No.063『セックス・チェック第二の性』

製作年:1968年
原作:寺内大吉『すぷりんたあ』
監督:増村保造
脚本:池田一朗
ジャンル:ものすごく色々おかしいスポ根映画

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真摯な性の悩みをテーマにした作品に軽々しくツッコむのもどうかと思いますし。
45年前の映画ですから、今の医学の常識から見るとおかしい部分も色々あるだろうってのは当然承知。
なんだけど…

あまりにエキセントリックすぎて
かつツッコミどころが満載過ぎて
誰もが目玉ドコーにならざるをえない。
真面目なのかギャグなのか、くるっと一回りしてやっぱり真面目なのか、映画の狙いどころすら判らなくなってくる。

とんでもないスポ根映画であります。
まあ一度はご賞味ください。
★予告編



大映ノリで強引にすすめる異常な世界が味わえる予告編。
小川真由美のベルベットリボンあります

★あらすじ(青字はネタバレあり

元日本代表のスプリンター・宮路司郎(緒形拳)は、才能はあるが獣の野性がたぎる超エゴイスト男。
陸上をやめてからは戦争で殺しまくり犯しまくり、戦後の今はロクな仕事もせずホステスのヒモをやっていた。
そんなある日、宮路は旧友で医師の峰重(滝田裕介)に、とある企業の女子陸上部のコーチ職を紹介される。

だが宮路は予想以上に獣そのものだった。
峰重と再会した晩になんと嫁の彰子(小川真由美)を襲い、股に顔埋めてレイプする鬼畜っぷりw
峰重は宮路に嫌悪を抱き(当たり前だ)、一転コーチ職の紹介を取り消して距離を置く。

★スプリンターはパッと抱いてサッと別れる!

その直後、宮路は会社のスポーツ部めぐりで南雲ひろ子(安田道代)という18歳少女と偶然出会う。
「メキシコ五輪で金メダルとれる逸材!」と惚れ込んだ宮路は、女子陸上部コーチという名のひろ子専属押しかけコーチとなり、常軌を逸した鬼特訓で最強スプリンターに鍛え上げる。

「女子の記録の壁を超えるには、男になるんだ」
が信条の宮路コーチはひろ子の男性化計画を実行。
ひげ剃り訓練とかして彼女の体内の男性ホルモンを目覚めさせた効果か、競技会で11秒7の好記録をマーク。
ひろ子は一躍脚光を浴びるが、日本女子にしてはあまりに速すぎて疑われ、陸連からセックスチェックを受けろと言われる。

一方、彰子奥様は宮路に犯されて性に目覚め(おい!)、家出して宮路にアタクシを抱いてと迫るが「スプリンターはパッと抱いてサッと別れる!」なる超理論でふられてショックで自殺未遂していた。
嫁をおもちゃにされた怨みを抱く峰重医師だが、なんという運命の巡り合わせか、ひろ子のセックスチェックの担当医だったのだ。

診断の結果は「半陰陽…つまり、ふたなり」
映画のセリフのまま引用です。堂々と言いやがります。
お年頃女子の微妙な問題への配慮など、すがすがしいくらいありません。

★男にしすぎたから女にさせる!実践的超理論

ショックで実家に帰り引き籠もるひろ子。そりゃそうだろう。
しかし彼女を何とかして競技に復帰させたい宮路コーチは、
「お前は男じゃない!」と証明するため、なんと一発おやりになるのです

さて「経験豊富で女に詳しい」と豪語する宮路が、いれたりしまして出した結論は
「女だが、…どうも疑問を持たれやすい体
どないやねん!
物が物だけに具体的言及は回避。うーん、もどかしい。

しかし結論の明言は避けたが、危機打開策だけはやたら明快だった。
「お前を毎晩抱いてやる。女にさせる!」
ちょwそんなバカなw
セックスするだけで女になるのかよ!どーやって医師の診断を覆すんだよ!

だが2人は真面目に昼はスポ根、夜はセックス漬けの特訓にいそしむ。
宮路の過酷な指導(というのか?)がたたり、ひろ子は過労で倒れるが(まぁ夜も体力使ってりゃねえ…)、
なんと!倒れる彼女の股間から血が!

