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No.069『卑弥呼』

製作年:1974年
監督:篠田正浩
脚本:富岡多恵子、篠田正浩
ジャンル:ものすごく色々おかしい古代史ロマン

69.jpg

VHSのみ(しかも絶版)な模様。
私が所持したいのでDVD希望www

篠田正浩&岩下志麻コンビでもうひとつ。

日本史で映像化難度が最も高いと思われる大和朝廷成立以前の古代史を、
日本のアングラ芸術の総本山といえる暗黒舞踏の力を借りて果敢に挑み、
見事にわけわからん映画に仕上がり玉砕した
伝説のつっこみ満載カルト作品『卑弥呼』だ。

素晴らしいチャレンジ精神である。
こういう未知の領域に特攻してこそアヴァンギャルドの雄ATGってもんだろう。
内容はとんでもないけどさ。
★予告編



予告編みつけた。踏み絵にどうぞ。
たかが3分のダイジェストだがカオスである。

★あらすじ(青字はネタバレあり

鹿が戯れる森の中で怪しい儀式をする巫女軍団。
用途不明だがエッチくさい赤い文鎮を傍らに置き、リーダーの貞子な女がゴザに寝転んで悶えはじめる。
彼女こそ邪馬台国の女王・卑弥呼(岩下志麻)。

himiko2.jpg

どうだいこれが卑弥呼様だ。
白塗り眉無し隈取り下唇だけ口紅塗った前衛メイク。
でも市原悦子に似てる気がしないでもない。
頭の葉っぱは何?アンテナ?とか聞いちゃダメですよ。
ちなみにこれは神のお告げするときの巫女モード。日常モードはまだ岩下志麻顔に近いのでご安心下さい。

そんなイッてる卑弥呼様がいらっしゃる邪馬台国は、天の神様「アマツカミ」のお告げで成り立ってる。
国には卑弥呼様のパートナーとして、一応実務担当のオオキミ(加藤嘉)という王がいて、琴をベロベロ弾いてアマツカミを卑弥呼様に降臨させ、そのお告げを翻訳?して実質国を治めてる。
この手の神権政治国を「アマツカミの国」というらしい。

さて天の神様に対して地には「クニツカミ」なる土着の神様もいて、こちらを信じる人々で構成される「クニツカミの国」というのもございます。
演じるのが土方巽と暗黒舞踏御一行様であるからして、わかりやすくプリミティブに気味悪い。
邪馬台国の人々はクニツカミの民を「あいつら野蛮すぎ」と差別してるが、映画の観客から見るとどっちもどっちだw

★処女ヒミコ様はイケメン弟にメロメロ

そんな邪馬台国を幼少時に出て、クニツカミの国はじめ諸国放浪の旅をしていた卑弥呼様の異母弟・タケヒコ君(草刈正雄)が、ピッチピチの超絶イケメンになって帰ってきます。
神聖なる森の宮殿で巫女集団に囲まれて育ち、たぶん処女な卑弥呼様は人目見て彼にフォーリンラブ。
側近の長老ナシメ(三國連太郎)の諌めも聞かず、速攻タケヒコ君を呼びつけ禁断のエッチにふける

イケメンにメロメロの卑弥呼様は公私混同のあまり、邪馬台国民ながら放浪中に親クニツカミ派になったタケヒコ君の思想に配慮してか、
「タケヒコ最高!クニツカミの神いいじゃん!これからおまえらもクニツカミの神をうやまえ~」
なんて謎のお告げをいいはじめ、
「最近のお告げって神様の言葉じゃないのでは?」
とオオキミはじめ臣下一同は疑うようになる。

すると卑弥呼はオオキミの館のお白洲広場でお告げの儀式を行い、トランス状態になってる最中に「オオキミは死ぬ」と仰天の御託宣。
一同があっけにとられる隙を突き、長老ナシメが必殺仕事人ばりのテクでオオキミを暗殺。
お告げじゃねえじゃん殺してんじゃんwww

★宴の余興はニワトリで

ともあれ煙たい存在のオオキミがお亡くなりになり、卑弥呼様&タケヒコ君のラブラブ天下と思われたが、そう上手く事は運ばないもんです。
2人に立ちはだかったのはオオキミの息子、ミマキ(河原崎"長男"長一郎)とイクメ(河原崎"三男"建三)のリアル悪役兄弟コンビ。
普段の兄弟仲は最悪だが、アマツカミの国の一大事に共同戦線を張り、打倒タケヒコを画策していた。

