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No.065『はいからさんが通る』

製作年:1987年
原作:大和和紀
監督:佐藤雅道
脚本:西岡琢也
ジャンル:大正ロマンな純正アイドル映画

065.jpg

NHK朝ドラ『ごちそうさん』の視聴率が好調だそうで。
だっておばちゃんはみんな大正ロマンが好きだからねえ。
夢見る元乙女のおばちゃんがうっとりする要素が、大正ロマンには全部詰まってるからねえ。

かくいううめめちも大正ロマンが大好きだ。
大正ロマンか昭和モダンなら基本何でも観る。エログロだろうがオトメチックロマンだろうが観る。

しかし好きになったきっかけを遡れば、恥ずかしながら南野陽子主演のアイドル映画『はいからさんが通る』だ。
出来はまぁ、昭和アイドル映画なり…だが、映画の冒頭で女学生の袴にブーツはいた南野陽子が自転車にまたがって通りを駆け抜ける姿は、今でもやっぱり胸キュンです。

しかしアイドル映画に胸キュンだった乙女心がなんでエログロ頽廃に流れちゃったんだろう。
大人になるっていやあね。

★予告編



80年代アイドルのキラキラ感がまぶしい予告。
とにかく阿部ちゃんが若い!

★あらすじ(青字はネタバレあり

質実剛健な陸軍少佐の娘、花村紅緒(南野陽子)は近所で評判のじゃじゃ馬女学生。
剣道は男と互角の腕前で、キップの良さはチンピラの牛五郎(柳沢慎吾)も兄貴と慕うくらいだ。
そして17歳にして酒乱という豪快な設定だ。

そんな紅緒が「生まれながらの婚約者」とかいう伊集院伯爵(丹波哲郎)令息の忍(阿部寛)のもとへいやいや花嫁修業に遣らされて、じゃじゃ馬ゆえに珍騒動を巻き起こす…
ってオトメチックコメディが前半の話。

なにせ紅緒は規格外の暴れん坊ヒロイン。
手下がチンピラヤクザだし、芸者と女の友情を結ぶし、
伊集院家の愛犬2匹をつないで犬ぞり作ってお貴族様のパーティーに乱入するし、
酒場で軍人と派手にバトってフライデーされる。
じゃじゃ馬というには武勇伝すぎる紅緒さんだが、何をしでかしても阿部ちゃんは紳士な笑顔で温かく見守ってくれるのだ
「婚約者なんで何よ!バカやって破談されてやる!」と息巻いてた紅緒も、こりゃ惹かれますよね。

反発してた2人が少しずつ恋に落ちて結婚してハッピーエンド。
のはずだったが、あと一歩で結婚ってところで時代の波に派手にのまれる。

★後半は激動の大正時代らしいハードロマン

原因は「酒場で紅緒VS軍人フライデー事件」。まぁ17歳ご令嬢が酒場で暴れちゃねー。
軍上層部に目をつけられた忍はシベリア派兵軍へ左遷になり、しかも派兵中に戦闘で行方不明になってしまう。
周りはもう死んだと思って葬式を挙げるが、でも紅緒は「忍さんは絶対に生きている」と信じて、ひたすら待とうと決意する。

そして紅緒は没落しかけた伊集院家を救うため、なんと酒場フライデーをスクープしたゴシップ出版社に雇われて女性新聞記者を始める。
でも出版社は色々なトラブルで倒産危機。
紅緒は上司の青江社長(田中健)と一緒に会社を救おう!と奮闘するうちに、社長にも段々心ひかれていく。

しかし元・忍の部下が現れて、「忍はロシアで生きてる」情報がもたらされる。
紅緒は真実を知るため取材を兼ねてロシアへ行くが、実は忍は戦闘で負傷して記憶喪失になっていて、ロシア人女性と結婚していた。
ショックの紅緒は忍をあきらめ、青江社長と婚約する。
そして社長と結婚式する日に起こったのが…大正ロマン物語のご定番クライマックス、関東大震災。

地震で何もかもが崩れ失われるなか、紅緒は「やっぱり忍さんを愛してる」と真実に気付く。
ウェディングドレスのまま駆けだした先は、いつの間にか記憶を取り戻してロシア人と別れて日本に帰って来てた忍だった。
ふたりが元サヤに戻って今度こそハッピーエンド。


★感想

大正ロマン好きおばちゃんなら100%ご存じですが、原作は70年代に大ヒットした少女マンガです。
マンガを読むとめちゃめちゃ面白い!
大河ドラマばりに骨太でスケール大きい歴史ドラマと、おてんば女子&イケメン2人のラブストーリーと、アナーキーな昭和スラップスティックコメディが渾然一体となり、怒涛の勢いで展開されます。
20歳女子が政治思想犯で投獄されるとか、政治小説もビックリな展開もある。おすすめ。

