No.067『ゴッド・アーミー/悪の天使』

製作年:1994年
監督:グレゴリー・ワイデン
脚本:グレゴリー・ワイデン
ジャンル:キリスト教系オカルトホラー

67.jpg

映画の予告編で「男騒ぎ」と銘打ったのは『戦場のメリークリスマス』ですが、
戦メリに限らず、男に萌える「男騒ぎ」映画は結構コアな人気があるもんです。
(千葉真一主演映画も基本男騒ぎ映画だし)

『ゴッド・アーミー/悪の天使』も同じく、渋セクシーな男騒ぎに萌える映画であります。
なにせ悪の大天使様の愛憎劇だからな。
そのためか半端なホラーの割にカルト人気が出てシリーズ化までされちゃいました。

しかしこの映画、目の付けどころとキャスティングは絶妙なのに、
色々惜しい!と首振ってしまう映画でもある。

★予告編



投げキッス萌えにはうれしいビデオ版予告。
踏み絵にどうぞ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

神父任命式の最中に奇妙な幻影を見たのが原因で、神父職を辞めて刑事に転職した主人公トーマス(エリアス・コティーズ)。
聖職者から刑事に転身ってまた極端なお人だが、ある日LAのアパートで起きた殺人事件の捜査を担当する。
現場には聖書が残されており、「天国の2番目の戦い」なる謎の黙示録の記述があった。
さらに身元不明の被害者は両性具有であり、体には天使ウジエルの印が刻まれていた。
犯罪の動機にキリスト教系の匂いを嗅いだトーマスは、元神父の知識を活かして事件の真相を追う。

同じ頃アリゾナ州の寂れた炭鉱町に、LA殺人事件の犯人シモン(エリック・ストルツ)が現れる。
彼は元特殊部隊で町の英雄だったホーソン大佐の死体を見つけると、男と男のディープキスで魂を吸い取る。

しかしエリック・ストルツに悩ましく見つめられてディープキスされてみたいものですな。
たとえおっさんの死体な身分でも。

そしてシモンは、偶然通りすがったナバホ族の小学生・マリア(モリア・スナイダー)にホーソン大佐の魂を乗り移らせる。
もちろんディープキスで。がっつりロリですな。

★悪の大天使様が体育座りでやってくる

さて殺人鬼の正体は、「天国の2番目の戦い」を阻止しようと地上に降りてきた天使・シモン。
LAでシモンに殺された男もやっぱり天使ウジエル。

さらに、シモンが口移しで隠したホーソン大佐の魂を奪うため、天国の戦いの黒幕である大天使ガブリエル様(クリストファー・ウォーケン)までもが御光臨。
墓石の上につま先立ちでヤンキー座りする天使座りスタイルで地上へやって来ます。
か、かわいいw

大天使ガブリエル様といえば世間的には聖母マリアにキリスト受胎を告知される知的で優美な天使様ってイメージですが、
この映画ではクリストファー・ウォーケンが黒ずくめのコート姿で、宜保愛子を思い出させる霊能者系メイクまでする悪役仕様。
うじ虫沸いてるゾンビをお供に従えて、手づかみでシモンの心臓をザックリえぐり出すわ、さらに投げキッスで肉体燃やすわ悪事やりたい放題w
バリバリに悪!人類の敵!なのであります。

とまぁ役者が揃ったところで話は定石通り、殺人事件を追って炭鉱町に来たトーマスは、ホーソン大佐の魂を入れられたマリアちゃんをガブリエル様の追手から救うため、マリアちゃんの美人担任教師・キャサリン(ヴァージニア・マドセン)と協力して、奮闘する訳です。

前半戦は辛くもトーマスが勝利。
ガブリエル様は重傷を負って一旦後退する。

だが大天使様が「今度は本気出す」と再来襲したら普通の人間だけじゃ太刀打ちできない訳で、一体どーやって対抗するの?ってところで、このためにわざわざ設定作りましたとばかりに、マリアちゃんの一族のナバホ族が立ちあがる。
トーマスはマリアちゃんをナバホ族の呪術医に預け、ホーソン大佐の魂除霊作戦を実行する。

★セクシー堕天使様も物見高く参戦

さあ悪の天使vs人間(神父&ナバホ族連合)の大決戦か?
というクライマックスの直前になって、ガブリエル様に匹敵できそうな唯一の超大物キャラ・堕天使ルシファー様(ヴィゴ・モーテンセン)が、事前にネタ振りも無くいきなり助太刀参戦する。

「やっぱ天使バトルは地獄の王の俺がいなきゃ盛り上がらねーだろ?んー?」
なんて調子でトーマスを口説く、今回は正義の味方なセクシールシファー様。
ヴィゴ・モーテンセンに至近距離から熱い吐息を耳に吹きかけて口説かれたいものだ。
たとえ場所が地獄でも。

って事で結局はガブリエル様vsルシファー様がセクシー超能力バトルやって、ルシファー様が大勝利。
その隙に呪術医の除霊治療が成功して大佐の魂は昇天し、マリアちゃんは普通の小学生に無事戻る。
ドサクサに紛れてトーマスとキャサリンも恋愛しちゃいましたーなんて、ありがちなハッピーエンドで幕を閉じる。


