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No.070『赤い天使』

製作年:1966年
原作:有馬頼義
監督:増村保造
脚本:笠原良三
ジャンル:重量級鬱ホラーな従軍看護婦映画

70.jpg

メリークリスマス★
純白のナース服を真っ赤に染めた若尾文子の天使様でお祝いだ。

冒頭で麗々しく示される「芸術祭参加作品」なるテロップで、極めてスタンダードに始まる白黒映画。
戦時中の従軍看護婦が主人公。
なんつーか苦手なお勉強系社会派映画臭がしますわね。
って訳で昔は食わず嫌いだった作品。
でも増村保造監督作品だから!ひょっとするとおもしろいかも!と視聴をあきらめなくてよかった。

いまどきの大河や賞狙いドラマでやりがちな腰抜け金玉野郎な雰囲気反戦ドラマとも、形だけキャリアウーマンな女性ドラマとも程遠い、すげぇハードボイルドな女性ドラマって事です。
★予告編



白衣の下の女が燃える!予告。
スプラッターも一瞬だけなので踏み絵におすすめ。

★あらすじ(青字はネタバレあり

第二次大戦末期の昭和14年、天津の陸軍病院に従軍看護婦・西さくら(若尾文子)がやって来た。
クールで清楚な美女ナースに、わーい戦場の天使だー★男子負傷兵メロメロ★
程度で済むほど現実は甘くなかった。

手負いの野獣の檻に投げ込まれた西看護婦は、深夜の巡回で坂本一等兵(千波丈太郎)に捕まり、病室のベッドに押し倒され羽交い絞めにされ、助けを呼ぶが誰も来ず、他の兵士ももよってたかって

なんと若尾文子様が開始10分足らずでマワされる。

ビックリな展開である。

まぁそんだけお元気ならねー、と坂本一等兵は退院させられ前線へ送り返される。
西看護婦も慰み者になった自分を嘆く暇なく前線の分院へ派遣されるが、そこにはマワされた事すら序章でしかない地獄の日々が待っていた。

★ガチ地獄!スプラッター野戦病院

分院は文字通り「野戦病院」だった。
トラックに山盛りで運ばれてくる瀕死兵。「う”あ”あ”」と響きまくる無数のうめき声。
まず病院前の路上にドサドサ転がしてトリアージ。少しでも助かりそうだと担架で運ばれ手術を受ける。無理そうなのは転がしたまま死を待つだけ。

運良く手術室へ運ばれても、そこもまた地獄だった。
ドス黒い血だまりが流れまくるベッドに寝かされ、岡部軍医(芦田伸介)率いる医療チームが施すのは「手術」じゃなく麻酔無しで手足切断。
ぎゃああ!ギコギコと!バサバサと!
肉体をナマでノコギリでぶった斬られて尋常じゃない痛み(当たり前だ)で暴れる兵士を、体ごと覆い被さり必死で抑えるのが西看護婦の仕事。
文子様の体は飛び散る血しぶきで汚れ、足元にはバケツが転がっている。

バケツの中身は切断された手足が豚足みたいに山盛りです。
ぎゃああー!!!

そんなガチホラーな現場へ、レイプ犯・坂本一等兵が来た。
トリアージは「死ぬ」判定だが、手術を直訴する西看護婦。どうした文子様。まさかのまさかで情が沸いたのか?
でも手術空しく坂本一等兵は死んでしまい、他の山盛り死体と共に処分される。

さて、坂本一等兵の手術実施とバーターで、勤務後に岡部軍医の部屋へ呼ばれた西看護婦。
「脱げ」と命令されて下着になる。
おっとオヤジ大喜びな「夜の天使」展開か!だが、「脱げ」の続きは「俺にモルヒネ打ってくれ」であった。
凄惨な現場勤務で神経を病んだ岡部軍医は、モルヒネ中毒患者になっていた。
命令通りに注射して一晩添い寝した西看護婦。脱がされてるけどやられてない状況で朝を迎える。
モルヒネ中毒のせいで勃たないのだ。うーんもどかしい。

★負傷兵の男の悩みに、なんと天使が大サービス

さて、地獄の出張を終えて天津の病院へ戻った西看護婦。
今度の夜間見回りで、折原一等兵(川津祐介)という純情素朴そうな青年と出会う。
彼は両腕を切断されてて、軍部から五体満足じゃないのはお国の恥だと帰国も許されず病院で飼い殺しにされてるというディープな身の上で、あるお悩みを抱えていた。
悩みとはまぁ、彼も男子ですから性欲はあるが、腕がコレで処理できません…て事だった。
うーん、切実である。

文子様は考えた後心を決めて、そっとシーツの中に手を差し入れ、手コキしてさしあげる。
ああ天使。
感激した折原一等兵はもひとつお願いする。
負傷のせいで足が敏感体質になってしまった折原君。足で、少し触らせてもらえませんか…と。
ちょっと図々しいお願いだが、返事はなんと!

