No.061『愛の悪魔~フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』

製作年:1998年
監督:ジョン・メイブリー
脚本:ジョン・メイブリー
ジャンル:お芸術派な男のラブストーリー

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芸術の秋ですね、な訳でフランシス・ベイコンさん。
今年はデカい展覧会があったりして充実してました。
好きですよベイコンさんの絵。
『キリスト磔刑図のための3つの習作』とかエイリアンテイストなエロで素敵ぃ。
ゲイらしくメケメケした色使いが素敵ぃ。

と言い訳したが、ぶっちゃけコレを鑑賞する目的の8割は
ダニエル・クレイグの裸感謝祭に決まってる。

英国俳優史上No.1脱いでナンボ俳優だとか、ボンドガール以上に裸がホットなボンド役者とか、新作が出るたびに「脱ぐか脱がないか」が焦点になる奴など男俳優じゃお前だけだろ!とマスコミから散々ちゃかされながら
脱いで脱ぎまくってくれてありがとうダニエル!
と感謝の心を持ちつつ鑑賞する映画である。

★予告編



ダーク風味な予告。踏み絵にどうぞ。
坂本教授のクレジットが特別待遇だ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

伝記映画というより
「ベイコンさんがイケメンと出会って恋して飽きて冷めるまで」を描いた映画である。

人気画家で中年ゲイのフランシス・ベイコンさん(デレク・ジャコビ)は大都会ロンドンでスノッブなお取り巻きに囲まれて暮らしていたが、ある晩自分のアトリエで泥棒とバッタリ遭遇する。
キャー怖い!となるところが、顔を見てみるといやんイケメン(ダニエル・クレイグ)
そこでベイコンさんたら「お前の欲しい金をあげるかわりに」と泥棒を招き入れて速攻やる。
その日から泥棒ことジョージ・ダイア君はベイコンさんの愛人兼ミューズになるのです。

「ひとりの男のためだけに尽くすのはカタルシス」
とベイコンさんはベタぼれで、ジョージを頭から爪先まで俺好みに仕立ててどこへ行くにもお供に連れ回し見せびらかし。「カレったらサイコー!カンペキぃ!」とお取り巻きの冷めた視線も物せずラブラブ。
彼の美貌とバディのおかげで絵の製作も絶好調。

そりゃー25歳年下のイケメンが毎晩子犬みたいにぴったり寄り添って寝てくれたら惚れちゃうよねー、
な夢見気分の中年男ベイコンさん55歳。

★ゲイ版マイフェアレディは冷めると悲惨

のはずが、どんな夢も月日が経てば覚めるもの。ラブラブにもすきま風が吹いてくる。
芸術にからめてどうこう言ってるが要は飽きた。

愛が冷めると相手の欠陥が見えるテンプレ通り、泥棒するくらいに下町DQN育ちなジョージは元々スノッブ芸術家とは別世界の住人。
ベイコンさんは彼のアホなDQN気質が嫌になり、でも若くて顔もカラダも理想のミューズで趣味のSMプレイもしてくれる彼氏なんか
そうは見つかんないしー、とうだうだ悩みつつ倦怠期な関係をずるずる続けてしまう。

ジョージの方もベイコンさんのラブラブ度数の目減りを薄々感じてて、でもアホな頭じゃ高尚なお芸術世界に入れないし、スノッブなお取り巻き連中とも合わないし、今更DQNに戻れないし、でもやっぱ愛してるし、と悩みつつ酒とヤクに手を出しぐずぐず溺れてしまう。

こうしてベイコンさんが他のイケメンに浮気したり、喧嘩して家を出たり追い出したり、ジョージの薬中が高じて自殺騒動を繰り返したり、自宅が家宅捜索に入られたりするが、でも別れない。

お取り巻きの中で親ジョージ派の女友達ミュリエル(ティルダ・スヴィントン)から「やっぱ好きならアル中薬中を治してやるべきだよ」と忠告されても、なーんかこんなバカを愛してるって認めたくないベイコンさんは、彼が寂しく病んでるって現実から眼を背けるため、望むままに酒と薬代をやり続けてしまう。
ダメダメですね。

そしてパリのグラン・パレスで大回顧展開催という、現代芸術家として頂点に昇ったベイコンさん。
芸術家人生の晴れの舞台だが、ジョージを1人で家でほっとけなくてパリへ連れてきてしまった。
でも彼は廃人状態で人前に出せる状況じゃなく、しょうがなく酒と薬を与えホテルに閉じ込める。
ベイコンさんが冷めた顔して展覧会会場へ出ていく間際、「愛してる」と子犬の瞳ですがりつくジョージ。
だがベイコンさんはスノッブらしく、いつのもように茶化した返事をしてしまう。

絶望したジョージは酒と薬をガブ飲みして死亡。
最後は「芸術は成功したが愛は失った」ベイコンさんが、ホテルのトイレで独り後悔に暮れてジ・エンド。


★感想

死んだ恋人の愛用した枕に顔埋めて泣くっつう田山花袋の蒲団ばりのシーンから話が始まる、もろにゲイの監督作品です的香りがプンプンする、ロマンチックでウェッティなラブストーリー。

なにはともあれダニエル裸感謝祭だ。
世界に冠たるダニエル魔性の裸を堪能できる。
まだアラサー時代の出世作なので裸が若い!

かの有名なちんちんもろ出しバスシーン(ええ!ばっちりフル見えです!)をはじめ、自慢のバディをサービス満点見せまくり。スーツを1枚1枚脱いでブリーフ1丁になり拳に革ベルト巻きつけるシーンたるや、どんだけ高級ストリップダンサーだよあんた!
尻出してひざまずくベイコンさんの耳元で、ダニエル特有の申し訳なさそうな唇で「すまない…」と囁くところがセクシー。

肝心の禁断のSMセックスは匂わせる程度で、むしろ繊細な純愛方面が協調されてましたが。
ま、中年のおっさんがビシバシ叩かれてもお芸術ゲイ的にきれいじゃないしねえ。

★美術・演技・音楽のベイコンテイストはバッチリ

お芸術映画らしく映像美は頑張ってました。
三幅対を三面鏡で見立ててみたり、黒い空間に赤い枠だけのトイレルームだったり、残像や肉のモチーフの使いかたなど、ベイコン絵画を取り入れまくった凝った構成で、ベイコンファンならばっちり楽しめます。
ゲイセンス満載なシャツコレクションも楽しい。

デレク・ジャコビは凄く上手かったです。
シニカルなマシンガンオカマトークをかます性格良くない自分大好きな芸術家だけど、恋人にはふとロマンチックな地が出ちゃう姿がわかりやすくて良かった。
お取り巻きにお姫様呼ばわりされるようなキラキラ乙女な雰囲気もありました。
しかしなんで英国のおっさんゲイはすべからずエルトン・ジョンになりますかね。そしてゲイが描く女友達は、海外版李麗仙みたいなガラっぱち声のオカマねーさんになりますか。

最後に音響について。
映像と同じくらい音響の良い映画が好きですが、この映画はいつもより音量を3段階上げたくなる。
前衛だが心地良く、時にせつない。
メインテーマの坂本龍一教授がベストなお仕事。いつもの泣かせるメロディに流れ過ぎず、ベースがミニマムテクノで禁欲的なムードを終始押してて美しい。
戦メリといい教授の音楽はゲイが合うのかも?

(了)
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