だがこれに限らず、『ベルサイユのバラ』など昔の少女マンガ名作は話のスケールがでかすぎて、映画化ドラマ化するとガッカリパターンも結構多い。

『はいからさん』も話を端折りすぎてて時々辻褄が合わないし、歴史ドラマもコメディも骨抜きでぬるい。
予算の関係で?衣装もセットもチープ。
だって大正ロマンなのに屋敷や意匠にアールヌーボーの影も形もないってありえない。
シベリア戦闘シーンはテレビドラマ並みにチープだし、教会で結婚式中に大震災に遭うシーンに至っては、折れて倒れた柱があからさまにハリボテw発砲スチロール的に軽い軽いw
外は地割れも無いし公園の木も折れてないし、阿部ちゃんは地震の最中に馬で走ってる始末ww

「名作マンガの映画化」という点では落第レベル。
大正ロマンコスプレのアイドル映画だったらOKかなぁ…程度に思ったら良いです。
でも好きなんですけどね映画も。

南野陽子のおてんば女学生役はぴったりでした。
アイドルスマイルも華やかで可愛いし、コメディ担当として変顔もきっちりやる。
暴れん坊ヒロインゆえアクションも多いけど、フットワークが軽くてきまってる。さすが2代目スケバン刑事。

そしてやっぱり陸軍将校コスプレの阿部ちゃん!
若い!
軍服が似合ってる!
(当時は)日本人離れした顔の小ささ脚長さ!
そして瞳キラキラの笑顔

その分演技はど下手だが全然構わないです。
アイドル映画のイケメンは演技力など不要!さわやかな笑顔とキラキラ瞳で日本語で「そんな君が好きだよ」と言えりゃいい
って身もふたもない事実を教えてくれます。

★伝説の「田中健の青江社長問題」とは何か?

イケメンは「さわやかな笑顔」「キラキラ瞳」で「そんな君が好きだよ」と言う、乙女心のど真ん中パターンにも、しかし実は落とし穴がある。
実は女は「そんな君が好きだよ」シチュに胸キュンでうっとりしつつ、同時に「さわやかな笑顔」「キラキラ瞳」のクオリティをシビアに値踏みしてるんですぜ。

そんな怖い事実をこっそり教えてくれるのが、当時映画を観た少女から起こったらしい「田中健の青江社長」への「おまえごときが演るな」ブーイングの嵐事件であります。
今でも『はいからさんが通る』映画を語るとき、不満をブチブチ言うおばちゃんがいるくらいです。
おおこわ。

根が浅いようでとんでもなく根深い、「田中健の青江社長」問題とは一体何なのか?
理由のひとつめはわかりやすい。
マンガの青江社長とあまりに違い過ぎてたからだ。
大体くるくる巻き毛の背中までロン毛美形を、田中健が演れってのも無理ですね。ていうか日本人俳優はおおむね無理だ。

理由のふたつめもまぁわかりやすい。
「2人の男が1人の女を恋する」シチュになった時、女は自然と2人の男のスペックを値踏みしますが、映画で阿部ちゃんと並べてみると田中健の体型があからさまにドン臭く見えた。
家柄・収入等の条件を度外視してルックスだけで勝負すれば、女が100人いれば100人阿部ちゃんを取るだろと。

さらに一番重要で乙女心の複雑さを感じる理由が、「それはお前のキャラじゃねえ」であります。
製作側と観客のボタンの掛け違いってやつです。

『はいからさんが通る』原作での青江社長とは、典型的なライバルエリートスペックな当て馬キャラでして、
戦隊ものならブルー。柔道一直線なら近藤正臣。月9ドラマなら竹野内豊や藤木直人。の役どころであります。

本当は上流階級の息子だが家に反発して貧乏出版社を立ち上げ、本当は情熱家だが斜に構えたクールな利己主義者を装ってて、男尊女卑気取りでツンデレな美形で、仕事上で反社会主義者とも渡り合ったりする、大人の危険な匂いのする男。
そいつがおてんば娘の紅緒にだけ心を許すから胸キュンになるんであって、
それはぶっちゃけ田中健のキャラじゃないだろと。
案の定映画で彼はキャラをこなしきれず、単に暑苦しく上から目線のオヤジに見えた。お年頃の少女が一番サイテーと思うタイプだ。
「こんなオヤジに恋できるかぁ!」と乙女心がガラガラと崩れちゃった訳です。

でも「それはお前のキャラじゃねえ」ケース、どういう訳か今でもよく見るんですよね。
キャスティング権を握る製作側(えてしてオヤジ)は役者のスペックを箇条書きで見がちですから。

イケメンを2人並べりゃいいんだろ?とか
有名大学卒だから知的キャラがいいだろ?とか
エグザイルだからワルの一匹狼だけど捨てられた子犬を拾ったりして胸キュンだろ?とか
そこだけじゃないだろキャラって。
キャラ違いが「似合わなくて笑える」程度ならいいが、作品価値を根底から歪めてて目のやり場が無いくらい深刻にサムくなる作品もあったり、時に役者本人のイメージダウンにつながりますから要注意です。

田中健事件(という程か?)を他山の石として、
製作側や芸能事務所の方にはどうか、配役は身の丈に合った適切な役をあてがってほしいです。

(了)

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