★感想

なんだ、敵が天使なだけで話は普通じゃないか。
その通り普通のB級オカルト映画だ。あらすじそのものにあんまり魅力は無い。善玉ナバホ族の設定もありきたりだし。

でもカルト人気まで出た魅力の源は、当然ながら「天使座り」と「投げキッス」に代表されるユルくてセクシーな天使様のキャラ設定にある。

この映画の設定がどんだけユルいかというと、謎の黙示録にある「天国の2番目の戦争」とは、
「天国の神様が人間を愛しすぎちゃって側に仕える天使と口もきいてくれないんで、スネちゃった大天使ガブリエル様が、『なんだよ人間なんか喋るサルごときが神様の愛情独占なんて!キィィ!』とヒスって起こした人間殲滅戦争」という腰砕けな設定にあります。

天国はガブリエル様派vsシモン達反対派の戦争で、まるでマッドマックス並みに地獄な荒廃モード。
最初は地獄で高みの見物してたルシファー様も、「この世に地獄は2つもいらねーぜ!俺もいっちょかみしてやるか!」と参戦。

神様にも溺愛される愛されキャラな人間のせいで、天国地獄現世が大騒ぎ。
そーんーなーバーカーなー。
何様設定だよ人間。

さらにたかが『喋るサル』に過ぎない人間のホーソン大佐の魂をガブリエル様が奪いに来た理由は、実は大佐は特殊部隊で大量虐殺を実行した極悪人だから。
「こんな邪悪な魂は天国に行けばスーパー戦士になる。こいつを切り札に登用すれば戦争に勝てる」から。

…いや、悪人っていってもさー、所詮普通のグリーンベレーよ?
もっとスケールでかい悪人いるんじゃね?暴君ネロとかヒトラーとはケタが違うけどいいの?
しかもナバホ族の除霊であっさり昇天する程度だよ?天国規模の戦いの切り札がこれでいいのか。

ていうかそもそも人間殲滅の切り札が人間の魂って、それでいいのか天使界。
悪人魂はミカエルとかより強いの?天使界って戦士の人材不足?
悪がぬるい、ぬるすぎる!まったく腰砕けである。

★セクシー&キュートなチョイ悪男天使天国

だがそんな中途半端にぬるい悪人設定が、かえって人間くさくて可愛いんです。
とりわけクリストファー・ウォーケンのガブリエル様が。

天国では戦闘能力無敵のワルかもしれないが、人間界での大天使様はワルはワルでも少々軽くてヘタレなところがまた胸キュン

まず小鳥が枝にとまるみたいな天使座りがキュート。
大天使だったら墓の上に仁王立ちするとか、ワルだったら墓またいで座るとかすればいいのに、妙にお行儀がよろしい。
警察の霊安室に侵入する時は正規の入口から入り、ドライブインではドリンク代をきちんと払う。
やっぱ根は優等生なんだなw
また無表情で冷酷無慈悲かと思えば投げキッスするし、トーマスにこっそりウィンクするし。
小学生にマリアちゃんの行方を聞き込みするために小技芸を披露したら、なつかれて人気者になってるしww

極め付けがお供にゾンビを連れてる理由。
「車運転できないから」人間の運転手が要るんだとwww
飛べよ!天使なんだからwww
かーわーいーいー。
クリストファー・ウォーケンのやる事がいちいち、名作PVのFatboy Slim『Weapon of choice』を彷彿とさせるキュートっぷりです。

トップがこんなだから周囲の天使もみんな人間くさくてセクシーな男天国。
オジー・オズボーンばりの黒眼鏡で、どこから見てもメタルバンドマンなウジエル。
シモンはよれたロングコートの不審者ルックスだが、ふわふわロン毛につぶらな瞳で少女を誘うし、エロいディープキスもかまします。エリック・ストルツがなかなかハマリ役。

極めつけは金髪オールバックのルシファー。
天国事情をべらべらしゃべりまくる軽口叩きで、「天国より俺んとこの地獄へカモンしねえ?」と人間を誘惑するし、花も食べるし鼻歌も歌うしw
クリストファー・ウォーケンとの天使バトルも、心臓えぐりあいなのにフェロモンだだ漏れ。
出番少ないがヴィゴ・モーテンセンやりたい放題。

これだけセクシーでワル可愛い俳優を揃えといて、実は全員両性具有の天使様です、の設定は実に心憎い。ワルフェロモンが聖なるオーラにさえ思えてくる。
これは萌えるわー。立派に男(天使)騒ぎ映画です。
願わくば人間界のあれこれをカットして、天使vs天使のセクシーバトルてんこ盛りで、ヴィゴ・モーテンセンの出番を増やしてくれればよかったんですけどねー。
惜しい!
まぁ、みんなが惜しい!もっと彼等を見たい!と感じたからこそ、愛されてシリーズ化されたんでしょうね。

(了)
関連記事
スポンサーサイト
テーマ: 映画感想 | ジャンル: 映画
No.068『心中天網島』 | Home | No.066『オルランド』