奇跡の生理現象に「女にさせた」と確信した宮路は峰重宅を訪れ、ノイローゼで発狂した哀れな彰子奥様をよそに、「女だと証明してやる」と人ん家の客間でセックス
えー!
「おい峰重見てくれ!」ってただの変態だよお前ら!

宮路の狂気じみた行動に根負けした峰重はセックスチェック再検査を実施。
今度は「偽半陰陽」と診断される(なんでだよ…)

晴れて競技に復帰したひろ子は満を持してオリンピック代表選考会に挑むが、なんと惨敗。
コーチが語る敗因は「女にさせすぎた…」
男と女って匙加減で決まるもんなんですか。

こうして夢の最強スプリンター育成は失敗したが、真人間になった宮路コーチとひろ子は結ばれて、なんとハッピーエンドになるのだった。


★感想

いや、観たまんまあらすじ書いてますって!
まじでこういう話なんだって!!

と言い訳したくなるくらい不条理極まるスポ根物語。ツッコむ以前に唖然としてしまう。
こういう大映テイストノリの無茶な設定の話は昭和映画によくあるっちゃありますが、後半の狂気のスパークっぷりはさすがにやりすぎw

★性がテーマで緒形拳主演なのに全然エロくない映画

しかし「思春期女子の隠された性」がテーマの映画だったら、なんというか神秘的なエロスの匂いがしそうなものですが、その辺のエロさも神秘も皆無であります。
この映画は筋トレとセックスシーンの描写にあんまり区別が無い。なんか常に「励め!励め!励め!」ってリズムで走って腹筋して腰も振るノリだ

しかも大体セックスチェックって全裸で股開いて、触診オンリーで診断するもんですか?レントゲンとか遺伝子検査とかするだろ普通!
それに確かにスポーツ選手は男性ホルモンが活性化してヒゲ生えたりしやすいと話は聞きますが、セックスしたら女に戻るってのは一体…

角刈りでジャージ姿の緒形拳コーチは役柄同様ギラギラ、ガツガツした野犬みたいで、緒形拳史上最強のエキセントリック演技。ある意味『復讐するは我にあり』の凶悪犯より鬼畜だ。でも男のフェロモンがあふれてます。
だけどどんな身勝手なキチ理屈でも、緒形拳の魅力でなんか説得されてしまう…のか?
「女は男に引っ張っられないとダメだ。だから俺はお前を恋人にする!」なんて超男性理論、いやーさすがに無理っす。

安田道代は若武者みたいな精悍なルックスとぴっちぴちの太股が印象的で良かったですが、普通に昭和女子なもっさり体型なのが辛い。
スレンダーな平成女子ならより中性ぽくなったかも。

★狂気の若奥様・小川真由美ファッションにも注目

さてお楽しみの脇役チェック。
主役コンビだけでも十分イッちゃってるのに、さらに小川真由美様が脇にいらっしゃって狂気のテンション加速しまくりw
もう期待通りw

序盤から着物姿にベルベットのリボンを頭にでっかく結んだ若奥様スタイルでご登場。これだけでも十分怖い。
そしていつもの小川真由美の役どころ通り緒形拳に蹂躙されてノイローゼになって、いわゆる天人唐草の響子さん化するんですが、
白のすけすけネグリジェ(昭和だな)に金のリボンを頭にでっかく結んだロリータストロングスタイルで、窓格子から狂気の鼻歌を歌ってらっしゃる。
怖いわ!奥様!
そのルックスは楳図かずお漫画クオリティ!
さすが昭和屈指のホラー女優。貫禄のキチ演技でした。

そしてちょっとした気になる木。
ラストシーンの企業の重役さんがかわいそうすぎる。
育成費200万も金払わされてセックスチェック騒動で宣伝にもならず、結果はアレで、しかも本人達ハッピーエンド。
文字通りふんだりけったりな結末に(しかも悪役でもなんでもない)、映画の話といえ哀愁でした。
企業スポーツ業界の人は笑えない映画かも。

(了)
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