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No.039『星くず兄弟の伝説』

製作年:1985年
原案:近田春夫
監督:手塚眞
脚本:手塚眞
ジャンル:サブカルノリな和製ロックミュージカル

039.jpg

80年代は日本映画が不毛地帯だったと言われる。
ヤンキー映画とアイドル映画と文芸映画くずれと軽ノリトレンディ映画しかなかったじゃないかと。

言いたくなる気持ちは分かる。古き時代の黒澤とか小津とか溝口とか名作の顔をした名作は確かに少ないし。ATG系前衛映画も勢いが無い。
だけど80年代映画が大好きだ。
この頃の作品はバブルイケイケ日本でしか作れない、悪趣味すれすれの無軌道な勢いがあった。

手塚眞の長編映画デビュー作『星くず兄弟の伝説』も、おバカで軽くてださキッチュなインディ映画だ。
80年代でしか作れなかった空気感が詰まってる。監督は手塚治虫の息子で自主製作映画撮ってた25歳。プロデューサーの一瀬隆重はなんと23歳!
主人公役はインディ系ミュージシャン。原案の近田春夫からしてミュージシャンだし。
こんな素人ノリ集団が考えたおバカな企画にミュージカル映画1本撮らせる資金を提供するなんて、バブルでしかありえない冒険だ。当時は本気で金余ってたんだなーと実感します。
★予告編



どんな映画かよーくわかりすぎる予告w
80年代センス爆発。踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

文字に起こせばふざけてんのかと怒られるかも。
そんなノリの話です。いちおう注意。

いかにも80年代サブカル風にイケてるクラブ「サロン・魚の目」のショータイムで、ポップソングを軽~いノリで歌ってる2人組が主人公。
彼らの名前はスターダスト・ブラザーズ。遠い星から来た腹違いの兄弟っつう設定の(一応)ツインボーカルのロックバンドだ。
1曲歌い終えると漫談みたいなMCに入り、彼等は自分達の過去を語り始めた。

元々ふたりは人気ライブハウスの対バン同士だった赤の他人。
カン(クレジットは高木一裕だが要は高木完)はパンクバンド「ロンドンブーツ」のボーカル。
シンゴ(久保田しんご。元81/2ボーカル)はテクノポップ「スーパーカーズ」のボーカル。
ライブを見に来た大手事務所社長・アトミック南(尾崎紀世彦)にスカウトされた2人は、即席コンビを組まされてメジャーデビュー。
一方2人は不思議少女マリモ(戸川京子)と出会い、マリモはグルーピー歴7年の経歴を活かしてファンクラブ1号会員になる。

「お前達を1週間でスターにさせる」
スカウトの時にアトミック南が豪語した通り、レコード出してレコード売れて雑誌の表紙を飾って、ベストテン・ひょうきん族・笑っていいともに出て、星くず兄弟はあっという間にスターになる。
だが自分の実力じゃなくスターになった一発屋は栄華が長くは続かないのもお定まり。
チヤホヤされて舞い上がり、酒と女に溺れ、仲間割れして、独立志向を抱き、人気が陰り、挙句にとうとうステージに穴を空けてしまう。
しかも代役でマリモが適当に歌ったら謎のバカウケ!でアイドルデビューするハメに。

★アイツとアイツはハートに秘密がある男

シンゴとカンは事務所を追放されてドサ回り。
場末のライブ会場は室内なのに雨ザーザーで、傘さした客から生イカを投げられる始末w
凹んだ彼らは歌をやめようかと弱気になるが、ひょんな事からなんと2人とも捨て子出身で右の胸に心臓があるトンデモ設定が発覚して意気投合。
そこへマリモも合流し、3人でいちからやり直そう!と誓う。

一方アトミック南は首相の息子の虹カヲル(ISSAY、V系バンドDer Zibetボーカル)をプロデュースしデビューさせる。
和製デヴィッド・シルヴィアンな耽美系の彼は「愛と平和を歌う清純アイドルスター」という、伝説の河村隆一ソロデビューばりに気恥ずかしい無理設定に仕立てられるw
しかしカヲル君は重度アル中の女好きで、まりもをホテルに呼び出し襲いかかるがテクノな痙攣発作が起きてダウンw
救出に来たシンゴとカンは、マリモを連れて脱出途中でカヲル君&部下と改造カーでカーチェイスするが、道中はウェディングドレス変装ありベタコントありもちろん歌あり♪でやりたい放題。

クライマックスはカヲル君も部下も通行人もカヲル君グルーピーもみんなまとめて道連れで、カヲルパパのいる首相官邸にワープwww
そこにはアトミック南もいて、なんか勢いで官邸ダンスパーティが始まるw
とりあえず歌って踊っとけってお前らはインド映画かw

そのどさくさに紛れてカンとまりもはキスするが、目敏く発見したカヲル君が逆上して銃口を向ける。
撃たれる!と思ったが、倒れたのはアトミック南。カンをかばって右胸を撃たれたのだ。
アトミック南も実は心臓が右にある男だった…

