No.031『魔界転生』

製作年:1981年
原作:山田風太郎
監督:深作欣二
脚本:野上龍雄・石川孝人・深作欣二
ジャンル:ちょいエロオカルトサイキック時代劇

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『宇宙からのメッセージ』に続く、深作欣二監督の邪道時代劇もの。
70~80年代初頭の小学生にオカルトブームが起こり、そのブームの流れを受けて制作されたオカルトサイキック大作映画だそうだ。
うめめちもノストラダムスの大予言とか矢追純一のUFO特番とかのオカルト特番をよく見た記憶が残ってる。あの頃はテレビで毎週オカルト特番やってなかったか。好きだったなあオカルトもん。真実とは全然思っちゃなかったがw
『魔界転生』も昔にテレビで観た記憶があるんだが、沢田研二がド派手な超時代劇衣装で「エロイムエッサイム」と呪文を唱えるのと、沢田研二と真田広之のキスシーンだけを覚えてて、実はどんな話かすっかり忘れてた。

こないだ観返してはじめて知った。
天草四郎の話だったのか…!
ずっと室町時代か戦国時代だと思ってた。何の話だと思って観てたんだろう?当時の自分。
★予告編



エロありオカルトありチャンバラあり!
いかにも大型時代劇映画なわかりやすい予告。

★あらすじ(青字はネタバレあり

主人公は島原の乱で処刑されたキリシタン信者の16歳美少年・天草四郎時貞(沢田研二)。
徳川幕府に惨殺されたキリシタン信者達の恨み晴らさでおくものか~!とキリスト教徒なのに魔道に堕ち(いいのかよ)、金色の瞳にハデハデ衣裳で転生する。
そして志半ばで世を去った当時の有名人を召喚して「魔界衆」なる悪のパーティを組み、「エロイムエッサイム~我は求め訴えたり!」と黒魔術の呪文を唱えて徳川幕府へ復讐する話だ。

転生パーティ1号はお色気担当、細川ガラシャ(佳那晃子)。
生前はキリスト教の教えに従って貞淑な女性として過ごしたが、旦那の大名・細川忠興に捨てられた女の恨みが消えず参戦する。
2号は槍の名手の暴れん坊坊主、宝蔵院胤瞬(室田日出男)。
生前は煩悩を捨てて武道に生きたのだが、どうしても女とやりたい煩悩だけは消えず参戦w
斬り込み隊長の3号はなんと宮本武蔵(緒形拳)。
「柳生但馬守宗矩・十兵衛親子と一戦を交えたい」という、そんな設定アリか?な思いで参戦。
そして4号はキュートな忍者・伊賀の霧丸(真田広之)。
『柳生一族の陰謀』と村焼き討ちと同じパターンで、またも村を襲われ無念の討ち死にする霧丸クン。焼き討ちの復讐したいってことで参戦する。

で、『柳生一族の陰謀』と同じく破壊された村をまたまた発見する柳生十兵衛(千葉真一)が、生き残り村民をを探して森を探索してると、馬に乗ったどハデで不気味な魔界衆を発見する。
霧丸を連れ江戸へ向かう魔道パーティを見て不吉な予感がする十兵衛であった。

★憂愁の将軍様、エロバディに陥落

さて魔界衆の復讐第1戦は細川ガラシャの色仕掛け。
日光東照宮の巫女に化け、ご先祖参拝に来た徳川四代将軍家綱(松橋登)をねらい撃ち。寝所に入り乳首丸出しフルヌードで誘惑して見事ゲットする。
ガラシャのエロテクにやられた家綱は、政を忘れなんと1か月セックス三昧

異常事態に危機を抱く松平伊豆守信綱(成田三樹夫)と甲賀玄十郎(成瀬正)はガラシャ暗殺を企てるが、島原の乱の司令官だった松平伊豆守は天草様に「キリシタンの髪で編んだ恨み骨髄の魔鞭で死ね~」と絞殺される。伊賀の村を焼き討ちにした甲賀玄十郎は霧丸が殺害する。
成田三樹夫は烏丸中将やロクセイア皇帝陛下ほどインパクトは無いが恰好良い。すぐ殺されて残念です。