そんなシビアな状況でありながら、やらかしちゃうタケヒコのバカw
巫女軍団のひとりでクニツカミの国の大臣の娘・アダヒメ(横山リエ)とデキてしまう。
なにせ不倫現場がおっぴろげー。超絶イケメン草刈正雄が白昼野外で下半身むきだして、バックから突いてるんでざあますのよ
すげえwww

まっ昼間から堂々と青姦されちゃ当然ばれる訳で、二股かけられて激怒した卑弥呼様はタケヒコ君をお白洲広場に連れ出して、「爪を剥ぎ、顔に刺青して、国外追放せよ」とばりばり私情挟んだ御託宣をかます。
哀れタケヒコ君。
タケヒコ君の爪はぎ刺青の刑執行を肴に、勝者・河原崎兄弟は下僕の男女、そしてニワトリ乱交ショー開始w
ニワトリ…やられてるよニワトリ…

悪趣味な宴の余興になった挙句に国を追放されてしまったタケヒコ君は、賽の河原っぽいところへ連れて行かれて
ハリボテの鹿・ハリボテの鶏・ハリボテのアフラックを首から突きだした土方巽一派に暗黒舞を踊られる。
獣の血で罪人を清めるアニマルの舞らしいが、だから何やねんwまったく意味わかりませんw
そして土方巽一派と共に野を超え山を越えクニツカミの国へ逃げ落ちる。

一方不倫相手のアダヒメはしおらしく巫女修行してたが、巫女仲間が川でいきなり下半身からドバドバ流血!その後なぜか逆さ吊りで殺害!というショッキングな光景を見てイヤァ!と恐怖に駆られ、タケヒコ君を追ってクニツカミの国へ帰る。

★国と国の一大決戦がなんとも理不尽

復讐を誓うタケヒコ君とアダヒメは、アマツカミだのクニツカミだの話し合ってますが要は「邪馬台国と戦おう」と決意する。
アダヒメは蛇に変身して?お白洲広場へ忍び込み、なんか土を円錐状に塗り固めたオブジェの先っぽ(ただの土である)を壊して盗みだす。
そいつが邪馬台国の象徴だったらしくて大騒ぎ。

で、先っぽが原因でクニツカミの国と戦争開始。
タケヒコ軍と河原崎兄弟軍が激突だ!関ヶ原ばりの合戦だ!となるんだが、
河原のハリボテ観て嫌~な予感はしてたけど

himiko.jpg

ハリボテの獅子舞登場www
作務衣姿にしか見えない兵士のへなちょこローキック
役に立たずくるくるしてばかりの獅子舞
鐘叩いて踊り狂う暗黒舞踏団
等々の中学校の文化祭ばりに稚拙な前衛バトルを経て、河原崎兄弟が勝利しタケヒコ君&アダヒメは戦死。
死屍累々の跡に残ったのはハリボテと暗黒舞踏団ばかり、という理不尽な結果に終わる。

さて戦の間、卑弥呼様は宮殿に幽閉されていた。
というか自分で追放しといた癖に未練ありありで「タケヒコはクニツカミの神に守られて、パワーアップして帰国する」なんて御託宣をほざく始末だったので、さすがに「こりゃあかん」と愛想尽かしたナシメが色ボケ姿を民に見せぬよう隠していたのでした。

しかし半分ご隠居の長老と身といえども三國連太郎。
「卑弥呼は神になる!」と仰々しく持ち上げつつ、ドサクサに紛れ「卑弥呼の男はナシメただひとり」とちゃっかりデキる。
ジジイ元気じゃねえか。

ともあれ恋を失い、薄暗い宮殿の片隅で機を織り孤独に過ごした卑弥呼の余生も、戦争が終結していよいよ最期。
戦に勝って王に即位した河原崎長男は、新しい預言者の少女トヨ(郷真由美)をゲット。
色ボケババアなど用済みだぁ!と決めたところでなんとナシメも河原崎側に寝返る。
えー、お前もデキたら用無しか?
ナシメは捕虜になった?暗黒舞踏団の鎖を解き、卑弥呼様の寝室を急襲させる。

卑弥呼様は土方巽一派に手足を押さえられ、股を開かされ、
機織り用の棒でグッサリひと突き!
断末魔の声をあげながら悲惨な最期を遂げる。
ギャアアアアア!いてえ!