文子様、おさわり大サービス!
えええ!

びっくりだがサービスはこれだけじゃなかった!
「彼の男の機能を満足させるため」に病院から連れ出して安宿で本番サービスまでっ!!
天使越えて観音様だよ。
どうした文子様、川津祐介がタイプなのか!
しかし翌日。ひと時の満足は得たが、この先の人生を想うと絶望に駆られた折原君は、エッチの思い出を胸に自殺する。
嗚呼、ディープである。

私の献身はいつも裏目に出るばかり…と嘆く暇もなく、西看護婦はまたリアルスプラッター野戦病院へ送られる。
バケツてんこもりの手足と血だらけの手術室で岡部軍医と一緒に激務をこなすうち、つい軍医に恋心を募らせる。
でも彼がモルヒネを打つ限りエッチは不可能。
「デキないまま何時死ぬか判らない日々を送るなんて…」
悶々とする女心を秘め、西看護婦は岡部軍医を追ってさらに最前線へ出張する。
しかしそこで外は敵兵に囲まれ内はコレラ地獄、という絶体絶命な状況に陥ってしまう。

★死と隣り合わせの一夜、一度きりの愛

死を覚悟した2人は互いの愛を確かめ合い、要はぶっちゃけ一発やってから死のうと決意する。
でもモルヒネ中毒を治さないと勃たない訳で、軍医は注射を止め、文子様は軍医の禁断症状を力技でムリヤリ抑えつけてモルヒネを抜き、ようやく晴れて結ばれます。

互いの体にドッグタグ代わりのキスマークをつけて、捨て身の戦いに身を投じた2人。
激しい銃撃戦の末、最前線は兵士も後方も全滅する。
でもひとりかすり傷程度で済んだ文子様は岡部軍医を探し回るが、やっぱり彼は死んでいた。
愛した人の死体を前に嘆く文子様の姿でジ・エンド。


★感想

いやーびっくり。
芸術祭参加作品のイメージと違うハードな展開。
反戦映画ですがキーキーと反戦を訴える事もなく、お涙頂戴なウェットな流れにも持ち込まず、でも戦争の辛さや馬鹿馬鹿しさが、エピソードが進む度にずしりと身に染みる。
痺れるくらいクールでハードボイルドです。

白黒映画ですが凄惨な描写も頑張ってる。
バケツに手足ドサドサなスプラッターシーンは言うに及ばず、野戦病院の描写が簡潔でスピーディー、かつ切迫感がリアル。外国のハードボイルド戦争映画っぽい感じです。
両腕切断された折原一等兵も一瞬「本物さん?」と錯覚するくらい迫真にできてました。
ラストのひとりサバイバー文子はご愛嬌ですがwま、ヒロインですからw

★Aラインナース&黒トレンチがクールで萌える

若尾文子の従軍看護婦姿がまたクールなんですわ。
軍装女子好きにはマスト!!
特に外套のAラインの黒帽&黒トレンチ!これ観て「やっぱり黒トレンチが欲しいっ」と買いに走ってしまったくらいカッコイイ。天使ナース服との白黒コントラストも絶妙。
ナース服はクラシックなロングワンピタイプですが、甘すぎずエロすぎず品があり、文子様のクールな美貌に似合うこと似合うこと。たまらないですねえ。

脇役では西看護婦の上司の岩島婦長(赤木蘭子)が良かったですねえ。
戦争病院の酸いも甘いも噛みしめた叩き上げ婦長で、苦闘する新任部下を扱う態度が相当クール。
女のハードボイルド感満点な苦み走った顔が恰好よい。
こんな肝の据わった女上司になりたいねえ。

でも、前半はピンと背筋の立つクールなシーンの連続で萌え萌えだったけど、後半やや甘めに流れるのが惜しい。
岡部軍医と西看護婦がモルヒネ絶ちで結ばれるシーンが、蚊帳越しに見せる濡れ場はエロかったものの、事後に軍服着ていちゃつくシーンは勇み足では?

そりゃ女に軍服着せるシーンは『愛の嵐』みたく戦争の頽廃萌えにもってこいなアイテムですけど、せっかくハードボイルド張りつめたトーンで来てたのに、なんかここだけ急に甘々でガクッとなる。
外は敵兵が今にも来るかと臨戦態勢で待ってるというに、何遊んでんねんあんた達!とつっこみたい。
文子様にコスプレさせたい気持ちはわかるけどさw

とまぁ、一部ちょっとwな所はありますが、全体のクールな流れを損なうほどでも無いし、女性ハードボイルド系好きな人はおすすめです。

(了)
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