シンゴとカンは実の兄弟だった。
アトミック南とゆきずりの女との間に生まれた私生児だったのだ。
そんな事情といえアトミック南もやっぱり父親。罪滅ぼしに2人を探し出し、コンビでプロデュースしたのだ。
…という真相を尾崎紀世彦が歌い上げて息絶える。

…と感動の大団円で終わると思えたが、そこは80年代サブカルノリらしく、最後は一番最はじめのクラブ・魚の目に戻る。
生い立ち漫談MCを終えた2人はで右胸を一発撃たれる。
客がスタンディングオベーションを送ってジ・エンド。


★感想

こんなの映画じゃねえ?趣味最悪?くだらねえ?
その通りだ。最高にくだらない話でしょう。でも最高に無軌道でバカで青春映画なのですよ。
最後は感動さえしてしまうのだ。

『星くず兄弟の伝説』のクレジットには「原案・近田春夫」と珍しい人の名前がある。
というのもこの映画は製作から遡る事5年前、「架空のロック・ミュージカル映画のサントラ盤」のコンセプトで作った近田春夫のシングル『星くず兄弟の伝説』の映画化なのだ。
ケン・ラッセルの映画版『トミー』みたいなもの?
あそこまで徹底して歌だけじゃなく科白もあるけど、セットとか『トミー』に影響受けてる部分がある。

それに素人&サブカルノリの製作陣と、いくらバブルで金余ってるといえ低予算な製作費と、80年代バブルな軽さが加わるとどうなるか。
結果はミュージックビデオクリップ集になっちゃったのだ。

最初の対バンライブシーンから(ちなみにスーパーカーズのオリジナル曲名が『赤坂あたり』ってすごく近田春夫っぽいw)
ただの若者がスターになる歌~♪
スターになった俺がおちぶれる歌~♪
酒とやばいものに溺れた俺が幻覚見ちゃう歌~♪
とりあえずステージで歌っちゃうアイドルの歌~♪
時々ちょっと寸劇を挟むが、状況説明シーンがすべてミュージックビデオ~♪仕立てになるという、劇中劇ならぬ音楽映画中ミュージックビデオなる仕掛けでありまう。
歌が始まるとご親切に曲名テロップまで出る始末。確かにミュージックビデオには曲名テロップは欠かせませんがw
しかもミュージックビデオの内容がカラオケビデオ並みに安っぽくて脱線だらけで、ホラーになるわ薬の幻覚シーンはあるわミクロになって相方に食われるわw
バカバカノリで最後まで突き通すのが潔いです。

★近田春夫×尾崎紀世彦の歌がマジでしみる

でもこんなおバカ映画がロックミュージカルとしてギリ成立してるのは、原案の近田春夫の歌がいいからだと思う。
やっぱりミュージカルは歌が命♪

うめめちのお気に入りは『まりもの気持ち』。曲も甘酸っぱい歌声も完璧なアイドルソングだ。
そして尾崎紀世彦が歌う曲2発が素晴らしい!!
『若者達の心にしみる歌の数々』と、右の胸を撃たれて歌う『本物のスター』、どちらもいい曲、いい詞、いい歌いっぷり!
どちらの歌も近田春夫の歌謡曲へのひねくれてて熱い愛を感じる名曲です。

♪ただ何となくブラブラしてる常識的な人生
欲しいものは車とギター、それから愛
試しに歌を作って風刺的な発表してみようか
みんなみんなそんなこと考えているだろう
若者達の心にしみる歌の数々…歌の数々
(『若者達の心にしみる歌の数々』より)

いいなあ。
80年代ノリ嫌いな方にも、この詩はおすすめ。

さてこの手の映画名物のカメオ出演ですが、80年代らしい各業界なんでもありな面子が面白い。
芸能事務所ガードマンのサンプラザ中野と戸川京子のお姉ちゃん・戸川純は分かりやすい。近田春夫もちょい役で出てる。川崎徹、景山民夫、高田文夫、中島らも、高野寛、新井素子、永島慎二、モンキーパンチもいるらしい!
いいともはちゃんとタモリ本人が出ています。

★やっぱり気になるアトミック南の正体の木

おまけに気になる木。
映画の中で一番異彩を放ってる、尾崎紀世彦演じるアトミック南は、政府筋に認められる腕の大手芸能事務所社長という設定。
特に若い男の発掘とプロデュースは天才的で、半裸にメイクした美形軍団を従えている。
マリモはひょんな偶然からスターになるが、女の子だから正式契約はしないらしい。
という事でお分かりの通り、モデルはナントカ喜〇川さんです。
そんな彼が歌う『本物のスター』のサビの歌詞はこちら。
♪私こそ紛れも無く本物のスター♪
実にいい感じですわ。
是非ナントカさんには一生に一度だけ、テレビで『本物のスター』2番を熱唱していただきたいと願ううめめちなのでした。

(了)
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