仲間割れしたウロッコは裏切り者になり、勇者達を帝国に引き渡す。
「俺は裏切る!」「だめ裏切らないで!」と仲間でもめてたら、なんかウロッコが乱心してやぶれかぶれの銃乱射。応戦する帝国軍の弾に当たってウロッコは倒れるが…

なんと輝く紀州梅リアベの実が現れた!
灯台もと暗し、なんと8人目の勇者はウロッコだった!

「これで8人そろった。…われらの勝利だ」と遺言残してこと切れるウロッコ。
ってオイ!そろった瞬間1人減ったがこれでいいのか!
そもそも勇者ってさ、太陽系連邦から選んでくる設定じゃなかったかよ!リアベの実ったらスーパーやっつけ仕事である。


そんなわれわれ視聴者のつっこみをよそに、役者がそろったんでクライマックスの勇者作戦が決行される。
ゼネラル・ガルダとハンス王子は敵をガンガン撃破し、最後はもちろんロクセイア皇帝陛下と一騎打ち。皇帝陛下も二刀流で応戦するが、『柳生一族の陰謀』に続きまたもサニー千葉ちゃんの剣に倒れる。
一方アロン&シロー組は宇宙暴走族の腕を活かして星の中心部へ突っ込み動力炉を破壊。この動力炉爆破シーンは本家っぽくてかっこいい。
帝国を倒して勇者とジルーシア人は宇宙船で脱出するが、ギド長老だけはジルーシアの地に残り、滅びる星と運命をともにするのだった。

何はともあれ地球は敵に勝ってめでたしめでたし。
地球を救ったお礼がしたいと丹波哲郎様は申し出たが、エメラリーダと勇者達は東映時代劇のセオリー通り「俺たちにお礼などいらねぇよ」と断りを入れて、宇宙船は新しい住処を探す旅に出るのでした。ジ・エンド。

★感想

1977年はSF映画の当たり年だ。
元祖スター・ウォーズに『未知との遭遇』、アポロ11号陰謀論が元ネタの『カプリコン・1』。
また1979年には『エイリアン』が登場して、『スタートレック』映画版も公開されている。
どれも今観ても面白い。すごいわ。

という状況を考えると1978年公開のこの映画、宇宙描写のディテールが相当いい加減である。

特撮技術がしょぼいのはまあいい。
星のケツから噴射装置が出て星が丸ごと発進も面白かったからいい。
だがメイア様とアロンとシローの宇宙遊泳シーンは私服に酸素マスクつけただけで宇宙に出てるぞ。しかも宇宙空間で素手ですよ。どんだけ強くなったんだ地球人。
滅びる星に残るギド長老の最期のセリフ。周りが大爆発してるのになぜか宇宙船の中まで声がばっちり聞こえる。
かの『幻の湖』のラストシーンを思い出す相当おおざっぱな宇宙観の連続である。

おまけに登場人物の服装に世界観が無くてバラバラ。
アロンとシローは特撮ヒーローっぽく、メイア様やジャックが70年代ファッションなのに、何故にゼネラル・ガルダがドンキホーテだからって、地球を背負い赴く全権大使の格好がフリルひらひらヴェルサイユ調なんだ。
日本の映画やドラマって金持ちとか宇宙ものとか「自分達の外にある世界」の描きかたはほんとダメダメだなーと思う。

でも宇宙にキャバレーがあって、ラメの紐パンダンサーがうねうね踊ってるのは深作欣二映画らしくて良かったです。

(了)
関連記事
スポンサーサイト
テーマ: 映画感想 | ジャンル: 映画
No.031『魔界転生』 | Home | No.029『化粧師/KEWAISHI』