卑弥呼様の死で生まれ変わった邪馬台国は、少女トヨが棒読みなお告げで治める神の国になる。
一方で何故か河原崎兄弟は仲間割れの殺し合いをはじめるし、ナシメは今更「卑弥呼様ー!」と絶叫しながら放浪する身となりましたとさ。
なんて前衛らしく訳わからんオチでジ・エンド。


★感想

どうっすか。
とんでもないでしょう。
これでもあらすじは整理して書きました。
実際の映画はもっとグダグダです。タイトルが「卑弥呼」じゃなければ何が何だか。
あ、一応魏の国と交流して鏡をもらうとか、邪馬台国なエピソードも申し訳程度にあります。

弥生的文明vs縄文的土着の政治闘争や葛藤を高尚に描きたかったのでしょうが消化不良。
「わけわからん抽象的な論争を長々する割にヌルくて下種い話に流れ着く」って意味ではとてもATGらしいと言える。
縄文的前衛=土方巽暗黒舞踏の使い方も、弥生的前衛=粟津潔のギリシャ文明風舞台装置も、今回は今ひとつパッとしなかったです。
篠田監督作品は前衛でも作風が秀才すぎて、日本のアングラ前衛みたいな猛獣芸術を飼うには向いてないと言える。

いや、やっぱハリボテ動物シリーズが一番悪いかもw
あのユルキャラはあんまりだ。
前衛としてやっちゃいかんw

★俳優陣はおおむね満足です

岩下志麻の昭和女優演技は期待通り。
「いくらハニーが監督であたしが女優だからって前衛市原悦子メイクはヤダわ」という逡巡を微塵も見せぬ思い切りの良さに頭が下がります。
無表情でムガーッと口を開けるホラーな表情や、高速回転で印を結ぶ仕草のキレの良さなど、売りのお告げシーンはさすがの憑依っぷりでした。
欲を言えば「お!こいつは新しいトランス!」と驚く予想外の行動があればもっと良かったです。

そして22歳の草刈正雄。
昭和系濃い顔だけどまじで美形。
あまりにガチなイケメンっぷりすぎて、もののけ姫のアシタカのネタ元に見えた。
違うと思うけど。
でもイケメンの映画デビュー作を、岩下志麻との禁断の濡れ場はともかくも生尻だしてパコパコさせるかねw
ATGの美男美女の脱がせパワーは強えなあ。

土方巽&暗黒舞踏団も予想通り気味悪いですが『江戸川乱歩恐怖奇形人間』の丈五郎様と同じく、いい感じに頭に藻をつけてましたwヘアアクセとして不思議にキュートw
よく見ると腰に巻いた布も凝ったパッチワークで妙に可愛いし、なんかデコってる方向性が原宿系女子ファッションに通じる気がします。

★邪馬台国論争にだけは妙に大人な対応

あと邪馬台国といえば畿内説vs九州説論争。
『卑弥呼』のロケ地の雄大な自然はもろに阿蘇山を連想させる作りで、篠田監督は九州説かしらと思って観てたけど、ラストシーンで新たな仕掛けが待ってました。

卑弥呼様の死を嘆いて火山の噴火口を彷徨う三國連太郎が辿り着いた場所は森の中。
三國氏の姿が段々引きの画面になる。
すると森林にヘリコプターの影が映る。
ミスショット?に見えて画面はどんどん引いていき、森の外まで見え始める。
森の正体は古墳。住宅街の真ん中にある。
周りに家がある。道路がある。車が走ってる。
山の辺の道が見える。三輪山が見える。
そこは1974年の奈良県・箸墓古墳上空でした。


と、畿内説も匂わせて映画が終わる。
最後でバランス取ったw
取ってどうするw

全体ではどうしようもないけれど、細かいとこは色々面白いですよw
大物監督のイロモノ問題作、大好きです。

★追記

とか感想書いて約2年後。
なんと『卑弥呼』がDVDになりました。喜ばしい!
ATGシリーズのBOXですが。セットで3万円かぁ…

しかし『卑弥呼』をDVDで観たい!と思った人が、私の他に日本国内で少なくとも1名以上いるってことですね。
胸熱じゃないですか。

(了)
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