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No.037『月曜日のユカ』

製作年:1964年
原作:安川実(ミッキー安川)
監督:中平康
脚本:斉藤耕一・倉本聰
ジャンル:レトロキュートだがゆるゆるな小悪魔女子映画

037.jpg

とにかくキュートなガールムービーが観たーい!って衝動に駆られたときにおすすめ。
映画秘宝の日本映画ムック本『鮮烈!アナーキー日本映画史1959~1979』の表紙でもおなじみです。

日本の小悪魔女子といえば加賀まりこに尽きる。
バービーみたいにキレの良い可愛さを持ったガール女優って、日本はカワイイ文化の国なので大勢いるかと思えば意外に少なかったりするのが日本映画の難点ですが、その中でこの人の存在は貴重だなあと思う。
ファッションもレトロ可愛いだらけで満足。
ただし主人公の頭はスーパーバカだが。
★予告編



シンプルな構成。
デカいフォントがレトロ画風情たっぷり。

★あらすじ(青字ネタバレあり

黒いガーターベルトのランジェリーでストリップ始めちゃうタイトルロールからもうキュート。

舞台は戦後の横浜。
いけてるクラブでゴーゴーガールやってる18歳プー女のユカ(加賀まりこ)は可愛く優しくぶっ飛んでて、誰でもやらせてくれると巷で噂の女の子。
荷役会社社長のパトロンの「パパ」(加藤武)がいて、パパの小遣いで洒落たタウンハウスでひとり暮らしてる。

しかし少なくとも毎週月曜日にパパと一晩過ごして、フリーの日は彼氏の修クン(中尾彬)とアオカンしてさらにフリーな日は他の男とやってるなんてすげーパワフルな肉食女子だが、一応ユカには男女交際のマイルールなるものがあるらしい。
相当変だけど。

★博愛主義天然女子の仰天マイルール

まず、セックスOKでもキスだけは絶対にNG。
ユカは敬虔なクリスチャンで、幼い頃神父から「キスはダメ」と言われたのを守ってるのだ。

次に、裏表の無い素直な性格を心がけてる。
修クンとアオカン中に公然猥褻罪で警察に捕まった時は、取調室で罪状を片っ端からべらべらしゃべってしまう。教会の懺悔と同じで素直に罪を告白すれば赦されると本気で信じてるらしい。

そしてパパはお金だけじゃなく心から大好きで、パパが喜ぶなら何でもしてあげようと努力する。
パパの小遣いは毎日家計簿をつけて管理してるし、ある日修クンと元町でデートしてたらパパが笑顔で娘さんに家族サービスするのを見て、愛人な自分の身の上を恥じるどころか「あたしも同じように「家族」サービスをしてあげたらパパは笑顔になるかも!やってみよう!」と考える。

パパも修クンも他の男たちだって、ユカは一発ヤッた男なら全員心をこめて愛してるし彼女なりに尽くしてる。
クリスチャン的博愛主義である。
米兵のパンパンだった元ギャルママ(北林谷栄)の「男にひたすら尽くして喜んでもらえ。そうすれば男女の仲は万事上手くいく」という教えを忠実に守ってるのだ。

だーめーだー!どう弁護したってゆるいし頭悪いにも程がある。
「サセ子・ユカちゃんのバカギャル日記」じゃねーか。

だからユカの肉体を通り過ぎる男達はみんな、ユカから愛想尽かして逃げたり冷笑したり都合のいいヤリマン扱いにしたりする。
実はアオカンの修クンだけが文句言いつつも真正面から愛してくれてるんだけど、ユカは男のそういう心理状態に気付いてない。

どんなに顔がキュートでも性根ゆるバカなユカは、バカゆえに痛い事件に巻き込まれる。

ある月曜日ユカは「パパの笑顔大作戦」を決行する。
待ち合わせてる一流ホテルロビーにちょっといいドレスで現れたユカとママ。
3人一緒にランチして、元町で欲しいものを子供みたいにおねだりして、うれしそうにプレゼントを買うパパの笑顔を見たいの。あの家族サービスの日みたいに…

★予想以上の頭のゆるさに、とうとう死者も出た

だが実はパパの会社は最近商売がヤバくて新規顧客を開拓中だった。
そんな時にクラブでユカに一目ぼれした外人船長から「ユカとやらせてくれたら御社と取引する」と言われて、パパは下約束をしちゃったのだ。

こうしてそれぞれに思惑持った4人が一流ホテルロビーで鉢合わせ。
予想外のユカ実母登場にパパはビックリ驚き!慌てて外人船長と逃げてしまい、残されたユカ母娘にロビーの客の蔑んだ視線が突き刺さる。
そりゃねー。ちょっとドレスアップしてもこの面子じゃー、どこから見てもご立派な「外人に女接待する日本人社長ご一行様」だ。

