No.053『チャオ!マンハッタン』

製作年:1972年
監督:ジョン・バルマー、デヴィッド・ワイズマン
脚本:ジョン・バルマー、デヴィッド・ワイズマン他
ジャンル:サブカル前衛系

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今日これのプリントT着た人を見たので記念レビュー。
Tシャツやアートグッズにモチーフがよく使われてる、おしゃれ映画で有名です。

その割に映画は観た事ないって人が結構多い気がする。
「イーディがアンディ・ウォーホールのアイコンやめて落ちぶれて、ドラッグ代の小遣い稼ぎに出演したアートくずれのC級映画」の印象が強いからだろうか。

いや、観てもまんまこの解説の通りなんだけど。
つまんない話だ。
でもC級なりにゆる~い味わいがあって癖になる。
何か別の事しながら(酒飲みながらとか…)時々チラッと流し見するのが頃合いの塩梅、な映画であります。

★あらすじ(青字はネタバレ注意)

はじまりは意外にもニューヨークではなくカリフォルニアの片田舎。

UFO製作者志望のいかれたバカニート青年・ブッチ(ウェズリー・ヘイズ)はあて無く旅する途中で、ラリって乳丸出しのボロ雑巾状態で倒れてるバカ娘スーザン(イーディ・セジウィック)を介抱する。
実は彼女は大きなお屋敷に住むそこそこお嬢様。
そしてちょっと前までNYの有名モデルだったらしい。
でも今じゃどーしようもなく落ちぶれて、故郷で毎日飲んでラリって豊胸手術の偽乳さらして廃人同然に暮らしてる。

ブッチは何故かパイ作り名人ババアのスーザンママ(イザベル・ジュエル)に気に入られ、同じ理由で先住してる男(ジェフリー・ブリッグス)と一緒にプールに張ったテントで共同生活しながら、昼も夜もスーザンのたわ言相手をさせられる。

で、映画は「スーザン=イーディの回想」形式で、イーディがNYで過ごした最高にアートで刺激的な思い出を描きだす。
NYでNo.1ファッションアイコンだったウォーホールのファクトリーでの前衛イベント。最愛の恋人ポールとの愛の日々。毎日がパーティ、パーティ、パーティ。

…な調子で華やかにキラキラな思い出話ばっかりで進めばよかったが、
謎の金持ち老人だのUFOの陰謀だの変につまんないサイドストーリーがわらわら出てきて話は支離滅裂。
金持ち老人の運転手?の瞳クリクリなイケメンがおとぎ話みたいな変装して囚人と面会するという、何か消化不良で尻切れトンボな展開で話が終わる。

「だから何だよハァ?」な思い出話を延々と聞かされてげんなりするブッチ。
でもラリってながらも遠い眼で昔を語るスーザンにちょっと同情しちゃって、一発お相手してあげる。
期待した割にフツーのセックスだったらしいけど。

一夜が明けてスーザンママに頭から水ぶっかけられて目覚めたブッチとスーザン(乱暴な目覚ましだな)。
スーザンは車に乗ってお医者様(何故にロジェ・ヴァディムw)のドラッグ「治療」へ連れて行かれる。
でもいかれた彼女に回復の見込みなんか無い。

ブッチは治療を待ちながら、彼女の過去話を「あんな話嘘っぱちだよな」と決めつける。
どーせカリフォルニアのバカ娘の妄想に違いない。

だがそこへなんと、瞳クリクリイケメンと瓜二つの男が現れる。
ブッチは思わず「俺あんた知ってるぜ」と口にするが、イケメンは無視して出て行く。

ダイナーを出たイケメンはトレーラーに乗り、金持ち老人に瓜二つの紳士へ現状報告をする。
報告を聞く紳士が乗る車の座席に新聞が一部。記事は「イーディの死」を伝えていた。

物語は全部妄想?それとも…?
って具合でジ・エンド。


★感想

絶頂期のイーディは本当に可愛い。
写真も可愛いが動くイーディはキラキラ輝いてる。
いつも唇半開きで、夢の中を漂うような顔をしてる。ちょっとバカっぽいがキュート。
言動はアートでパンクで時々痛々しく病んでるけど、どこか無垢な品の良さを感じるお嬢さん。
そりゃウォーホールもボブ・ディランも惚れるだろ。

そんな回想シーンのイーディが、本物のNY美少女おしゃれセレブ!!だけに
落ちぶれぶりがまー凄まじい。

だらしねー顔つきもやっつけ化粧のひどさもさながら、シリコンでガチガチに固めた感触が伝わる偽乳が怖い。そしてしゃべるとロレツの回らなさっぷりがひどい。
うーわーどこから見てもリアルヤク中なれの果て。
どこのDQNなバカ女ですかこの子は。これが演技なら名女優だよってくらいダメすぎる。
アメリカンセレブは容姿のアップダウンが激しすぎるので有名ですが(ブリトニー・スピアーズの顔と体重増減の歴史とか、キアヌ・リーヴスさんの貧乏ネタとか…)、しかしいくらなんでも10年弱で、セレブガールがここまで堕ちるのか。

しかもイーディ主演が唯一の売りの映画なのに、彼女はとことんバカにされ嘲笑される役どころ。
「昔のアタシはぁー、凄かったのぉー」
と虚ろな眼でつぶいては、ニート青年達にせせら笑われ憐れまれる。
絶頂期イーディの生映像バンバン使ってる癖に、目の前にいるイーディ本人への敬意なんか、製作者も出演者も誰も微塵も無い。
最後はロジェ・ヴァディムに機械を装着させられ口にゴムパッキン咥えて頭に電気流されて、ピクッ、ピクッと痙攣してるんだよ。
見れば見るほど物哀しくなる。

★無謀だけどやってみたい。プールで自堕落暮らし

しかれども元セレブガールのみじめな暮らし、
ゆる~くくたびれて魅力的なのだ。

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プールにレインボーのテント張った素敵なおうち全景。
壁に自分のデカいポスター。真ん中ウォーターベッド。
スーパーマンや日章旗の派手クッションに頭乗せて日ながベッドでゴロゴロして酒飲んでだらだら語って、音楽聞いて踊ってハムスターや犬と遊んで、お腹が空けば世話係の男がバーベキューしてくれる。
カリフォルニアの空の下で自堕落ナチュラルライフ。

ちょっと…やってみたいぞ。
現実は暑いし蚊に刺されまくりだろうけど。

あと60年代NYファッションはさすがにどれも可愛い。今でもおしゃれアイコン映画なのも頷ける。
カリフォルニアパートの服もなかなかいい。
個人的に最後のレインボーマキシワンピに、革のバッグをぶら下げたスタイルがお気に入り。アメリカンラグシー辺りで売ってないかなぁ。

最後に。
イーディは映画製作3か月後に死去しました。映画でその旨のテロップが出る。

確かに、映画でも見るからに「この子もうダメだ」です。
誰もが匙を投げるしかない状況だと分かる。

救いようの無い哀しみがじわじわ高まった末の、ラストシーン後テロップは涙腺にきました。
俳優女優の遺作はいくつか観ましたが、ダメダメ映画ながらラストは地味に良かったです。


(了)

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