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No.056『東京暗黒街・竹の家』

製作年:1955年
監督:サミュエル・フラー
脚本:ハリー・クライナー、サミュエル・フラー
ジャンル:フジヤマゲイシャハードボイルド

56.jpg

センシティブな映画の真面目なレビューって書くの疲れるわー。
やっぱ私にはメケメケ映画かおバカ映画がお似合いだ。
という訳で今回はどこを切ってもツッコミだらけ!フジヤマゲイシャ国辱映画の誉れ高い名作、『東京暗黒街・竹の家』です。

サミュエル・フラーといえば、硝煙と死臭が香るハードな現場でエキセントリックに戦う男たちを描いたB級ハードボイルド映画の巨匠ですが、「ハードボイルド」「フィルムノワール」を求めてこいつを観ると失敗します。

日本の描写のツッコミ度数もさることながら、男と男のハードな絆がへっぽこすぎるw
「貴様ぁ!男のハードボイルドって一体何だぁ!」とハートマン軍曹級の勢いで詰問したくなります。

★予告編



予告編だけでもツッコミ必至。
冒頭の富士山シーンはよく言えばブリューゲルの絵っぽいです。

★あらすじ(青字はネタバレあり

蓑笠かぶった農民が歩く富士山の麓で、蒸気機関車が東海道線を堂々と走ってる1954年の日本が舞台。

東海道線で起きた軍需列車強盗事件を捜査するアメリカ憲兵隊は、犯人は東京を拠点に暗躍するマフィアだと疑っていた。
そこで憲兵隊の捜査官(ロバート・スタック)がマフィアの一員エディ・スパニアに成りすまして来日。組織内部への潜入捜査を開始した。

偽エディはまずパチンコ屋で用心棒をやろうとして、パチ屋担当のマフィア軍団に特攻シメられる。
ところがマフィアのボス・サンディ(ロバート・ライアン)は偽エディの姿を一目見て妙に気に入り、「俺の元で仕事しないか」と誘う。
勧誘を引き受けた偽エディ、随分あっさりと組織潜入に成功。

一方偽エディは強盗事件の犯人で本物エディの友人・ウェッバーの足跡を求めて、ウェッバーの日本人妻のマリコ・ナゴヤ(山口淑子)と出会う。
ところがまぁスパイ映画の常識としてウェッバーはすでに一味に消されており、マリコは未亡人だった。
「あの人の死の真相を突き止めたい。あなたに協力するわ」とか何とか言ってマリコは偽エディの隠れ家に泊りこみ、傍目から見りゃ新婚ラブラブモードでお世話し尽くす。

★冷酷非情なマフィアのボスがなんかおかしい

さてマフィア初仕事の強盗事件に出かけた偽エディ。
強盗は成功するものの足を負傷する。

普通なら「チッ、ヘマな奴」と始末されるか格下げだが、サンディ親分は何故かエディを介抱して富士山の絶景がバッチリ見える都内の自宅に連れて帰り、「俺の所でしばらく療養しろ」となーんと専用のお部屋を用意。
ついでに「お前の女も一緒に住め」とマリコを呼び、新婚ラブラブ仕様にしつらえてご歓迎。
さらに今までご寵愛してた組織No.2のグリフ(キャメロン・ミッチェル)をメンバーから外してエディを愛でる始末。
ど、どうした親分?なご執心っぷりなのだ。

しかしサンディ親分に気に入られちゃったはいいが親分の家は手下がわんさか見張ってて、憲兵隊へ進捗報告できないぜ、と困った偽エディ。
マリコに「実は俺、憲兵隊から派遣されたスパイなんだ」と打ち明けて連絡役にさせる。
ところがマリコは憲兵隊将校の密会を一味に見られてしまい、サンディ親分が激怒する。

「この二股女!エディを悲しませるなぁ!出ていけ!」

…そこかよ?
マフィアなら色恋沙汰の前にまず密告とかスパイとか考えね?

その直後、次の強盗計画が警察にばれたと分かり、計画は急きょ中止になる。
普通マフィアのボスなら真っ先に頭に浮かぶのは「マリコと憲兵隊将校が密会してた。怪しいな」だろうけど、親分の推理はなんと別の方向へいっちゃう。
「この野郎グリフ!つれなくしたら俺を裏切ったな!」

…なんでだ。
何故に基本が愛憎関係なんだ。人を疑うポイントがいちいち乙女な親分である。

頭に血が上った親分は速攻入浴中のグリフを襲撃する。
名画『マラーの死』の和風バージョンとばかりに、素敵なミニマム仕様の五右衛門風呂ごと銃弾を浴びせて射殺。
「お、親分!血迷いすぎっす!」と進言できるまともな部下はおらんのか。