さすがに今回は場のしらけた空気が読めて大ショックのユカ。
でもその後会ったパパに「外人船長と寝てくれ」と懇願されて、なんと「ユカはオッケーよ」と引き受けちゃう。
パパに喜んでほしいからってそこまでやるか。もうこのバカ女の頭につける薬はねーよ状態だ。

しかしユカ以上にショックを受けたのが、うっかり話を聞いちゃった修クン。
怒り心頭で「俺の女に何しやがるオラァ!外人船長やっつけたる!」とすっ飛んでったのはいいが、誤って船のロープに引っかかり死んでしまった。
修クンの友達(もちろんユカとは経験済みw)に顛末を聞いて現場へ向かったユカは、「最後くらいキスしてやれよ」と促され、ご遺体に最初で最後のキスをする。

さて外人船長と援交の日(彼氏が死んでもやるこたやるんだー)。
パパにエスコートされて乗船し、船長に熱烈歓迎されるユカだったが、でも相手は外国の男。当然「セックスは熱いキスから始める」派だった。
嫌がるユカに構わずキスを強行する船長。船に響く悲鳴。

しばらくして恐怖のセックスを終えてぐったり疲れたユカは、パパにエスコートされて船を降りる。
笑顔でご機嫌取りするパパにも反応薄だったが、突然「パパ踊りましょ♪」とせがむ。
誰もいない埠頭で楽しくダンスする2人。
踊って、踊って、回って、回って、回って、

どっぽーん!

勢い余ってパパが海に落ちちゃった。
パパが溺れる様子をウンコ座りで見届けたユカは、無邪気だけど寂しさを隠せずにちょっと苦い大人の味を知った顔をして、また横浜の街へ遊びに行くのでした。でエンド。


★感想

バカギャルのユカが辛い経験を経てひとつ大人になりました。
と書けばなんか映画のテイストが重たくなっちゃうが、物語の重さをパパッと蹴散らしてしまえるのが加賀まりこのスーパー小悪魔なルックスだ。援交オヤジに抱かれるバカギャル18歳って痛いシーンでもこの可愛さなら許す。

黒目がちの瞳とアヒル口のバランスがかわいい。
シースルーだらけのスケスケドレスを着ても加賀まりこならコケティッシュ。エロじゃない。
ほんとに和製リアルバービー。

静止画比較だけの勝負なら負けてないキュート女優は何人かいる。アヒル口なら広末涼子だっているし。
だが加賀まりこが他の女優と圧倒的に違うのは表情・仕草のキレっぷりだ。顔も手足も反応が早くてキレてて軽い。前のポーズから次のポーズを決める間の動きが、パパパパッ!テキパキ、クルッ!なのだ。
「小股が切れあがった」和の動きと違うディズニーアニメぽいキレの良さ。他の日本女優やアイドルはその辺のアクションがもっちゃりしがちだからバービー度が下がってしまう。
そんな動きの良さを天性で持ってる加賀まりこだから、ゆるバカギャル設定の女子でもファンタジックでキュートに見せれたんだと思う。

あとヌーベルヴァーグ全盛期の1964年製作とあって、前衛入れてみました的映像がちらほら見えたが、ユカのネジゆるんだキャラに合ってて良かった。
ストップモーションは多用しすぎで少々くどいかな。本物の前衛のくどさに比べると控えめですが。
一番良かったシーンがライバル女子とのゴーゴーダンスバトル。アシッドなジャスで踊りながらタイマン張るなんて渋くて格好良すぎるぜえー。

★でもNG設定は何だかなの木

でもせっかく加賀まりこが軽くてキュートなのに、なんてキスNGの理由をわざわざキリスト教設定にしたかなあ。
日本のキリスト教はキリシタン弾圧の歴史がーとか言うつもりなど全然ないがwうっすーい独特の多宗教観で生きてる大半の日本人相手の映画でバカギャルを「ガチのキリスト教信者」にするのって、通俗映画にそぐわない思想信仰面の重さがあってチグハグに見える。
餅は餅屋じゃないがキリスト教を軽やかに演出するのは、キリスト教信者の風俗習慣が水のように当たり前なキリスト教圏じゃないと無理でしょ。
バカママとのゆる~い母娘の絆がどうしようもなくくだらなくて面白いテイストだったので、「ママのオキテでキスはダメ」程度にしとけばもっと軽やかになって良かったのに、と思った。

(了)
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テーマ: 映画感想 | ジャンル: 映画
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