邪魔者が消えてガラシャはめでたく側室になり、将軍様からますます毎夜のご寵愛を受ける。セックスで精気吸い取られ過ぎて政務はほったらかしw
このままじゃ徳川将軍家やばいと思った十兵衛パパ・柳生但馬守宗矩(若山富三郎)は、美貌の側室の正体は魔物だと見抜き、魔物を斬る妖刀村正を携えて江戸城へ参上。柳生殿ご乱心!を装って大奥へ乱入し、ガラシャを斬っちまえと捨て身の作戦を実行する。

そこへエロ坊主の宝蔵院胤瞬が立ちはだかる。黄金の剣術の腕で坊主を斬った柳生パパだが、実は不治の病だったので(単に年だからじゃないのか?)vs坊主戦で体力気力を使い果たして死の淵へ。
そこへ天草四郎様が妖しく現れて「一緒に魔界転生せぬか~」と誘う。
わが生涯に悔いなし!と一度は断ったパパだが、「実はわが息子の十兵衛と闘ってみたかったのじゃ…」と心が揺れて、なんと魔物衆5号に仲間入り。えーっ。

ピンチのサニー千葉ちゃん十兵衛は刀匠(丹波哲郎)に妖刀村正を作ってもらい、武蔵vs十兵衛の魔界巌流島戦を敢行。妖刀の力で武蔵を倒す。

★いや、ゾンビに生きろと説教するってさ

パワー系メンバーが倒れる一方で、天草四郎&霧丸コンビは着々と工作活動中だった。
とある農村が天草四郎の呪いで大不作になり、飢えた農民はお上と対決、乱闘で農民のおっさんが死ぬが、おっさんの娘・美少女みつ(菊池優子)を見た霧丸はうっかり一目ぼれしてボーイ・ミーツ・ガール状態に。

しかし霧丸の恋に「おいおい今さら女に恋かよ!」と陰でむかついた天草四郎は、魔界転生の売りNo.1シーン、妖しいキッスの術により霧丸のハートをがっちり再キープ。
おいおいガラシャや坊主や武蔵相手にそんな術なかったぞーwまぁ天草さん最初から霧丸を狙ってたしねーw
天草さん「みつをレイプして魔王ベールゼブブに捧げよ」と指令を与えて実行させようとするが、みつに抵抗されて未遂に終わる。しかも柳生十兵衛に見られる。

動揺する霧丸は、つい魔物衆の正体を十兵衛にポロリ暴露する。
己の心の弱さで情けなくも魔道に堕ちてしまい「俺を殺してくれ~」と泣く霧丸に、「おまえは生きろ!」と力強く慰める十兵衛。
霧丸ってゾンビじゃねーのかよ!正確には死んでますよ!ねえ千葉ちゃん!
とつっこみ必死の名セリフだ。
人間の心を取り戻した霧丸は天草四郎に反抗するが、「あんな女に惑いおってキィィ~!」と嫉妬で怒り狂う天草さんに魔鞭でしばかれ今度こそ絶命する。

★燃える江戸城で魔道ラストバトル

さて天草四郎の狙い通り、お上に強訴しても磔にされて弓で射られて「だめだ幕府のこいつら!」と絶望した農民は、天草四郎のアジ演説に煽られて江戸城へ大行進、徳川将軍家は大ピンチに陥る。
そんな天下大乱の世の中でもまだガラシャとラブラブセックスに溺れていた将軍家綱様だったが、ある夜もののはずみでガラシャが元旦那を思い出し「ああ忠興様ぁ~!」と急にご乱心してしまった。
「忠興とは誰だぁー!」と嫉妬に狂う家綱はガラシャと揉み合いになって、うっかり灯りを倒してしまう。
その火が打ち掛けに燃え移り、江戸城はあっという間に炎に包まれる。
炎の中で家綱とガラシャは共に死ぬ。