★ずさんな身バレvsずさんでチキンな暗殺計画

とまぁこんな調子で、エディになかなかいじらしい想いを掛けてた親分だったが、諜報担当部下が「エディと警察の密会見たぜ」と証言してあっさり正体がバレる。
偽エディたら協力者の警視庁のキタ警部(早川雪舟)と強盗事件の直前に街中で堂々とお話してたからな。そりゃバレるわ。

お粗末なバレかたの割にサンディ親分大ショック。
「フェイク真珠店強盗計画を立てて偽エディを送り込み、警察に密告して射殺させる」なんて手の込んだネタで偽エディを亡き者にしようとする。
てゆーか自分で殺せよ!グリフは速攻殺したくせに!
お気にの男に銃口向けるのヤなのかマフィアのくせに!
とツッコミ必死の行き当たりばったり計画は当然破綻。強盗も警察もモタモタしたお陰で偽エディは逃走に成功する。

最後は松屋デパートの屋上遊園地を舞台に、マフィアと警察が銃撃戦。
ここだけはさすがハードボイルド。かっこいい。
回る観覧ウォーク?に追い詰められたサンディ親分は偽エディと1対1の対決をして命を落とす。
マフィアと親分を始末した偽エディは憲兵隊に戻り、めでたくマリコと結ばれるのでした。


★感想

さすが天下の国辱映画。
「1954年の戦後日本」と解説するのもはばかられるトンデモシーンの連発です。

冒頭に書いた東海道線シーンの「着物に藁の蓑かぶってる、まるでまんが日本昔話みたいな1954年の静岡県民」に始まり、出るわ出るわ大ネタが。

・ドハデな着物で大股歩きで街を練り歩く淑女達
・歌舞伎ショーの稽古場はビルの屋上
・日本語なのに相槌が「Oh~!」な風呂屋の番台
・カーペットばりに薄い畳と障子の無い格子窓の日本間
・窓を開けると魚の干物と着物がひとつの竿で同時干し
・柱に中国語が赤文字で書いてある東京都心
・やたら桶が積んである東京の繁華街(しかも桶がノーストッパーでよく倒れる)
・銀座の真ん中を川が流れ、船でスラム民が暮らしてる
・五右衛門風呂に入りながら食べるアメリカンな朝食
・ピンクの壁、ピンクの御簾、ブルーの布団をあしらったファンシー趣味で新婚仕様の客室
・なんと布団に枕がくっついている!(どうやって仕舞うんだ?くるくる巻くのか?)
・母屋は日本家屋だが中国式東屋から仰ぐ富士山の絶景
・宴会で芸者が着物を脱ぐと、下はスカートと靴。芸者踊りがチャールストンダンスに早変わり

ここまで勘違いだと逆に面白くなってくるw
絵面はど派手でわかりやすくフジヤマゲイシャだし、古き良きハリウッド映画らしい大きなセット組みや、最後の決闘シーンみたいに凝ってるカットもある。
当時のアメリカ人観客は楽しく観れたんじゃなかろうか。

と擁護したいが、フジヤマゲイシャ抜きにしてもやっぱダメだこの映画w
ストーリーがてんでダメだw

★破綻の原因はとにかく親分がダメすぎるwww

主人公の偽エディも相当詰めが甘いが、遥かに上回るサンディ親分のゆるゆるっぷりがB級映画らしい味わいどころです。
組織構成員への謎の溺愛も組織の統括具合も、とても東京を牛耳る悪のボスに見えません。

真珠店強盗なんか計画の姑息さもさる事ながら妙に段取り悪くて失敗するし、退却もダメだし、自分で自分の逃げ場さえ確保出来てねえダメ加減。
「貴様は本当にマフィアのボスか!」とハートマン軍曹ばりに罵詈雑言をぶつけたい。

しかもなんで親分がこんなにエディに惚れたのか、映画じゃ理由が全然説明されてないんである。
ハードボイルドで「男が男に惚れた」場面にはそれなりの理由と状況説明が必須だろうに、それが無い。いきなりなんだかベタ惚れしてる。
だから「なんで?いつから?どんだけ惚れてるの?」と観客がうろたえてしまうのだ。

役者が渋く理非の通りそうなロバート・ライアンだから余計に違和感を覚えるというか。
(例えばもしサンディ親分が千葉真一とかデニス・ホッパーだったら、「超展開だからw」「あの人に理屈通じないからw」で受け流せるんだが…)

とまあ映画丸ごとトンデモ展開ではありますが、富士山も世界遺産になったし東京五輪もあるし、たかが60年前のアメリカ人から見た日本とはかくもワンダーランド・ニッポン!だったんだなあwって感じで軽く観てはどうでしょう。
と時事ネタでごまかして終わっとく。

(了)
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