将軍家の一大事!と他のメンツもこぞって江戸城に駆け付けて、最後は燃える城内で十兵衛with村正vs魔物の大バトル。
まず十兵衛はご乱心の中ボス・柳生但馬守ゾンビパパを斬り、最後はもちろんラスボス天草四郎戦。
沢田研二は立ち回りは本職じゃないので魔鞭で勝負。でも自分の父親をも倒した無双の千葉ちゃんにはかなわず、最後は妖刀で首を飛ばされる。

だがしかし。天草四郎は斬られた首を持って高笑いする。
首が外れたくらいじゃ死なない。やはり魔物のラスボスは強い。って姿を見せつけ、天草四郎生首が「この世に人がいる限り私は必ず戻ってくる」とターミネーターばりにI'll be back宣言し、燃え盛る炎の中に姿を消してジ・エンド。
続編作る気満々じゃねえか!
の割に続編が造られる事は無かったのだが。


★感想

色々と邪道満載で不謹慎な内容である。
オープニングからして生首だらけだ。

この映画はガラシャのパートが一番熱いなぁ!
妖艶な流し目とエロバディで魅せる佳那晃子はもちろん、女に溺れる将軍様・松橋登が絶品だ。心のお弱いお殿様役がぞくぞくするほどはまっておりまする。
でも序盤がガラシャモードのエロありオカルトありのイケイケ邪道時代劇で萌えるんだが、中盤のメインの柳生父子物語がたるくて邪魔だ。
柳生但馬守を魔物化したがために、宮本武蔵の存在が軽くなっちゃった。切り込み隊長はキャラがダブるとダメですね。

あと妖刀村正の刀匠(丹波哲郎)の養女が実は武蔵の恋人、お通に瓜二つの姪(神崎愛)だった!って強引な展開になるんだが、この姪お通が「なぜあなたたちは戦うのですか?」と言い出したり、お通の笛を聞くと武蔵の戦闘モードが解除されるなんてヒューマニズム設定がうざい。
せっかく邪道時代劇なんだからさぁ、エログロオカルトでガンガン飛ばしてくれないと!
魔界巌流島も背後でお通がピロピロ笛を吹くんでいまいち戦闘が盛り上がらず。残念だ。
丹波哲郎の見せ場が『柳生一族の陰謀』より多かったくらいが収穫か。

★若山富三郎VS千葉ちゃんにしびれるぅ

まぁ中だるみはしたが終わりよければすべて良し。
クライマックスの炎の江戸城立ち回りは、噂通りの時代劇映画屈指の名シーンだ。

若山富三郎の殺陣が本領発揮!渋くて上手ーい!!
萬屋錦之介ほどの猛烈なインパクトは無いが、太刀さばきの流麗な美しさに惚れる。
そして炎の中でパパvs十兵衛の妖刀村正対決がかっこいいー!
まばたきひとつしない氷の表情の若山富三郎と、炎より熱い千葉ちゃんの斬り合いにひたすらしびれる。本当にまばたきしないで立ち回りしたそうだ。すごい。千葉ちゃんの顔が魔除けの梵字だらけなのもかっけー!これはいい耳なし芳一プレイだ。

しかしフルヌードや生首が転がってる映画の割にファミリー層に大ヒットしたそうだ。昔はお子様向けもおおらかだったからなあ。
子供が学校で真似したくなる印象的な決めセリフ&決めポーズが多いですからね。実際「エロイムエッサイム」と呪いのポーズを決めたバカ児童が続出したらしい。
昭和らしいエピソードだ。

★親も仏もなんでも斬るの木

さて気になるプチネタの木。
ちなみに『柳生一族の陰謀』の名セリフといえば「親に逢うては親を斬り、仏に逢うては仏を斬る」という有名な一言ですが、何気に進化してた。
TV版では「神に逢うては神を斬り」となるらしく、さらに『魔界転生』では丹波哲郎が妖刀村正を作り終えて力尽きる時に、「神に逢うては神を斬り、魔物に逢うては魔物を斬る」と変化する。へー。
結構バージョンあるんだなと思った。

(了)
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